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OM SYSTEM OM-3 ファーストインプレッション

OM SYSTEM OM-3 のファーストインプレッションを公開。なんでも出来るけど、全ての点で最高とは言えない、守備範囲が広いものの器用貧乏さを感じるレトロスタイルモデル。

コンセプトの氾濫

ハイライトはE-P7以来となるカラー/モノクロプロファイルを実装、それを TruePic X 世代のカメラで実現している点で唯一無二の選択肢。JPEG出力における彩度やトーンの選択肢が広がり、OM-1 Mark II の単調なカラーモードと比べると一線を画す。

もちろん、癖が強いので撮影シーンによっては当たり外れがあります。しかし、それを含めて撮影を楽しめるのかなと。

それ以外の点は良くも悪くもOM-5とOM-1 Mark II、PEN-F を足して3で割ったよう。基本性能は高いし、堅牢ボディでなんでもできるけど、かなり中途半端な立ち位置。コンセプトが氾濫しているようなカメラ。

個人的に好みの外観であり、モチベーションを高めるカメラではあるものの、他人に薦めるのであれば「価格に見合うか、よく考えたほうが良い」となる。時間をかけてカメラに慣れてくると解決する問題もありますが、撮影で手数が多くなるのは否めないかなと。

The highlight is that it is the only option that implements color/monochrome profiles, which have not been seen since the E-P7, and achieves this with a TruePic X-generation camera. The options for saturation and tone in JPEG output are expanded, and it is a world apart from the monotonous color modes of the OM-1 Mark II.

Of course, it has a strong character, so the results will vary depending on the shooting situation. But I think you can enjoy taking photos with it, including its quirks.

Other than that, it's a camera that's like the OM-5, OM-1 Mark II, and PEN-F added together and divided by three. It can do everything, but it's in a rather half-baked position.

OM-3 のレビュー一覧

ファーストインプレッション

外観

ぱっと見は横幅が広くてグリップのないOM-5。
ただし、全体的なデザインがフィルム一眼の「OM-1」寄り。特に電源スイッチの意匠やダイヤルのカラーリングなど、意識して似せているように見えます。

もともとE-M / OM シリーズはフィルム一眼ライクな形状・デザインでしたが、OM-5やOM-1はスポーティな印象。比較してOM-3はやや懐古的と言ったところ。

PEN-Fほど個性的ではなく、これまでの延長線上にあるカメラデザイン。
また、フィルムカメラと似ているのは正面と上面のみ。背面はやはりOM-5。
(横幅が広いぶん、ボタン配置に余裕がありますが)

OM-5・OM-5と連呼しましたが、それでもグリップレスのデザインはE-M / OM ボディで初。

特に正面から見た目は新鮮であり、これまでで最もフィルム一眼のように見えるカメラと言って過言ではありません。

質感

上下と前面にマグネシウム合金を採用。特に上下プレートは金属感が強く、良好カメラ作り感じます。前面は人工皮革で、樹脂製のシボ加工と比べると適切な感触。

ただし、背面の広い範囲がプラスチックカバーで、特に指で操作する頻度が高いボタン周辺の質感が低め。無加工でつるつるの表面が良くないのかなと。

例えば、FUJIFILM X-M5のように、樹脂製でも良いので表面に何らかの加工を施してほしかったところ。(参考までにX-M5の該当部分の写真を掲載)

底面はPEN-Fと比べると目視できるネジが非常に多い。それでも金属製のしっかりとした作りに違いはありません。レトロデザインのカメラでも底面はプラスチックプレート、という競合他社も多い中で真面目な作り。

とは言え、プラ底面のカメラも金属製のカメラプレートなどを装着すると問題なし。OM-3は立派な作りですが、質感を重視するなら(前述したように)背面を意識してほしかったところ。

バッテリー

グリップレスのボディにOM-1と同等の大容量のバッテリーを搭載。
グリップレスのボディによくぞこのバッテリーを搭載したものだと驚きましたが、よく考えるとOM-1もバッテリーをOM-3ように差し込む形状となっています。
(つまりOM-1のグリップはバッテリーを収納する場所ではない。)

ストレージ

右側面にはシングルSDカードスロットを搭載。レトロスタイルカメラの多くが底面アクセスのカードスロットを搭載する中、側面アクセスは評価したいところ。

カードスロットは高速書き込みが可能なUHS-IIに対応。スロットのカバーはプラスチック製で、金属ボディと比較すると少し安っぽい。ただし、防塵防滴に対応。

インターフェース

カメラ左側面に、上から順位に3.5mmマイク、3.5mmヘッドホン、HDMI Type D、USB-C ポートを搭載。左側面に展開するバリアングルモニタと干渉しやすいので注意。

ポートカバーの形状が独特で、きちんとカバーを閉じてあるのかどうか分かりづらくなっています。また、出っ張っている部分に何かが引っ掛かることでカバーが外れてしまう可能性あり。IP53の耐候性を損なう可能性があります。

フラッシュは非搭載。
外付けフラッシュも同梱していません。

携帯性・グリップ

マイクロフォーサーズのカメラとして、コンパクトではありません。
特に横幅は「OM-1 Mark II」「LUMIX G9II」などのハイエンドモデルより広い。

ただし、グリップがないので奥行きが短く、全高も低め。レンズを外した状態であれば、カメラバッグへの収納性は非常に良好。

E-M / OM シリーズとしては珍しいグリップレスのカメラ。PENシリーズですら小さなグリップを搭載しているモデルが多く、完全なフラットデザインはPEN-F以来でしょうか。フラットながら、表面に人工皮革を張り付けることで滑りにくく、握りやすくなっています。

グリップレスのPEN-Fと比べると、表面積が広くて握りやすい。
また、クリエイティブダイヤルがちょうど指のかかる位置にあり、滑り止めとなっています。

背面には小さなサムレストあり。カメラをグリップするうえで役に立ちます。
ただし、片手でダイヤル操作ができるほど保持しやすいわけではありません。左手でカメラを支える必要があります。

操作性(デザイン)

基本的には従来通りの操作性・コントロールシステム。モードダイヤルを搭載し、前後のコマンドダイヤルで設定値の調整が可能。既存ユーザーならば、違和感なく乗り換えることができ、新規ユーザーでも操作に戸惑う点は少ないと思われます。

富士フイルムやニコンのレトロスタイルのように、シャッタースピードダイヤルやISOダイヤルは搭載していません。このデザインは賛否両論あると思いますが、OM SYSTEMはレトロスタイルを目指していたわけでは無いと言及しています。既存製品の延長線上にある製品を捉えて問題無さそう。
(そもそも、PEN-FですらSS/ISOダイヤルを搭載していません)

コマンドダイヤルの配置は他のOM / E-M シリーズとほぼ同じ。
シャッターボタン同軸のフロントダイヤル、上部プレートに配置されたリアダイヤルを操作可能。どちらも金属製のしっかりとした作りで、表面は滑り止め加工が痛々しいほどに尖っています。

コマンドダイヤルをはじめ、他のダイヤルも回転操作は重め。誤操作を防ぐためなのか、防塵防滴のシールが抵抗となっているのか、詳細は不明。

操作性(機能)

左肩には新設の「静止画・動画・S&Q」切替ダイヤルを搭載。撮影モードを素早く変更できるほか、動画撮影時にモードダイヤルでP/A/S/Mやカスタムモードの切り替えが可能。

これはOM-1シリーズにこそ必要な機能だと思われ、個人的にはカラー/モノクロプロファイルと連動するコントロールを搭載していると良かった。

モードダイヤルはカスタムモード5枠に対応する幅広い柔軟性を備え、前後ダイヤルで素早い設定値の変更が可能。他のダイヤルと同じく、表面が凶悪な尖り方をしています。

カスタムモードはそれぞれにカラー/モノクロプロファイルの設定値を記憶可能。逆に言うと、カスタムモードごとで共通するカラー/モノクロプロファイルを使いたい場合は同じ設定値でそれぞれのカスタム枠に登録しておく必要があります。

現状、カラー/モノクロプロファイル単独で設定値のコピーという機能が無いので厄介。

Fnレバーと同軸のボタンには新設の「CP」ボタンを配置。ボタンを押しながらダイヤル操作で使いたい機能を選択可能。ワンプッシュで選択した機能のオンオフができます。

便利そうな機能ですが、ライブGNDはボタンのワンプッシュで終了できません。ボタンを押しながらダイヤル操作で「OFF」まで戻す必要があります。「ライブGND」単体のボタンであれば長押し操作でオフできるので、単体での登録がおススメ。

煮詰まっていない操作方法は今後のファームウェアアップデートや新機種で改善してほしいところ。

右下のボタン群はOM-5とほぼ同じ。異なる点はAF-ONボタンが独立していることのみ。
広いスペースを活かしてOM-1のようなジョイスティックが欲しかったところ。

フォーカスエリアは初期設定で上下左右ボタンで直接操作可能。「エリアを中央に戻す」機能は”エリア移動モード時に”OKボタン長押しで利用可能。エリア移動モード以外でOKボタンを押すとスーパーコンパネが開きます。このあたりの操作は独特で、他社と比べて使い辛いと感じるところ。

やはりジョイスティックが欲しかった。

ぶれ補正

ボディ単体で中央6.5段分、シンクロ手振れ補正で中央7.5段分。OM-1 Mark II と比べると若干低めで、OM-5と同程度。細かい数値はともかく、効き目の高い手振れ補正に違いなし。

APS-Cやフルサイズの他社では限界となる1/2秒を超え、1秒や2秒でもある程度の成功率を期待できるのは流石。超広角であれば、さらに長い露光時間を狙うことも可能。

望遠域でも、ボディ側のみの手振れ補正で一定の効果あり。ただし、スローシャッターを狙うのであれば、シンクロ手振れ補正を利用できるレンズを選ぶのがおススメ。

ファインダー

スペック的にはOM-5と同程度の電子ファインダーを搭載。ファインダー像がOM-5やE-M5 IIIと異なるという話を耳にしますが、TruePic Xの恩恵なのか、そもそも光学系やパネルが異なるのか詳細は不明。

いずれにせよ、この価格帯のファインダーとしては倍率低め。「必要最低限」という印象です。
OM-1と同じ価格帯の製品としてはファインダーの仕様が物足りない。特にファインダーは撮影体験に直結する部分なので、せめて364万ドットのOLEDパネル、もしくは高いファインダー倍率であると良かった。

ちなみに、低照度下のS-AF時にノイズが若干増加しますが、C-AFでは問題ありませんでした。

モニター

162万ドットの液晶パネルを搭載した背面モニタ。OM-1 Mark IIと同程度で文句を言う筋合いはありません。

可動方式はバリアングルで、左側面に展開してからモニタの角度を調整可能。この方式のメリットは縦位置でもローアングルやハイアングルに対応できること。デメリットは素早く展開できないこと、横方向に展開するスペースが必要なこと。

メニュー

OM-1 / OM-1 Mark II と同じメニュー構成。カテゴリで色分けされているので見やすい。

撮影メニュー1には撮影に関する基本的な設定が集まっています(AFと動画を除く)。
このため設定項目が多く、8ページ構成で目当ての機能を探しにくい。以前はカスタマイズメニューに存在した項目の多くが撮影メニューに移動しているので、過去のOM-Dユーザーが目的の設定を見つけるまで時間がかかる可能性あり。

旧メニューのように、第二層のカテゴリを判断する色・文字の表示は全くないので、第三層の設定項目を見ながらページを行き来することになります。このあたりのデザインは旧メニューシステムのほうが良かった。ただし、メニューの構成は間違いなく改善しています。

撮影メニュー2には特殊な撮影機能がまとめられています。
ハイレゾショットやライブNDなどコンピューショナルな合成写真に加え、各種ブラケットやインターバル撮影機能。目新しい機能はありませんが、全体的に使い勝手が良くなり、合成処理も高速化しているのでお世話になる機会は多いはず。

マイメニューはE-M1Xからお馴染みの仕様。専用の登録画面から機能を登録する必要が無く、通常のメニュー画面でRECボタンを押すことで登録可能。非常に便利で、他社と比べても遥かに使いやすい。

フォーカス

OM-1 / OM-1 Mark II と同じ、オールクロスの像面位相差AFに対応した積層型イメージセンサーを搭載。測距点ごとの応答性や精度は非常に良好。もしも合焦に失敗しているとしたら、被写体検出のエリア判定やターゲットエリア領域内の前景に引っ張られている可能性が高い。

この「前景引っ張られ」はOM-1で大きな問題となり、OM-1 Mark II で一定の改善が見られました。OM-3もOM-1 Mark II と同じ傾向。瞳や顔、頭部を検出している間は、遮蔽物や前景があっても良く粘ります。

ただし、ターゲットエリア単体や「胴体」を検出している場合はエリア内の前景に引っ張られがち。これは他社も同じ傾向ですが、比較して瞳や頭部の検出が粘りにくい印象(被写体にもよると思いますが)。

連写性能

仕様通り、RAWで80/120枚くらいまで速度低下のない連続撮影が利用可能。
バッファが詰まり始めるとSD UHS-IIの書き込み速度がボトルネックになる。最終的にどの撮影速度でも同程度の撮影枚数。

と言っても、高速連写で10秒、20秒もシャッターを切り続ける機会はほとんど無いと思います。大部分の撮影では充分なバッファ。

プロキャプチャーモード利用時は最大で「70コマ」を瞬時に利用。無制限(プリ70枚+連写制限無)で利用すると、次のプロキャプチャー撮影まで書き込みによる待ち時間が発生する点に注意が必要。

高速連写が得意な他社機でよく見る「一連の連続撮影をグループ化」する機能がありません。このため、撮影に失敗したカットは1枚1枚を手動で削除する必要あり(RECボタンで選択削除は可能)。

OM-1やOM-1 Mark II から指摘している問題点の一つ。
高速連写を得意とする機種ですが、撮影後の管理に手間がかかるのはナンセンス。撮影体験を著しく損ねる原因となっています。

特にプロキャプチャーモードは最大で70枚の失敗カットが一度に生成されてしまうため、これを現地で削除するのは現実的ではありません。

OM-3はメモリーカードスロットが一つしかないため、ストレージの圧迫は致命的。可能ならば、ファームウェアアップデートでグループ化で一括削除できる機能を追加してほしいところ。

ローリングシャッター

積層型CMOSセンサー搭載モデルの中では読み出し速度が比較的遅め。フルサイズの積層型CMOS搭載モデル「Z 8」や「EOS R5 Mark II」よりも少し遅めで、歪みが発生しやすい。と言っても非積層型のOM-5と比べるとやや高速。

劇的な違いではないので、正直に言えばOM-5でも十分。これ以上の結果が必要な場合はメカニカルシャッターを利用する必要があります。

解像性能

パナソニックはLUMIX GH6 / G9IIで解像度を2520万画素まで引き上げていますが、OM SYSTEMは引き続き2000万画素。クアッドピクセルなので本来は8000万画素程度だと思いますが、あくまでもクロスセンサーAF用とのこと。必要十分ですが、トリミング・クロップ耐性はやや低め。

ただし静止した被写体に限り、ハイレゾショットで8000万画素の高解像データを生成可能。従来通り、手持ち撮影でも効果的で、特に人工物など固定された被写体と相性が良好。

カメラ出力のJPEGは初期設定でシャープネスがやや強めとなるため、好みに合わせてマイナス方向へ調整すると良いでしょう。

高感度ISO

RAWの高ISO感度ノイズはほぼ従来通り。ディテールは E-M1 Mark III までの2000万画素センサーよりも”若干”良好にみえます。

大幅に改善したと感じるのはJPEG。
初期設定はノイズリダクションが強くディテールが低下してしまうものの、「OFF・弱」設定でディテールを維持しつつノイズを効果的に抑制。体感で2段分くらいの改善があります。

撮影するシーンにもよると思いますが、個人的にはISO 5000-6400くらいまで実用的な画質と感じました。(ちなみに、上のクラゲの写真はISO 12800です。)

ダイナミックレンジ

OM-3を使い始めてから、ダイナミックレンジの広さを活かせるシーンに遭遇していないので無評価。とはいえ、OM-1系譜の積層型CMOSセンサーなので、驚くような改善や変化はないと思われます。

また、撮影シーンによっては「ライブGND」の機能により、ハイライトからシャドウまで幅広い情報を記録可能。

AWB・AE

AWB

従来機より引き続き安定感のあるAWBを利用可能。赤色が不安定な他社メーカーも存在しますが、オリンパス/OM は特に大きな変動もなく快適にAWBを利用可能。

屋内の照明環境でも「見たまま」を重視する場合は安定していると思います。ただ、「ちょっと味気ない」と感じる場合もあるので、その時は別のホワイトバランスに変更することがあります。

初期設定は「電球色残し On」となっていますが、効き目が出る時と出ない時があります。オフにすると青味が強くなりすぎる場合があるので、基本はオンで良いのかなと。気になる場合のみオフがおすすめ。

AE

全体的な傾向としてはやや明るめ。RAWのハイライト情報は残っていることが多いものの、JPEGでは白飛びしているように見える場合が多い。個人的にはもう少しアンダーの結果が好みであるため、露出補正をアンダー側に調整するか、諧調モード「Low」で撮影しています。

状況によってぶれにくいAEですが、逆光時に被写体検出してもぶれません。富士フイルムなど一部のメーカーは被写体検出とAEが連動する機能があるものの、OM-3で同様の機能はありません(このため富士フイルム機は露出を過剰に持ち上げる場合が多い)。ターゲットエリア連動スポット測光機能はあるものの、被写体検出では機能していない?

カラー/モノクロプロファイル

富士フイルムやニコンのような、多彩な色相を実現しているわけではないものの、色に応じた彩度やカラーフィルターを設定できる便利な機能。また、それぞれに専用のハイライト&シャドウコントロールを適用できるため、カラーに合うトーンを設定しておけるのが強み。

従来のピクチャーモードが単調だっただけに、カラー/モノクロプロファイルは新鮮と感じることでしょう。

E-P7のプロファイルコントロールスイッチではなく、PEN-Fと同じクリエイティブダイヤルを搭載。カラー/モノクロプロファイルのほか、ARTフィルターやカラークリエーターモードに対応。

カメラを手に取った状態でダイヤルの位置を目視できない致命的な欠点があるものの、ポジションが少ないので慣れれば問題無し。クリエイティブダイヤルは回転操作がやや重めで、表面は爪とぎのようなギザギザの加工が施されています。正直に言うと、少し痛いです。(PEN-Fも同じようなデザインで、少し懐かしい感覚)

カラー/モノクロプロファイル移行時に設定画面を開くことが可能。しかし、それ以外で設定画面を素早く開くことができる専用ボタンや機能はありません。ピクチャーモードを変更するように操作する必要があります。

カラー/モノクロプロファイルがOM-3の目玉機能のわりには不親切な設計。PEN-FやE-P7はコンパクトボディながら、専用のギミックを搭載していました。E-P7はショートカットボタンで設定画面を呼び出すことができたと記憶していますが、より高価(2倍以上)のOM-3で同等の機能が無いのは非常に残念。

まとめ

コンセプトの氾濫

ハイライトはE-P7以来となるカラー/モノクロプロファイルを実装、それを TruePic X 世代のカメラで実現している点で唯一無二の選択肢。JPEG出力における彩度やトーンの選択肢が広がり、OM-1 Mark II の単調なカラーモードと比べると一線を画す。

もちろん、癖が強いので撮影シーンによっては当たり外れがあります。しかし、それを含めて撮影を楽しめるのかなと。

それ以外の点は良くも悪くもOM-5とOM-1 Mark II、PEN-F を足して3で割ったようなカメラ。なんでもできるけど、価格を考慮するとかなり中途半端な立ち位置。問題点を挙げるとすると次の通り。

  1. 高性能カメラとして:
    ・グリップがない
    ・ジョイスティックがない
    ・ファインダーが低解像・低倍率
    →OM-1 / OM-1 Mark IIが優れた選択肢になる
  2. レトロスタイルとして:
    ・ISO/SSダイヤルがない
    ・外観以外に特徴がない
    →中古のPEN-Fや同価格帯 競合他社の選択肢
  3. クリエイティブカメラとして:
    ・専用モードを呼び出す機能がない
    ・CPモードの操作性が悪い
    ・従来機からの改善点がない
    →正直なところE-P7も選択肢

「1」を重視するのであれば、OM-1 Mark IIがおススメ。OM-3よりも高価でカラー/モノクロプロファイル、静止画・動画の切り替えダイヤルは使うことができないものの、それ以外は充実しています。高解像で大型のファインダーを搭載しているし、AFジョイスティックも利用可能。OM-3とOM-1 Mark II で迷っているのであれば、無難な選択肢はOM-1 Mark II。

「2」はもともOM SYSTEMが目指していた方向性ではないと言及しています。この点は妥協するしかありません。カメラの質感は悪くないと思いますが、撮影体験までを含めてレトロスタイルを重視するなら最優先の選択肢ではありません。

「3」は個人的に最も問題があると感じている部分。前述したように、カラー/モノクロプロファイルというOM-3の主要機能を素早く呼び出すボタンがありません(PEN-FやE-P7にあったにも関わらず)。クリエイティビティを重視しているカメラで、主要機能の撮影体験がイマイチなのは致命的。推しているわりに熱が伝わってこない。

結果として、色々できるけど価格を考えると器用貧乏な印象。ちょっと手広くカバーしすぎちゃった感のあるカメラ。OM SYSTEMは「素晴らしいクリエイティブな写真撮影」をOM-3のコンセプトにしているようですが、いちユーザーの視点では、コンセプトが氾濫しているように見えます。

何かを削って、何かを尖らせても良かったのかなぁと。個人的に好みの外観であり、モチベーションを高めるカメラではあるものの、他人に薦めるのであれば「価格に見合うか、よく考えたほうが良い」となる。時間をかけてカメラに慣れてくると解決する問題もありますが、撮影で手数が多くなるのは否めないかなと。

追記

カラー/モノクロプロファイルの機能は据え置き

前述したように、実装したカラー/モノクロプロファイルはE-P7の頃から全く変化がありません。

E-P7の時代はこれで良かったかもしれませんが、現在はパナソニック「リアルタイムLUT」、ニコン「イメージングレシピ」など、より魅力的かつ機能的なシステムが他社から登場しています。比較して陳腐化してしまった感を否めません。

難しいかもしれませんが、個人的にあれば良いなと思う機能は…

  • 色ごとに色相を変化させる機能
    ・例:青空だけ赤味を増す、森林だけ黄味を増す、など
  • 彩度調整の設定値を固定したまま色相を回転させる操作
  • プリセットのコピー・ペースト
  • プリセット枠の増加

などなど。
ちなみに、LUMIX S9はLUTを49種類も登録することができ、スマートフォンアプリで出し入れすることが可能。調整できるパラメータも多く、自由度は遥かに高い。ここまでを求めるのは酷だと思いますが、同じマイクロフォーサーズシステムとして否応なく比較してしまいます。

カラー/モノクロプロファイルそのものは間違いなく面白いし、既存のオリンパス/OMでは手間のかかる色やトーンのJPEGを簡単に出力できるのは魅力的。ただ、強みを活かす操作性と機能については改善の余地あり。

カメラの操作性には妥協が必要

カラー/モノクロプロファイルが必要ない場合はどうなのか?
まず第一にカメラ前面のダイヤルが無用の長物となります。OM-5のようなFnボタンが欲しいと感じるかもしれません。

それ以外は、バッファが少なく、ファインダーが低仕様で、ジョイスティックとグリップのないOM-1 Mark IIです。AFの基本性能は悪くないし、ライブGNDなどコンピューショナルフォト機能が充実しています。120fpsまでの超高速連写も利用可能。ただし、いずれにしても、カメラの操作性には妥協が必要で、OM-1やOM-1 Mark IIを差し置いてOM-3を選ぶ必然性が「外観」以外にありません。

外装の作りや基本性能を考慮すると適正価格

高いか、安いか、で言うと、ボディの質感と内部の性能を考慮すると適正だと思います。全体的に金属製のボディで、IP53の防塵防滴に対応。イメージセンサーは積層型で読み出し速度が従来機よりも良好、かつ超高速連写に対応しています。AFも「OM SYSTEMとしては」フラッグシップモデル並み。

カメラの見た目は撮影のモチベーションを維持する上で重要な場合があり、個人的にもそう。

その一方、OM-3のハイライトとなる機能の作りこみ、カメラの操作性という観点では高すぎる印象あり。カラー/モノクロプロファイルにフォーカスしたコントロールや機能を揃えるべきだったと思うし、高性能なセンサーを活かすにはジョイスティックがあったほうが良かった。撮影体験やクリエイティビティを重視するなら優れた仕様の電子ファインダーを好む人もいることでしょう。

参考情報

購入早見表

作例

Flickrにてオリジナルデータを公開

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