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キヤノン EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM を実際に使って感じた7ポイント

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今年も鮮やかな春の花が咲き始めていますね。花を始め、植物や昆虫を大きくクローズアップして撮影したい季節です。今回はEOS Kiss Mが思いのほか使いやすく、勢いで手に入れた専用マクロレンズのレビューです。

仕様のおさらい

EF-M28mm EF-S35mm EF-S60mm
画角(水平・垂直・対角線) 44°10′・ 30°10′・ 51°55′ 35°55'・24°20'・42°35' 20°40'・14°10'・24°30'
レンズ構成 10群11枚 6群10枚 8群12枚
絞り羽根枚数 7枚 7枚 7枚
最小絞り 22 32 32
最短撮影距離 通常撮影:0.097m
スーパーマクロ:0.093m
0.13m 0.2m
最大撮影倍率 通常撮影モード時:1倍
スーパーマクロモード時:1.2倍
1倍 1倍
フィルター径 43mm 49mm 52mm
最大径×長さ 60.9mm×45.5mm(収納時) φ69.2mm×55.8mm φ73mm×69.8mm
質量 約130g 190g 335g

EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMの大きな特徴は5つ…

  1. 純正マクロレンズとしては最も画角が広い
  2. 等倍マクロはワーキングディスタンスが無いに等しい
  3. スーパーマクロモード対応
  4. LEDライト内蔵
  5. 非常に軽量

画角が広いマクロレンズなので等倍マクロは被写体に接触しそうな距離まで近寄る必要があります。カメラや自身の影が被写体に写りこみやすく、外付けマクロフラッシュも介入出来ないような距離感です。

その一方でテーブルフォトや日常風景など「等倍マクロほど接写しないが出来るだけ寄って撮影したい」とザックリ撮りたい場合には便利。さらにとても軽量なレンズですのでEOS M100などコンパクトなカメラボディとの相性が良好です。

小絞りの最大値が小さいので被写界深度の自由度はやや狭いです。

外観

他のEF-M用レンズと同じく非常にコンパクトで軽量なレンズです。外装はプラスチック製ですが安っぽさを感じない仕上がり。

個人的に格納リングとフォーカスリングのローレット仕上げが好み。他社でよく見るリブ仕上げより見た目が良好ですね。

レンズ前方の幅が狭いリングがフォーカス操作用、幅が広いリングでレンズの格納・展開を操作します。

マニュアルフォーカスを使う機会が多いマクロレンズとしてはフォーカスリングの幅が狭すぎる。さらに、抵抗感が少なくやや緩めの操作性ですので、一眼レフ用のマクロレンズから移行すると違和感を感じるかもしれません。

レンズ前玉は小さく、周囲を内蔵LEDライトが囲んでいます。

後述しますが、フードやレンズフィルターを装着する場合はLEDライトが覆われて使用出来ません。

この状態でフィルターを装着することは可能ですが、20mm以下のフィルター径を探すのは難しいはず。レンズフードに43mmフィルターネジが備わっているのため、そちらを利用するのがベターな選択肢。

レンズマウント部はプラスチック製。EF-M登場初期のレンズが金属マウントだったことを考えると少し残念なポイントです。

強度に不安はありませんが、長年使用することを考えると金属マウントが良かったかなと感じます。

EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STMと同じく沈胴式レンズ。撮影時は格納状態からレンズを繰り出す必要があります。

繰り出し量は僅かでフォーカシングによる全長の変化はありません(インナーフォーカス)。

また、スーパーマクロモードでも繰り出し量は僅か。

レンズキャップは一般的なタイプに見えますがEF-M28mm用のネジが付いています。

レンズフードの43mm径にも対応しています。

レンズ本体がプラスチック製で組み立てられているのに対し、レンズフードはなんと金属製。

EF-M28mm専用と言っても良いデザイン。前方には43mmフィルターやキャップを装着することが可能です。

前述したようにレンズフードを装着するとLEDライトがすっぽり隠れてしまいます。レンズの保護性は高いですがレンズの特徴とも言えるLEDライトが使えなくなるのは残念ですね。

43mm径はキヤノン用レンズで珍しいため、このフィルター径で色々と種類を揃えるのは経済的に宜しくありません。

私は43mm→49mmステップアップリングを装着してEF-M15-45mmやEF50mm F1.8などと共用できるようにしています。

ステップアップリングやフィルターワークによるケラレや周辺減光の影響はないように感じます。

43mmフィルターを使えば本格的なリングライトも装着可能。

内筒に装着するため、重いリングライトによるガタツキ、異物にぶつけてレンズの精度が低下しないか心配ですね。あまりおススメしません。

また、ワーキングディスタンスが短いのでマクロライトが邪魔になる場合も多い。

内蔵ライト

ライトの点灯・消灯はレンズ左上のボタンを操作します。

  • 両方点灯 強…1プッシュ
  • 両方点灯 弱…両方 強の状態から1プッシュ
  • 消灯…両方 弱の状態から1プッシュ
  • 片方への切り替え…消灯時に長押し
  • 片方点灯…切替後は1プッシュ毎に「左 強・左 弱・右 強・右 弱・消灯」

両方点灯で左右の明るさを調整する機能は無し。LEDライト点灯はレンズを格納したりS.マクロモードと通常モードを切り替えた時に消灯します。

ライトの強弱は光量に多少差があるものの、もともとの光量が弱いため実写で「弱」の必要性は低い。

また、左右のLEDライトを片方のみ点灯させる場合は等倍マクロ近くまで接写しないとライティングの効果が薄いです。

暗所でLEDライトを使うと効果が分かりやすい。

LEDライトによる明るさの影響は接写時におよそ7~9EVほど。絞り開放付近で撮る分にはそこそこ光量を稼げるものの、F11~F16のような小絞りを使うには力不足。

特に手振れを防いで低感度を維持する目的としては使い辛く、あくまでも三脚使用時におけるライティング補完の意味合いが強い。

また、明るい屋外で使う場合は日陰を明るくするほどの光量を期待できません。

接写時にLEDライトを切り替えると影響の変化が良く分かります。

写真を見ると分るように光を反射しやすい素材を真正面から撮影するとLEDライトの光がそのまま反射します。

スーパーマクロモードを使った場合、レンズにあたるかどうかの距離まで被写体に接近します。

手持ち撮影でフレームを維持するのは難しく、綺麗に撮ろうと思ったら三脚必須。

オートフォーカス・手振れ補正

オートフォーカス

基本的なフォーカス速度は14-45mm STMと同程度。ただし、ピント距離が広いのでAFが迷うと結果的に遅く感じます。

EOS Kiss Mと組み合わせると迷うシーンは少なく、コントラストが低い被写体や薄暗いシーンでのみ問題となります。

マクロ領域以外のピント合わせは非常に高速でストレスフリー。

手振れ補正

角度ブレとシフトブレに対応しているハイブリッド式です。特にマクロ域で影響が大きいシフトブレに対応しているのはありがたいですね。

とは言っても等倍マクロ領域を手持ち撮影できるほどカバーできる効果はありません。素直に三脚を使うべきでしょう。

描写チェック

ボケ

後ボケはそこそこ良好で前ボケは硬め。

28mm F3.5と言うスペックなので前ボケの硬さが気になるシチュエーションは稀なはず。

ボケ2

絵柄を変えてもう一回。

ピント面はシャープで、後ボケはやや滑らかで前ボケは少し硬い。後ボケも極上のボケと言うにはほど遠く「悪くはないな」と言う程度。

S.マクロ撮影時の被写界深度

APS-C 28mm F3.5と言えどもマクロ領域では被写界深度が浅くなり非常にボケやすい。

むしろ浅くなりすぎて被写体をパンフォーカスにするのが大変。マクロ域でしっかりピントを合わせるつもりならF11~F22までガッツリ絞る必要があるでしょう。小絞りで回折の影響とか言っている場合ではありません。

ボケのグラデーションは滲みが少なく一気にデフォーカスするタイプの質感。

遠景解像

基本的に絞り開放からフレーム全域で安定した描写。小さい前玉からすると大変良好な画質と言えるでしょう。

絞っても大きく改善しませんが、ピークはF5.6-F11付近。F16-F22は回折の影響が強くなりややソフトになります。F16までは実用的ですがF22は被写界深度の調整以外で使いたくない画質。

まとめ

今回のおさらい

  • 比較的画角の広いマクロレンズ
  • 等倍マクロ撮影でワーキングディスタンスが短すぎる
  • LEDライトの光量は限定的でライティングの補完程度
  • プラスチックパーツが多いものの、非常に軽量で質感は悪く無い
  • 43mmフィルターをレンズフードに装着可能
  • ボケはまずまず良好で騒がしくなる状況は限定的
  • 解像性能はフレーム全体で絞り開放から良好

本格マクロとして使うには画角が広すぎたり、LEDライトが非力だったりと使い辛い部分が多い。

しかし、初めてのマクロレンズとしては「安価・小型軽量・安定した画質」とバランスが良く使いやすい一本です。良くも悪くも「マクロ撮影に必要なモノ」をこのレンズで感じ取ることが出来るはず。

買う前に注意すべきはやはりマクロ撮影時のワーキングディスタンスが短すぎること。昆虫や花壇の内側に咲いている花など、近寄ることが出来る距離が制限されている場合このレンズの画角では非力。

それならば、「マウントアダプター EF-EOS M」経由で「EF100mm F2.8 マクロ USM」や「EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM」「EF-S60mm F2.8 マクロ USM」をサイズ度外視でも導入したほうが圧倒的に使いやすい。

一方で「付けっぱなしで日常生活でも使いやすい画角」がEF-M28mmの特徴。絞り開放から安定した描写なのでスナップ、風景、マクロ、テーブルフォトなど様々なジャンルで活躍が期待出来ます。EOS M100やEOS M6などと組み合わせてカジュアルに使うのがこのレンズの本懐と言えるかもしれません。

実写作例

玉ボケの角ばりが目立つのはF11以降の絞り値のみ。

マクロ領域でのボケ質はやはり良好。

画角が広いのでパースを付けつつマクロな撮影が可能。

玉ボケは綺麗ですがエッジが硬いので後処理でコントラストを上げると騒がしく感じるかも。

前ボケがちょっと感じる例。

マクロ領域は被写界深度が浅く、ピントを合わせるにはガッツリ絞る必要がある例。

明るい屋外でカメラ・カメラマンによって日陰が出来てしまう例。

ワーキングディスタンスが短く、マクロ撮影時は日光を意識する必要あり。ここまで日陰になってしまうと内蔵LEDライトでは対応しきれません。

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