OM-Dは何を買えば満足出来るのか?
他社ではあまり見かけない光景がオリンパスで発生している。オリンパスは大きく分けて一眼レフライクな『OM-D』シリーズと、コンパクトモデル『PEN』シリーズの2ラインが存在する。さらに『OM-D』シリーズを細分化すると、ハイエンド機の『E-M1』と中級機『E-M5』、エントリークラス『E-M10』の3ライン。
現行モデルは『E-M1』『E-M5 MarkII』『E-M10 MarkII』の3モデル。発売時期のズレこそあれ、機能や性能には大きく違いがある。にも関わらず、現在この3モデルはどれも似たり寄ったりの価格だったりする。
敢えてエントリーモデルの最新版を買うのか?ちょっと古くなってきたハイエンド機を買うのか?間を取って中級機を買うのか?
今回はそんな悩めるオリンパスのOM-Dシリーズにスポットを当てる。
OM-D E-M1が優れている点
ちょっと古くても、ハイエンド機としての威厳は依然として健在。特にオリンパスは画期的なシステムを携えたファームアップデートにより、最新のローモデルと差別化している点が見逃せない。
まずはこのハイエンドモデルの優れている点をリストアップしてみよう。
37点の像面位相差AFを搭載
公式には『Dual Fast AF』という名称で(コントラスト+位相差)のハイブリッド型AFを搭載している。他のモデルは『ハイスピードイメージャ』と言うコントラストAFであり、像面位相差AFは実装されていない。
特に差がでるのは動体撮影時の追従性とフォーサーズ規格のレンズを使用した時のAF速度。
フォーサーズ規格のレンズには『30?200mmF2』や『150mmF2』など特徴的な望遠レンズが存在する。これらのレンズを活用するつもりならば、E-M1一択。
連写性能とバッファ容量による連写撮影の快適さ
追従連写で秒間9コマ。置きピンで秒間10コマの連写が可能。但し、瞬間的な連写性能であれば下位機種も随分と検討している。しかし、前述した像面位相差による追従性と大容量のバッファによるRAWの連写枚数が違う。
下位機種であれば多くても22コマで詰まってしまうバッファ容量だが、E-M1は41コマまで蓄積が可能。
鉄道や野鳥・スポーツなどで兎に角コマ数を稼ぎたいカメラマンならE-M1だ。
ボディ内で合成出来る『深度合成』
ファームウェアアップデートVersion4により追加された新機能。ピント位置の違う4枚の写真を連続撮影して、ボディ内で合成。被写体をパンフォーカスとして写す撮影手法。手動でピント位置を変化させてパソコンで合成するソフトは存在するが、ボディ内で完結出来るカメラは少ない。今回紹介している3モデルの中ではE-M1のみが使う事が出来る機能だ。
特にマクロ撮影や望遠レンズを使った被写界深度の浅い撮影シーンにおいて絶大な効果を発揮する。絞らなければ被写界深度を得られないピント位置でも、最適な画質を得られる絞り値で深度合成する事によってより高画質なパンフォーカスのマクロ撮影を楽しむ事が出来る。
そこそこ優れている点
- ファインダー倍率が換算0.74倍と大型。(E-M5 MarkIIも同じ)
*236万ドットと精細さは3機種で同様 - メカシャッターが1/8000秒まで使用可能(E-M5 MarkIIも同じ)
- 防塵防滴 (E-M5 MarkIIも同じ)
- グリップが深いので持ちやすい
- 別売りバッテリーグリップがある(E-M5 MarkIIも同じ)
OM-D E-M5 MarkIIが優れている点
2015年の春に発売された新しいモデル。
マイクロフォーサーズの中級機としてはかなり強気な価格で発売されたモデルなのだが、特に目玉となる高性能な機能がてんこ盛りでE-M1の下位モデルと言うよりは路線の違う同クラス。
40Mハイレゾショット
センサーシフト式の手ぶれ補正機能を活用し、センサーを微妙にずらしながら8枚の写真を撮影して合成することで『4000万画素クラスの高精細な描写を得られる』を謳い文句にした画期的な新機能。
高級レンズの『PROシリーズ』などで用い、レンズの潜在能力をより引き出す事が出来る。
8枚の写真を合成する必要があるので、三脚が必須な上に被写体もブレ厳禁と条件はかなり厳しい。しかし、ガチっと決まった時の写真は確かに高精細の解像度の高い描写を得ることが出来る。風景や物撮りメインなら是非とも使ってみたい機能だ。
5段分の効果がある5軸手ぶれ補正
脅威の5段分の手ぶれ補正を実現、E-M5 Mark2の目玉となる機能の一つ。
E-M1やE-M10 MarkIIは4段分と1段ほど差がついている。夕景や夜景などのローライトなシーンやF値を絞り込んでの撮影時には特に有効。いくら高級レンズを使っても手振れしてては意味が無い。
バリアングル液晶搭載
OM-Dシリーズでは唯一となるバリアングル搭載モデル。
光軸からずれてしまうので、チルト式の方が良いと言う方も居るだろうがバリアングルはやはり撮影の幅が広がるという点においては優れている。チルトでは可動範囲が限られているが、バリアングルは全方位に液晶パネルを向けることができる。
大きく差が出るのは縦持ちのロー・ハイアングルでの撮影。チルトではまずこの場合には対処出来ない。さらに三脚を用いた撮影の時にも視認性はバリアングル液晶の方が有用だ。
そこそこ優れている点
- ファインダー倍率が換算0.74倍と大型。(E-M1も同じ)
*236万ドットと精細さは3機種で同様 - メカシャッターが1/8000秒まで使用可能(E-M1も同じ)
- 防塵防滴 (E-M1も同じ)
- 別売りバッテリーグリップがある(E-M1も同じ)
OM-D E-M10 MarkIIが優れている点
2015年冬の現在で最も新しいモデルとなる。
エントリーモデルという格付けだけに、他2モデルよりも気持ち安い。基本性能は十分にあり、目玉性能となる飛び道具を外した感じ。
上位機種がバージョンアップで色々と新機能を追加されている様に見えるが、E-M10 MarkIIには最初から搭載されていますよ?という機能も少なくない。
3モデル中ではコンパクトで軽量。それでいて高機能
3モデルの中では最も小型で軽量。見た目も大人しいのでパンケーキレンズを装着すればおしゃれなスナップカメラとなりそうだ。他のモデルよりも尖った機能は無いものの、その小型のボディの中に上位機種の性能が詰まっていると考えると素晴らしい。
- E-M1と同じく4段分の手ぶれ補正を搭載。
- 低振動撮影・静音撮影の電子シャッター機能は上位機種と同様
- チルト式モニタの採用
- 連写コマ数は秒間8.5コマ(E-M1とE-M5 MKIIは10コマ)
- WiFiや2軸水準器の搭載
- フォーカスブラケット撮影
などなど。上で取り上げた上位機種の強みに惹かれるものがなければこの機種でOK。
まとめ
こうやって見比べると、三者三様。用途によって選びやすい様になっていた。
動体・マクロ・FTレンズなら『OM-D E-M1』
動き物を撮るなら間違いなくコチラ。望遠レンズを使った飛行機や野鳥、マクロレンズを使った昆虫や深度合成など。撮影の幅が広く持てる。さらに連写コマ数や大容量バッファもそれを補うことでより使いやすいカメラとなっている。
フォーサーズ規格の特徴的な望遠レンズを使える点も良い。フォーサーズからの移行組なら間違いなくこのモデル。
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静物・風景撮影なら『OM-D E-M5 MarkII』
ハイレゾショットを使った高解像度な風景撮影は特に建築物とは相性が良い。また、強力な手ぶれ補正と防塵防滴を活かしてハードなロケーションでも撮影が続行出来る点は上位機種のE-M1よりも優れている。
バリアングルを使った様々なアングルの撮影もそういったロケーションでの手助けとなるだろう。
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スナップ撮影が多いなら『OM-D E-M10 MarkII』
小型軽量で5軸手ぶれ補正を搭載。それでいて連写性能やチルト液晶・電子シャッターに対応している。
コンパクトなボディを活かせるコンパクトなレンズと相性が良く、その機動力を活かしたスナップ撮影に最適だろう。画質そのものはOM-D上位機種譲りのローパスレスな1600万画素クラス。深度合成やハイレゾショットなどの飛び道具が必要無ければこのクラスで問題ない。
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