DPReviewが「EOS R6 Mark III」の第一印象を公開。高解像化しつつもセンサー読み出し速度は高速であると評価。プロセッサは改良が加えられ、AFはR1やR5 IIと同等とのこと。ただし、アップスケーリングやアクション優先モードは使えない模様。
DPReview:Canon EOS R6 III review-in-progress
新型センサー
- 3300万画素 表面照射CMOSセンサーをEOSミラーレスで新採用。
- 最近登場したシネマ向けEOS C50にのみ搭載されていたもの。
- このセンサーについて特に技術的な飛躍を主張していない。
- 初期テストではEOS R6 IIに搭載された低解像度チップよりもさらに高速な読み出し速度を示している。
- 高速化された読み出し速度に加え、カードスロットとプロセッサーの変更(キヤノンによれば同世代だが改良が加えられている)により、動画撮影性能が大幅に向上。
- 手ぶれ補正システムも8EVから8.5EVへと若干強化されている。
更新されたポート
- デュアルUHS-II SDカードスロットのうち1つをCFexpress Type Bスロットに置き換えた。
- SDカードでもカメラのほとんどの機能は使えるが、RAW動画の記録には高速で容量が大きく高価なストレージが必要。
- マイクロHDMIポートはEOS R6 IIIでは廃止。代わりにフルサイズHDMIポートが採用されている。
連写性能の向上
- 前モデルと同等の連写速度を維持。
- 特殊な「RAW連写モード」がなくなり、代わりにH+ドライブモード時に有効化できる「プリ連続撮影」機能が追加された。主にCFexpressカードスロットと高速書き込み性能により実現。
- RAWバーストモードは全体的に使い勝手が悪かった。(プリ連写を歓迎している)
RAW、7K、オープンゲート動画
- キヤノン独自のCanon Cinema Rawフォーマットで最大7K/60のRAW動画内部記録が可能。
- さらに最大7K/30の「オープンゲート」動画撮影にも対応し、センサー全域を記録することで3:2の映像を生成。
- 録画モード選択メニューを刷新。EOS R6 IIでは解像度・フレームレート・圧縮設定の全組み合わせが提示され煩雑だったが、EOS R6 IIIではこれらを独立して選択できるようになった。
- 専用の赤色タリーランプが追加され、撮影中であることを撮影者も被写体も明確に認識できるようになった。
AFのアップグレード
- オートフォーカスシステムはEOS R6 IIとほぼ同様。
- 人物・動物・車両の被写体認識をサポートし、オートモードも備えている。
- ただし、これらのモードを支えるアルゴリズムはEOS R1やEOS R5 IIと同等のものに更新され、信頼性がさらに向上している。
- 「人物優先登録」機能も追加された。
- 「Digic X」プロセッサーが搭載されているが、キヤノンはチップに世代を超えた改良を加えたと説明している。
EOS R6 Mark III とは
- 愛好家向けフルサイズカメラ。
- ほぼどんな被写体でも優れた性能を発揮するよう設計されている。
- 数年前ならシネマカメラを買わなければ得られなかったような動画機能も搭載されている。
- 防塵防滴構造とデュアルカードスロットも備えている。
- EOS R5 IIのようなさらに上位の積層型センサー搭載機とは差がある。解像度の高さや、プロが求める機能などが一部欠けている。
- (R1やR5 IIで対応している)アップスケーリングやアクション優先モードは高価なコプロセッサが必要だが、今回のカメラでは予算的に採用できなかったという。
- RAWとJPEGで最大150秒間、40fpsの連写が可能。
(訳注:原文ママを訳。おそらく150「枚」の間違いだと思います。150秒×40コマの超連写は出来ません)- HDR出力にも対応しており、JPEGの代わりにPQトーンカーブを用いた10ビットHEIF静止画を生成できる。
- 動画撮影時にはPQまたはHLGのいずれかを使用してHDR動画素材を撮影できる。後者は再生面でのサポートがより広く、EOS R6 IIと比較して新たに追加された機能である。
- 内部RAW記録をサポートし、露出を正確に決められるフォルスカラーオーバーレイ機能を備える。
- 4K以上のオープンゲート撮影が可能で、ポストプロダクションでの柔軟性が大幅に向上。
競合機種
- 競争の激しい市場セグメントに投入される。
- 前モデルも依然として合理的な選択肢。
- 高速連写、トップクラスのオートフォーカス、驚異的な動画スペックを兼ね備えたNikon Z6IIIも競合する。
- a7 IVは依然として高性能なカメラだが、競合機種と比べるとやや時代遅れになりつつある。
ボディと操作性
- 実績ある設計思想に忠実であり、ボディはEOS R6 IIと非常に似ている(完全に同一ではない)。
- 重いレンズを装着しても手にしっかり収まる分厚いグリップを備える。
- カスタマイズ可能なボタンが複数(計9個)配置されており、静止画モードと動画モードで異なる機能を割り当てられる。
- 両モードの切り替えは、EVF左側の専用レバーで行う。
- オートフォーカス用ジョイスティックと周囲のボタンは、カメラを構えた時に親指が自然に置かれる位置に配置されている。
- また、EVFを覗いている時でも、触覚でどのボタンを押しているか判別しやすいようにグループ分けされている。
モニタとファインダー
- ファインダーと液晶画面はEOS R6 IIから変更されていない。
- 比較的明るい画面だが、非常に強い日光下では見づらい場合がある。
- ファインダーは大型で、最大120fpsのリフレッシュレートにより非常に応答性の高いプレビューを実現。ただしトップクラスの解像度ではなく、PQモードでの撮影時には完全なHDRプレビューを表示できない。
- OVFシミュレーションモードを搭載しており、露出の正確なプレビューを犠牲にしながらも、撮影時のダイナミックレンジをより把握できる。
- 電子ビューファインダー使用時、最高連写速度設定ではファインダーのブラックアウトは確認できない。
- 低速連写時や機械式シャッター使用時にはブラックアウトが発生する。
ポート
- このクラスのカメラに期待される接続性を全て備えている。
- 信頼性と耐久性に欠けるmicroHDMIポートから若干のアップグレード。
- カードスロットは2つ:CFexpress Type BスロットとUHS-II SDスロット。RAW動画を内部記録したい場合は、前者のスロットを使用する必要がある。
バッテリー
- LP-E6Pバッテリーを使用、ファインダー使用時で1充電あたり270枚、背面モニター使用時は510枚の撮影が可能。
- 省電力モードを有効にすると、それぞれ390枚と620枚に増加。
- LP-E6NHなどの古いバッテリーでも動作するが、すべての機能が利用できないことや、一部のアクセサリーが使えないことを警告する。特に重要なのは、カメラがネットワーク接続のサポートを失い、スマートフォンや他のデバイスへの接続を拒否することだ。
動画
- 最大30pでの7Kオープンゲート映像記録と、最大60pでのオーバーサンプリング4K映像記録に対応している。
- C-Log 2または3のレスポンスカーブでの記録も可能で、新たにカラーメニューを開くボタンがデフォルトで設定されたため、ログ記録と非ログ記録の切り替えが少し容易になった。
- DCIとUHD 4Kの両方に対応しているが、皮肉なことに真の24fpsモードはDCI録画時のみ利用可能。
- RAWモードには16:9モードがないが、最大30pのオープンゲート録画が可能で、そこからUHDクロップを取得できる。
- オートフォーカス機能は全録画モードで共通。
- 4K/120fpsや1080p/180fps録画時でも被写体認識機能付き連続AFが動作。
録画モード
- ファン冷却式のEOS C50とセンサーを共有。ただし、EOS R6 IIIにはHQ Rawモードがなく、Rawでのクロップモードもサポートしていない。
- SDカードスロットへのプロキシファイル記録は可能。
- 4KモードとフルHDモードは、最高フレームレートを除く全てのフレームレートで「ファイン」オーバーサンプリングモードが使用できる。
ローリングシャッター
- 全幅記録モードにおいて非常に優れたローリングシャッター速度を実現。
- テストしたほぼ全てのモードで優れた読み出し速度を達成(ただしRAWモードは映像をデコードできないため、まだ測定できていない)。
- オーバーサンプリングされた「ファイン」設定を使用すると、標準設定に比べて読み出し速度が約2倍になる。これは標準モードでは半分のラインをスキップしていることを示唆している。
- ファインモードでも十分な速さであり、ほぼあらゆる状況で使用可能。
- 唯一注意が必要なのは7Kのオープンゲート設定。17.9msは依然として高速だが、フレームを横長にトリミングすれば改善される。ただしフルフレーム表示で高速なパンや被写体を撮影すると、若干のアートファクトが発生する可能性がある。
ワークフロー
- 動画撮影、特に露出の正確な設定を容易にする様々なツールを搭載。
- 波形モニタリングと、フォルスカラーオーバーレイがある。
- 動画モードでのホワイトバランス設定が大幅に簡略化された。
- 録画中に水準器や拡大表示も使える。
- LUTをカメラにアップロードできるため、適用したい効果をプレビューできるが、結果を映像に焼き込むことはできない。
- メイン映像をCFexpressカードに記録しながら、低解像度のプロキシファイルをSDカードに出力できる。唯一の例外はオープンゲート撮影で、RAW撮影と同時にプロキシを記録できるが、メイン出力をMP4に設定している場合は不可。
- シャッターアングル機能はZ6IIIやS1IIなど、競合機種のほとんどが備えているが、R6 Mark IIIには欠けている。
第一印象
- キヤノンが少なくとも中期的にはラインナップに残すと表明しているEOS R6 IIは、今なお非常に競争力のあるカメラだ。EOS R6 Mark IIIのアップグレードにここまで力を入れる必要はなかったはずだ。しかし、キヤノンはそうしなかった。
- 低解像度のZ6IIIやS1II並みの驚異的な速度を3300万画素のEOS R6 Mark IIIで実現した。
- スローモーション好き向けの全幅4K 120p、そしてオープンゲート記録も追加した。
- はるかに高価なEOS R5 IIが備え、この機種が持たない機能は存在する。だがそれらはハードウェアコストがかかるものだと説明されているし、率直に言って、ほとんどのユーザーが欠如を感じることはないだろう。
- 動画撮影も必要とするユーザー向けとはいえ、依然として静止画撮影を主目的としているとキヤノンは述べている。
- デジタル一眼レフ時代、EOS 6Dは悪くないカメラだったが、上位機種と比べると明らかな妥協点があった。EOS R6 IIIでは、そうした妥協点を見つけるのがずっと難しくなっている。
2025年11月に登場したEOS R6シリーズの第三世代。
3300万画素の新型センサーに置き換えられ、DIGIC Xプロセッサにも改良が加えられています。CFexpressの搭載によってRAW動画収録や連続撮影枚数の強化を実現。高度な動画撮影に対応するため、放熱構造も強化されています。
販売価格はEOS R6 Mark IIより高くなってしまいましたが、動画撮影機能も重視する人にとって魅力的なアップグレードが施されています。静止画機能も強化されていますが、Mark IIとの価格差ぶんの価値を見出せるかどうか悩ましいところ。
DPReviewの評価では、売れ筋商品であるEOS R6 Mark IIをさらに強化したカメラとして高く評価。上位機種と見比べて妥協点の少ない高性能モデルに仕上がっているようです。3300万画素センサーの画質が気になるところですが、これは今後のテストでチェック予定とのこと。
- 発売日:2025年11月21日
- 予約開始日:2025年11月11日(火)AM10:00
- 希望小売価格:オープン
- 市場推定価格:
・ボディ:42万9,000円
・24-105 STMキット:47万8,500円
・24-105 USMキット:58万3,000円
| EOS R6 Mark III | |||
| 楽天市場 |
Amazon |
キタムラ |
|
主な仕様
| イメージセンサー | タイプ:DPCMOS 有効画素:3250万画素 |
| センサー除塵 | EOS intelligence Cleaning System |
| 手振れ補正 | 中央8.5段 周辺7.5段 |
| ISO | 100~64000 |
| ストレージ | CFexpress Type B SD UHS-II |
| AF | 検出方式:DPCMOS AF II 測距点:1053点 測距輝度範囲:EV-6.5~21 |
| 被写体検出 | 人(瞳・顔・頭部・身体) 動物(犬・猫・鳥・馬) スポーツカー(バイク・車) 飛行機 鉄道 登録人物優先 |
| シャッター | メカニカル:1/8000~30秒 電子先幕:1/8000~30秒 電子:1/16000~30秒 |
| フラッシュ同調速度 | ~1/200秒(メカ) ~1/250秒(電子先幕) |
| 連続撮影速度 | ~12コマ秒(メカ) ~40コマ秒(電子) |
| 連続撮影枚数 | 12fps RAW 約 400枚 (CFexpress) RAW 約110枚 (SD UHS-II) 40fps RAW 約150枚 (CFexpress) |
| ファインダー | サイズ:0.5型 OLED 解像度:369万ドット 倍率:0.76倍 |
| モニター | サイズ:3.0型 解像度:162万ドット 可動方式:バリアングル |
| 動画フレームレート | 12bit RAW 29.97p 7K 3:2 29.97p 4K 119.9 2K 179.8 |
| 動画サイズ | RAW/4K DCI/4K UCD/2K DCI/フルHD |
| 動画出力 | RAW XF-HEVC S YCC422 10bit XF-HEVC S YCC420 10bit XF-AVC S YCC422 10bit XF-AVC S YCC420 8bit |
| USB | USB 3.2 Gen2 UVC / UAC |
| マイク/ヘッドホン | マイク:3.5mm ヘッドホン:3.5mm |
| HDMI | A |
| Wi-Fi | 802.11b/g/n/a/ac |
| Bluetooth | 5.1 |
| その他 | カスタムピクチャー&カラーフィルター |
| バッテリー | タイプ:LP-E6P 撮影可能枚数: 620枚 LCD 390枚 EVF |
| サイズ | 138.4×98.4×88.4mm |
| 重量 | 本体のみ:609g バッテリー含:699g |
| 防塵防滴 | 対応 |
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