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FUJIFILM X-E3 レビュー画質編

広角スナップカメラが欲しくなりFUJIFILM X-E3とXF18mm F2をお買い上げ。前回の外観レビューに引き続き、今回はX-E3の画質について見てゆきましょう。

FUJIFILM X-E3 レビュー画質編

ISO感度別チェック

memo

  • 三脚固定
  • ミニスタジオで露出固定
  • JPEG出力はNR0(0はノイズリダクションオフでは無い)
  • RAW出力は輝度・カラーノイズ補正オフ
  • ISO1600まではJPEGのNR0設定でもディテールを損なっておらず風景撮影でも満足に使えるレベル。
  • ISO3200まで上げるとNRでマイクロコントラストが少し潰れて来るため、高解像を求めるのであれば避けたいISO。
  • ISO6400はノイズがさらに増えるためRAW現像の柔軟性が低下する。JPEG出力はAPS-Cセンサーとしては見事なノイズ処理が施されていると感じるレベル。
  • ISO12800はディテールがノイズ処理により潰れる傾向が高まります。色再現は良好で小規模のプリントサイズならば全く問題無いレベル。

NR0に設定したとしてもノイズリダクションは動作。粒状の処理が非常に上手く、解像感を損なわずにノイズを処理しています。

フジフイルムのノイズ処理は本当に素晴らしい。「フジならJPEG出力だろ」と言う説も一理あると感じるレベル。「ノイズを消した」と言うよりは「ノイズを写真と一体化させた」と言った方がいいかもしれません。

センサーサイズ別に見比べると、マイクロフォーサーズのE-M1 Mark IIとの差は各ISO値で僅差か同程度、D850やK-1との比較ではISO1600まで遜色ない結果でISO3200以降から差が出始めます。

ISO200

ISO1600

ISO3200

ISO6400

ISO12800

フィルムシュミレーション

  • プロビア…彩度はベルビアより低く、アスティアより高い。ベルビアとの差を考えるとアスティアとの差は誤差のレベル。
  • ベルビア…彩度が高いビビッド系。赤が飽和しやすく個人的には使い辛い。HDR風に仕上げるならば良いかもしれません。
  • アスティア…今回の写真ではプロビアとの差を感じ辛いものの、実写ではプロビアよりも軟調な写り。ポートレート向けらしく、家族写真などではいい感じに写りました。
  • クラシッククローム…彩度は抑えられているが、明暗はハッキリと付いています。軟調のように見えて力強さを感じる仕上がり。いぶし銀。
  • アクロス…メリハリの付いたハイライト・中間と粘りの強いシャドーを持つ仕上がり設定。今回のテストではメリットが感じられませんでしたが、シャドーの諧調を重視したい場合にはこの設定が良さそうです。
  • Pro Neg.Hi…公式曰くポートレート向け、シンプルなライティングでアクティブに撮影する人向け。
  • Pro neg.Std…公式曰くポートレート向け、ライティングや構図を決め打ちする人に向いているらしい。

正直なところ、フィルムシュミレーションの味付けは公式の「フィルムシュミレーションの世界」を見るのが一番手っ取り早いのでオススメ。

シャープネス

  • その他設定はプロビア+初期設定。

シャープ設定を最大にしても攻撃的な程のエッジ処理にはならない模様。スマートフォンで鑑賞する機会の多いSNS等が主戦場ならば積極的にシャープネスを強めに設定してもいい感じ。

シャープ設定による輝度ノイズへの影響は少なく、強めの設定でも荒っぽくならないのはGood。

彩度

  • その他設定はプロビア+初期設定。

正直なところ、彩度を大きく弄るくらいならばフィルムシュミレーションを変えた方がしっくりくるかもしれません。あくまでもフィルムシュミレーションの微調整用と言った印象。

DR

設定値を変更しても特にハイライトとシャドーに変化なし。今回のシーンでは特にハイライト側の負担が大きくないため、この機能が動作していないのかもしれません。

それを示すようにAEは全て同じような露出設定となっています。

  • DR100:ISO 200・F8・1/18秒
  • DR200:ISO 400・F8・1/36秒
  • DR400:ISO 800・F8・1/75秒

他のシーン(ハイライトとシャドーの差が大きい場合)で試すと、DR設定値を上げるほどハイライト重視(白飛び防止)の露出設定となります。つまり全体的に露出がアンダーとなり、JPEG出力時に増感されます。ハイライトの諧調が豊かになる反面、当然ながらシャドーのノイズは増えます。

効果が適用される場合、DR100-200-400毎に1段分アンダーな設定値となるみたいですね。

DR(RAW現像)

ISO200固定で意図的に露出を上下させたRAWデータを事後にデジタル増感や減感で現像。

適正露出から3段分アンダーに撮影したとしてもシャドーのノイズは少なめ。一方でハイキーから適正露出に回復させようとするとハイライトが部分的に白飛びしてしまっています。

アンダーとハイキーによるシャドー部の諧調に大きな差は感じられないため、ハイライト階調を維持できるようにアンダーで撮影するのはアリと言えるでしょう。

グレインエフェクト

敢えて粒状感を出す画像処理機能。

高感度ISOノイズと違い、低感度でも粒状感を出せるので解像感と粒状感を合わせて出したいのであればオススメ。

今回のおさらい

  • 高感度ISOにおけるきめ細かなノイズリダクションがGood。
  • RAW現像における高感度ノイズはマイクロフォーサーズのハイエンドモデルと同等、フルサイズ高画素機との差はISO3200以降で大きくなる。
  • シャドーの諧調表現が個人的に好み。
  • フィルムシュミレーションの仕上がり設定は他社に無い魅力的な描写が多い。
  • DR機能はDR100-200-400毎に1段分アンダーな設定値となる。
  • ハイライトがとびやすい反面、アンダーは粘り強い。

「FUJIFILMを使うならJPEG出力だろ」と言う世間の評価に納得できる結果となりました。ノイズ処理やグレインエフェクトなど粒状感のコントロールに長け、シャドーの諧調表現が上手い。

RAW現像ではAPS-Cセンサーなりの柔軟性を発揮するものの、センサーサイズの小さいマイクロフォーサーズに対しての優位性はあまり感じられません。もちろんフルサイズセンサーと比べると感度ノイズが目立ちます。

個人的には画像処理エンジン「X-Processor Pro」をフル活用したJPEG出力、およびボディ内RAW現像メインで使っていくことになると思います。パソコンで同様のRAW現像が可能となる「X RAW STUDIO」にX-E3が対応していないのが残念過ぎる。是非ファームウェアアップデートでハイエンドモデルとの垣根を取り除いて欲しいものです。

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