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キヤノン 任意のLUTでカメラ出力の画像を得るための特許出願

2023年8月31日付けの気になる特許出願が公開。任意のLUTをカメラに適用した状態で画像を出力したり、RAWを記録しつつ好みの設定を記録したLUTを生成して事後の処理を簡単にする仕組みが考案されています。

概要

  • 【公開番号】P2023121533
  • 【公開日】2023-08-31
  • 【発明の名称】撮像装置及びその制御方法及びプログラム
  • 【出願日】2022-02-21
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】 ユーザの希望するルックアップテーブルを用いながらも、ユーザが望む適用度の画像を得る。
  • 【背景技術】
    【0002】
    画像の色やコントラストを補正する手段として一般的にルックアップテーブル(以下、LUT)が用いられている。撮像装置においても撮像装置に内蔵されているLUTを画像に適用することや、外部アプリケーションなどで作成したLUTを撮像装置に取り込んで画像に適用することができるものが多くなっている。
  • 【0003】
    また、シネマ風の画に変換するLUTや、特殊な効果を狙ったLUTなど、有償無償問わずWeb上などで提供されていことも多く、ユーザは好みのLUTを入手して画像に適用することができるようになっている。
  • 【0004】
    しかしながら、Web上などで提供されているLUTは、その作成者が良いと考えた画に変換するLUTであり、万人がその画を良いと感じるわけではない。人によっては効果を弱めて適用したいと考える場合がある。その際には、一旦そのLUTを適用せずに画を撮影してから、ポストプロダクションで撮影したままの画とその画にLUTを適用した画とを合成するような処理が必要となるため、大きな手間が発生する。
  • 【0007】
    上記従来例では、判定されたシーンによって補正テーブルが変化するが、補正の程度はカメラとして適切と認識しているレベルであり、それがユーザの好みに合致するとは限らない。ユーザの好みと異なっていたとしても、ユーザが好みに合わせて変えることもできない。そこで、LUTの適用度合いをユーザが調節した上で画像に適用するということが考えられる。しかし、RAW動画記録のように画像処理の施されない画像データを記録する場合は当然ながらLUTも適用されていない。そのため、撮影時に見ていた画像と同じ画像を後編集時に再現するためには、使用したLUTと適用度合いの情報を用いてPCなどで同様の処理を行う必要があり、手間が掛かってしまう。
  • 【0008】
    この課題を解決するため、例えば本発明の撮像装置は以下の構成を備える。すなわち、撮像手段を有し、所定の記憶媒体を接続可能な撮像装置であって、前記記憶媒体から、画像変換用の第1のルックアップテーブルを取得する取得手段と、該取得手段で取得した第1のルックアップテーブルの適用の度合いを設定する設定手段と、該設定手段で設定した適用の度合いに基づいて、前記第1のルックアップテーブルから、第2のルックアップテーブルを生成する生成手段とを有し、前記生成手段で生成された第2のルックアップテーブルを用いて、前記撮像手段で得た画像データを変換することを特徴とする。

とのこと。
Canon Logなどで撮影した画像(映像)をカラーグレーディングする際に使用するのがLUTですね。インターネット上には無料・有料で数多くのLUTが公開されており、好みのLUTでLog画像をグレーディングすることが出来ます。従来は基本的にパソコンでの処理が必要で手間のかかるものでした。最近はカメラにLUTを取り込み、撮影前に適用画像を確認したり、適用した画像・映像をそのまま出力できるカメラも増えてきています。ここ最近で言えば、パナソニックLUMIXシリーズの「リアルタイムLUT」やソニーFX・α・VLOGCAMの「PP LUT」などがありますね。

私は、この機能に対応したLUMIX S5IIを所有しており、シネマチックな色合い・トーンの静止画で撮影したい時に重宝しています。パナソニックLUMIXには元々豊富なプリセットがあるので困ることが少ないものの、キヤノンのプリセットはトーンが単調なので味気ないのですよね(3枠のみカスタマイズした設定を追加可能)。これにユーザーLUTを適用できるモードが加わることで、撮影の幅が広がりそう。キヤノンがこのような機能を採用するかどうか不明ですが、個人的には期待したいところ。

また、特許内ではRAWで記録しつつ、LUTを簡単に適用できるように撮影時の設定を第二のLUTとして生成できる機能を検討しているようです。最近はRAW動画に対応するカメラが増えてきているので、このような機能も必要となってきたのかもしれませんね。

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