ePHOTOzineがソニー「α1」のレビューを公開。高価なうえ、場合によってオーバースペックと感じるようなミラーレスカメラですが、現在入手可能な最高のオールラウンドカメラと評価しています。
ePHOTOzine:Sony Alpha 1 ILCE-1 Review
カメラの紹介:
- ソニーフルサイズミラーレスシステムのフラッグシップモデルだ。プロ向けであり、それに匹敵する価格設定である。
- 5000万画素の積層型CMOSセンサーを搭載することで、見事な高速性能を実現している。高解像度で30コマ秒の連写が可能なほか、8K 30pや4K 120pの動画撮影にも対応している。
- さらに1000BASE-Tのほか、USB3.2、2×2 MIMOを備えたWiFi、Bluetooth、NFCなど通信機能も充実している。
- 豊富なソニーEマウントレンズ群も頼りになるだろう。
ビルド・外観:
- 防塵防滴仕様のマグネシウム合金製の外装だ。
- とても良くできているように感じるが、耐候性と堅牢性を確認するには時間が必要だ。
- 各所の防塵防滴仕様はしっかりとしており、これで長持ちしないわけが無い。
- バッテリーライフは背面モニタで530枚、ファインダーで430枚だ。ミラーレスカメラとしては適正だが、予備バッテリーを用意しておきたいところだ。
- USB充電や給電に対応している。バッテリーグリップで撮影枚数を伸ばすことも可能だが、追加の費用が発生する。
携帯性:
- ソニーのフルサイズミラーレスはボディサイズを大きくして追加機能を実装してきた。しかし、α1は競合がEOS-1D X Mark IIIやD6であることを考えると遥かにコンパクトなカメラだ。
- 重量は737gと軽くはないが、多くの一眼レフカメラと比べると軽量だ。
グリップ:
- 大きなレンズと組み合わせた際は手狭と感じるが、良好な形状だ。
操作性:
- ボタンカスタマイズはC1?C4だが、他のボタンもカスタマイズに対応している。
- 前面にFnボタンが存在しないのは残念だ。
- 大きく操作しやすいAFジョイスティックを搭載。
- 操作はほぼ右手に集約されている。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- α7S IIIと同じく0.64型の大きな電子ファインダーだ。
- ファインダー倍率は0.9倍、リフレッシュレートは60/120/240fpsから測定が可能だ。
- 最高画質を得るにはメニューで設定の変更が必要だ。
- ファインダー像が大きすぎると感じた場合には調整することが出来る。
モニター:
- 3.0型 144万ドットのチルトモニタを搭載している。
- 見栄えは適度に良好だが、価格を考慮するとイマイチだ。
メニューシステム:
- α7S IIIと同じメニューシステムを採用。タッチ操作に対応している。
- 新たにロスレスRAWやHEIF出力に対応している。
オートフォーカス:
- 被写体検出機能は良好だが、検出対象は手動で切り替える必要がある。これはカスタムボタンで素早く切り替えることが可能だ。
- AFシステムは非常に高速だ。他のメーカーほどAFで悩む必要は無い。
- キヤノンのようなAFカスタマイズのプリセットは用意されていない。とは言え、AFは非常に高速なのでそれほど気にする必要は無いだろう。
連写性能・ドライブ:
- AF/AE追従で30コマ秒の連写速度を利用可能だ。
- メカニカルシャッター時は最高で10コマ秒の連写速度だ。
- 連続撮影で最大238枚のRAWを撮影できる。
- アンチフリッカー機能は電子シャッター時も利用可能だ。
高感度ISOノイズ:
- ノイズはきちんと抑えられているが、ISO感度が高くなると予想通りにノイズが増加する。
- ISO 3200で目立ち、ディテールがわずかに低下する。
- ISO 6400でさらにディテールが低下し、ISO 12800では見た目も悪くなる。
- ISO 25600では不快なノイズが発生する。
ダイナミックレンジ:
- 露出とダイナミックレンジはとても良好だ。
その他画質:
- 色再現は良好だ。
- 利用可能なカラープロファイルは多数あり、それらコントラスト、ハイライト、シャドウ、フェード、彩度、シャープネス、シャープネスレンジ、明瞭度で調整可能だ。
- ピクセルシフトマルチショットを利用可能だが、画像の合成はパソコンで処理する必要がある。
- AWBは良好に機能する。複数のAWBを利用可能だが、設定に素早くアクセスする方法がないのは残念だ。
動画:
- EOS R5に次いで、8K動画を利用できる2台目のカメラとなった。ただし、EOS R5と違ってオーバーヒートの心配はほとんど無い。30分以上の録画が可能だ。
- 8K 4:2:0 10Bitや4K 4:2:2 10Bitはフル画角で撮影可能だ。
- 解像度が必要な場合はSuper35モードで全画素読出しで撮影するのが良いだろう。
- HDMI経由で16BitのRAWデータを出力可能だ。
総評
ソニーα1はとんでもないカメラだ。動画ユーザーは8K 30pや4K 120pの映像に大満足するだろう。一般的なビデオグラファーにとっては過剰なほどの性能となるはずだ。スピード重視のフォトグラファーは、30コマ秒の連写に感銘を受けるだろうし、高解像な写真を撮りたい人も5000万画素の画質に感銘を受けるだろう。
しかし、このカメラの価格は競合製品と比べてかなり割高で、ライカの領域に簡単に入ってしまうようだ。プロの写真家ならば、何年もかけて元を取ることができると思う。
これまでソニーのカメラに寄せられていた操作性に関する不満の多くは、α7S IIIやα1で解消している。もし、あなたが最高のものを望み、お金を持っているなら、ソニーα1は現在入手可能な最高のオールラウンドカメラで間違いない。
長所:
- 大型の高解像EVF
- 5000万画素でAF/AE追従の30コマ秒連写
- 8K 30/25p
- 4K 120/100p
- 改善されたメニューシステム
- レンズラインアップ
- USB給電・充電
短所:
- 高価
- ピクセルシフトマルチショットはPCでの結合必須
- ボディ内RAW現像なし
- 価格を考えるとモニターがイマイチ
- 被写体検出機能が手動設定変更が必要
とのこと。
これまでで最も高価なフルサイズαシリーズのカメラとなりましたが、「高解像」と「スピード」を併せ持つ便利なカメラに仕上がっているみたいですね。同レビューではあまり突っ込んで紹介していませんが、電子シャッターのローリングシャッター歪が効果的に抑えられており、実用的な電子シャッターの高速連写が魅力的。これでプリ連写機能まで搭載すると鬼に金棒なのですが…。
高感度ISO性能は高画素機らしくノイズが出やすいものの、画素数を考えると特に不利と感じるほどでは無さそう。未だにボディ内RAW現像に非対応だったり、ピクセルシフトマルチショットの手間は考慮しておいたほうが良いかもしれません。
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