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マイクロフォーサーズの標準ズームはPROか?Leicaか?はたまたGか?【比較】

まえがき

混迷するマイクロフォーサーズ標準ズーム

オリンパス・パナソニックのどちらのレンズも装着できるのはマイクロフォーサーズシステムの特徴ですね。自分のスタイルや好み、価格設定に合わせてレンズを選べるのは素晴らしいこと。

その反面、一体どれを買えばいいのやら?と言う悩みも発生する。

2016年末に異次元の手ぶれ補正効果とズームレンジを引っ提げて登場したED 12-100 PRO、「ライカ」と「G」の印をつけた12-60mmが立て続けに登場。そして「II型」に生まれ変わった「G」12-35 F2.8、キットレンズのばらし品が中古市場を闊歩する12-40 PROなどなど。

今回はその中でもハイエンドズームレンズに的を絞って考えていきたいと思います。

外観から考える

大きいボディに装着すると

左から「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.」「LUMIX G X VARIO 12-35mm F2.8 II ASPH. POWER O.I.S.

サイズは光学倍率が高くなるにつれて大きくなっています。特に12-100 PROのサイズ感は他のズームレンズと比べて一回り大きいですが、他の3本のレンズはそこまで大きな違いがありませんね。12-100 PROに関しては”高倍率ズーム”のカテゴリに片足以上突っ込んでいるので仕方のない大きさかもしれませんね。

このレンズの長さは最も鏡筒が短くなっている状態で、4本ともズームする事で大なり小なり鏡筒が伸びます。この場合に最も鏡筒が伸びるのは12-100 PRO、伸ばした時の長さはおよそ40-150mm F2.8 PRO並みと言うと想像がつくでしょうか?

伸ばすとおよそ40-150 PRO

E-M1 Mark IIのようにグリップがしっかりしているボディであれば、そこまで操作性に難はありません。ただし、12-40 PROを始めとした一回り小さい標準ズームと比べて携帯性や機動力が落ちるのは否めません。特に一人旅では信頼できる万能ズームレンズですが、家族旅行などでは気になるレンズの大きさ。

小さいボディ

マイクロフォーサーズシステムの中ではとびっきり小さいボディ「LUMIX DMC-GM1」に装着するとこんな感じ。マウントは変更せずにこれだけボディサイズを変えられるのはマイクロフォーサーズを置いて他にありませんね。

とは言ってもレンズのサイズは据え置き。特に12-100 PROのサイズ感は明らかにバランスを損なっています。他のレンズにしても良いバランスとは言い難いですね。

GM1S+12-100 PRO

個人的にはGM1Sにグリップを付けて12-100 PROを使っています。普通に使えない事もないかなぁと言ったところ。とは言え、万人受けするバランスでは無いでしょうねえ。

より小さいズーム

「大きいレンズばかりじゃん?マイクロフォーサーズならコンパクトさだろ!」

仰ることはごもっとも。

左から「LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」「LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH./ POWER O.I.S.」「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R」

これらはハイスペックなズームレンズには敵わないものの、用途によっては十分な説得力を持つレンズたち。私は「12-32mm」と「14-42mm PZ」を使っています。

ただ、今回の内容にこれらを含めると収拾がつかなくなるので「ハイスペックズーム」に焦点を絞って進めたいと思います。このカテゴリの考察は今後の課題。

スペック・機能から考える

比較表

12-100 PRO 12-40 PRO Leica 12-60 G 12-35 II
コーティング Z Coating Nano ZERO Coating Nano Surface Nano Surface
レンズ構成 11群17枚 9群14枚 12群14枚 9群14枚
防滴処理 対応 対応 対応 対応
AF MSC MSC HD HD
画角 84°-12° 84°-30° 84°-20° 84°-34°
最短撮影距離 0.15m(Wide)
0.45m(Tele)
0.2m W:0.20m
T:0.24m
0.25m
最大撮影倍率 0.3倍(Wide)
0.21倍(Tele)
0.3倍 0.3倍 0.17倍
絞り羽枚数 7枚 7枚 9枚羽根 7枚羽根
最大口径比 F4 F2.8 F2.8?4.0 F2.8
最小口径比 F22 F22 F22 F22
手ぶれ補正機構 VCM機構 非搭載 POWER O.I.S POWER O.I.S
手ぶれ補正性能 5段
100mm時
?不明 不明
フィルターサイズ Ø72mm Ø62mm Φ62mm Φ58mm
大きさ 最大径×全長 Ø77.5 x 116.5mm Ø69.9×84mm Φ68.4mm×約86mm Φ67.6mm×約73.8mm
質量 561g 382g 約320g 約305g
備考 MFクラッチ
L-Fn
ISスイッチ
深度合成対応
MFクラッチ
L-Fn
AF/MFスイッチ
OISスイッチ
OISスイッチ

機能と相性

シンクロ手ぶれ補正 Dual.I.S 深度合成 MFクラッチ L-Fn
オリンパス機 対応
(機種限定)
非対応 E-M1・E-M1 II 対応 対応
(機種限定)
パナソニック機 非対応 特定機種で対応 非対応 対応 非対応

Leica 12-60mm F2.8-4の開放F値変動

12mm 18mm 25mm 40mm 60mm
F2.8 F3.2 F3.5 F3.9 F4.0

「F2.8」を使えるのは広角端とごく一部と思っていた方が良いでしょう。標準画角で半段?2/3段は暗くなっているので実質”F4通しのズームレンズでF2.8がおまけでついてくる”感覚。

じゃあ使い勝手が悪いのか?と言うとそうでも無くて、暗所でシャタースピードを稼ぎにくい以外は特に問題視する必要も無いでしょう。ボケ量は40mm F2.8の12-40 PROやG 12-35には僅かに敵いませんが、60mm F4を使えばあまり差を感じないはず(画角は狭いですが)

マニュアルフォーカスクラッチ

PROレンズに備わっている(8mm PROを除く)独特のフォーカスリング機構。通常の状態ではフォーカスリングとピント距離に物理的な接点がありませんが、フォーカスリングをスライドする事でフォーカスリングに印字されているピント距離とレンズ内のフォーカスエレメントが連動し始める機能。

つまり、昔ながらのヘリコイド式な操作感覚でフォーカシングを行うことが出来る。もちろん実際のヘリコイド式と比べてピント距離の表示は正確では無い。しかし、ざっくりと合わせておく程度の使い方ならそう不自由はしないでしょう。

フォーカスリングを引くだけで、所定のピント位置に移動してくれるのでピントが迷いがちなシーンには強い。

Dual.I.S II・シンクロ手ぶれ補正

手ぶれ補正の効果で最も強力なのは12-100 PROとシンクロ手ぶれ補正対応機を組み合わせた時。異次元の補正効果を発揮するので、従来の手ぶれ補正とは明らかに効き目が違う。特に望遠側で違いを大きく感じるはず。

Dual.I.S IIはシンクロ手ぶれ補正ほどでは無いものの、確実にシンクロ手ぶれ補正に近づいている。差が明らかに目立つのは「スローシャッターによる表現」を使う場合で、単純に「手振れを防ぐ」程度の補正効果であればDual.I.Sでも十二分に実用的な性能。

買うならどれだ?

今回はあえて描写性能には触れませんでした。どれもこれも素晴らしい光学性能であり、甲乙がつけがたい描写。さらにボケ味や諸収差の残し方の好みには個人差があるのと思うので、その辺は作例をチェックして確認してください。

下記のレンズ名からレビューや作例を集めている特集ページへ移動できます。比較的新しいライカ12-60とG12-35 IIの作例はまだ少ないです。

オリンパス

携帯性と表現力を両立させたいならED 12-40 F2.8 PRO

Points

  • 深度合成
  • 接写性能
  • 携帯性
  • 40mm F2.8が使える
  • MFクラッチ
  • L-Fnボタン

画質・機能・サイズ・価格のバランスが良好。迷ったらとりあえずコレでOK、と言いたい所ですが手ぶれ補正が搭載されていないので1世代前までのLUMIX機で使う場合には要検討。Dual.I.Sに対応するライカ12-60やG12-35と比べると、絞って使う場合に差が出るかもしれない。

G 12-35mm F2.8とは使い勝手が被っている部分が多いものの、接写性能や望遠端の長さなどから表現の幅はより広い。発売より年月が経っているので、中古市場で多く流通しているのも一つのポイント。

オリンパス機ユーザーで標準ズームに迷っているならまずはコレが第一候補。

旅や観光地ならこれ一本 ED 12-100 F4 IS PRO

Points

  • 5軸シンクロ手ぶれ補正
  • MFクラッチ
  • L-Fnボタン
  • 61?100mm F4が使える
  • 携帯性が悪い
  • 4本の中では最も高価
  • 広角接写性能

望遠端の100mm時にレンズ単独で5.0段の手振れ補正は驚異的。オリンパス機と組み合わせてシンクロISにすると化物じみた補正効果となりますが、旧世代のLUMIX機(ボディ内手ぶれ補正を搭載していないモデル)でも十分過ぎるほどの効果を得ることが出来ます。

LUMIX機と12-100 PROの相性を気にして購入を控えているのであれば「そりゃあアンタ、杞憂ってもんさ!」と背中を押してあげたくなるレベル。

「標準ズーム」「望遠ズーム」「マクロレンズ」の3本を一本に纏める事ができる魔法のようなレンズ。言い換えれば「遠近感」「圧縮効果」「クローズアップ」と言った表現を高画質のままレンズ一本で実現してしまうのがコレ。確かに画角の広いボケを演出するのは苦手ですが、長焦点を活かせば40mm F2.8以上にボケを作ることも可能。おまけにボケも嫌味が無くキレイ。

熟慮したいのはやはりそのサイズ感。マイクロフォーサーズとしては大ぶりな高倍率ズームレンズですので、携帯性を重視している方にとっては許容できない大きさでしょう。その分画質は海外のレビューサイトでも絶賛の高品質っぷり。

価格もちょっと高いなあと初めは思うかもしれませんが、使ってみると「高倍率ズーム」と言う概念を覆させられる異次元の性能。そのうち金額はあまり気にならなくなるのです。

購入早見表

レンズ 楽天市場 Amazon カメラの
キタムラ
Yahoo
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO 新品・中古情報
新品・中古情報
新品・中古情報
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M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO 新品・中古情報
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パナソニック

”F2.8”はおまけと考えるべし Leica 12-60mm F2.8-4

Points

  • Dual.I.S II 対応
  • 60mm F4
  • 望遠側での接写性能
  • ライカ
  • 携帯性

18mmで既にF3.2、25mmでF3.5まで開放F値が暗くなります。40mmではF3.9ですので、12-40mm PROとのボケ量の差は1段程度ある考えておいた方が良いかもしれません。

しかし、Leica 12-60は60mmまでの長焦点を活かせば40mm F2.8並みのボケ量を得る事が可能です。広角端と望遠端に限って言えば12-40 PRO・G12-35並みの表現力を発揮できると言えるでしょう。

このレンズを選ぶべきポイントは「F2.8」と言う事ではなく、「60mm F4」・「ライカ印」をどこまで重視するか。35mm判換算で24-120mm F2.8-4.0やAPS-Cで16-80mm F2.8-4.0と言ったレンズと同じ使い勝手で、鏡筒の造りや画質がライカ印の贅沢でリッチな質感と言う事。

望遠側を妥協すれば35mmや40mmのF2.8レンズがより安価で手に入れる事が出来るし、画質や明るさを排除すればさらに安価な「LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S.」も存在する。

そんな標準ズームのラインナップにおける僅かな隙間を貫くようにして登場したプレミアムなズームレンズ。

Dual.I.S IIに対応しているLUMIX DMC-G8やDC-GH5ユーザーであれば第一候補。ボディ内手ぶれ補正が搭載されていないカメラであれば、12-100 PROと併せて検討してみたい。

コンパクトで手ぶれ補正を重視するならG 12-35mm F2.8 IIだが…

Points

  • Dual.I.S II 対応
  • 軽量でF2.8ズーム
  • 4本の中では最もショートズーム

4本の中では最もズームレンジが狭く、接写性能も際立ったものではありません。しかし、「大口径」「軽量」「手ぶれ補正搭載」というカテゴリではオンリーワンの選択肢。特に小型軽量なマイクロフォーサーズ機とは相性が良好。

特に進化した手ぶれ補正で「Dual.I.S II」に対応しているは良い。

問題は価格がLEICA 12-60mmとそこまで変わらないこと。単純にボケ量で言えば60mm F4で十分なボケの大きさを稼ぐことが出来るので、35mm F2.8がアドバンテージとは言い難い。

さらに接写性能やAF/MF切替スイッチなどを考慮すると、おススメはLEICA 12-60mmかな、と考えています。

購入早見表

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LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S. 新品・中古情報
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LUMIX G X VARIO 12-35mm F2.8 II ASPH. POWER O.I.S. 新品・中古情報
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LUMIX G VARIO 12-60mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S. 新品・中古情報
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LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S. 新品・中古情報
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あとがき

ややオリンパス寄りの記事になっちゃったかな?マイクロフォーサーズの機材はオリンパスを多く使っているので、ちょっとバイアスかかっちゃったかもしれません。

全体的な印象としては「切り捨てるところは切り捨てて、追及するところはとことん」のオリンパスと「バランス、携帯性」を意識しているのがパナソニックですかね。

機材道楽的には楽しみが多くて退屈しませんなぁマイクロフォーサーズは!お陰様で財布が軽い軽い。

ライカ12-60と12-100 PROの比較でもしてみたいのですが、25 PROとライカ25を比較するべく「LEICA DG SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.」買っちゃったのでズームレンズはまた今度の機会に。

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