値下げしてきた7D Mark2か?相場が安定している70Dか?
発売から1年が経つ7D Mark2の価格がだいぶ落ち着いてきた。当初は20万円とAPS-C機としては最高級クラスの価格でなかなか手が出せなかった方もいらっしゃる事だろう。しかし、その価格に見合う65点オールクロスAFセンサーや連写性能を有しておりなんとも悩ましいカメラだ。
一方、一眼レフ機、特にミドルクラスでは初となるタッチパネルのバリアングル液晶を搭載したEOS 70Dも魅力的だ。
2020年のオリンピックに向けて新機種が出るだろうが、もちろん新しいカメラはご祝儀価格もあり、「高値の花」になる可能性が高い。それなら十分性能が見込める7D Mark2や70Dでもいいのじゃないだろうか?65点オールクロスが要るか?動体ガンガン撮りたいけど、やっぱバリアングル欲しいかも…って事を考えるとEOS 70Dも考えちゃう。さて今回はそんな悩みを2機種を比較しながら検討していこう。
スペック比較
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
センサー | 高感度・解像 大型単版CMOS |
|
有効画素 | 約2020万画素 | |
処理エンジン | デュアル DIGIC 6 |
DIGIC 5+ |
デュアルDIGIC 6
同様の有効画素だが、処理エンジンが別物。最新の処理エンジンである事に加えて、それを2基搭載している。処理自体はDIGIC6のそれだが、2基搭載することによって処理速度を向上。連写速度や動画の処理速度向上に貢献している。また、DIGIC5+と比べて高感度耐性(ノイズの減少)が見込めるとの事だ。ISO常用感度の違いで半段分、さらにノイズリダクションでそれ以上の効果を実感できる。とは言ったものの、DIGIC5+も一眼レフ機専用にカスタマイズされたプロセッサーなので、一概には比較出来ないとインタビューの記事がある。
参考:デジカメWatch EOS 7D Mark2 インタビュー
古い「カメラマン」の記事でDIGIC4とDIGIC5+では処理速度に「17倍の差」があるらしいとのこと。ではDIGIC5+とデュアルDIGIC6との差は如何程か、それは後述する2000万画素の秒間10コマ連写やフルハイビジョンのフレームレートで差が表れている。
参考:カメラマン 1DX開発陣インタビュー
歪曲補正を撮影時に可能
細かい点として歪曲収差を撮影時に補正できるのは7D Mark2。70Dでは歪曲収差の補正は一度RAWファイルに落とし込んでから出ないと補正出来ない。どのみちDPPでデジタルレンズオプティマイザを使うのであれば、70Dでも特に問題にはならない。
また、歪曲収差を補正しながら撮影しても秒間10コマは維持出来るらしい。但し、連続撮影可能枚数は落ちる。
デュアルピクセルCMOS AF対応
どちらもライブビューはデュアルピクセルCMOS AFであり、ライブビューにおいても高速なAFを期待出来る。後述するが、タッチパネルは70Dのみであり、ライブビューを使い易い点では7D Mark2は劣る。
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
スロット | 2 | 1 |
メディア | SD (HC・XC・UHS-I対応) CF (I・UDMA対応) |
SD (HC・XC・UHS-I対応) |
形式 | JPEG・RAW14bit |
デュアルスロット搭載
7D Mark2はCF・SDカードの2つのスロットを搭載している。今でこそ2000万画素は抑え気味な画素数となってしまったが、それでも1200万画素や1600万画素の時代にくらべるとファイルサイズは大きく重い。
記録メディアの容量や転送速度を考えるとデュアルスロットである恩恵は大きい。難点はノートパソコンなどは直接CFを挿入できるスロットが無くなって来ているので、カードリーダーを買う必要がある場合も。まあそんなに高い買い物ではないが。
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
シャッター速度 | 30-1/8000秒 | |
連続撮影速度 | 高速 10コマ/秒 低速 9コマ/秒 静穏 4コマ/秒 |
7コマ/秒 |
連続撮影枚数 | JPEG L 約130枚 RAW 約24枚 JPEG L + RAW 約18枚 |
JPEG L 約40枚 RAW 約15枚 PEG L + RAW 約8枚 |
1DXの14コマ/秒には及ばないが、金額を考えると十分すぎる10コマ/秒。1DXより画素数が多いながらバッファも強く、RAWで24枚も詰まらずに撮影出来る。70Dも連写が効かない訳ではなく、秒間7コマでRAW連写15枚撮影可能。フラッグシップ機と比べてしまうと可哀想だが、アマチュアユースで使うなら「連写コマ数はこれで十分」と思われる方もいるだろう。
あまり連写しすぎると後の整理が大変だったりする。
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
測距点 | 65点 クロス65点 |
19点 クロス19点 |
検出輝度 | -3-18 | -0.5-18 |
AFサーボAF特性 | 被写体追従 速度変化追従 乗り移り追従 |
被写体追従 速度変化追従 |
測光方式 | 252分割 15万画素RGB IR測光センサー |
63分割 |
検出輝度 | 0-20 | 1-20 |
ISO感度 | 100-51200 | 100-12800 |
65点オールクロスセンサー
なんとEOS-1DXよりも多い65点オールクロスセンサー。これで15万円以下なのだから、迷わず買っちゃえば?と背中を押してみたい。フルサイズ機では出来ない広範囲のエリアをカバーしている。じゃあ1DXってどうなの?って思っちゃう所だが、センサーの違い(オールデュアルライン)で細かな模様やコントラストの低い被写体に対してはEOS-1DXが有利との事。7D Mark2が1DXとくらべても有利な点は「AFエリアが広い」「7種類の多彩な測距モード」「追尾能力の向上」「低照度での中央F2.8を使ったAF」。うん、十分過ぎるぜ
参考:デジカメWatch インタビュー 記事中ほどに記載
一方、70Dは19点と少ないがオールクロスのAFセンサーを搭載。X8iや8000DとAFセンサーが一緒なので、この点で比較すべきはこの2機種だろう。7D Mark2は別次元過ぎ。後述するメリットを活かしてライブビュー撮影を積極的に行っていきたいところだ。
暗所に強い
7D Mark2は検出輝度EV-3に対応している。屋内スポーツや夜間飛行の撮影など、光量が十分でないシーンにおいても十分な性能を発揮してくれるだろう。70Dは競合の他メーカーの機種と比べても若干暗所に弱い。
AFサーボ特性が多彩
特に70Dと違う点は「乗り移り追従特性」。これは被写体の手前を遮蔽物が遮ったとしても、その後に被写体に追従する度合いを設定出来る。これを速度変化などと合わせて設定すれば、サッカーなどの入り乱れるスポーツから一定速度で一定方向に流れる鉄道など様々なシーンに対してベストな設定を組み易い。
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
視野率 | 100% | 98% |
倍率 | 1.00倍 | 0.95倍 |
フォーカシング スクリーン |
交換可能 | 固定式 |
モニタ | 3.0型 約104万ドット | 3.0型 約104万ドット |
タッチパネル | 不可 | 可能 |
モニタ可動 | 不可 | 2軸バリアングル |
視野率100%
キヤノンのAPS-C機として視野率100%はこの7Dシリーズのみ。ちょっと残念だが、70Dは98%と若干見えない部分がある。ファインダー倍率は僅差なので、見比べてびっくりするような違いは無いだろう。
フォーカシングスクリーンが交換可能かどうか
地味に大きいのがコレ。70Dの場合は万が一スクリーンを傷つけた場合には修理交換を依頼しなければならないが、7D Mark2は交換が可能だ。まあ、触らなければまず傷は付かないのだけどね。70Dの場合は埃が付着した時の清掃は注意して行うか、諦めて清掃業者に持って行こう。
また、大口径レンズを使用した時にピントの山が見やすい別種類のスクリーンも販売しているので交換して楽しめるのも7D Mark2の良い点。
タッチパネル・可動液晶なら70D
中級機以上でタッチパネルとバリアングルを搭載しているのはEOS70Dのみ。この点においてEOS 7D Mark2よりも秀でている。特に7D Mark2では撮影しにくいローアングルやハイアングルの撮影も可能と言うのは大きい。撮影の幅も広がる上に、三脚使用時などでライブビューでピントを追い込むときも可動液晶が物を言う。さらに言えば、防塵防滴性能を有したバリアングル可動液晶搭載のカメラは他社メーカーを見ても数少ない。
参考:デジカメWatch EOS 70Dレポート
ボタン類の多さは7D Mark2
70Dはバリアングルの性質上ボディの左手側にボタンを配置出来ない。その点、7D Mark2は左手側にも操作ボタンを配置する事が出来る。これによって、撮影時にクイックな操作を求められるボタンを必要な場所に配置しやく、フルサイズ機並みの操作性を誇っている。
個人的にはAFエリアの広さを活かす為、瞬時にエリアの拡大や変更を実施できる「測距エリア選択レバー」の存在がオススメできるポイント。
参考:日経トレンディネット EOS 7D Mark2解説
EOS 7D Mark2 |
EOS 70D | |
動画 フレーム |
1920*1080 59.94p |
1920*1080 30p |
映像形式 | MPEG-4 AVC | MPEG-4 AVC |
音性形式 | リニアPCM、MP4 AAC | リニアPCM |
内蔵マイク | モノラルマイク | ステレオマイク |
WiFi/NFC | 不可/不可 | 可能/不可 |
GPS | 搭載 | 非搭載 |
防塵防滴 | 良好 | 対応 |
ボディ材質 | マグネシウム合金 | プラスチック |
撮影可能枚数 | 約670枚 | 約920枚 |
サイズ | 148.6*112.4*78.2 | 139*104.3*78.5 |
重量 | 910g | 755g |
フレームレートの高いフルハイビジョン動画の撮影が可能かどうか
7D Mark2は画像処理エンジンを2基搭載しているので、フレームレートの高いフルハイビジョン撮影が可能。但し、マイクはモノラル。
70Dはバリアングル液晶を使って自撮りが捗る。特にYoutuberでは愛用者が多数いるらしい。拘りがなければフレームレートが30pでも問題ないだろう。内蔵マイクはステレオ。
WiFiが使えるか使えないか
WiFiを単独で使える点は70Dのメリット。例えば、登山で三脚を固定して自撮りしたい時やブレを抑えるたい時に遠隔操作できる点は見逃せない。また、お散歩カメラとして持ち歩いてそのままスマホと画像をシェアしてSNSへのアップロードも可能だ。
7D Mark2はWiFiを使うためには別売りのワイヤレストランスミッターを端子に繋ぐ必要がある。WiFiを使えないこともないが、やや面倒。WiFi可能なSDカード「FlashAir」も使えるので、デュアルスロットである利点を活かしてSDカードでWiFiに対応すると言う手もある。電池を消耗し易いので注意。
GPS対応かどうか
70DのWiFi搭載とは逆にGPSは7Dの Mark2のみ搭載している。WiFiよりも優先してGPSを搭載した理由は、マグネシウムボディの堅牢性を優先してWiFiの無線を遮ってしまうこと、WiFiよりもGPSの方がプロユースでの希望が多かったみたいだ。例えば、登山で撮影する場合に、周りに目印がない場合「どの辺りで撮影したのか?」が瞬時に解るGPS情報を添付出来たほうが便利だからだ。
堅牢なマグネシウムボディか計量なプラスチックボディか
7D Mark2はマグネシウム合金ボディに高い防塵防滴性能を有する。環境に変化のあるフィールドでの撮影でも信頼できる機材。その分重く、APS-C機の中では重量級。特に動体追従性能を活かす望遠レンズと組み合わせると、かなり重く感じることだろう。一方、70Dはプラスチックボディながら防塵防滴性能を有しているので軽量ながら耐候性能は無くはない。
高性能と引き換えのバッテリーのもち具合
7D Mark2はデュアルDIGIC6などの高性能処理エンジンを搭載して、連写性能や動画性能の向上を得た反面、バッテリーのもち具合は低下した。それも3分の2程度の撮影枚数となったので、予備バッテリーを持たないと心もとないところ。
まとめ
失敗したくない一瞬に EOS 7D Mark2
まあ、このページにたどり着く前にこのカメラ絶対買う!って決まっている方が多いと思う。ここまで比較してきて、EOS 70Dと比較したらあかんかった事に気が付いた。だって性能ぜんぜん違うもの。AF性能は現行の一眼カメラの中ではトップクラス。失敗したくない一瞬に、むしろ失敗したら機材のせいに出来ない機材がコレだ。
言い訳無用でこのカメラを持った以上、機材の心配は置いといてファインダー越しの被写体に集中できる、そんなカメラ。
一ついえることはネイチャーやお散歩スナップにはオーバースペック過ぎる。「とりあえず一番高いカメラ選んどけばOK」的な買い方だと宝の持ち腐れになる可能性大。一眼レフの中でも結構重量級なカメラなので、Kissにしときゃ良かったな…とか後悔しないように。
このカメラの性能を発揮するシーンは例えば、「子供の試合観戦」や「野鳥撮影」「スポーツ観戦」など。激しく動く被写体と周辺に遮蔽物が多いシーンなどではピントも迷わず追従し続けた時には、「買ってよかったなあ…」と実感しやすいと思う。鉄道やカーレースなど、動く方向が決まっている被写体に対しては70Dでもいいのじゃないかなあってところだ。
2020年にはオリンピックが控えている。7D Mark2と望遠レンズを携えて国立競技場へ足を運んでみよう。
EOS 70Dとくらべて価格差は5万円程。APS-C用ズームレンズ1つくらいの価格差でこの性能がゲット出来る。バリアングルが必要ない、他の機種で間に合っているのならオススメは間違いなくコチラ。また、オリンピックで食い付きの良いカメラの需要が高まると思われる。もしこのカメラを検討しているのであれば中古市場を含めて価格が上がる前に購入しておくと良いだろう。
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EOS 70Dの持ち味は何でも出来る便利なカメラな事。画素数も欲張ってないし、防塵防滴で軽量。WiFiとバリアングルで撮影の幅は広いし、タッチパネルを使ったお手軽エリア指定も可能。可動液晶の無いフルサイズ機を使っているのなら、尚更実感できる守備範囲の広さがEOS 70Dの特徴だ。
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