PhototrendがCP+ 2024におけるソニーへのインタビュー記事を公開。新発売のα9 IIIに関する小ネタやFE 24-50mm F2.8 Gのコンセプト、今後の方向性に関してなど。2024年のフルサイズミラーレス市場でシェア、台数、金額ともにナンバーワンと予想していると言及。
グローバルシャッターはどのように開発されたのか?今後、このタイプのグローバルシャッターセンサーを搭載したソニーのカメラは増えていくのか?
- グローバルシャッターイメージセンサーは、産業用途ではすでに量産技術。
- グローバルシャッターイメージセンサーで高画質を実現する製品開発に最も力を注いだ。産業用と比べると大きな違いであり、ソニーが克服した最も困難な点である。
- グローバルシャッターを実現するためのアーキテクチャは、画素と並列にA/D変換を行うものである。各画素内にA/Dコンバーターとメモリーを配置することで、読み出しのタイムラグによる画像の歪みを排除している。
- 将来のカメラに関しては、コメントを差し控える。
テスト中、α9 IIIのISO性能が最近のカメラほど良くないことに気が付いた。その理由を説明してもらえるか?
- 一般的な仕様を念頭に置いて、イメージセンサーの特性を設計し、それに応じて画質を最適化した。
- スポーツ撮影のような高速シャッターが必要な分野、特に中高感度では、グローバルシャッターを搭載していない前モデルのα9 IIと同等のノイズ性能を発揮する。
- さらに、静止画撮影では、最大32枚のRAW画像を重ね合わせることができる「コンポジットRAW」機能を新たに搭載し、デジタルノイズを抑えた撮影が可能。
- グローバルシャッターセンサーの採用により、歪みのない撮影が可能となり、さまざまな撮影シーンで映像表現の新たな可能性を追求できる。
- 最大120コマ/秒の連写速度を必要とするスポーツ撮影や、高速フラッシュシンクロを使用する商業写真やウェディング写真など、過酷なシチュエーションにも対応し、フォトグラファーのクリエイティブな可能性を広げるものだ。
α9 IIIはビデオグラファーにとって魅力的な製品か?
- 実際、α9 IIIを映像で使いたい、グローバルシャッターならではの映像を作りたいという要望を聞いている。
- 将来的には映像のさまざまな分野で使われることを期待している。
α9 IIIのBIONZ XRプロセッサは他の機種と同じか?
- プロセッサーの詳細はお伝えできないが、処理能力は前世代のBionZ Xより数倍高速だ。
- 新しいグローバルシャッターイメージセンサーの性能を発揮できる超高速再生が可能である。
- また、120コマ/秒のブラックアウトフリー連写も可能。感度や画質の性能も向上している。
ニコンはZ 9にデュアルストリーム技術を採用し、バースト撮影時のブラックアウトを回避している。ソニーは同等の技術を使っているのか?
- 他社製品の技術については言及を控える。
- 7年前の2017年に発売されたソニーα9には、すでにブラックアウトフリー撮影技術が搭載されていた。
- この技術はデジタル一眼レフカメラでは実現不可能で、トッププロのソニー製品への移行を促すきっかけとなった。
- ファインダー内のシームレスな撮影を実現するために必要な技術は極めて高度なものであり、それについて詳しくコメントすることはできない。
最近、読者から「ソニーのカメラは(静止画も)撮れるビデオカメラのようになっている」という指摘がある。
- 近年、ソニーは新たな需要に応えるため、動画性能の向上に注力してきた。
- しかし、写真性能の開発は止まっているわけではなく、逆に加速している。
- その結果、写真の分野に革新をもたらしたのがα9 IIIだ。
- また、α1は国際的なスポーツイベントで撮影するために、世界中のトップ・プロ写真家に使用されている。
ここ数年、市場に出回っているほとんどすべてのカメラが優れた画質を提供している。このパラダイムの中で、ソニーはどのように際立っているのか?
- ソニーは常に最高の画質を提供するよう努力しており、それはお客様から高く評価されている。
- しかし、画質の向上に対する要求は日々高まっている。
- ソニーは、自社開発のイメージセンサーや画像処理エンジンを進化させることで、こうした要求に応えていきたいと考えている。
Eマウントは依然としてミラーレス用として最も発展したマウントである。2024年の主な戦略の方向性は?
- ミラーレスカメラ市場は引き続き成長し、2024年にはソニーが世界のフルサイズハイブリッドカメラ市場でシェア、台数、金額ともにナンバーワンの地位を獲得すると予想している。
- ソニーは、2010 年に初めて E マウントカメラを発売して以来、カメラとレンズの品揃えを継続的に強化することで、ミラーレス市場で確固たる地位を築いてきた。
- フルサイズの分野では、お客様の声に耳を傾け、お客様の期待を超えるよう努力しながら、常に他社に先駆けたユニークで付加価値の高い製品を発表してきた。
- これにより、アマチュアからプロフェッショナルまで、幅広いお客様にご満足いただける製品ラインアップを実現。
- さらに、ソニーのEマウントの利点は、αミラーレスからCineAlta VENICEカメラを含むシネマシリーズまで、静止画と動画の両方でフルサイズとAPS-Cをカバーする単一レンズマウントであることだ。
- ソニーは、これからも幅広い製品で、さまざまなクリエイティブ活動をサポートしていく。
昨年、ソニーはCreators' Cloudを発表した。1年経った今、このプラットフォームの成果は?
- 先日、Creators' Cloudにクラウドアップロード機能が追加された。
- 2024年3月以降、α1、α9 III、α7 S III、α7 IVもこの機能に対応する。
- 今後も、Creators' Cloudをより使いやすく機能改善し、クリエイターのワークフローをより充実させるサービスとして提供してく。
ソニーは24-50mm F2.8 Gを発表した。20-70mm F4に続き、標準ズームのカバーエリアが複雑になっている。
- この新しいレンズは、24mmから50mmまでの焦点距離をカバーし、日常的なショットやポートレート、動画などを、高画質でありながら小さなカメラバッグにもすっぽり収まるサイズで撮影することができる。
- より広い焦点距離をカバーするF4レンズと、限られた焦点距離で明るさを提供するF2.8レンズの両方を提供することで、多くのユーザーのニーズに応えることができる。
α7R Vをはじめとするソニーの最新ボディでは、AIの開発が大きなトレンドの1つになっている。これについて詳しく。また、今後どの程度発展していくのか?
- AIは被写体認識だけでなく、シーンの分析やオートホワイトバランスの精度向上にも注力していく。
- さらに、AIはカメラだけでなく、クリエイターのクラウドサービスにもクラウドAIという形で実装されている。
- シーンごとに音を分けたり、音声を音声、環境音、風切り音に分類して明瞭化したり、カメラだけでなくクラウドでもAIを活用したりと、すでにさまざまな活用方法がある。
とのこと。
将来の新製品に関する情報や示唆はありませんが、新発売のα9 IIIや24-50mm F2.8 Gなどに触れているようです。ミラーレスカメラとしては画期的なグローバルシャッターを搭載したα9 IIIは、画質と高速性の両立に苦労したようです。それでも高ISO感度は他の機種と比べてやや劣るという意見もありますが、ソニーは中高感度ではα9 IIと同等の性能を発揮すると明言している模様。
α9 IIIの高速性能を実現した一つの要素であるBIONZ XRプロセッサについて、α7R Vやα1などと同等なのかどうかは明言していません。また、グローバルシャッター搭載モデルの拡充についても言及はありません。
「ソニーのカメラは(静止画も)撮れるビデオカメラのようになっている」と質問しているのに対し、ソニーは「写真の分野に革新をもたらしたのがα9 III」と回答。確かに高性能なスチルカメラに違いないと思いますが、この質問の趣旨は「遊び心のあるスチルカメラ」を指しているように思えます。
ソニーは高画質で高性能なカメラが多いですが、過去に利用できた「PlayMemories Camera Apps」は現行機種では非対応。現行機種の撮影機能として実装しているアプリもありますが、スタートレイルやストップモーション、各種フィルター、スカイHDRなど個性的な機能は利用できません。
そこまでニッチな機能は求めていないかもしれませんが、OM SYSTEMのカメラにあるような「ライブND」などをはじめとするコンピューショナル撮影、または富士フイルムのような「フィルムシミュレーション」「グレインエフェクト・ブルークロームエフェクト」のようなJPEG向けの画質調整機能、パナソニックの「手振れ補正アシスト」「AFポイントスコープ」など個性的な撮影補助機能が増えていくと良いなと。
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