【評価･作例】手のひらハチゴロー『1 NIKKOR VR 70-300mm f/4.5-5.6』

35mm判換算で189mmから810mmまでをカバーする超望遠ズームレンズ。この焦点距離をカバーするレンズを約550gという軽量なデザインに出来るのはCXフォーマットならではと言えるだろう。

さらに同じ1型センサーサイズのコンパクトデジタルカメラ群を眺めても、換算810mmという超ロングな焦点域をカバーするレンズはこれ一つ。

レンズ構成中に大きなEDレンズを採用しており、望遠端でもシャープな像を得られるように収差が補正されている。MFT曲線を見ると、全域で安定した描写性能だ。さらに鏡筒に煌めく「N」が示すようにナノクリスタルコートを採用しており、逆光耐性も上々でシーンを選ばないヌケが良い写りをする。

1 NIKKORレンズとしては初のフォーカスリミッターや取り外し可能な三脚座を有し、本格的な望遠の世界を味わうのに使い勝手が良い仕様。

さらに0.41倍（35mm換算時）とハーフマクロに迫る接写性能を発揮する。ワーキングディスタンスも稼ぎやすいので、このレンズならではの撮影方法というのもあるだろう。CXフォーマットながら、望遠での接写では背景をガッツリ溶かしこむ事が出来る。背景をチョイスしてやれば何気ない背景もステキな玉ボケや単色背景にだって化ける。

ナノクリ採用の手のひらハチゴローとCXフォーマットにしてはやや高価で趣味性が高い。自分の用途にマッチしていれば安い買い物だが、単純に望遠レンズを探している方には手を出しにくいレンズに仕上がっている。