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【レンズレビュー】SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO A001 / PENTAX K-3

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PENTAX用のこのタムロンの大口径望遠ズームレンズは発売が2008年、今年で8年目となる。とっても今更感があるものの、ペンタックスユーザーで検討されている方も多いのではないだろうか?

と言うのもこの春に発売する初のフルフレーム一眼レフPENTAX K-1が登場するからだ。Kマウントの中でもフルサイズをカバーするオートフォーカス対応の大口径の望遠ズームは純正『HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW』シグマ『APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM』、そしてこのタムロン『SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO A001』だ。(フィルム時代のFA★80-200mmと言う手もあるが…)

シグマだったり純正FAはもはやディスコン。D FA★70-200はさすが最新レンズだけあって20万円程度の妥当な値段。これらの中でも格安で手に入るレンズがこのタムロンA001だ。2016年3月現在で5万円半ばで新品が購入可能で、D FA70-200mmの4分の1程度で買えてしまう。

もちろん『コストパフォーマンスが良い格安レンズ』という補足は要るものの、条件次第では十分に使うことが出来るレンズだ。価格コムでは★70-200を抑えて売れ筋No1という売れっぷり。買うなら今か?

外観

K3P9810402我が家の長玉を並べてみた。左からシグマ APO 150mmマクロ・タムロン A001・キヤノン 70-200F2.8L II・ペンタ ★300mm。

A001を買った目的は一番左のAPO150mm(キヤノン)が思いの外良かったので、ペンタックスマウントにおけるテレマクロの代用として。シグマのマクロレンズがF2.8の割にコンパクトなので、ズームレンズなA001と比較すると大きく見える。しかし、お隣さんのキヤノンF2.8L IIと比べると同程度。サイズ感は一緒に見えるが、手ぶれ補正を搭載していないので鏡胴がスリムな作りをしている。おかげ様で重量は★300mmと比べて200g程度しか変わらない。★70-200と比べると500g違うので、かなり軽いと言えるだろう。

K3P9810406フードを外して300mmF4と並べてみた。鏡胴がスリムなのでハンドリング性は★300mmとあまり変わらない。

K3P9810411ズームリングの回転方向はペンタックス同様だが、フォーカスリングの回転方向が逆。マニュアル操作の際にちょっと混乱するが、マニュアル操作する時はそこまで慌てていないのであまり気にしない。リングのゴムラバーはグリップしやすく滑らないが、細かいゴミが間に詰まる事が多い。

フォーカスリングの回転角はおよそ90度で、同じくタムロンの標準大口径A09と同程度の回転角だ。強力なボディ内モーターのK-3なら素早くAFが作動するので、そこまで遅さを感じない。早くもないが…。後述するが、マニュアルフォーカスで特に200mm時におけるピント合わせがかなりシビアな点がある。

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タムロン90mmマクロでもお目にかかるフォーカスクラッチ構造。フォーカスリングを前後させる事でレンズを素早くAF/MFを切り替えることが出来る。AF側にある場合はフォーカスリングが空回りする状態。MFにする場合は手前に引くとフォーカスリングがレンズと連動する。

電子制御で一括操作出来るEFマウントでは便利なのだろうが、ボディ内駆動のカプラーが連結しているKマウントではボディ側の切替スイッチも弄らなければMFにはならない。ちょっと面倒だったりする。

さらに注意点はクラッチをMF側にしたままでボディ側をAFにした場合、フォーカスリングがガッツリ回る。手でフォーカスリングを持っていると手を持って行かれたり、ボディ内モーターに負荷がかかっていそうで怖いのでクラッチをAFに戻し忘れないようにしたいところ。

K3P9810413フレアカッターが付いているので、後玉を掃除する時にやり辛かった。

インナーズーム・インナーフォーカスのレンズなので、埃などが入り込む要素が少ない点も隠れたメリット。同社製の17-50mmF2.8などは埃が入り込みやすく中古品は状態の悪いレンズも多いことを考えると長期間に渡って品質を維持し易いという点は良い。リセール時に影響が大きい。

焦点距離ごとのF値サンプル

K-3の吐き出すJPEGをそのまま使用しています。ファイルサイズが重いので注意。
所感は作例下に列挙

  • PENTAX K-3 / JPEG ラージ★★★
  • カスタムイメージ ナチュラル
  • 諸補正オフ・手ぶれ補正オフ
  • ISO100固定・三脚使用・シャッター変動
  • ピントは★300mmのロゴ部分に調整
  • 100mmF5.6のシーンでは微ブレを拾ってしまった模様
F2.8 F5.6 F8 F11
70mm K3IMGP9294 K3IMGP9295 K3IMGP9296 K3IMGP9297
100mm K3IMGP9298 K3IMGP9299 K3IMGP9300 K3IMGP9301
135mm K3IMGP9302 K3IMGP9303 K3IMGP9304 K3IMGP9305
150mm K3IMGP9308 K3IMGP9309 K3IMGP9310 K3IMGP9311
200mm K3IMGP9312 K3IMGP9313 K3IMGP9314 K3IMGP9315

ライブビューAF

コントラストAFが遅すぎて絶望したので、何事かと思ったらそもそもコントラストAFに対応していなかったという。

後述するMFのシビアさもあってかなりピーキーなピント合わせを要求される。

望遠側の開放におけるピント合わせ

かなりシビア。ライブビューの拡大10倍を使ってなんとか合うレベル。さらにフォーカスリングの回転角が狭いので微調整し難いという点も。

拍車をかけるのがピント面の直後から始まる滲み方。これが柔らかいボケを作っているのだな、と感じるほどすぐボケる。というよりもピント面もちょいにじむ。200mmF2.8の作例を見ていただくと分かるのだが、ライブビュー10倍拡大でMFピント合わせをした結果がミリ単位の前ピンでこれだけ滲む。10倍拡大だけで無く、倍率を落としたり高めたりしながら全体を確認する必要があった事を反省。

ピント面がしっかり合えば良好な解像度を得られるかもしれないが、実写で開放のピント合わせをMFで実施するのは難しいだろう。望ましい方法は、静物限定な上に三脚でガッチリカメラを固定する必要がある。

広角側の開放は被写界深度が深いのでまだ扱いやすい。激ふわ描写を狙うなら望遠端だが、安定した解像感と大きなボケを使うなら広角側から中間域程度だと感じる。

描写性能について

開放のピーキーなピント面も絞る事で見違えるほど使い易くなる。特にF5.6付近はズーム全域で安定した描写が得られる。F11まで絞ると細部がちょい潰れるが十分使える範囲。カラーフリンジは開放で発生するものの、この手の古いレンズにしてはかなり抑え込まれている印象を受ける。よほどのハイコントラストの近景でもない限り十分開放から使っていける。

ピント面の扱いはシビアだが、解像しない訳でもないのでふわっとぼかしたいマクロ域や近景では積極的に絞り開放を使っていると思う。中・遠景では描写が甘いと感じる場面があると思うのでシャッタースピードが許すならF4~F5.6まで絞ると良いだろう。

海外の評価サイトでは開放時の135mmや200mmの周辺描写が甘くなるそうだ。個人的には、開放の望遠端で周辺描写を気にするシーンはあまり無いのでそこまで気にしないことにした。

実写

シャッタースピードを稼ぐには便利な大口径望遠ズーム

K3IMGP9288晴れていたのでお外でパチリ。

オートフォーカスはハナから当てにしていないので置きピン。フォーカスリミッターが搭載されていないので、特定の距離に被写体が定まっていたとしてもガッツリ迷う時がある。

オートフォーカスこそ動体では使い難いものだが、望遠側で明るいレンズはシャッタースピードを稼ぎやすいというメリットがある。前回蜂を撮った際は1/4000秒でもギリギリだったか?という感じだったので、1/8000秒を使用。開放では描写が甘くなりがちなので、安定した解像と被写界深度を深くする目的でF5.6まで絞る。ISOは1000で抑えられた。

IMGP9288-2ブログ程度やSNS、L判程度ならこのくらいまで切り出しても気にならない。安定した描写とシャッタースピードを両立出来るのは明るいレンズならでは。

ボケは綺麗

K3IMGP9192-Edit

K3IMGP9150

前ボケも比較的スムーズにボケてくれるでナチュラルな感じ。玉ボケはF4.5程度までなら踏ん張ってくれる。左の猫はF3.2でちょい絞って撮影。ピント面の右目周辺はしっかり解像しており、前後も違和感の無いボケ方になっている。ポートレートレンズとしても頑張ってくれそうだ。但しピント面付近のボケは煩くなる場合があるので要確認。

ちなみに猫の方は無料になったNik Collectionを使用。インストールするだけでLightroomなどで使用出来るので超便利。

IMGP9123絞り開放で200mm。柔らかい(甘い)描写を逆手に取って、ソフトでハイキーな描写が簡単に出来る。カスタムイメージ『雅』と相性がいい感じ。この写真も先ほどの蜂と一緒で、ガッツリトリミング。

ケンコー MCクローズアップレンズ No3を付けると

K3IMGP9072ものすっごい滲みます。いや、安いMCレンズなのでと言うのもありますが…。

使い勝手はどうよ?と問われると、「これなら普通に撮ります」レベル。もしくは口径が小さく安くACレンズを調達出来るFA77mmで使った方が良い感じ。また、No3のワーキングディスタンスは短すぎてかなりしんどい(30cm前後)。せめて30?50cmで撮影出来るNo2。

MCのNo3は安いのだけど、ACレンズのNo2って倍以上するんだよねえ…8000円くらい?ちょっとお遊びにしては高め。テレマクロ買うくらいなら全然安いのだけどね!個人的にはシグマ APO150mmを2万で手に入れたので割高感がものすごい。

K3IMGP9085-Editレンズ外してF8まで絞った写真。APS-Cで使うと撮影倍率もちょい高くなるので、K-3で使う分にはこれで十分。

位相差AFなら素早いピント合わせが可能

K3IMGP9160回転角が小さいのでボディ内モーターを使うものの、早い方。回転角が大きいDA★300mmがガッツリ迷う時に比べるとかなり早い。気持ち絞っておけば200mmの甘さも解消するので問題無く使っていける。

猫程度の大きさで、そこまで激しい動きをしないのであれば十分使える範囲。但し、すごく・とっても煩い。モーター音が。

このレンズは買いか?

メインが広角・標準ならコレでOK

主に広角や標準を使って、重たい望遠レンズはそこまで多用しないのであれば、高価なD FA★70-200はコストパフォーマンスが悪いと感じるだろう。かと言って暗い55-300mmでは広角側でボケを作るには不十分。そんな時にサイズが大きくなるが価格差があまり無いこのA001。カメラシステムの補完的な意味合いならば、選択肢として十分有り得るレベル。

DA★200mmというチョイスもあるが、価格面・補完的な意味合いを考えるとA001の方がお買い得。

ただし、D FA★70-200の様に絞り開放からカリっとシャープな像をイメージしていると失敗する。あくまでも綺麗なボケ味とハンドリングの良さで勝負するレンズ。また、ズームレンズでも広角端と望遠端しか使わないのであれば、70mmF2.4や★200mmの方が相性が良いと思う。

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