ローパスレス機を比べて見よう
そもそもローパスフィルターとは?
ざっくり言えば、解像度の高いレンズによる細かい光情報がセンサーで処理しきれなかった時に偽色(モアレ)が出る。
その偽色を出さない為に「あえて細部をボカす」装置がローパスフィルターだ。
どんな時に偽色が発生するかと言うと…
細かい網目模様が、細かすぎて偽色が発生している。
この偽色をローパスフィルターを使うことで
この様に改善する。すごいぜローパスフィルター!
しかし、ローパスフィルターには欠点が
しかし、このローパスフィルターには欠点がある。「細部をボカす」技術なので結果としてレンズの細かい光学情報の質を落としていると言うこと。落すと言うより「センサーの能力に合わせている」といったところだろうか。
現在、このローパスフィルターを積極的に搭載しているのはCanonくらい。
と言うのも、このローパスフィルターは結構装置の中では高価なパーツらしい。つまりローパスフィルターを抜いてお値段据え置きに出来れば粗利が増えるって計算だ。とまあ、メーカーの思惑が透けて見えるローパスフィルターレスだが、取り除くことで偽色の可能性は増すわけなのでユーザーにも恩恵がある。
それは、「細部をボカす」フィルターがなくなったので、結果としてレンズの光学情報をセンサーに伝え易くなった。つまり、センサーがその光学情報を処理できれば「解像度」は向上するわけだ。それが高画素化の流れであり、PENTAXやNikon機のAPS-C機2400万画素化と言う訳だ。
ローパスフィルターを積極的に搭載しているのはCanon。どちらかと言えば搭載していないのがNikonをはじめ富士フィルムやオリンパス、リコーイメージング(PENTAX)などなど。なるほど、ローパスフィルターを積んでるからと考えるとエントリー機が出た際もCanonだけちょいと価格が高いのも頷ける。
解像度だけが全てでは無いのでトータルバランスとしてのCanonの姿勢もアリな訳で、Nikonと路線が違って面白いと思う。ダブルマウントするほど余裕も無いので、いつの機会かでCanon機も使って見よう。
じゃあローパスフィルターレス機の中ではどの機種が良いのか?
風景撮影をするならそりゃローパスレスでカリカリ解像感を表現したみたいよねって人も思う。私なんか特にそう。
じゃあ、結構機種が出回ってきたローパスフィルターレスの機種の中で実際どれにしたら良いのかな?
そこで今回は「ローパスレス機」に絞って、どれを買うのが良いのか考えて見よう。
富士フィルムもX-T1やX-A1などのローパスレス機を出しているが、あまり手広く検証すると比較対象が膨れ上がる。
よって今回は最近の一眼レフ機に絞る。
下記に数値を元に検証するが、先に結果が知りたい方はこちらから
Dxo Markで機種を比較しよう
まずはDxO Markにおける数値の結果だ。
この数値、軒並みCanon機の数値が悪く評判が悪い。冒頭でも書いたとおり、Canonはセンサーを自前で製作していたり、Nikonなどのフィルターレスとは毛並みが違うので当然と言えば当然。「解像感」と焦点を当てた際にはローパスフィルターレスで基本設計をしているセンサーに軍配が上がるのではないだろうか、と今は考えよう。
と言うわけで、今回はローパスレス一眼レフ機にスポットを当てているのでこの際Canon機は除外。
また、D7200やD5500、K-S2はまだベンチマークが無いので、マイナーチェンジ前の機種の数値を参考にする。
参考までに現在最高のベンチマーク数値をたたき出しているNikonD810も数値を出しておこう。
機種 | 総合数値 | 色深度 | DR | ?Low-Light |
D810 | 97 | 25.7bit | 14.8EV | ?2853iso |
D7100(200) | 83 | 24.2bit | 13.7EV | ?1256iso |
D5300(500) | 83 | 24bit | 13.9EV | ?1338iso |
K-5iis | 82 | 23.9bit | 14.1EV | ?1208iso |
D3300 | 82 | 24.3bit | 12.8EV | ?1385iso |
K-3 | 80 | 23.7bit | 13.4EV | ?1216iso |
K-S1(2) | 78 | 23.5bit | 13EV | ?1061iso |
如何だろうか?私はまとめてみたが、実はよく分からない。
色深度というのは表現できる色の階調の幅。
DRは表現できる明暗の幅
ISOはDxoが考える、常用できるisoの限界値。(但し、そこから超高感度域までの粘り具合はまた違う結果になるのでご注意を)
さすがにこの数値はフルサイズのD810とAPS-Cとでは差が開く。
よく聞く「素晴らしい値」と言うのは色深度で22bit、DRで12EVだそうだ。
6機種はその数値は上回っているので、実際あまり差は無いと思われる。
特にD3300は特徴的でダイナミックレンジに目を瞑ればなかなか良い結果だ。Nikonのエントリー機の割には上位機を食っている。数値的に見るとK-S1がこの中では最下位だ。と言ったものの総合数値でもK-3と2ポイント、K-5iisとも4ポイントしか離れていない。この差を肉眼で確認できるか?と言われると難しいのでは無いだろうか。
この数値を見ると改めてAPS-Cサイズのセンサーは能力の向上頭打ちって感じだ。D3300やD5500の数値から見るにもう数年もすればエントリーAPS-Cセンサーはミドル・APS-C旗艦機と変わらないなんて事になってるかもしれない。
とするとエントリー機とそれらを分けるとすると機能面と言う事になってくるだろう。
機能面で機種を比較しよう
実際、数値的にこの機種を選ぶのは難しいので、機能・価格面で考えていこう。
表が幅広になってしまった。スマホで見ている方は申し訳ない。
画素数 | Wスロット | WiFi | 防塵防滴 | 可動液晶 | OVF | 価格(2015.3現在) | |
D7200 | 約2400万 | ○ | ○ | ○ | × | プリズム | 133,580円 |
D5500 | 約2400万 | × | ○ | × | ○ | ミラー | 75,266円 |
D3300 | 約2400万 | × | × | × | × | ミラー | 38,720円 |
K-3 | 約2400万 | ○ | × | ○ | × | プリズム | 75,310円 |
K-5iis | 約1600万 | × | × | ○ | × | プリズム | 63,366円 |
K-S2 | 約2000万 | × | ○ | ○ | ○ | プリズム | 77,438円 |
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Dxoの数値は6機種中最下位だったが、便利機能全部入りはK-S2。ただし稼動液晶はタッチパネルじゃないので気をつけよう。
D5500はこの6機の中では稼動液晶でタッチパネルの唯一の機種だ。Canon機ではバリアングル+タッチパネル機は多いので、それが気になる方はCanon機を探して見よう。タッチパネルが必要なければD5300と言う旧機種も選択肢にあがるだろう。
画素数が1600万画素なのはK-5iisのみ。RAWデータの容量が抑えられるので全体的なデータストックにかける費用が2400万画素に対して少なくて済むだろう。しかし、レンズの光学情報を拾いきれずに偽色が出易い機種とも言えるかもしれない。
D3300は数値上は良い結果だが、機能面で省かれている事は多い。K-S2はいつの間にこんな価格下がったんだって値段。
目的別の機種考察
全体的なコストを抑えて防塵防滴システムならK-5iis
バッファが弱く連写は利かないが、全体的なバランスの整っている人気のシリーズ。Dxoの数値もD7100と一緒に上位フルサイズ群の上位に食いつく勢いだ。今なら6万ちょっとで購入でき、中古なら6万を割る商品もある。1600万画素とローパスレスにしては画素数が抑えられており、手振れなどの微妙なブレ・ピンズレなら許容範囲か。
高感度耐性が高くK-3が霞んで見えてしまうが、やはり高画素の恩恵を受けた高級レンズ群での使用感はK-3に歩がある。
また、デュアルスロットによるRAW+JPEGや全体のデータ容量の持ち運び易さも考えると一概にK-5iisとはいえない。
1600万画素に対して、レンズの解像力が上回るとモアレが出易いので気をつけよう。
コストを抑えた防塵防滴ローパスフィルターレス機ならこれだ。
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全体的なコストを抑えてローパスレスを楽しみたいならD3300
レンズキットで5万以下のくせに、センサーの数値的には上位機種を食ってる侮れない下克上機種。
バリアングルも防塵防滴もないが、画質だけで考えると良好。
あまり軍資金がないのであれば、ボディ価格を抑えてレンズに資金を回すのも有りな機種だ。
将来的にフルサイズを検討しているなら、レンズ資産>ボディだろう。
防塵防滴構造では無いので、雨の日は使用を避けたほうがいい。
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全体的なコストを抑えてバリアングルならD5300、タッチパネルならD5500
ローパスレスのバリアングルが欲しい!でもお金が無い!って時に安いのがこちら。
画質も数値的に見るとかなり良好。WiFiも搭載しており使い易い。
割高になるが、D5500でタッチパネルも実装したので余裕があればこちらもいいだろう。
ローパスレスでタッチパネルバリアングルの機種は少ない。少ないと言うかこれ以外にあるだろうか?
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防塵防滴のバリアングルならK-S2
タッチパネルは付いていないがバリアングルでローパスレス、防塵防滴ならこの機種だ。
WiFi+NFCや自撮りボタンなど、SNSや旅行で友達とワイワイやるには良い便利機能全部入りの機種。
安い防滴レンズも揃っているのがありがたい。大所帯で旅行していて何かと起こるハプニングやシチュエーション。
防塵防滴システムはそういう時に活きてくる。
おまけにペンタプリズムだったり、シャッタスピードも1/6000まで稼げたりと地味に出来るやつ。
Dxoの数値は目立った数値が無いが、他の5機種が優れているって話でもある、
もう少し価格がこなれて来たら買っちゃうと思う。
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軍資金に余裕があって、APS-CのローパスレスならD7200。
レンズ群がフルサイズ対応で全体的なコストが高くなってしまうが、それでも問題なければD7200だろう。ある程度、資金に余裕が出来たらこれを下取りにD810などなど。
D7100からマイナーチェンジで連写関係が強化されWiFiも実装したのでさらに使い易くなった。しかし、連写強化されたと言ってもK-3の撮影可能コマ数に負けている(14bitで23コマのK-3に対して18コマ)とまあ言ってもそこまで連写しなけりゃあまり変わらないのだが。
重要な点はPENTAX機よりもAF精度は高い事(高いと言い切るとアレなので、「高いだろう」)。
やはりいくらコマ数撮れてもピント外してたら意味が無い。ジャスピンであってこその解像度だ。
また、マイナーチェンジの内容にあまり惹かれなければD7100と言う選択肢もありだろう。
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軍資金に余裕があって、PENTAX一押しの単焦点群を使うならK-3
バリアングルも単独でWiFiも使えないが、PENTAXのFAlimited群など高級レンズを使うのであればこれだろう。
フルサイズ機を購入する予定がなければ、PENTAXレンズの能力を引き出すことの出来る最上位機。
レンズによる画質の触れ幅が大きいので、結果としてシステムのコストは高くつくと思う。
FAlimited群がもう少し安ければなあ…。
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ローパスレス機の注意点
ローパス機においてその解像感を発揮する為には「手振れの防止」「ピントの正確性」「レンズの解像度」が非常に重要であり、影響を及ぼし合う。どれか一つが悪いと他の性能や状態が良かったとしても、解像度の向上は出来ない。
駄目駄目な状態を解像感により鮮明に浮き上がらせてしまうだろう。
そこまで解像感に拘る必要もないだろうが、ローパスレスの効果を最大限に発揮した写真は引き伸ばし写真やトリミングにもより対応出来、表現の幅が増えることを考えると是非ベストコンディションで臨みたい。
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