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ソニー α7 V レビュー 連写・ドライブ編

α7 Vのレビューの第三弾 連写・ドライブ編を公開。30fpsの高速連写や便利な撮影機能を搭載しつつも、連続撮影枚数が少なかったりCFexpress Type Aの書き込み速度が遅かったりするのが悩ましいところ。

簡易的なまとめ

  • α7 無印シリーズ初となる30コマ秒の高速連写
  • 高速連写対応だがバッファ容量が少なめ
  • 静止画においてCFexpress Type Aの恩恵が少ない
  • 完璧ではないものの実用的な電子シャッター

α7 Vのレビュー一覧

ドライブ

仕様の確認

シャッター

シャッター方式

  • メカシャッター
    ・電子先幕 オン/オフ
  • 電子シャッター

シャッター速度範囲

  • 静止画撮影時 (電子シャッター): 1/16000-30 秒
  • 静止画撮影時 (メカシャッター): 1/8000-30 秒
  • バルブ
  • 動画撮影時: 1/8000-1 秒

フラッシュ同調速度

  • 1/250 秒 (フルサイズ)
  • 1/320 秒 (APS-Cサイズ)

メカニカルシャッターの性能は前モデルと同等ですが、(読み出し速度の高速な)部分積層型CMOSセンサーの採用で電子シャッターの性能が向上。シャッタースピード 1/16000秒に対応、後述する10fpsを超える連続撮影速度に対応しています。

完全な積層型CMOSセンサーモデルと異なり、電子シャッター時のフラッシュ発光やフリッカーレス撮影には対応していません。

レリーズモードと撮影速度

  • 電子シャッター時: Hi+時: 最高約30コマ/秒
  • メカシャッター時: Hi+: 最高約10コマ/秒

メカニカルシャッター時は前モデルと同じく最大で10コマ秒の撮影速度に対応。競合製品が12コマ秒、14コマ秒に対応していることを考慮すると少し物足りない性能。特にローリング歪みやフリッカー対策でメカニカルシャッターを使う機会が多い場合は高速電子シャッターの恩恵を享受しにくい。

電子シャッター時の撮影速度は最大で30コマ秒まで向上。前モデルがメカ/電子ともに10コマ秒までだったことを考えると、3倍も速い高速撮影が可能となっています。

プリ撮影設定

30コマ秒の連続撮影が可能になったと同時に、プリ撮影機能にも対応。シャッター半押しをはじめてから、全押し前の0.5-1.0秒までの撮影を記録することができるようになりました。野鳥の飛翔シーンなど、予めプリ撮影モードに設定しておくことで刹那的なシャッターチャンスに対応しやすくなっています。

連続撮影枚数

  • JPEG Lサイズ ファイン: 185枚
  • RAW: 95枚、RAW+JPEG: 85枚
  • RAW (圧縮 (画質優先)): 35枚
  • RAW (圧縮 (画質優先))+JPEG: 35枚
  • RAW (ロスレス圧縮): 35枚
  • RAW (ロスレス圧縮)+JPEG: 35枚

最大30コマ秒の連続撮影に対応していますが、撮影可能な枚数は少なめ。特に画質優先の圧縮RAWやロスレス圧縮RAW使用時は1秒の連写で撮影速度が低下します。特に連写撮影が多い場合、書き込み速度の速いCFexpress Type Aカードの使用がおススメ。

また、RAW形式を通常の圧縮RAWに切り替えることで、撮影可能枚数を2倍以上に拡張することができます。

カスタマイズ

連続撮影の速度

  • Hi+:5/10/15/20/30 fps
  • Hi:5/10/15/20 fps
  • Mid:5/10/15/20 fps
  • Lo:5/10/15/20 fps
  • 連写速度ブースト:5/10/15/20/30 fps

電子シャッター時は撮影速度の設定変更が可能。細かく調整できるわけではないものの、5fps刻みで使い分けることができます。

Hi+以外の設定では5-20fpsで調整可能、Hi+のみ30fpsを利用可能となっています。設定値が少ないので自由度が高いとは言えませんが、Low設定を「5/10fps」で使い分けることができそうです。

「連写速度ブースト」に割り当てたボタンを押すことで、一時的に設定した連続撮影速度に切り替える機能を備えています。30fpsの最大速度を利用したり、5fpsで速度を落とすことも可能。

ISO AUTO低速限界

従来通り、ISO AUTO時の低速限界設定を調整可能。設定値は1段刻みで30秒から1/16000秒まで手動入力できるほか、5段階のオートモードにも対応しています。

ボタンカスタマイズで任意のボタンに割り当てることができるので、状況に応じて素早く設定変更が可能。

連写テスト

撮影環境

  • ILCE-7M5
  • FE 24-70mm F2.8 GM II
  • Mモード
  • 24mm F2.8 / ISO 12800 / 1/8000秒
  • 各 RAW形式・シャッター形式・レリーズモードを使用
  • 最大撮影速度 30コマ秒を使用
  • 5/10/15秒の連続撮影で記録できた画像の数を計測
  • ProGrade Digital CFexpress 2.0 Type A COBALT 160GB
  • ProGrade Digital Cobalt SD UHS-II V90 32GB
  • ノイズ低減・レンズ補正は全てオフ
  • フリッカー低減 オフ

1秒テスト

1秒
ロスレス圧縮RAW 29
圧縮RAW HQ 27
圧縮RAW 30

多少の誤差(1秒ジャストでシャッタボタンを押すのが難しい)はあるものの、いずれのRAW形式でも約30コマ秒の連続撮影を発揮しているようです。

CFexpress使用時

5秒 10秒 15秒
ロスレス圧縮RAW 69 112 156
圧縮RAW HQ 71 113 155
圧縮RAW 123 189 254

いずれのRAW形式でも5秒の連続撮影ではバッファを使い切り、撮影速度が低下しています。高画質のRAW形式でバッファを使い切った後は、(メモリーカードに書き込みながら撮影するため)毎秒8コマ程度の速度まで低下する模様。

一方、圧縮RAWを使用すると撮影枚数が大幅に改善。バッファを使い切ったあとでも14コマ秒くらいの撮影速度を維持することができます。(主にRAW現像時の柔軟性という意味で)画質を重視せず、大量に撮影したい場合は圧縮RAWを使うとコマ数を稼ぐことが出来ます。

SD UHS-II使用時

5秒 10秒 15秒
ロスレス圧縮RAW 56 84 110
圧縮RAW HQ 70 108 137
圧縮RAW 100 139 174

SDカード使用時はCFexpress使用時と比べてパフォーマンスが若干低下するようです。ただし、CFexpressとSDカードの書き込み速度差ほど結果の差は大きくありません。

特に圧縮RAW HQでの差が小さく、CFexpressによる恩恵がほとんどありません。高画質を維持したまま圧縮率の高いRAW形式はカメラ側の負担が大きいのでしょうか。ただし、圧縮RAW時は差が大きくなります。

ローリングシャッター

ローリングシャッターとは

イメージセンサー全体を一度に露光出来るのが理想的ですが、現在は発熱やノイズなど、様々な問題から(民生用カメラでは)ほぼ実現に至っていません。現在はイメージセンサーの上から下まで段階的に読みだしていく「ローリングシャッター」方式が一般的。言葉で説明しても難しいので、下部の動画を参考にしてください。

コンシューマー向けのデジタルカメラは大部分が動画のようなローリングシャッター方式を採用したイメージセンサーを使用。海外企業で「PIXII」、国産ミラーレスでこの方式を採用しているカメラは「α9 III」のみ。(もしくはキヤノンの業務用向けカムコーダーくらい)
実際にZ50IIの電子シャッターを使用して、ローリングシャッター歪の影響を調べた結果が以下の通り。

RAW

RAW形式に関わらず、電子シャッター時はメカニカルシャッターよりもローリングシャッターの影響が目立ちます。ただし、前モデルと比べると影響の度合いは遥かに軽度(下部参照)。

(完全な)積層型ほどではないものの、電子シャッターの実用性が高まっています。E-M1 Mark III(マイクロフォーサーズ)やEOS R8(フルサイズ)と同じくらい。

そしておそらく、競合する部分積層型と同程度のパフォーマンスを発揮します。流し撮りや水平に高速移動・高速回転する被写体を捉えるには力不足ですが、それ以外の多くの被写体では普通に使える水準と言えるでしょう。

まとめ

これまでα7の無印シリーズと言えば「最大10コマ秒」が定番でしたが、α7 Vはその殻を破り、3倍もの高速撮影に対応可能となりました。2025年12月時点において、αシリーズで10fps超の高速連写が可能となっているのはα1系・α9系の積層型CMOSセンサー搭載モデルのみ。本製品は比較的手頃な価格で高速連写に対応したカメラとして面白い選択肢になると思います。
(補足:α1・α9系の旧製品を安価に入手可能ですが、この場合はAFや撮影機能などで妥協が必要)

注意点はカメラのバッファ。30fpsの高速連写は1-2秒しか本領発揮しません。また、CFexpress・SDカードに関わらずある程度の書き込み時間が発生します。大量のコマ数を稼ぐ必要がある撮影シーンはそう多くないと思いますが、そのような用途であれば上位機種か競合他社を検討したほうが良いでしょう。

競合他社はより高速書き込みに対応する「CFexpress Type B」を利用し、Type Aと比べると明らかに処理が高速。α7 Vの性能で十分と言えば十分ですが、競合他社のほうが優れているのは確か。バッファ容量やバッファクリア速度の観点でα7 Vはイマイチと言わざるを得ません。

静止画においてCFexpress Type Aの恩恵は限定的。CFexpress Type Aカードを利用可能ですが、SD UHS-IIのデュアルスロットとして使用しても良いのかなと。
(動画撮影で大容量が必要だったり、書き込み速度が必要な場合はCFexpressを選択。)

参考情報

購入早見表

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