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キヤノン クアッドピクセル位相差検出AFに関する特許出願

2023年11月22日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。画素を四分割したクアッドピクセルタイプのセンサーで、焦点の検出性能を高めるための技術のようです。

概要

  • 【公開番号】P2023166867
  • 【公開日】2023-11-22
  • 【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
  • 【出願日】2022-05-10
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】 縦横の長さが異なる撮像素子から出力される信号を利用した像面位相差方式による焦点検出において、焦点検出の性能を高めること。
  • 【技術分野】
    【0001】
    本発明は、複数の光電変換部を有する画素部が2次元配列された撮像素子及び当該撮像素子を搭載した撮像装置に関する。
  • 【背景技術】
    【0002】
    従来より、撮像装置で行われる焦点検出方法の1つとして、撮像素子に形成された焦点検出用画素を用いて一対の瞳分割信号を取得し、位相差方式の焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差方式が知られている。
  • 【0003】
    このような撮像面位相差方式の例として、1つの画素に対して、1つのマイクロレンズと複数に分割された光電変換部が形成された2次元撮像素子を用いた撮像装置が、特許文献1に開示されている。複数の光電変換部は、1つのマイクロレンズを介して撮像レンズの射出瞳の異なる領域を透過した光を受光するように構成され、瞳分割を行う。そして、個々の光電変換部の信号である位相差信号から像ずれ量を算出することで、位相差方式の焦点検出を行うことができる。また、画素毎に個々の光電変換部の信号を足し合わせることで、通常の画像信号を取得することができる。また、特許文献1には、画素における光電変換部間の分離障壁の高さが異なる複数種類の画素を配列することで、画素の飽和耐性を高めた構成が開示されている。
  • 【0004】
    このようなイメージセンサでは、複数の光電変換部が画素内で横方向に並び、瞳分割方向が横方向である構成では、例えば、被写体が横方向のストライプ模様等の場合、視差が表れにくく、焦点検出精度が低下することがある。
  • 【0005】
    これに対し、特許文献2には、各マイクロレンズに対する光電変換部の配置方向を2種類にし、瞳分割方向を2種類とすることで、焦点検出精度を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2には、縦方向に隣接する光電変換部間を分離する構造と、横方向に隣接する光電変換部間を分離する構造とで、電荷を隣接する光電変換部に漏出させる強度を異ならせることが開示されている。この構造により、1つの光電変換部が蓄積できる電荷量を超えて受光した過飽和電荷を予め決められた方向に配置された異なる光電変換部へ漏出させて蓄積することで、1つの光電変換部が飽和した場合にも、横方向、もしくは縦方向の位相差方式の焦点検出が可能となる。
  • 【0007】
    従来の撮像素子のほとんどは、縦横比が1:1ではない。そのため、撮像素子上に縦方向の像面位相差方式の焦点検出用画素と横方向の焦点検出用画素が配列されている場合、特に撮像素子の周辺部において像面位相差方式による焦点検出の性能が、縦方向と横方向のどちらかに偏ってしまう。
  • 【0008】
    特許文献1に記載の撮像素子は、画素の飽和状態に応じて光電変換部の分離状態を異ならせるものである。そのため、撮像素子の縦横比に応じて縦方向の焦点検出用画素と横方向の焦点検出用画素それぞれにおける光電変換部間の電荷クロストーク(隣接の光電変換部へ電荷が漏れ出す現象)の状態を制御するものではなく、上記課題を解決することができない。
  • 【0009】
    また、特許文献2の撮像素子は、光電変換部が飽和していない場合の電荷クロストークを制御する構成ではなく、また、撮像素子の縦横比に応じた光電変換部間の電荷クロストーク率については言及がないため、上記課題を解決することができない。
  • 【0010】
    本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、縦横の長さが異なる撮像素子から出力される信号を利用した像面位相差方式による焦点検出において、焦点検出の性能を高めることを目的とする。
  • 【0027】
    また、像面位相差方式の焦点検出に用いることが可能な焦点検出用画素の配列領域のサイズは、一例として、x方向の幅Hを36mm、y方向の高さVを24mmとする。

キヤノンはセンサーのピクセルを左右に分割して、視差を利用したオートフォーカスを実現しています。キヤノンはデュアルピクセルCMOS AFが左右に伸びるラインセンサーと言及しているので、垂直方向の線に対応、水平方向の線を検出するのは苦手とされています。

他社のミラーレスカメラも、像面位相差AFは垂直方向の線を検出するラインセンサーであり、一眼レフカメラのようなクロスタイプの測距点を持つカメラはほとんどありません。(例外的にオリンパス・OM SYSTEMのE-M1系・OM-1がクロスタイプ)

水平方向の線を検出しにくい問題を解決するため、キヤノンは画素の分割方向を2種類用いる方法(2方向のラインセンサー)、画素を4分割する方法を検討(クロスタイプ)。今回の特許は縦横比が異なるセンサーにおいて、特に周辺部の検出性能に配慮したものとなっているようです。また、【0027】でこれがフルサイズ(36×24mm)センサーを意識したものであることを示唆。

撮像素子上に縦方向の焦点検出用画素と横方向の焦点検出用画素が配置されている場合、周辺部で焦点検出の性能が偏りがちで、従来の特許文献の提案も問題を解決できなかったようです。この新しい撮像素子は、縦横の長さが異なる信号を生成し、それを利用して像面位相差方式における焦点検出の性能を向上させることができる模様。

今のところ、この方式を採用したEOS Rシリーズは存在しません。今回の技術を導入した製品が登場するかも不明です。しかし、将来的にAFを重視するカメラが、このような技術を備えている可能性はありそうです。

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