このページではiPhone/iPadに向けモニタリングアダプター「Accsoon SeeMo」のレビューを掲載しています。
商品レビューについて
今回はPERGEARより無償提供のAccsoon SeeMoを使用。ブログでカメラ使用中の動画や静止画を記録する機会が多く、以前から気になっていた製品だったのでレビューを引き受けました。今回のレビューにあたり、内容や評価の指示が一切なかったことを明言しておきます。
(もしも指示があればレビューを断っています)
Accsoon SeeMoとは
Accsoon SeeMo モニタリングアダプター は、iPhone や iPad をモニターとして使用できる小型のデバイスです。モニターとして利用できるだけでなく、FullHDの動画として記録することが可能。似たような製品は存在するものの、Android用が多く、Apple製品で使用できる最初の(手ごろな価格の)製品と言えるでしょう。ケーブル経由でiPhoneに接続し、HDMIでカメラと接続することで映像をiPhoneに伝達します。
主な仕様
- ビデオ入力フォーマット:1080p 60/59.94/50/30/29.97/25/24/23.98fps;720p
- 60/59.94/50fps
- ビデオ入力ポート:HDMI-A
- ビデオ出力フォーマット:1080p 60/50/30/25/24fps;720p 60/50fps
- ビデオ出力ポート:USB-C
- 調節可能な幅:65mm?90mm
- 画面サイズの互換性:5.5?6.7インチ
- バッテリーの互換性:NP-F550/F750/F970
- 充電ポート:USB-C 5V/1A 出力
- iOS バージョン:iOS12.0以上
- 消費電力:2.0ワット
- 動作環境温度:-10℃?40℃
- 寸法:50mm×39mm×80mm
- 重さ:75g
箱と同根品
一見すると、昔のiPhoneのようなデザインの箱に見えます。Android用はどちらかと言えば黒を基調としたデザインでしたが、Apple製品では白を基調としたデザインとなる模様。
箱を開けると緩衝材に包まれた状態で本体と各種アクセサリが入っています。
本体のほかにシューアダプター、六角レンチ、USB/ライトニングケーブルが付属します。NPタイプのバッテリーは付属しないので、別途用意しておく必要があります。
外観
外装の大部分はプラスチック製で、わずか75gと非常に軽量です。ただし、バッテリーを装着した場合は重量が増えることを念頭に置いておく必要があります。プラスチック製なので、三脚から床に落とすことは絶対に避けたいところ。
スマートフォン用マウントブラケットは本体から取り外すことが可能。さらに小型化することが可能ですが、ネジ穴があるのはマウントブラケット側なので、本体をカメラに固定することができなくなります。将来的に、本体に装着できる別のアクセサリが登場すると期待。
マウントブラケット側の底面には三脚ネジ穴があります。この部分のみ金属製で強度が確保されています。ただし、ネジ穴の奥はプラスチック製のスマートフォンマウントとつながっているので、長めのネジを無理に差し込むと破損する可能性あり。
ブラケット上部にはコールドシューマウントがあります。小型ビデオライトやマイクを装着可能。プラスチック製のため、あまり重いマイクやライトを載せる気にはなりません。
今回はVILTROX製のバッテリー単体で充電できるNPタイプのバッテリーを用意。ソケット周辺もすべてプラスチック製のため、長期的に使用した際に不具合が生じるかどうか、継続的に見ていきたいと思います。内蔵バッテリーやUSB-C給電に対応しているとなお良かったです。
スマートフォンを固定するメカニズムはしっかりとしています。アダプターは65mmから90mm まで調整可能で、5.5 ? 6.7 インチの画面を備えた iPhone に対応。Accsoon エンブレムを押すと、ロック機構が解除されます。例えば分厚い防水・耐衝撃ケースのまま装着しようとすると、ホルダーの可動範囲を微妙に超える可能性あり。当然ながらiPadには対応していません。
iPhone 13 Proを装着。SeeMo本体、バッテリー、スマートフォンの組み合わせで、安価な5インチモニターよりも少し軽め。残念ながら、Lightningケーブルで充電できないので、モニターとして使う場合はバッテリーの消耗が早い。特にバッテリーの状態があまり良くない古いスマートフォンを使うときには問題となる可能性があります。iPad で使用する場合、まだ発表されていないバージョンの Accsoons iPad ケージを購入する必要があり。
専用のコールドシューアダプターが付属。上下のチルトに対応していますが、六角ネジで固定されているので動かすためには六角レンチが必要です。レバーなどで解除と固定が簡単に操作できるとよかったです。逆に言えば誤操作でチルト構造が急に倒れる可能性はほぼゼロ。
アダプター経由でα7 IVに搭載。小型の外部モニターと同程度のサイズ・重量感で、全てを装着すると奥行きがそれなりにあります。と言っても手持ち撮影でも苦にならない程度の重量感なので特に問題はありません。通常のフィールドモニターと比べてライトニングケーブルが余計に必要となるため、屋外で使用する際は忘れないように注意。(私は2回ほど忘れて取りに戻りました)
接続性と画質
iOS用アプリ「Accsoon See」をインストールして起動すると表示されるのが上の画面。ここでは設定を変更したり、ファームウェアを更新したり、チュートリアルや操作マニュアルへのリンクがあります。カメラとSeeMo、そしてiOS製品との接続完了後にSeeMoの電源を投入した段階で「Monitor」ボタンから外部モニターモードへ移行することができます。特に何かを設定する必要はありません。
外部モニターモードへの切り替えで遅延はほとんどなく、撮影時のラグは目立たない。モニターを見ながらフォーカシングも可能と思われます。残念ながら出力はFullHD 60pまでで、4Kや8Kの収録には対応していません。そして8bitで30MBit/sまで。間違いなくプロ用レコーダー/モニターに取って代わるものではありませんが、カメラで撮った動画をすぐにスマートフォンで編集したり、誰かに送ったりする必要がある場合には、便利なツールとなるでしょう。現時点では少し特殊な用途での使用が主となりそう。
機能性
モニターモードでは、外部モニターとして利用できるのみならず、豊富な補助機能を利用することができます。レイアウトは適切でアクセスしやすいものの、機能は全てアイコンで表示されているほか、右下の設定マークからメニュー画面を呼び出すことも可能。使用可能な機能には、フォルス カラー、ヒストグラム、ピーキング、録音レベル、波形モニタ、フレーム ガイド、アナモルフィックデスクイードなどがあります。ピーキングは色や強度を変更でき、波形モニタは位置や透過率の設定が可能。スクリーンショットとして静止画の保存にも対応しています。
ナビゲーションはシンプルでわかりやすいものの、ツールバーを横にスワイプすると、誤ってホーム画面に行ってしまったり、アプリ間をスワイプしてしまったりすることがあります。簡単な解決策として、下部のツールバーを上部に移動させること。将来的にファームウェアアップデートで改善して欲しいところ。
参考:使用例
まとめ
ポイント
長所
- 手持ちのスマートフォンを外部モニター化できる
- iPadを大型モニタとして利用可能
- iPhoneらしい綺麗で見栄えの良いモニタ
- 遅延の少ないモニター出力
- 豊富で使いやすい機能群
- それぞれのパーツがコンパクト
短所
- ライトニングケーブルが必要
- FullHD 60pまで
- メモリーカード出力ができない
- iPhoneのバッテリーを消耗する
- iPad用ホルダーがない(将来的に登場する可能性あり)
「動画撮影用の外部モニターが欲しい」人ならば、普通の外部モニター/レコーダーを探したほうが良いでしょう。モニター機能だけであれば、同価格かより安くフィールドモニターを購入することができます。レコーダーが必要な場合、そもそも上限がFullHD 60p 8bitのSeeMoで収録したいとは思わないでしょう。プロキシ動画などを収録できれば面白かったのかもしれませんが、今のところそのような機能はありません。
「iPhone/iPad」は必然的に内蔵ストレージへの収録となる点にも注意が必要です。メモリーカードへの出力ができないため、収録後に何らかの原因でiPhoneが故障すると動画データをすぐにサルベージできなくなります。また、収録中・モニター中はバッテリーの消耗が早くなるので、特に古くてバッテリーが劣化しているiOS製品では長時間の撮影に不向きとなる可能性あり。
それでも「モニタ/レコーダー」と「ネットワークへのアクセス」が可能なデバイスは選択肢が限られています。その中でも手ごろな価格で導入できるのがSeeMoになるのかなと。ソーシャルネットワークなどへ一眼らしい見栄えの動画を素早く投稿したい人にとって面白いアイテムとなるはず。遅延が少なく、豊富な機能にアクセスできる便利なツールとなっています。
デバイスをコンパクトに携帯できるのも強みの一つ。厚みのないiPadやiPhoneはポケットへ、コンパクトなSeeMoとケーブル類はポーチに収納可能。旅先や屋外での動画配信、収録からの投稿などで真価を発揮するはず。