PetapixelがAtomos社の新しいグローバルシャッターセンサー「Sapphire F8」に関するインタビュー記事を公開。低省電力で発熱が少ないグローバルシャッターで8K 60fpsまで撮影できる模様。
Petapixel:Atomos ‘Sapphire’ Sensor Revealed: Global Shutter, Full-Frame, 8Kp60
Atomosが開発した8Kセンサーは「Sapphire F8」と呼ばれ、最大8K、60フレーム/秒で撮影し、グローバルシャッターを使用し、位相差オートフォーカスを搭載し、そしておそらく最も重要なことは、ほとんど熱を発生しないことだ。
先月、Atomosはシネマカメラで使用する新しい8K動画対応センサーの開発に成功したことを明らかにしたが、それ以外のことはあまり共有していなかった。PetaPixelのインタビューで、AtomosのCEO Trevor Elbourneは、このセンサーは新しいカメラにすぐにでも組み込める状態にあることを含め、さらに多くのことを説明している。
高い競争力を持つセンサー
- アスペクト比17×9、8,192×4,320ピクセル、グローバルシャッターセンサーだ。
- フルサイズ 8Kを最大60fps、4Kを最大240fps、1080を最大360fpsで撮影することが可能。
- 15ストップのダイナミックレンジ。
- ラインバイライン・デュアルエクスポージャー(短いラインと長いラインを交互に露光してHDR画像を生成すること)によるHDR動画の撮影が可能。
- 最も印象的なのは、8Kで2ワットという非常に低い消費電力だ。
- 低消費電力は熱をあまり発生させないことを意味し、より小さなカメラボディにパッケージすることができ、アクティブ冷却も必要ない可能性があると述べている。
- 高解像度8Kを含むすべてのモードで、全動作範囲において12bit ADCのフル解像度を維持。
- ADCの精度をトレードオフしていない非常にユニークなセンサー。
- 8Kグローバルシャッター&低消費電力で競合するセンサーはない。
- 低消費電力で空冷ファンの省略やカメラサイズの縮小のみならず、カメラメーカーはより優れた画像処理装置など、他の機能を容易に搭載できるようになる。
- 同じフォームファクターで、より多くの機能を搭載することができる。
- 消費電力が低ければ低いほど、設計の選択肢が広がる。
数年がかりで完成したセンサー
- もともとAtomosカメラの一部分として構想されたもの。
- 自社製のシネマカメラの製造を計画し始めていた。
- カメラを組み立てるための適切な技術、あるいは多くの部品をすべて持っている。
・東京にある設計チーム
・元ソニー/キヤノンのエンジニア
・動画と画像処理の扱いが可能- Ninjaや関連製品で行っていることの多くは、カメラの内部で行われていることと非常に似ている。
- しかし、カメラの設計には時間がかかる。さらに画像処理チップの開発チームも予想以上に時間がかかっており、Atomos社では参入の道が閉ざされつつあった。
- Blackmagicは市場で大きな勢いがあり、同じような市場でチャンスを得る機会が減少している。
- Atomosはカメラプロジェクトを継続しないことを決定。しかし、この段階でセンサーはかなり進化しており、初期のプロトタイプは有望な結果を示していた。
- センサーを自社製品に使用する以外の商業化への道を探ることで、最終的に良い結果を得られると考えた。
- このプロジェクトは、エンジニアリングの観点から、商業化に向けた準備が整っている。
- センサーはAtomos社の設計で、製造を委託。
Atomosが自社のセンサーが必要とされると考える理由
- サムスン、ソニー、LGから多数の8Kテレビが発売されているにもかかわらず、8Kコンテンツの制作が 遅れている 。
- 多くのカメラメーカーは最先端のセンサーを手に入れることができていない。
- (例としてパナソニックとソニーの関係を示唆)
- Atomosは、ある企業に最高のものを提供させないという既得権がないため、カメラメーカーはそのような競争的緊張感を回避することができる。
- 必ずしも最新・最高のものを手に入れることができないカメラメーカーにも、競争市場を開放している。
準備万端
- カメラの開発には何年もかかる。その設計サイクルの中で最初に着手されるのがセンサーだ。
- もし今日メーカーがAtomosセンサーの使用を決定したとしても、それを使ったカメラが市場に出るのは3年以上先になる可能性がある。
- Atomosは新しい設計サイクルの開始には「間違いなく」間に合うと述べている。
とのこと。
グローバルシャッターは性質上、ローリングシャッターのような動体歪みやフリッカーが発生しない(全面を一度に露光する)、理想的な特性を持つ電子シャッターの仕組みですね。従来は消費電力や発熱量の克服が難しいとしてコンシューマー向けカメラに導入が難しかったセンサーですが、Atomos社は低消費電力で発熱量が少ない8Kグローバルシャッターセンサーを開発したみたいですね。アスペクト比から一般的なスチルカメラには搭載されないと思いますが、小型軽量なシネマカメラ実現に向けて興味深いイメージセンサーとなるのかもしれません。インタビューの中でパナソニックを強調しており、既に何らかの関係があるのか、強いアプローチをかけている最中なのか気になるところですね。
既に各社カメラメーカーは高性能な積層型CMOSセンサーを採用する傾向があり、グローバルシャッターとまではいかないもののローリングシャッターをよく抑えた電子シャッターを利用することができるようになりました。スチル系のカメラは積層型CMOSセンサーで十分と言えるかもしれません。とはいえ、フラッシュ使用時に(おそらく)全速同調が可能となるであろうグローバルシャッターで可能性の幅が広がるのは魅力的ですね。
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