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LUMIX S9はS5IIと似たスペックだが背後にある設計思想は全く異なる

DPReviewがパナソニック「LUMIX S9」のファーストインプレッションを公開。LUMIX Labアプリとの連携が非常に重要となり、ソーシャルメディア向けのワークフローを効果的に改善するとのこと。S5IIとは背後にある設計思想は全く異なると言及。

DPReview:Panasonic S9 initial review

ソーシャルメディアに特化したワークフロー

  • 特にソーシャルメディアワークフローを念頭に置いて設計されている。
  • 編集スキルを必要とせず、カメラから直接、ユニークで特徴的な静止画・動画を生成するために必要なツールを提供することを意味する。
  • パナソニックはこれを、"30秒で撮影、編集、共有できる "と表現している。30秒は少し楽観的かもしれないが、このソーシャルメディアワークフローがカメラの機能とデザインの選択を支えていることを理解することが重要だ。
  • 要するに、コンピュータやサードパーティ製ソフトウェアに頼ることなく、どこにいても素早く簡単に実行できる。
  • 熱心なフォトグラファーのワークフローをサポートすることはできるが、S5IIのように最適化されているわけではない。ファインダー、セカンドコマンドダイヤル、AFモードやエリアなどの機能の直接操作など、熱心なフォトグラファーが重視するであろう機能が欠けている。

リアルタイム」LUTの使用が拡大

  • ワークフローの中核となる機能は、S5IIで初めて導入された「リアルタイム」LUTシステムだ。その名の通り、撮影した写真や動画にルックアップテーブル(LUT)を適用することで、カスタムルックを実現するものだ。
  • パナソニックは、このLUTベースのワークフローによって、編集ステップを完全に省略できることを約束している。
  • LUTはS9のアイデンティティに不可欠な要素であるため、カメラ背面のAF-Onボタンの隣に専用のLUTボタンが用意されている。
  • LUTボタンを押すと、カメラにロードされているすべてのLUTを素早く循環させ、使用したいルックを選択できる。
  • 専用LUTボタンに加え、このカメラはいくつかの点でS5IIのシステムを改良している。
  • 最大39個のLUT(S5IIは10個)をメモリーに保存することができ、LUTはカメラのどのフォトスタイルにも適用できるようになった。
  • LUTの不透明度を10~100%の範囲でコントロールできるようになり、「マイフォトスタイル」を作成することで一度に2つのLUTを適用することも可能。
  • 新しいLUTは、スマートフォンアプリを使って素早く簡単にカメラに追加できるが、必要に応じてSDカードから.cubeまたは.vlt形式のLUTを追加することも可能。

LumixLabアプリ

  • パナソニックは「LUMIX Lab」と呼ばれる新しいスマートフォンアプリを発表した。ソーシャルメディアワークフローをサポートすることを目的としている。
  • オプションツールとしての役割を果たすほとんどのカメラ用スマートフォンアプリとは異なり、S9のユーザーエクスペリエンスの基本であり、リアルタイムLUTの使用というカメラの主要機能がそれに依存しているほどだ。
  • 写真にLUTを適用したり、カメラにインストールされているLUTを管理したりすることができる。
  • 真の強みは、素早く簡単に独自のカスタムルックを作成し、そのルックに基づいてカスタムLUTを生成できることだ。
  • このアプリには、露出、カラー、HSL、トーンカーブ、スプリットトーニング、シャープネス、ノイズリダクション、シャープネス、さらにはフィルムグレインのシミュレーションなど、さまざまな編集ツールが含まれている。
  • 画像やビデオクリップを編集して、将来再現したいルックができたら、編集に基づいたカスタムLUTを即座に保存し、カメラ内の39枠のメモリーにアップロードすることができる。
  • アプリにはパナソニックが作成したLUTや他のソーシャルメディアコンテンツクリエイターが共有したLUTなど、すぐに使えるLUTのライブラリも含まれている。
  • カメラを遠隔操作する機能など、既存の「Image App」のすべての機能を再現しているわけではない。パナソニックによると、この2つのアプリはしばらくの間共存するが、最終的には統合する予定だという。
  • LumixLabは5月29日にApple App StoreとGoogle Play Storeからダウンロードできるようになる。

4Kオープンゲート録画とMP4(Lite)コーデック

  • デフォルトの動画モードは、6Kサンプリングの4Kオープンゲートで、ほとんどのカメラのように16:9の領域ではなく、カメラのセンサーの全領域を使用する。
  • これにより、同じマスタークリップから水平方向と垂直方向の動画を生成するのが容易になる。
  • ファイルサイズが小さくなるため、フル解像度の6Kオープンゲートビデオよりも素早くスマートフォンに転送できる。
  • 興味深いことに、このデフォルトモードは25pと30pの記録には対応しているが、24pには対応していない。
  • このデフォルトの動画モードは、パナソニックが「MP4(Lite)」と呼ぶ新しいコーデックを使用しており、50Mbpsで記録される。我々が近年慣れ親しんできた高いビットレートと比べると低く見えるかもしれないが、カメラとスマートフォン間の転送を大幅に高速化し、ストリーミング用に動画を大幅に圧縮するほとんどのソーシャルメディアには十分だろう。
  • デフォルトの動画モードは、カメラのQメニューに他の動画設定とは別に独自のスロットまで用意されている。
  • パナソニックの他のほとんどの動画設定(6Kオープンゲートビデオまで)にアクセスできるが、使用するにはデフォルトビデオモードから切り替える必要がある。
  • 同様に、波形モニター、シャッターアングル、ゼブラ、ログビューアシスト、レコードフレームインジケーターなど、パナソニックの優れたビデオ機能にもアクセスできる。
  • ただし、このカメラには15分の録画制限がある。

比較のポイント

  • まだスマホでの撮影をメインにしているクリエイターに正面から売り込んでいる。
  • S9で彼らを取り込むには、スマホとほぼ同等の持ち運びや撮影の利便性を実現しつつ、より高画質な画像を生み出すという2つの条件をクリアする必要がある。
  • カメラのコンパクトなサイズと刷新されたアプリは、それを便利にするための遊びであり、その一方で、そのフルサイズセンサーは、スマートフォンと比べて際立つのに十分な静止画と動画の品質を提供するはずだ。
  • もちろん、専用カメラへのステップアップを目指すクリエイターにとっての選択肢はS9だけではない。ソニー ZV-E1はクリエイターのニーズに応えることに注力した直接のライバルだ。
  • また、DC-S5IIも同様のハードウェアに支えられた、よりフォトグラファーに優しいモデルである。
  • シグマfpはやや畑違いの比較だが、ファインダーがないこと、電子シャッターに頼っていること、同じセンサーを使っていることなどから、興味深い比較対象だ。
  • その価格とサイズからすると、S9はかなり見事なスペックだ。ソニーの手ぶれ補正とオートフォーカスも競争力がある。
  • S9が得意とするのは、ルックを簡単に見つけたり作ったりすることで、ZV-E1は自分自身を簡単に撮影できるようにチューニングされている。
  • ZV-E1はセンサーの解像度が低いため、写真撮影に関しては不利である。独自のカスタムLUT機能を搭載しているものの、主に動画にフォーカスしている。希望小売価格もS9よりかなり高い。
  • S5II、2つ目のSDカードスロットと、EVFが搭載されている。壊れやすいマイクロHDMIではなく、フルサイズのHDMIポートを搭載。専用のヘッドフォン・ソケットを備えているため、動画用としてもより優れた装備となっている。
  • しかしS5IIの追加機能には、文字通りの代償が伴う。重量はS9より50%以上重く、希望小売価格はS9より500ドル高い。
  • とはいえ、S9・S5IIはどちらも外出の多いコンテンツクリエイターにとっては、破格の値段だ。

ボディとハンドリング

  • 昔のレンジファインダーフィルムカメラを彷彿とさせる非常に洗練されたデザインだ。
  • 4色から選べるレザーレット製カバーが装着されている。パナソニックはカラーリングに手を抜いていないのが素晴らしい。
  • パナソニックの上位機種とは異なり、S9には前面にボタンがない。
  • フルサイズセンサーを搭載する割には比較的コンパクト。フォーサーズセンサー搭載のG9IIよりも小さく軽い。
  • しかし、エルゴノミクス的な余裕のなさによって、片手での撮影を自信を持って行うのは難しいと感じた。
  • 表面の仕上げは比較的滑らかで、フロントグリップはない。
  • カメラの上部には、モードダイヤルと、シャッターボタンの周りにあるカスタム可能なコマンドダイヤルや赤いボタンがある。
  • コールドシューマウントを搭載している。
  • カメラの背面にはバリアングルモニタがあるがEVFは見当たらない。
  • 3.0型184万ドットのモニターはタッチ操作の反応がよく、鮮明でクリア。
  • モニター上には、LUTボタンとAFオンボタンがあり、どちらもカスタム可能。
  • コントロールホイールはかなり敏感で誤操作がある。

バッテリー

  • S5II、G9II、GH5IIと同じ、DMW-BLK22バッテリーを使用している。
  • 1回の充電で約470枚の撮影が可能とされているが、いつものように、この数値は実際の使用時に得られる数値よりもかなり低い。
  • このサイズのカメラとしてはかなり良い結果だ
  • 電源アダプターやバッテリーチャージャーは付属していないが、USB-Cポートでの充電に対応。
  • パナソニックによると、供給電源とUSBケーブルが9V 3Aの出力に対応していれば、充電し続けることができるはずだという。

最初の印象

  • これまでのLUMIX Sシリーズとは、物理的なデザインに加え、背後にある設計思想全体においても大きく異なっている。
  • 1週間使ってみて、このカメラが何であるかだけでなく、何でないかもよく理解できた気がする。これは大きな違いだ。
  • S5IIのコンパクト版と見たくなる。スタイリッシュなカメラで、両モデルを支えるテクノロジーは基本的に同じだ。しかし、レンジファインダー風のスタイリングや少しレトロな外観に惑わされてはいけない。
  • S9はS5IIとは全く異なるカメラであり、異なる優先順位を持つ人々のために設計されている。
  • もしあなたが専用のカメラで写真を学んだのであれば、おそらくS9はあなたのために設計されたものではない可能性が高い。そうであってほしいと思うかもしれないが、おそらくそうではないだろう。
  • 一方、スマートフォンで写真を学んだのであれば、このカメラがあなたのために作られた可能性は十分にある。
  • パナソニックは、動画と同じように写真にも使ってもらえることを期待しているという。しかし、伝統的な写真撮影体験を求めるなら、このカメラのデザインに不満を感じるだろう。
  • EVFがないのは、純粋な写真家にとっては寂しいことだろうし、明るい屋外で液晶を使うのは本当に難しい。
  • また、セカンドコマンドダイヤルがなく、カスタムボタンも少ないため、設定を変更するためにメニューに飛び込むことになる。
  • メカニカルシャッターがないため、フラッシュを使用する能力が制限され、ローリングシャッターのアーチファクトが発生する可能性がある。
  • 魅力的なカメラだが、スチルカメラのように長時間持ち歩くのは疲れる。大阪で行われた発表会では、パナソニックがSmallRIg社製のアクセサリーグリップを報道陣に配布した。
  • ソーシャルメディアクリエーターのツールとしては話が違う。パナソニックを含め、ソーシャルメディアユーザーのために作られたと謳うカメラはたくさん見てきたが、それらのカメラがコンテンツクリエイターのワークフローにどのような付加価値を与えているのか、まったくわからないことが多い。
  • S9のアプローチを高く評価するのは、単にバリアングルモニタを搭載した新しいカメラを作ってソーシャルメディア向けと主張しなかったことだ。ワークフローの問題を理解し、良い試みを実施している。

価格は1499ドルで、S5IIより500ドルほど安い。スペックは非常によく似ているが、解決しようとしている問題は全く異なる。もしあなたが伝統的なカメラ体験とワークフローを求める純粋なフォトグラファーなら、S5IIがあなたをカバーしてくれるだろう。しかし、ソーシャルメディア用の効率的なワークフローを優先し、ポストプロダクションをできるだけ少なくしたいタイプの人には、S9が適しているかもしれない。

LUMIX S5IIと同じセンサー・プロセッサ・手振れ補正・バッテリーを、小型軽量なボディに詰め込んだ個性的なカメラですね。バッファや動画の連続撮影時間は短いものの、LUMIX S5IIとよく似た撮影機能を備えています。ファインダーが無く、ポート類が少なく、コントロールは大幅に低下する点には注意が必要となる模様。ただし、LUMIX Labとの連携や39枠のLUT保存枠など強みとなる部分があります。

DPReviewのファーストインプレッションによると、LUMIX S5IIとはスペックが似ているものの、設計思想が全く異なるようです。また、強みを活かすためにはLUMIX Labとの連携が重要となるため、撮影スタイルも特殊なものとなりそう。本格的な動画撮影向けの大型で物理操作の多いカメラが多かっただけに、異色のLUMIX Sカメラですね。50Mbpsの4K動画は日々の記録動画にも使いやすそう。将来的に同じようなスタイルのマイクロフォーサーズカメラも登場するのか気になるところ。

パナソニック LUMIX S9 最新情報まとめ

主な仕様

  • イメージセンサー
    ・タイプ:裏面照射型
    ・有効画素数:2420万画素
    ・除塵ユニット:センサーシフト式
    ・手振れ補正:ボディ 5段 / Dual.IS 2 6.5段
    ・ISO:100-51200
    ・デュアルネイティブISO
  • シンクロスキャン(静止画)
  • プロセッサ:ヴィーナスエンジン
  • ハイレゾモード(手持ち対応)
  • アスペクト比:4:3 / 3:2 / 16:9 / 1:1 / 65:24 / 2:1
  • ライカモノクローム
  • LUT 最大39登録可能
    不透明度 10~100%で調整可能
    2つのLUTを適用可能
    スマートフォンアプリで簡単に追加可能
  • SD UHS-II カードスロット:×1
  • AFシステム:
    ・像面位相差 / コントラスト 検出
    ・測距点:779点
    ・測距輝度範囲:-6~18EV
    ・被写体認識:人物・動物・車・バイク
  • ドライブ性能:
    ・メカニカルシャッター:-
    ・電子シャッター:1/8000 - 60秒
    ・連続撮影速度:電子 最大30コマ秒
    ・連続撮影枚数:H RAW 55枚以上 / SH RAW 36枚
    ・フラッシュ同調速度:-
  • ファインダー:-
  • モニター:フリーアングルモニタ 3.0型 184万ドット
  • 動画:
    ・6K:29.97p 200Mbps 4:2:0 10-bit LongGOP
    ・全幅 4K:29.97p 150Mbps 4:2:2 10-bit LongGOP
    ・S35 4K:59.94p 200Mbps 4:2:2 10-bit LongGOP
    ・FHD:119.88p 150Mbps 4:2:2 10-bit LongGOP
    ・出力:
    ・電子IS:対応
    ・連続撮影時間:
    ・4Kオープンゲート
    ・リアルタイムLUT
    ・MP4(Lite): H.265/HEVC
    ・アクティブIS
  • 動画連続撮影
    ・[6K][5.9K]10分
    ・[C4K][4K][3.8K][3.3K]15分
    ・ [FHD] 20分
  • インターフェース:
    ・USB:USB-C 10Gbps
    ・ヘッドホン:-
    ・マイク:3.5mm
    ・HDMI:D
    ・Wi-Fi:2.4GHz / 5GHz
    ・Bluetooth:Ver 5.0
    ・シンクロ:なし
    ・その他:-
    ・コールドシュー
  • バッテリー
    ・タイプ:2200mAhバッテリー
    ・撮影可能枚数:470枚 静止画
    ・充電方法:USB 給電・充電
  • サイズ:126×73.9×46.7mm
  • 重量:403g(ボディのみ)
  • 重量:486g(バッテリー・カード含む)

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