DPReviewがソニー「α1 II ILCE-1M2」のファーストインプレッションを公開。被写体検出への対応や様々な撮影機能の向上を評価しつつ、最も付加価値があるのは特定のプロのワークフローを改善する通信関連の機能と言及。会社で購入するプロ用カメラとのこと。
DPReview:Sony α1 II initial review: is Sony's flagship camera another game changer?
ノイズの改善
- α1 IIは前機種と同じセンサーを使用しているにもかかわらず、画像処理エンジンの改良により、中~高ISO感度での画質が改善されているとソニーは主張。
- おそらく、これらの改善はJPEGのみ。
オートフォーカス機能の向上
- α1 IIは最新機種の専用「AIプロセッサー」を継承し、認識対象が増加。「昆虫」「車」「電車」「飛行機」が加わっている。
- 認識はすべて動画モードで利用可能。
- 人物と動物の瞳検出はα1よりも30%ほど精度が向上し、鳥の瞳検出は50%向上するとのこと。
- 動物と鳥のモードが統合され、動物から鳥、またはその逆の撮影に切り替える場合でも、被写体認識モードを切り替える必要がない。
- ソニーのαカメラとして初めて自動被写体認識モードを搭載。カメラが追従すべき被写体の種類を判断し、その被写体にロックをかけられる。
- 自動モードはニコン同様、特定の被写体認識モードと比較すると、若干の速度低下が伴う。
- オートモードで選択する被写体の種類を限定することで、システムを高速化することもできる。
- スポットフォーカスエリアの超小サイズと超拡大サイズのオプションも追加している。
プリキャプチャ
- シャッターボタンを押すまでの間に最大30フレームを記録する。20fpsを超える場合は、ロスレス圧縮ではなく圧縮Raw形式を使用する必要がある。
- シャッターの半押し、AFボタンの押し込み、またはその両方(設定による)で起動する。
- 最短で0.03秒、最長で1秒まで、その間のいくつかのオプションで設定できる。
より優れた手ブレ補正
- ボディ内手ブレ補正は、フレーム中央で最大8.5段、周辺部で最大7段(CIPAの新基準)と評価されており、α1の5.5段から向上している。
ファインダーの調整
- α1 IIのEVFはα1からほとんど変更されていないように見える。
- 解像度は同じで、240fpsで動作する。
- ただし、ソニーによると表示品質を「高」に設定した状態で120fpsモードで動作させることができるようになった。
- 240fpsにすると解像度が低下する。
- 標準のアイカップに加えて、より深いアイカップも同梱されている。
動画
- α1 の仕様のほとんどを維持している。8K 30p、全幅の4K 60p、1.13xクロップで4K 120p。
- 4Kは8Kから派生したものではないため、オーバーサンプリングによるメリットは得られない。
- いくつかの使い勝手の向上が加えられている。最も影響が大きいのは、撮影中の全被写体追跡モードの対応。
- Log 映像をグレーディングした際のプレビューに使用できるカスタム LUT を最大 16 個までインポートできるようになった。
- LUT をファイルに埋め込むこともできる。
- S-Log3プロファイルのみで、S-Log2という拡張性の低いオプションはもはや提供されていない。
- カラーグレーディングを行わない場合、魅力的で柔軟なS-Cinetoneプロファイルも利用できる。
- Vlogカメラの一部に搭載されているオートフレーミング機能も備えており、被写体をクロップし、フレームを移動させることで、カメラマンが被写体を追っているような効果を演出できる。
- 標準の「アクティブ」モードと比較して、手ブレ補正を最大20%向上させるという「ダイナミックアクティブ」手ブレ補正モードや、手持ち撮影時に可能な限り同じ構図を維持する「フレーミングスタビライザー」モードも搭載されている。
ノイズリダクション合成RAW
- α1のピクセルシフトマルチショットモードを拡張し、ノイズリダクションモードを追加。
- 4~32枚のRAW画像を撮影し、同社のImaging Edgeソフトウェアを実行するデスクトップコンピュータで合成することができる。
- ピクセルシフトモードと同様、撮影シーンに動きがほとんどない場合に最も効果を発揮する。
- 初代α1にはなかったフォーカスブラケットも追加されている。
比較
- センサー読み出し速度は EOS R5 II の約 1/160 よりも速い。
- キヤノンにはないイーサネット接続を内蔵。
- EOS R5 II や Nikon Z 8 とは異なり、プロが単一のメディアに集中できるように、二つのカードスロットが一致している。
- Z 9 とは、より拮抗した性能。Z 9はファインダーの解像度は低いものの、センサーからの読み出し経路のレイテンシが低いため、ファインダーの反応がより速い。
- Z 9はRAWで最大20fpsまでしか撮影できない。
ボディと操作性
- α9 IIIとほぼ同じであり、グリップが深くなり、シャッターボタンが前方に角度がつけられ、指が当たるようになっている。
- α1と比べてダイヤルやボタンはほぼ同じ位置。ただし、露出補正からカスタマイズ可能なコントロールダイヤルに変更されている。
- 静止画/動画/S&Q切替はモード同軸のサブダイヤルに移動。
- ドライブダイヤルには、ドライブモードをメニューで制御できる無効設定が追加された。
- グリップの隣にカスタムボタンが追加。初期設定では「スピードブースト」として機能する。
- モニターの仕様は大きく変化。少し大きく、解像度も高い。さらに、バリアングルとチルトの複合式可動モニタとなっている。
- α7R Vから少しアップデートされたメニューシステムを搭載しており、インタラクティブな設定タブも備えている。
- ビューファインダーはほぼ同じだが、0.9倍の大きな倍率と944万ドットで、120fpsモードは解像度の大幅な低下がなくなったため、より使いやすくなった。
ポートとスロット
- 前モデルからほとんど変更されていないが、ポートの位置は少し変わっている。
- 2x2 MIMO対応のデュアルバンド2.4/5GHz Wi-Fi。
- α1では1Gbpsに制限されていたイーサネットポートが2.5Gbpsに高速化されている。
- イーサネットポートには、Wake on LAN機能が追加され、Remote Camera Toolを使用してα1 IIをリモートで起動できるようになっている。
- ソニーの多くのカメラに搭載されているCFexpress Type A / UHS-II SDカードスロットを搭載している。
バッテリー
- NP-FZ100バッテリーを使用し、デュアルバッテリーチャージャーが同梱されている。
- 同社によると、このチャージャーは2つのバッテリーを約155分で充電できるという。
- 背面モニタを使用した場合、1回の充電で420枚の撮影が可能とされている。
- 他のカメラと比較した際のバッテリー寿命の指標としては良い。
第一印象
- 4年ほど前に初代α1は当時として画期的な製品だった。しかし、後継モデルが登場するまでの間にキヤノンとニコンの両社は手の届きやすい価格帯でこれを実現した。
- Z 9やR1に対抗するシリーズだが、より手頃な価格のモデルが、オリジナルのα1のスペックにほぼ匹敵し、より高度な被写体検出を実装できるほど、物事が急速に変化している。
- α1 IIはα9 IIIと同じ処理能力と5000万画素 積層型CMOSセンサーを組み合わせることで、存在感をいくらか改善している。
- ソニー初の「オート」オプションを含めた被写体認識AFモードなど、このカメラのAF性能に非常に感銘を受けている。
- 動画は8K 30pが上限であり、8Kから派生した4Kオプションはない。この点ではR5 IIやZ 8に後れを取っている。
- 30fpsはロスが大きい圧縮RAWフォーマットを使用する必要がある。ロスレス圧縮RAWでは20fpsまで。画質差は気にならないかもしれないが、最新機種の仕様としては驚き。
- 低価格のライバル機にはない、素早く画像を配信しようとするプロフェッショナル向けに特別に設計された機能が大きなポイントになる。SFTPや転送するファイルにマーキングする複数の方法など、さまざまな転送オプションが含まれる。
- これらのワークフロー機能はカメラを差別化しようとする高負荷環境で働くプロフェッショナル向けの機能。そして、あなたがそのような人でない場合(そして、ほとんどの人はそうではない)、α1 IIは、より低価格のモデルよりもはるかに高い価値があるとは言えない。
- プロ向けカメラには6,000ドルのコストがかかるということ。市場が負担できると示した金額であり、企業(単独の写真家を含む)が予算として組むであろう金額。
- α1 IIがZ 8やEOS R5 IIよりも2000ドル高い価値があるかどうかについて、少しでも疑問があるなら、あなたはターゲットではない。
- また、劇的に進化した競合製品や、Z 9やR1の技術がZ 8やR5 IIにまで浸透していることを考えると、前機種ほどの画期的な製品ではない。この評価を確かめる機会は、このカメラを使い続ける中で得られるだろう。
α1 IIは2024年12月 発売となるαシリーズのフラッグシップモデル。前モデルと同じ5000万画素の積層型CMOSセンサーと、最新機種で導入が続くBIONZ XR+AIプロセッシングユニットを搭載。センサーの高速性能に加え、被写体検出やオートフレーミングなど便利な撮影機能が追加されています。
解像性能や連続撮影速度、動画の解像度やフレームレートの最大値は前機種と同じですが、主に使い勝手やワークフローを改善した第二世代と言えるでしょう。販売価格は他社の5000万画素積層型モデルよりも高めですが、ソニーシステムで高解像×スピードを重視する場合はα1 IIを検討することになりそうです。
DPReviewの評価では、カメラの基本性能・撮影機能の改善を評価しつつも、最も重要なのはプロ向けのワークフローを改善していることと言及。このため、一般ユーザーにとってはより低価格の競合機種が魅力的に映る可能性が高いようです。特に同じような高解像の積層型CMOSを搭載したZ 8 やR5 Mark IIが50万円ちょっとで手に入ることを考えると悩ましいところ。劇的に進化した競合製品と比べると、初代α1ほどの革新性はないという評価が示唆されています。
- 発売日:2024年12月13日
- 予約開始日:2024年11月26日(火)10時
- 希望小売価格:オープン価格
- 市場推定価格:約99万円前後
主な仕様
- イメージセンサー
・タイプ:積層型CMOS
・有効画素数:約5010万画素
・手振れ補正:中央8.5段・周辺7.0段 - プロセッサ:BIONZ XR + AIプロセッシングユニット
- CFexpress Type A / SD UHS-II 兼用デュアルスロット
- AFシステム:ハイブリッド
・測距点:759点 92%カバー
・測距輝度範囲:EV-4 - EV20 (ISO100相当、F2.0レンズ使用、AF-S時)
・被写体認識:人物、動物、鳥、昆虫、車、列車、飛行機、オート対応
・120fps AF/AE - ドライブ性能:
・メカニカルシャッター: 1/8000-30 秒
・電子シャッター:1/32000-30 秒
・フラッシュ同調速度:1/400 秒 (フルサイズ)、1/500 秒 (APS-Cサイズ)
・撮影速度:電子~30fps / メカ ~10fps
・撮影枚数:RAW (ロスレス圧縮): 100枚 / RAW (非圧縮): 84枚
・スピードブースト機能
・プリキャプチャー - ファインダー:944万ドット OLED ~240fps 約0.90倍
- モニター:チルト+バリアングル 210万ドット
- 動画:
・8K:~30p
・4K:~120p
・出力:XAVC S: MPEG-4 AVC/H.264、XAVC HS: MPEG-H HEVC/H.265
・S-Cinetone
・高性能手ブレ補正アクティブモード
・ブリージング補正機能 - インターフェース:
・USB:SuperSpeed USB 10 Gbps (USB 3.2) 4K 30p
・ヘッドホン:3.5 mm
・マイク:3.5 mm
・HDMI:タイプA
・LAN:2.5GBASE-T、1000BASE-T、100BASE-TX
・シンクロ:
・Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac
・Bluetooth:Ver. 5.0 - バッテリー
・タイプ:NP-FZ100
・撮影可能枚数:ファインダー: 約420枚、液晶モニター: 約520枚
・充電方法:USB Type-C USB Power Delivery対応 - サイズ:約136.1 x 96.9 x 82.9 mm
- 重量:約743 g
- 防塵防滴:対応
- ボディ材質:マグネシウム合金
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