外観
がらっと雰囲気が変わった新世代なVANGUARD三脚
艶消しされたマットなグレーを基調とした非常にシブい外観。
従来のVANGUARD三脚と比べてずいぶんと落ち着いた感じのデザインになっていますね。
先代「Alta PRO」はマンフロットのようにスポーティで黒を基調としたデザインだったのですが…、同じメーカーの三脚とは思えないほどデザインが変わっている。
イメージカラーはワンポイントで控えめに配色。
目盛りやクッションなど実用的な部分に黄色を使い、無駄な装飾が少なく”機能美”とでも言うべきポイントが多い。
全体的に安っぽさが感じられない素晴らしい外観だ。
ノブやダイヤルの形状・質感にも手が加えられている。
より良い人間工学を取り入れ、厚手のグローブをしたまま操作できる構造だ。
雲台の外観は三脚に合わせているため違和感がない。新世代のVANGUARD三脚はこのデザインで統一するのだろうか?
付属の三脚ケースはイメージカラーが目立つ。これはもう少し地味でも良かったなぁ…。
所有している1万円のSIRUIトラベル三脚には立派なバッグが付属している。長時間携帯するならSIRUIの方が圧倒的に担ぎやすい。
しかし、SIRUIのバッグは雲台も入らないほどタイトなデザイン。Alta用の付属バッグは三脚の他に色々と詰め込むことが可能。車に雲台やアクセサリ一式をまとめて収納するには便利かも。
思っていたよりも軽い
MACC(マルチアングルセンターポール)と言う特殊機構が備わっているにも関わらず重量は1.9?(雲台無しの場合)と軽い。
これは同じくセンターポールが可動するマンフロットの190PROシリーズよりも軽量だ。
中型としては軽いが、小型トラベル三脚と比較すれば大きく重い。
「とりあえず三脚も持っていくか」と言うサイズと重量ではなく、「三脚が必要だから持っていく」と言ったところ。
操作部ノブ・ダイヤルのグリップは良好
操作するダイヤルやノブの表面にはグリップが良好な樹脂素材を採用している。
ローレット仕上げなので手袋をしたままでも滑りにくく操作しやすい。
脚のツイストロック機構には外観を損ねないマットな仕上げ。
幅が広く握りやすいためローレット仕上げでなくともグリップ性は良好だ。
掴みやすい反面、汚れは付着しやすい。特に砂埃や泥まみれになる撮影環境の場合には事後のメンテナンスが大変かもしれない。
操作するパーツが多い
- 雲台:アルカスイス互換のクイックリリースプレート脱着ネジ
- 雲台:ボール雲台固定ノブ
- 雲台:フリクションコントロール
- 雲台:360°パン用の固定ダイヤル
- MACC:チルト用固定ノブ
- MACC:エレベーター用固定ノブ
- MACC:360°パン用固定ノブ
- 三脚:ツイストロック×6
- 三脚:開脚角調整レバー
三脚の開脚・ツイストロックを除いても7か所の固定ノブ・ダイヤルが存在する。
自由度が高いものの、クイックな操作性は期待しない方が良いでしょう。あまり素早い動作を求められない風景やマクロ撮影に適している。
操作がやや面倒ですが、一般的な三脚として使うのであれば操作はシンプル。夜景など三脚の状態を見辛いシーンではMACCは動かさない方が良いかもしれません。
機能・操作性
足の開脚量が4段式
多くの三脚は開脚角が3段式だが、この三脚は20°・40°・60°・80°と4段階の調整が可能で微調整がしやすい。
先代のAlta PROは3段式なので進化したポイントと言う事が出来るでしょう。
展開する場合には脚の付け根についているレバーを引く。レバーは脚の両側についているが、操作するのは片方でも両方でもOK。
脚を開くときには程よい抵抗感を持っているため、自重で開いたり閉じたりは無い。この価格帯としては妥当な印象。
長期間の使用で少し緩くなってきたと思ったら付け根にあるボルト・ナットで固定できそう(通常はカバーで隠れているが、取り外しできるようにツメを差し込む穴が開いている)。
自由自在のセンターポール
この三脚の醍醐味とも言えるMACC(マルチアングルセンターポール)機構。
この機構が搭載されているシリーズに「+(Plus)」が冠されている。「+」が無いPRO2シリーズはこの機構が省略されているので注意(先代のAlta PROは)。
「マンフロット 190 PRO」のようにセンターポールが水平にしか可動しない場合、自由雲台を使った構図の調整が難しい。自由雲台の可動範囲(チルト下方向)に制限がかかるためだ。(記事の最下部でマンフロット190について触れています)
上下にも対応するマルチアングル機構(MACC)は自由雲台でカバーできない調整幅をサポートすることができる。三脚の長さや角度を調整する手間を考えると遥かにらくちん。
センタポールはマルチアングルの他にエレベーター機能備えている。エレベーター部分はお世辞にも滑らかな動作とは言えないが、その分ガタツキが無くしっかりと固定可能だ。
マルチアングルのチルト機構は無段階調節ではなく15°毎に固定できるタイプ。
マルチアングルを可動したままセンターポールをまるごとパン出来る機構も備えている。
水平方向にポール突き出す場合にはカメラの重さによって三脚が倒れる可能性がある。カウンターウェイトを作るか、手でしっかりと抑えておきましょう。
水平方向のMACCを安定させる方法
機材が嵩張るのでオススメしませんが、必要であればL字ブラケットに一脚を追加装着すると安定する。
例えば柵越しのスローシャッターでどうしてもカメラが安定しなかったりする場合には役立つかもしれません。
支えるために高性能な雲台や一脚は必要なく、安価で軽量な一脚で十分かと思います。
V4ユニットと比べて
無段階調節のV4ユニットと比べると、マクロ撮影において微妙な角度修正は苦労するかもしません。
ナナメ上方向に動かす場合はセンターポールを完全に伸ばさないとキャノビーと干渉してしまうので注意。この点でベルボンのV4ユニットには劣る。
ナナメ上方向にセンターポールを動かす方法
面白いことにセンターポールを一度取り外し、逆から差し込むことでナナメ上方向への自由度がグンと増す仕組みになっている。
やや面倒だが、オールインワンで運用する三脚としては実用的。
構造上カウンターウェイトをセンターポールに取り付ける仕組みが無い点は考慮しておきましょう。
ツイストロック
見慣れぬ新構造の固定方式に「おいおい、大丈夫かよ…」と心配していたものの、実際に触ってみると問題無い感じ。
レバー式のようにロック・リリースがあるタイプでは無く、あくまでもナットロック式の延長上といった使い勝手。
「回転角が小さいナットロック式」と言うとしっくりくるでしょうか?
余談 ロックナットとナットロック:
ネットで色々見ていると「ロックナット」と「ナットロック」と言う二つの言葉が存在する。「う?ん?どっちが正式なのか?」と色々見ていると三脚メーカーでもロックナットとナットロックがごちゃ混ぜになっている。ところが、良く見てみると「ナットロック方式」と言う三脚タイプで、脚を固定するパーツのことを「ロックナット」と呼んでいる。
なるほどねぇ。
石突の形
先代Alta PROと違い、ゴム製の石突は脱着が可能。先端には3/8インチっぽいネジ穴に市販の石突が換装可能となっている。
例えばGITZOの可動式やロング石突(雪面・砂場などで有効)にしても良いし、ベルボンの可変式スパイクにしても良さそうだ。
アクセサリを追加できるALTAリンク
3/8ネジタイプのネジ穴がキャノビー部に組み込まれている。
両側オスネジは付属していない、もしもアクセサリを装着する予定ならば事前に調達しておきましょう。
アクセサリを取り付けないとしても、カメラ用のフック付きネジを取り付けておけばストラップ金具として活用できそう。
後日ネジが届いたので「3/8ネジ」+「自由雲台」+「ウルトラスティック SELPHY」+「自由雲台」+「LEDライト」を合体。
カメラとサブアームをフル展開しても、三脚の開脚を40°まで広げておけば問題無い安定性を確保できた。機材が嵩張るので強くオススメは出来ないものの、拡張性の高さを感じ取ることが出来た。
ベルボンのウルトラスティックSELPHYは小型ながらウルトラロック構造の自撮り棒。華奢なパイプ径ながら、思いのほか剛性がしっかりしているのでオススメ。
使いやすいボールヘッド?ALTA BH-100
フリクションコントロール・パン調節・アルカスイス互換のクイックリリースプレート、さらに水準器が2基備わっている。キット雲台としては非常に多機能だ。
ボール雲台はシルクのように滑らかな動作では無いが、ロックするとしっかり固定されズレにくい。ボール径は特に記載がないものの、およそ30mm程度。
ボール雲台を固定するノブはつまみ易くトルクの調節をしやすい形状だ。個人的にはダイヤル形状よりもこのようなノブ式の方が好み。
ラチェット機構が備わっているので使いやすい角度に調節できる点も良い(ノブにややガタがあるのはラチェット機構のため)。
クイックリリースプレートが脱落しないように雲台にはピンがはめ込まれている。このため簡単にプレートは脱落しないが、ピンを引っ込める機構が無いためかなり緩めないとリリースプレートを外すことが出来ない。
さらにピンが隅に配配置されているためアルカスイス互換でもフレームが太いとピンと干渉する。
機能と操作性から1万円前後のボール雲台と言った印象。外観はAlta PRO2専用と言っても良いくらいだ。
三脚についてくる雲台を外す場合には土台下部のネジを緩めておく必要がある。
これを忘れて無理に回そうとすると破損する可能性あり。
まとめ
MACC
ベルボンV4ユニットほど操作性が良くないものの、マルチアングル機能を中型三脚の一般的な重量で持ち歩くことができるのは魅力的。
アイレベルで望遠レンズを載せる為の三脚としては無用の長物だが、風景・マクロ撮影の場合にMACCが便利と感じるはず。
三脚として
普通に使う場合でも脚の高速収納・展開が可能なツイストロック式はオススメ出来る。レバーロック式とナットロック式の良いところを足して2で割った感じ。長期間の使用による損耗は未知数な部分が多いが、ざっくり触った印象は概ね良好。
ただし、三脚の動作に滑らかさを求める人は「脚の展開・格納」・「エレベーター可動」時の動作が気になるかもしれません。
さらに耐荷重7?と公式仕様に明記されていますがパイプ径は26mmです。フルサイズの巨大な望遠レンズで安定性を求めるのならば不向きと言えるでしょう。悪くは無くむしろ良好ですが、あくまでも中型三脚らしい安定性です。
価格
先代と比べてやや高価だが、それでもまだまだコスパは良好。実用的な雲台と三脚の機能性は他社に対して強みとなる部分。
信頼性
国内メーカーではありませんが、ガードフォースジャパンという日本法人を持つブランド。カメラのキタムラなど全国チェーンでも取り扱っているメーカーです。国産や欧州系のメーカーと比べて大きく見劣りするブランドでは無い。
総評
安定性 | |
機能性 | |
操作性(三脚) | |
操作性(MACC) | |
デザイン | |
携帯性 | |
価格 | |
総合評価 |
機能性と操作性がやや目的を選ぶものの、この機能が欲しい人にはジャストミートな三脚。
雲台とMACC機能がついてこの価格帯ならお安い印象。
マンフロット 190シリーズと比べて
価格設定と機能性からして競合モデルは明らかにマンフロットの190 PRO中型三脚シリーズ。
下記の表はアルミ3段を比較した場合、仕様は非常に似ている。センターポールの可動方式が特に重要でない場合にはデザインや価格で決めてしまうのもアリ。スペック気にするよりはデザインを優先して楽しく使うのも一つの選択肢。
Alta PRO2+ | 190 PRO | |
センターポール | マルチアングル+水平360° | 90°+水平360° |
アタッチメント | 3/8″ ネジ | 3/8″ ネジ |
開脚角 | 20°,40°,60°,80° | 25°,46°,66°,88° |
ロック方式 | ツイストロック式 | レバーロック式 ツイストロック式* (*Tモデル) |
全高 | 1620mm | 1600mm |
パイプ径 | 26mm | 26mm |
最低高 | 90mm | |
縮長 | 625mm | 590mm |
耐荷重 | 7? | 7? |
重量 | 1.9? | 2? |
既に手放してしまったものの、以前はマンフロットの190アルミ4段を使っていました。
Alta Pro2+と同じくセンタポール可動式ですが、横方向は水平にしか可動しません。雲台を使ったアングルの変化に制限がかかりやすく、L字ブラケットを装着(カメラ側面で雲台に固定できるアイテム)して必要に応じて付け替える手間が発生します。私がこの三脚を手放した理由の一つ。
センターポールの自由度を重視するのであれば自由度が高いAlta Pro2+が良いでしょう。
マンフロット190のセンタポール可動はおまけと割り切り、しっかりとした中型三脚が欲しいならば一つの選択肢。
Alta Pro2+と比べてスポーティなデザイン。やや艶のあるブラックの塗装は傷がつくと目立ちやすいのが欠点か。ただし、一般使用に伴う埃や塵の付着はマンフロットの方が少ないはず。
購入早見表
楽天市場 | Amazon | カメラのキタムラ | Yahoo | |
ALTA PRO 2+ 263AT アルミ3段三脚 |
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ALTA PRO 2+ 263CT カーボン3段三脚 |
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ALTA PRO 2+ 263AB 100 自由雲台付 アルミ3段三脚 |
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ALTA PRO 2+ 263AP 3ウェイ雲台付 アルミ3段三脚 |
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ALTA PRO 2+ 264AT アルミ4段三脚 |
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ALTA PRO 2+ 264CT カーボン4段三脚 |
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ALTA PRO 2 263AP 3ウェイ雲台付 アルミ3段三脚 *MACC機構なし |
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ALTA PRO 2 264AP 3ウェイ雲台付 アルミ3段三脚 *MACC機構なし |
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