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パナソニック LUMIX S9 レビュー Vol.2 ダイナミックレンジ編

パナソニック「LUMIX S9」のレビュー第二弾を公開。Adobe Camera RAWがS9に対応したため、さっそくRAWの柔軟性を確認。やはり静止画は12bit RAW固定と言うことで暗部の極端な増感は苦手のようです。

簡単なまとめ

あくまでも静止画におけるベースISOのダイナミックレンジピークが少し狭いという話。サンセット、フラッシュが使えない逆光などで撮影する機会が多く、RAWの柔軟性を確保したいのであればLUMIX S9は候補から外したほうが良いでしょう。同程度の価格でLUMIX S5IIを買うなり、競合他社のカメラを要検討。

It is just that the dynamic range peak of the base ISO in still images is a bit narrow. If you often shoot in sunset, backlighting where flash is not available, etc., and you want the flexibility of RAW, the LUMIX S9 should not be on your list of candidates. Buy the LUMIX S5II at a similar price or consider a competitor's camera.

LUMIX S9のレビュー一覧

12bit RAW

LUMIX S9の公式ウェブサイトや仕様書には記載がないものの、説明書の写真画質項目には「RAW画像の色深度は12bit」と明記されています。14bit RAWには非対応で、どのような設定でも静止画は12bit RAW出力となる模様。

LUMIX Sシリーズが一般的に14bit RAWであることを考慮すると(実際の見栄えにどれ程影響があるかに関わらず)諧調性の観点からマイナスポイントと言えるでしょう。

なぜ12bit RAWなのか?

S9

(あくまでも管理人の推測)

小型軽量化のため、LUMIX S9はメカニカルを廃した電子式シャッターのみのカメラ。必然的にCMOSセンサーのローリングシャッターが不可避となっています。(ローリングシャッターの説明は割愛)

特に14bit RAWは情報量が多く、センサーのローリングシャッターが遅く、撮影時に動体の歪みや人工灯のフリッカーなど影響を受けやすい。これを回避するにはローリングシャッター性能の高い積層型CMOSセンサーなどを導入するか、メカニカルシャッターを装備するしかありません。

回避手段のないLUMIX S9に14bit RAWを実装したら、よく分からないままローリングシャッターの影響が目立ち、悪評価が広がるのは予想できます。唯一の対策は12bit RAWまで情報量を低下させ、ローリングシャッターを少しでも高速化すること。実際、ローリングシャッターは同じセンサー・プロセッサを装備しているLUMIX S5IIの14bit RAWよりも高速。影響は比較的高速なAPS-Cセンサー程度には抑えられています。

このような理由でパナソニックはLUMIX S9の静止画を12bit RAWに固定したのではないかと予想。

静止画 12bit RAW を確認する

撮影環境

メーカーを問わず、これまでの経験から12bit RAWは14bit RAWと比べてダイナミックレンジが狭い。ここでは恒例のテスト環境でRAWの柔軟性(今回は暗部や明部の回復)を確認してみたいと思います。

  • LUMIX S9
  • SIGMA 70mm F2.8 DG HSM(他のカメラでも固定)
  • MC-21(他のカメラでも固定)
  • NANLITE Pavotuve 6C II(他のカメラでも固定)
  • CCTモード 100%(他のカメラでも固定)
  • ISO 100 F5.6 固定(他のカメラでも固定)
  • シャッタースピードの変化で適正露出と±5EVに調整して撮影
  • Adobe Camera RAWのLightroom Classicc CCにて現像
  • シャープネス・ノイズ補正・レンズ補正 オフ
  • 各撮影データは適正露出に増感・減感後に現像
  • 必要か所をクロップして比較

参考までにLUMIX S5II 14bit RAWのテスト結果を掲載。

シングルショット時のRAW

ハイライトはLUMIX S5IIと比べてほぼ変わりません。12bit RAWだからと言って白飛びに対して過剰に心配する必要はないでしょう。ただし、暗部の増感時はS5IIと比べてノイズが顕著に増加しています。この世代の2400万画素フルサイズCMOSセンサーモデルとしてはダイナミックレンジが狭め。マイクロフォーサーズのハイエンドモデルやAPS-C並みと言ったところ。

RAW現像で暗部の過剰な持ち上げをしなければ問題ない程度ですが、サンセットや逆光などでフラッシュを使えないようなシーンではRAW現像による大幅な増感が必要となります。このようなシーンはフルサイズカメラながら苦手な分野(GNDフィルターなどを使えば対応できるかもしれませんが)。

連写時のRAW

暗部増感時のノイズが僅かに増えているのが気になるところですが、14bit RAWから12bit RAWに切り替えた時の差ほど大きくはありません。ハイライトの白飛び閾値は同程度。

まとめ

あくまでも静止画におけるベースISOのダイナミックレンジピークが少し狭いという話。サンセット、フラッシュが使えない逆光などで撮影する機会が多く、RAWの柔軟性を確保したいのであればLUMIX S9は候補から外したほうが良いでしょう。同程度の価格でLUMIX S5IIを買うなり、競合他社のカメラを要検討。

リアルタイムLUTを使ったJPEG静止画や動画撮影がメインであれば、この問題とは無関係です。過剰に心配する必要はありません。むしろメカニカルシャッターレスによる小型軽量化などの恩恵が大きいと感じることでしょう。連写時と比べて画質のムラが少ないため、逆に使い勝手が良いと感じる人もいるかもしれません。

拡張ISO 50を使うことで光を取り込む量を増やし、暗部のノイズを低減することが出来ます。ただし、明部の白飛びが一段分早くなるため、ハイライトを犠牲にしている点には留意する必要があります。

参考情報

購入早見表

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作例

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