DPReviewがCP+2023におけるOMデジタルのインタビュー記事を公開。目新しい情報はありませんが、OM SYSTEMの方向性や強みについて、会社の現在や今後について答えています。
カメラ業界全体の健全化について
- ここ数年の規制がなくなり、業界全体の健全性は向上している。
- 世界的な影響と無縁ではないので、短期的には何らかの影響を受けるかもしれない。
オリンパスからOMデジタルソリューションズへの移譲について
- 映像事業の移譲は、信じられないほど忙しく、激しい時期だった。しかし、それが最善の策であると判断した。
- 独立したビジネスになることで、お客様の期待に応えるビジネスを構築し、イメージング市場に価値を創造することができるようになる。
- オリンパスでは、メディカル事業を中心にガバナンスやリソース配分が構築されており、イメージング事業には全くそぐわない状態だった。
どのような調整が必要だったのか?
- 新会社で市場ニーズを見極め、事業規模に見合ったよりコンパクトで柔軟な組織を構築する必要があった。
- 組織、プロセス、ビジネスインフラなど、さまざまなレベルでの改革が必要だった。
- 将来を見据えたビジネスを構築し、現在はスムーズに稼働している。
OMデジタルソリューションズに移ったことで、予想外のチャンスは?
- イメージング技術をベースとした新たなビジネスチャンスの開拓に注力する会社として生まれ変わった。
- これらの技術を新しい産業に応用することで、いくつかのビジネスパートナーとの機会が増え、市場ポテンシャルが拡大している。
- 活動の最初の焦点は、日本市場だ。
OMシステムの新しいブランドをどのように構築するのか
- アウトドアに情熱を注ぐ冒険的なフォトグラファーのニーズと期待に応える。
- 今後は、製品だけでなく、アウトドア写真を中心とした新しい価値や体験、社会への貢献を提供し、OMシステムをユニークなブランドとしていく。
OM-1に対する反響は?
- 自然や風景、野鳥を撮影する写真家の方々の共感を呼び、予想以上の興奮と需要があった。
- OM-1の発売をきっかけに、レンズの購入も増え、特に望遠レンズの購入が増えた。
プロ用サブカメラの需要はまだあるのか?
- 撮影シーンや被写体のニーズに合わせて、カメラシステムやフォーマットを使い分けることが多くなってきている。
- マイクロフォーサーズのような、写真家にとって性能的に有利なシステムは、今後も需要があると思う。
小型センサーカメラは、フルサイズと比較してどのようなメリットが?
- 最大の利点は、システムのポータビリティと、フォトグラファーに総合的な写真体験と画像出力を提供するための性能とのマッチングだ。
- 例えば、望遠レンズと強力な手振れ補正により、フィールドを歩き回りながら被写体を探すフォトグラファーに最適だ。
- 被写界深度が深く、撮影倍率が2倍であることから、マクロ撮影の世界での使用例もある。
センサーの解像度が数年間上がっていないことが批判されているが?
- より少ないミスで撮影できる写真の数を増やし、同時にその写真の質を高めることを優先している。画質というのは解像度だけではない。
- 我々は解像度を上げることを止めたわけではないし、高解像の写真が不要になったわけでもない。
- 「手持ちハイレゾショット」のように処理時間を短縮することで、必要なときに簡単に高画質な写真を撮れるように技術も向上させてきた。
今後、AIはどのように写真家をサポートするのか?
- 2019年から被写体検出に使用している。シーン認識などにもさらに適用を拡大することが可能だと考えている。
- さらに、RAWの画像処理のカスタマイズにも応用できると考えている。
レンズのラインナップについて
- ラインナップはかなり充実しているが、まだ完全ではない。
- 従来のレンズ交換式システムにはないものを提供できるのが、我々のシステムの利点であり魅力だと考えている。
- M.ZUIKO 12-100mm、8-25mm、90mmといったレンズは、マイクロフォーサーズシステムならではのレンズだ。
- 現時点で詳細をお伝えすることはでないが、お客様のニーズや新しいレンズの可能性について、引き続き検討を進める。
防塵防滴仕様に関するIP等級の使用について
- 防塵・防滴という言葉は単なるフレーズであり、それだけで製品の耐久性を示すものではない。そのため、ユーザーによってその意味するところが異なる。
- 製品の能力をテストし、基準となるIP等級を示すことで、ユーザーがこのシステムの利点と、どの程度の保護が保証されているかを十分に認識することができる。
- これにより、フォトグラファーは安心してさらなる冒険をすることができる。
マイクロフォーサーズの将来は?
- 野鳥、野生動物、マクロ、ネイチャーなどのジャンルを撮影するフォトグラファーにとって、マイクロフォーサーズがメリットを提供できることは明らかだ。
- これらの市場において確固たる地位を築いていると考えており、マイクロフォーサーズで写真を楽しみたいユーザーに対して、今後も価値を提供していく。
- OM-1と150-400mm超望遠レンズの組み合わせは、マイクロフォーサーズシステムの最高峰であり、予想以上の数量を販売している。
- 先日発表した90mmマクロも同様の反響があり、熱狂的な写真家の方々に新たな価値を提供することができた。
- また、小型・軽量のシステムを生かした技術や、コンピュテーショナルフォトグラフィーのような技術も、今後も開発を続けていく。
とのこと。
オリンパスの映像事業が2021年1月1日にOMデジタルへ移譲されてから2年とちょっとが経過しましたね。その間(2021-2023)にいくつかのカメラとレンズなど新製品が登場していますが、ここまではオリンパス時代から開発が続いていた製品を逐次投入していたと思われます(ロードマップ・意匠登録・光学系の特許などから)。
今後はOMデジタル移行後に計画された製品が出始めると期待。焦点を当てているのは引き続きアウトドア向けで、小型軽量・防塵防滴を活かした製品を中心として展開していくみたいですね。レンズロードマップに残っている2本の望遠ズームをはじめ、どのような新製品を考えているのか気になるところ。
PENシリーズをどうするのかも注目しています。既に「PEN E-PL10」がディスコンとなり、現行モデルは「PEN E-P7」のみ。小型軽量ながら手振れ補正搭載モデルとして重宝していたのですが、「事業規模に見合ったコンパクトな組織」からするとOMとPENの2ライン体制維持は難しいのでしょうか。個人的には多少高価でもPEN-Fの後継モデルが出るのであれば手を出したいと思うのですが…。
「イメージング技術をベースとした新たなビジネスチャンス」が何を指しているのか今のとこは不明。リコーのようにBtoB向けのデジタルカメラなのか、車載カメラのようなマシンビジョンの分野なのか、それとも新しい民生用カメラを展開するのか…。そろそろ夏に向けてToughシリーズの新モデルを見てみた気もしますが、果たして?
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