パナソニックのミラーレス一眼「LUMIX G9 PRO」はLUMIX機で初めて「高解像撮影モード(ハイレゾモード)」を導入した機種です。ハイレゾモードを手持ちのG9 PROでさっそく試してみましょう。
Index
ハイレゾモードの使い方
オリンパスの「50Mハイレゾショット」はドライブモードの一部として選択可能ですが、パナソニックの「ハイレゾモード」は撮影機能の一つとしてメニュー画面から選択可能。
しかし、毎度メニュー画面から呼び出すのは面倒なので多用する人はFnボタンに登録してしまいましょう。
個人的に使用頻度は「物理ボタンに割り当てる程ではないが、タッチFnにあると多用する」程度。このボタンを押すとハイレゾモードの設定画面へ移行できます。
ハイレゾモードで設定できる項目は以下の通り…
- 記録画素数…XL:71.5M or LL:35.5M
- クオリティ…Fine or RAW or RAW+Fine
- 通常撮影同時記録…on or off
- シャッターディレイ…1/8秒?30秒
記録画素数によるファイルサイズは同じシーンを撮影した場合に「XL=38MB」「LL=20MB」とほぼ2倍近いサイズ差となります。とことこん高解像にこだわる人でなければLLでも十分満足できる解像度と言えるでしょう。個人的にオリンパスと同様の50M程度の画素数が選択肢として存在すると良かったです。
出力形式はJPEG・RAWどちらにも対応。RAWはハイレゾモードで合成されたRAWファイルに加え、「通常撮影同時記録」を「on」とすることで通常撮影も記録されます。合成処理がうまくいかないことが想定されるシーンでは保険として同時記録をオンにしておくと良いでしょう。
シャッターディレイはセルフタイマーのような機能です。三脚に固定してレリーズボタンを押してから露光開始までの時間を選択できます。使用する焦点距離に合わせて設定すると良いでしょう。
Fnボタンで小まめに設定画面を呼び出せるパナソニックと違い、オリンパスはいちいちメニュー画面から設定する必要があります。この点ではパナソニックのハイレゾモードが使いやすく感じます。
撮影は「開始」ボタンを押したのちにレリーズボタンを押すことで開始されます(ディレイを設定している場合はディレイが開始される)。
実写チェック
それではさっそく実写を確認してみましょう。
- 三脚使用(安いトラベル三脚)
- LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0?ASPH.使用
- ディレイ 4秒・XL・JPEG(風景 初期設定)
シーン1 遠景
「こんなに解像して意味あるのか?」と思うほど細部のディテールが鮮明になっています。フルサイズの高画素機に匹敵する高解像な画像データである上に、補間処理の無いディテールがしっかりと再現された描写です。
ピクセル等倍まで拡大するとジャギーっぽいが、よほどクロップして使用しない限りまず問題無いはず。
8枚の画像を合成処理するハイレゾモードは動く被写体が不自然な描写となってしまいます。しかし、自然風景相手ならばスローシャッターのような描写となり不自然さは強くありません。
しかし、雲などゆっくりと一定方向に動く物体が存在する場合は注意が必要。場合によってトーンジャンプのような描写が発生してしまう可能性があります。
シーン2 近景
LEICA 8-18mmの解像性能でも十分ハイレゾモードを楽しめますが、単焦点と比べると高周波域でレンズの解像限界を感じます。
ハイレゾモードの解像性能を引き出すには単焦点レンズがおススメ。通常の2000万画素撮影では単焦点と高級ズームの違いが分かりづらいものの、ハイレゾモードでは差が確かに存在します。(後述)
このシーンではND1000の減光フィルターを使用してスローシャッターを実現。残念な事にパナソニックの電子シャッターは1秒までの露光時間しか対応していないので、減光しすぎると適正露出を低感度で保つことが出来なくなります。オリンパス機が電子シャッターで15分まで露光時間を稼ぐことが出来るのでこれは大きな不満点。是非とも改善していただきたいポイントです。
単焦点とズームレンズで差が出るのか?
前述したように、ハイレゾモードでは高級ズームレンズと高級単焦点レンズとで解像性能に微妙な差が発生します。今回は近景のフラットな像面の被写体でチェックしてみましょう。
使用レンズ・環境
どちらも非常に評価の高いレンズです。
正直に言えば微々たる差ですが、単焦点レンズが高周波領域でより良好な解像性能を発揮しているように見えますね。補足すると、12-100mm F4 IS PROも8倍ズームの高倍率ながら7500万画素でも甘さを感じない凄まじい性能と言えるでしょう。
今回はXL画質で比較しましたが、LL画質では恐らく差は分からないはず。
XL画質とLL画質に差はあるのか?
それでは7500万画素と3500万画素で解像性能はどれほど違うのか見比べてみましょう。
使用レンズ
解像度が高い分、XL画質が僅かにディテール再現性は良好のようです。とことん解像性能にこだわるのであればXLは意味のある画質と言うことが出来るでしょう。
とは言え画質差はファイルサイズ差(2倍)ほど開いている訳ではありません。ウェブやプリントで使うのであればLL画質で十分。
ダイナミックレンジは改善するのか?
- 撮影後にRAWファイルをLightroomでシャドーMAX持ち上げ、ハイライトMAX下げて現像
- LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0?ASPH.
- XL画質
- ちょっと暗めのデータなので、モニタを明るくすると分かりやすいかもしれません
シャドーを持ち上げた箇所においてマゼンダのカラーキャスト量が変化しています。
通常撮影は全体的に色味が変化しているので実用的では無い画質。ハイレゾモードはまだ実使用に耐える画質と言うことが出来るでしょう。
過去にD850とE-M1 Mark IIのシャドー持ち上げ耐性を比較したところ、カラーノイズはフルサイズ有利ですが輝度ノイズや解像性能はE-M1 Mark IIに軍配が上がりました。おそらくLUMIX G9 PROも同程度の性能を持ち合わせているはず。
同じ露出の画像を合成しているので白飛びや黒潰れしてしまった箇所には無力です。ダイナミックレンジが拡張しているわけでは無いので注意。とは言え「シャドーのノイズが減り、LUMIX G9 PROが持つダイナミックレンジを余すことなく使い切っている」とも言えるので実質的に拡張されていると言っても過言では無いはず。
シャドーの持ち上げ耐性は高いので、出来るだけ白飛びを回避した露出アンダーで撮影することをおススメします(出来る事なら適正露出ですが)。
おさらい
今回のまとめ
- ハイレゾモードはFnボタンに登録すると便利
- 然るべきレンズを使えばXLとLLの画質は差が出る
- ハイレゾモードはシャドー持ち上げ時のノイズが通常撮影時よりも改善する
- ダイナミックレンジが拡張しているわけでは無い
- ?ISO1600・?F8・?1s・フラッシュ不可
ハイレゾモードはイロモノ機能では無く、とても実用的な撮影機能。これを使える状況で使わないのはモッタイナイ。
状況によってはフルサイズの30?40万円の高解像モデルに匹敵以上の性能を発揮します。
PROシリーズやLEICAシリーズのレンズを持っているのであれば是非使ってみて欲しい機能です。
全体的な使用感
以前にOM-D E-M1 Mark IIとG9 PROのハイレゾを撮り比べてわかったようにG9 PROのハイレゾモードは解像感が高い。その上でLUMIX機はハイレゾモードの各種設定が調整しやすいので操作性はオリンパスより上。
しかし、惜しむらくはフラッシュ発光禁止と電子シャッターの露光時間制限。
個人的に夜景やNDフィルターを利用してハイレゾ撮影することが多いので1秒までの電子シャッターは許容範囲外。LUMIX機は従来から電子シャッター1秒までだったりするので今後の改善に期待したいところ。
購入早見表
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