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キヤノン RF75-300mm F4-5.6 レンズレビュー完全版

このページでは「RF75-300mm F4-5.6」のレビューを掲載しています。

RF75-300mm F4-5.6のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 300mmズームとして破格
サイズ 300mmズームとして一般的
重量 300mmズームとして軽量
操作性 フォーカスリングとスイッチは要確認
AF性能 DCモータ駆動は用途によって限界がある
解像性能 広角側や中央は許容範囲内
ボケ 滑らかで綺麗
色収差 全体的に補正必須
歪曲収差 広角側以外は補正の必要性が高い
コマ収差・非点収差 良くも悪くもない
周辺減光 ズーム両端で目立つ
逆光耐性 RFレンズとしては最も悪い
満足度 ようこそ300mmの世界へ

評価:

レンズの評価

Welcome to the world of 300mm

兎にも角にも破格の「エントリー300mm」。
主な長所はフルサイズの300mmを3万円で使うことができること。ただ一つ。
それ以外は妥協の産物。

敢えて言うと、注意すべき点は光学性能ではなくオートフォーカスと手振れ補正。光学性能はカメラ側の処理や現像ソフトである程度の補強が可能。ただし、手振れ補正とオートフォーカスはどうしようもありません。

  • 高ISO感度による画質低下が気にならない
  • 撮影中にフレームが揺れて構図が安定しない
  • 動体にピントが合いにくくても笑って許せる

このあたりを許容できるのであれば、付き合うことができるズームレンズなのかなと。
300mmを手ごろな価格で体験してみたいあなたに。

ようこそ300mmの世界へ。

In any case, the “Entry 300mm” is an exceptional value.
The main advantage is that you can use a full-size 300mm lens for 30,000 yen. That's the only advantage.
Everything else is a compromise.

To be specific, the points to note are not the optical performance but the autofocus and image stabilization. Optical performance can be improved to some extent through camera processing or post-processing software. However, image stabilization and autofocus are beyond improvement.

  • You don't mind the loss of image quality at high ISO sensitivities
  • The frame shakes during shooting, making it difficult to stabilize the composition
  • You can overlook the difficulty in focusing on moving subjects

If you can accept these points, this might be a zoom lens worth considering.
For those who want to experience a 300mm lens at an affordable price.

Welcome to the world of 300mm.

RF75-300mm F4-5.6

2025年に発表されたキヤノンRFマウント用の望遠ズームレンズ。
他社ではありえないような低価格が特徴的。ただし、使用している光学系は数十年前に登場したEFマウント用レンズのもの。さらにフォーカスの駆動方式はRFマウントで珍しい「DCモーター」を採用しており、徹底したコストダウンを実現。極めつけは光学式手振れ補正が非搭載で、EOS RPやR8など、ボディ側の手振れ補正が非搭載のカメラで扱うときには注意が必要となります。

レンズの特性をよく理解して購入する必要がありますが、それらを考慮しても3万円ちょっとでフルサイズ用望遠ズームレンズを購入できるのが魅力的。特にサードパーティ製レンズの選択肢がないキヤノンRFマウントにとって、貴重な製品と言えるでしょう。

主な仕様

RF100-400mm F5.6-8 IS USM」と比べると最短撮影距離が長いものの、300mmを利用することで0.25倍まで被写体を拡大することが可能。レンズ構成枚数は13枚で、実はRF100-400mmよりも多い。ただし、非球面レンズやUDレンズは未使用。

初値 31,680円
レンズマウント RF
対応センサー フルサイズ
焦点距離 75-300mm
レンズ構成 9群13枚
開放絞り F4-5.6
最小絞り F32-45
絞り羽根 7枚
最短撮影距離 1.5m
最大撮影倍率 0.06-0.25倍
フィルター径 58mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング スーパースペクトラ
サイズ 71.2 x 146.1 mm
重量 507g
防塵防滴 対応
AF DCモーター
絞りリング -
その他のコントロール AF/MF
付属品 ET-60 フード レンズキャップ

価格のチェック

小売店での売り出し価格は31,680円。純正品300mmクラスの望遠ズームレンズとしては破格(他社は10万円を超えている)。色々と妥協は必要かもしれませんが、それでも面白い選択肢の一つ。無いよりあったほうがいい。

RF75-300mm F4-5.6
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ビックカメラ マップカメラ ECカレント eBEST
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次の選択肢は「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」となりますが、販売価格は75-300mmの倍以上。それだけの価値はあると思うものの、レンズに8万円も捻出することが出来ない人にとって75-300mmは貴重な存在。

RF100-400mm F5.6-8 IS USM
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レンズフード ET-74B
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

キヤノンらしい黒を基調としたシンプルなデザインの箱。
EOS R5 Mark IIと同じく、環境に配慮した梱包材に切り替わっており、プラスチック素材の梱包材がなくなっています。

レンズ本体のほか、書類を除けば同梱するのは前後のレンズキャップのみ。
非Lシリーズのレンズらしく、レンズフードは別売り。

外観

RFレンズらしく、外装はプラスチック製でグレーの塗装が施されています。ブラック寄りのLシリーズレンズと比べると、グレー味の強いカラーリング。色の違いを除けば、Lシリーズと同程度の質感で見劣りはしません。ズームリングは従来通りゴム製で、フォーカスリングはローレット加工の施されたプラスチック製。

光学手振れ補正が非搭載のためか、鏡筒がスリムでマウント径とほぼ同じ。外装は非常にシンプルで意匠はCanonのロゴくらい。シリアルナンバーは鏡筒にプリント。

ズーム時に伸びる内筒もプラスチック製。金属製の内筒ほど頑丈な質感ではないものの、がたつきはありません。

驚くことに、最近のズームレンズでは珍しい繰り出し式のフォーカス方式を採用。フォーカシングにより前方のレンズが前後に移動します。フィルターやレンズフードが回転しながら伸縮するので、手でつかまないように気を付けたいところ。

フォーカスにより伸びた内筒は電源オフ時に自動で収納されます。(初期設定の場合)

ハンズオン

ミラーレス用の300mmズームレンズとしては最軽量の約507g。フルサイズミラーレス用300mmとしては細身で軽く、収納性は悪くありません。

前玉・後玉

対応するフィルター径は58mmと小さい。フォーカス時にフィルター面も回転するため、C-PLは使い辛い。また、C-PLを操作しようとフィルターを回転すると、あやまってフォーカスを操作してしまう可能性あり。

Amazonで58mmフィルターを探す

金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定されています。マウント面には「マレーシア製」の表示あり。もともと一眼レフ用レンズということもあり、バックフォーカスは長め。最後尾のレンズは鏡筒内部に隠れています。

フォーカスリング

細めのプラスチック製フォーカスリングをレンズ先端に搭載。RFレンズではめずらしいメカニカルなリングであり、電源オフ時でもフォーカスを操作可能。ただし、撮影距離指標が存在しないため、電源オフのままピントを合わせるのは難しい。

AFモード時はDCモーターが直結しており、フォーカスリングを操作するとDCモーターまで回転します。破損のリスクを避けるためにも、フォーカスリング操作時はMFモードに切り替えておきたい。

フォーカスリングのストロークは約90°で、これはズーム全域で同じ。素早く操作できますが、細部のピント合わせにはストロークが短いと感じるかもしれません。

ズームリング

75mmから300mmまで操作できる幅の広いズームリングを搭載。全域のストロークは90°を少し超える程度で、焦点距離を素早く変更することができます。回転操作は重すぎず軽すぎず。操作時は滑らかに回転しますが、動画撮影でムラの無いズーム速度を維持できるほどではない。

ズームリングをロックするスイッチはありません。

スイッチ類

左側面にAF/MFスイッチのみ搭載。スイッチの意匠はRFレンズと言うよりは、古いEF75-300mmに近いもの。さらに塗装も省略するくらいにコストカットされています。

前述したように、AFモード時はDCモーターとギアがかみ合っているので、フォーカスリング操作時はMFモードに切り替えることをおススメします。

レンズフード

別売りレンズフード「ET-60」を購入。バヨネットタイプですが、他のRFレンズ用と比べると固定力が弱く、逆さ付けは難しい。また、フード着脱時にフォーカスユニットが回転してしまう可能性あり。着脱時はフォーカスリングを握って固定しておくと良いでしょう。

装着例

EOS R5 Mark IIに装着。スリムな鏡筒ですが、全長は300mmズームレンズなり。沈胴構造で短くできるとよかったものの、そのような構造ではありません。

片手でもカメラを保持できる程度に軽い。しかし、光学手振れ補正が非搭載なので、レンズ先端を安定させるためにも左手をレンズに添えたいところ。ただし、フォーカスリングやレンズ先端を握ると、フォーカスに干渉してしまうので注意が必要。

手振れ補正

光学式手振れ補正を搭載していないため、ボディ側のセンサーシフト式手振れ補正を利用することになります。もちろん、R8やRPなど、センサーシフト式手振れ補正を搭載していないカメラは利用不可。

また、300mmのような望遠域はセンサーシフト式より光学式が適しています。多少は効果があるものの、光学式ありの場合より揺れが大きい。

AF・MF

フォーカススピード

DCモーター駆動+レンズ繰り出し式で動作。当然ながら、ナノUSMのインナーフォーカスレンズと比べると雲泥の差。それでも一般的な撮影距離であれば、十分と言えるくらいにキビキビと動作。ただし、低コントラスト、低照度でAFが迷走する場合は合焦速度が大幅に低下します。

DCモーター駆動でサーボAFは可能なのか?と不安でしたが、合焦後は思いのほか滑らかに動作します。駆動音も予想していたより静か。ただし、実際に撮影してみると微妙にレリーズのタイミングが遅く、ややミスショットというカットが多かったです。動体撮影が中心であれば、他のレンズを検討したほうが良いでしょう。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

75mm

レンズ繰り出し式フォーカスということもあるのか、最短撮影距離と無限遠で画角が大きく変化します。

300mm

広角側と同じく、画角の変化が大きい。

精度

EOS R5 Mark II と組み合わせた限りでは、ワンショットAFでミスショットはほとんどありません。失敗の原因は被写体検出の誤検出など、カメラ側が原因であることが多い。サーボAFの場合、レリーズのタイミングが遅く、少しピントが外れた写真となる可能性あり。

MF

メカニカル式で90°のストロークを備えたフォーカスリング。必要十分ですが、細部の微調整には不向き。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:EOS R5 Mark II
  • 交換レンズ:RF75-300mm F4-5.6
  • パール光学工業株式会社 「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 200-400
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像 ・シャープネス オフ ・ノイズリダクション オフ ・色収差補正オフ ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影 (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

注意

本レンズは最短撮影距離が1.5mであり、広角側では最大撮影倍率が低い。このため、定型の解像チャートテストでは所定の倍率まで接近することができません。従来とは異なる測定方法を実施しています。135~300mmは従来通り。

75mm

テスト結果

中央は絞り開放から良好な結果。絞っても大幅に改善することはありませんが、高解像センサーでも実用十分な結果が得られます。その一方で周辺や隅は画質が大幅に低下。これは遠景では目立たなかった偏芯の影響あり。偏芯の影響を考慮すると、もう少し良好な結果が得られるかもしれません。

中央

周辺

四隅

数値
  中央 周辺部 四隅
F4.0 4093 2784 1974
F5.6 4754 3667 3401
F8.0 4455 3979 3017
F11 4459 4335 4154
F16 4215 3856 3538
F22 3257 3257 3244
F32 2385 2464 2197

100mm

テスト結果

75mmと同じく中央は絞り開放から良好。実用的な画質。その一方、周辺と隅は引き続きソフトな画質。偏芯の影響を考慮すると、もう少し良好な結果が得られるかもしれません。

中央

周辺

四隅

数値
  中央 周辺部 四隅
F4.5 4393 1660 1262
F5.6 4090 2047 1716
F8.0 4105 2965 2377
F11 4285 3414 3505
F16 3825 3656 3737
F22 3063 2817 3139
F32 2533 2462 2331

135mm

テスト結果

周辺や隅の評価は偏芯があるため割愛。
中央は引き続き実用的な結果が得られています。F8まで絞ると若干の改善効果あり。

中央

周辺

四隅

数値
  中央 周辺部 四隅
F4.5 3800 2691 2456
F5.6 4040 3373 2775
F8.0 4537 3234 1941
F11 3952 3251 2106
F16 3345 3317 3272
F22 3133 2811 2522
F32 2148 2267 2268

200mm

テスト結果

中央は引き続き良好。「非常に良好」とは言えませんが、実用的で特に不満はありません。絞ると徐々にコントラストが改善しますが、絞りによる光量低下を犠牲にするほどの効果は得られません。周辺や隅は広角側と比べると安定しています。偏芯の影響は控え目。

中央

周辺

四隅

数値
  中央 周辺部 四隅
F5.0 3960 2978 2251
F5.6 4166 3126 2451
F8.0 4507 3454 2322
F11 4688 3276 2899
F16 3512 3075 2747
F22 3182 2920 2739
F32 2580 2145 2193

300mm

テスト結果

中央の解像性能が低下しますが、絞ると改善します。とはいえ伸びしろが少なく、F5.6で妥協するのも一つの手。日中屋外で絞れるのならF8-F11がおススメ。周辺や隅は絞り開放から安定していますが、数値は高くありません。また、倍率色収差の影響が顕著で測定結果に影響を及ぼしています。

中央

周辺

四隅

数値
  中央 周辺部 四隅
F5.6 3206 2623 2894
F8.0 4029 2569 3136
F11 3876 2626 2597
F16 3344 2886 2395
F22 3003 2284  
F32 2278 1849  

RF100-400mm IS USMとの比較

広角側でのチャートテストは似たような結果。ただし、望遠側へシフトするほど中央・隅どちらもRF100-400有利の結果となります。望遠側の画質を重視するのであれば、RF100-400mmを選ぶことで大幅な改善を期待できます。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.5.30 風強め(ストーンバッグで対応)
  • カメラ:EOS R5 Mark II
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:BF BA FANG BCA-01
  • 露出:絞り優先AE ISO 100-400
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・レンズ補正オフ

75mm

中央

絞り開放から良好な結果が得られます。軸上色収差の影響が僅かに残っていますが、F8.0まで絞ると改善し、細部の解像性能やコントラストが高まります。それ以降は絞っても何もいいことはありません。

周辺

中央と比べると細部の描写が僅かにソフトで、非点収差のような流れがあります。とはいえ、細かく見なければ十分良好。F11付近まで同程度の結果が得られます。

四隅

中央・周辺と比べてややソフトですが、F8まで絞ると改善します。絞りによる画質の改善効果は薄いものの、概ね安定。悪くない結果だと思います。

100mm

中央

75mmと同じ傾向。フィルム時代の望遠ズームの光学系ながら健闘しています。

周辺

75mmと同じ傾向。良好な結果。

四隅

75mmと同じく、F5.6-F8まで絞ると良好な結果が得られます。過度の期待は禁物ですが、実用には十分。倍率色収差の影響が見られるものの、レンズ補正で修正可能。

135mm

中央

コントラストが少し低下しているようにも見えますが、引き続き良好な結果。F8まで絞るとコントラストが僅かに改善します。

周辺

中央と同程度の良好な結果。絞っても大幅な画質改善はありません。

四隅

非点収差のような画質の甘さがあり、これは絞ってもあまり変化しません。F8-F11まで絞ると少し改善するものの、収差を抑えるためには(回折の影響を考慮しても)F16くらいまで絞る必要があります。

200mm

中央

広角側と比べると絞り開放の画質が低下します。ベストを尽くすのであればF8までは絞りたいところ。絞ることで、まずまず良好な結果が得られます。

周辺

絞り開放付近はソフトな結果。F11くらいまで絞ると画質が安定します。ただし、細かいことを言わなければ、絞り開放でも悪い結果ではありません。

四隅

絞りに関係なく倍率色収差が目立ちます。カメラや現像ソフトでの色収差補正は必須。細部の描写に大きな乱れはありません。F11-16まで絞ると安定します。

300mm

中央

F5.6-F8で少しソフトな結果。F11まで絞ると改善しますが、コントラストが少し低い。

周辺

細部はソフトな結果となり、絞ってもあまり改善しません。実写でトリミング・クロップ無しなら目立たないかもしれません。

四隅

200mmと同じく倍率色収差が目立ちますが修正可能。極端な描写の乱れはありませんが、細部はソフトで解像性能は低め。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。 参考:ニコン 収差とは

75mm

ソフト側の修正無しでも問題ありません。光学的に補正されています。

100mm

75mmと同じく問題無し。

135mm

広角側と異なり、フレーム隅で倍率色収差が目立ちます。これは絞っても改善しないため、カメラや現像ソフトでの処理が必要となります。簡単に修正可能な収差ですが、ボケへの色付きは修正できない場合が多いです。

200mm

135mmと同じく色収差が目立ちますが、収差の量は若干減少しているように見えます。

300mm

引き続き色収差は発生しているものの、135mmや200mmよりも控え目。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。 参考:ニコン 収差とは

75mm

小口径の望遠ズームレンズですが、軸上色収差が残存しています。絞り開放付近では色収差が目立ち、2段ほど絞ると改善します。

135mm

75mmほどではないものの、絞り開放付近では色収差が発生しています。

300mm

ズーム中間域では穏やかだった色収差が再び目立つように。絞り開放ではピント面前後で色収差が発生し、2段ほど絞らないと改善しません。開放がF5.6であることを考慮すると、色収差の補正と露出とのバランスが取りにくい。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。 参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

75mm

修正無しでも歪曲収差はほとんどありません。

100mm

穏やかな糸巻き型で無視できる程度。

135mm

100mmよりも糸巻き型の歪曲が強くなり、状況によっては修正の必要性があります。ただし、簡単に修正できる収差であり、実写で問題となることは少ないはず。

200mm

135mmと同じく、やや目立つ収差が発生します。

300mm

135mmや200mmと同程度。補正を前提としたミラーレス用レンズほどの歪みではありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。 参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

75mm

細部を確認すると変形があるものの、無視できる程度。

135mm

やや目立つコマフレアが発生。2段ほど絞ると改善します。

300mm

135mmと同じく、やや目立つコマフレアが発生。完全に抑えるためには3段ほど絞る必要があります。

球面収差

75mm

完全な補正状態とは言えず、前後のボケ質に明らかな差が発生。近距離では背景が滲むようにボケ、前ボケは縁取りの強い二線ボケとなる兆候があります。

240mm

75mmほどの大きな違いはありません。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

軸上色収差の影響は見られるものの、ボケそのものは滑らかで柔らかい描写。3万円の安価な望遠ズームレンズとしては意外にも良好。

前ボケ

後ボケとは対照的に、やや縁取りのある描写。ただし、2線ボケが目立つほどの質感でもありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

75mm

最短撮影距離が長く、開放F値が大きいことから、玉ボケを大きくすることはできません。描写は良好ですが、隅に向かって口径食の影響を強く受けています。

100mm

引き続き滑らかなボケですが口径食の影響で隅の変形が非常に目立つ。

200mm

大きなボケで滑らか。やはり口径食の影響が強い。

300mm

200mmと同じ傾向。ただし、ボケを最も大きくすることができるので、状況によっては目立ちません。

ボケ実写

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

75mm

「75mm F4」では背景を分離するのに十分に浅い被写界深度とは言えません。また、細部をよ見ると縁取りが少し硬めのボケ。それでも3万円の望遠ズームレンズとしては悪くなく、被写体に接近するほど問題のないボケとなります。

135mm

75mmと比べてボケの縁取りが柔らかく、見栄えの良い質感へと変化。引き続き、3万円のズームレンズとしては肯定的に評価できる質感。被写体に接近すると、ちょっとしたポートレートレンズのように機能します。

300mm

軸上色収差の影響こそあるものの、質感は柔らかく滑らか。開放F値は「F5.6」ですが、まずまず良好な結果が得られます。ボケの質感だけで言えば、コストパフォーマンス良好。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。 中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

75mm

ピント位置に関係なく、絞り開放のF4でやや目立つ周辺減光が発生します。カメラ側で簡単に修正可能ですが、光学的に抑えたい場合はF5.6まで絞るとほぼ解消します。

最短撮影距離
無限遠

300mm

絞り開放は広角側と同程度。ただし、1段絞ってもやや目立つ減光が残ります。完全に抑えた場合は2段絞る必要あり。

最短撮影距離
無限遠

逆光耐性・光条

75mm

国内の商品ページでは明記されていませんが、レンズのコーティングはスーパースペクトラコーティング(海外公式を参照)。他の安価なRFレンズと同様のコーティングが施されています。

恒例のテストでは安価なRFレンズの中でも特にフレアとゴーストが目立つように見えます。光源付近のフレアが目立つほか、レンズ間面反射と思われるゴーストが複数発生。絞るコントラストは改善しますが、ゴーストは悪化します。

この点で「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」は遥かに良好な結果。

300mm

望遠側でもフレアとゴーストは非常に目立ちます。望遠ズームで強い光源をフレームに入れる機会は少ないかもしれませんが、もしも逆光シーンやフラッシュを使用する場合は絞りや立ち位置に注意する必要がありそうです。

光条

小絞りではキヤノンらしくシャープで綺麗な光条が得られます。ただし、この際の絞りはF22やF32、F40となるため、回折の影響が非常に強い。解像性能との両立は難しい。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 驚くほど安い
  • 300mmズームとしては軽い
  • 滑らかな後ボケ
  • 滑らかな玉ボケ
  • 絞った際の光条が綺麗
  • 300mmで適度に高い撮影倍率

フルサイズミラーレス用の望遠ズームレンズとしては他社を含めて最も安価な選択肢。カメラメーカー純正の70-300mmは10万円以上(ソニー、パナソニック)だったところに、3万円の激安レンズをキヤノンがリリース。タムロンですら5万円台であることを考慮すると、3万円は破格も破格。もちろん妥協(後述)は多々あるものの、300mmの安価な選択肢を揃えているのはキヤノンRFシステムの強み。

また、ボケを作りやすい望遠ズームレンズとしては後ボケが滑らかで使いやすい。望遠側での接写性能が良く、小さな被写体をクローズアップして大きなボケを得るにはコストパフォーマンスが高い。

悪かったところ

ココに注意

  • レンズフード別売り
  • 手振れ補正非搭載
  • 防塵防滴非対応
  • DCモーター駆動
  • 繰り出し式フォーカス
  • フルタイムマニュアル非対応
  • 望遠側の解像性能
  • 75mm以外で倍率色収差が目立つ
  • 軸上色収差が目立つ
  • 糸巻き型の歪曲収差が目立つ
  • 口径食が目立つ(四隅のボケ・減光に影響)
  • フレアとゴーストが目立つ

基本的に「圧倒的に価格が安い」こと以外は全ては妥協点。
前時代的なAF、光学手振れ補正は非搭載、20年以上前の光学設計などなど…。「安いのだから妥協すべき部分」ではあるものの、これを人様におススメするのは気が引ける。

光学性能は「価格なり」として妥協できるかもしれないものの、AFと手振れ補正は要確認。
EOS RPやR8など、手頃な価格のミラーレスはボディ側手振れ補正を搭載しておらず、300mmで撮影するには十分なシャッタースピードが必要。動体撮影ならば問題ないものの風景撮影などではISO感度が上がりやすく、フルサイズの画質を活かしにくい。

また、動体撮影ではDCモーターによる繰り出し式フォーカスが致命的。電車た飛行機など、離れた距離の被写体を撮影する場合は問題ないかもしれませんが、動物や子供など、比較的近距離の被写体を撮影する場合はAFが追い付かない可能性があります。(初動が「滑らか」動作の遅いモードだと追い付かない)

300mmを「どのように使うのか」で満足度が大きく変わるレンズ。

結論

兎にも角にも破格の「エントリー300mm」。
主な長所はフルサイズの300mmを3万円で使うことができること。ただ一つ。
それ以外は妥協の産物。

敢えて言うと、注意すべき点は光学性能ではなくオートフォーカスと手振れ補正。光学性能はカメラ側の処理や現像ソフトである程度の補強が可能。ただし、手振れ補正とオートフォーカスはどうしようもありません。

  • 高ISO感度による画質低下が気にならない
  • 撮影中にフレームが揺れて構図が安定しない
  • 動体にピントが合いにくくても笑って許せる

このあたりを許容できるのであれば、付き合うことができるズームレンズなのかなと。
300mmを手ごろな価格で体験してみたいあなたに。

ようこそ300mmの世界へ。

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競合製品について

RF100-400mm F5.6-8 IS USM

望遠ズームレンズだけに倍以上のお金を出せるならこちら。
これが帰るのであれば、75-300mmを買う理由がほとんどありません。良好な光学性能、光学手振れ補正、400mmを利用可能、0.41倍の高い撮影倍率、高速AFなど。

開放F値はやや暗めですが、それを考慮しても100-400mmがおススメ。

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EF70-300mm F4-5.6 IS II USM

EFマウントレンズのAFアダプターを所有しているなら一つの選択肢。手振れ補正を搭載しているし、AFは非常に高速。光学性能もRF75-300mmよりは良好。

また、中古市場にも大量の在庫が存在するので、安価な中古品を見つけるのも一つの選択肢。

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RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM

RF75-300mmよりも高価なAPS-C望遠ズームレンズ。
小型軽量、手振れ補正あり、光学性能もまずまず良好。開放F値が大きいため、状況によってはカメラ側の画質低下に繋がりやすく、ボケも大きくすることができません。

とはいえ、RP+RF75-300のような組み合わせよりも、R50+55-210mmのほうが使い勝手が良い可能性あり。

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購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開  

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