DPReviewがソニー「α7 IV」のファーストインプレッションを公開。ライバルを抜き去るようなカメラではないものの、全体的に非常に有能なカメラと評価しています。
DPReview:Sony α7 IV initial review
新機能
- α7 IVの心臓部には、新しい3300万画素 裏面照射型CMOSセンサーが搭載されている。これは、α7 IIIやパナソニック、ニコンの直近のライバル機が採用している2400万画素チップからの移行を意味している。
- 裏面照射型センサーはすでに現世代のカメラに広く採用されているので、画質の飛躍的な向上は期待できない。ディテールがわずかに向上し、低照度性能が同等になるというのが、画質の面で期待できる最も可能性の高いことだ。
- 解像度が上がったにもかかわらず、α7 IVは10コマ/秒で撮影可能だ。ただし、RAWで撮影する場合は、圧縮RAW(非可逆圧縮)でしか撮影できない。編集の柔軟性が必要な場合にロスレス圧縮(可逆圧縮)があるものの、
これを使用すると連写速度は約5コマ秒に低下する。(訳注:DPReviewが5コマ秒→6コマ秒に修正しています)- ソニーによると、カメラのバッファ深度は800枚以上のRAW+JPEG画像(または1000枚以上のJPEG画像)に対応しているが、これは非圧縮RAWで約5fpsの撮影時である。
- ローリングシャッターレートを初めて見たとき、これは特に高速なセンサーではないと判明した。
- センサー全体を14bit読み出し時は約1/15秒(?66ms)かかる。これは超高速のα1がセンサーを読み出すのにかかる時間の約17倍にあたる。そのため、動く被写体に対して、サイレントシャッターでは大きな歪みが発生しやすくなる。
- フル画角の4K動画は約26.5msで、同クラスの他機種と比べて遜色ない。動画モードでは12bit読み出しに落としていると思われるが、画素を合成する過程でノイズが減るはずなので、ダイナミックレンジが?12EVに落ちることはないだろう。
- 60p映像(訳注:Super35モード)のローリングシャッターレートは約12.8msで、速い動き以外は歪まない程度の低さだ。
AF
- オートフォーカスに関して、α7 IIIからの改善点はかなり大きいはずだ。
- 1段暗い環境(F2レンズで-4EV)でもフォーカスできるというのみならず、α7 IIIでは利用できなかったリアルタイム瞳AFに対応しているからだ。
- α7 IVは、これに加えて鳥や犬、猫などの動物を検出し、より正確に追従できるモードを搭載している。
- 動物検出機能は、カメラの動画モードにも初めて搭載された。
- このシステムはシンプルなだけに、その効果を伝えるのは難しい。
しかし、キヤノンの最新AFシステムのように、ピントを合わせたい対象をカメラに指示するだけで、強力なAFアルゴリズムの中から最適なものを選び、成功率を最大化してくれる。動画
- オートフォーカスに続いて、最大の改善点は動画機能だ。
α7 IIIは、4K動画に対応した最初のα7だった。
2018年初頭にしてはかなり優れたもので、センサー全幅からオーバーサンプリングされた24pの撮影が可能だった。しかし、30pの撮影にはクロップが必要だ。すべての映像は8bitで、比較的控えめなbitレートで撮影できた。- α7 IVは、ログ映像処理の柔軟性を高めるために10bit撮影が追加され、HDRテレビで再生するためのHLG(Hybrid Log Gamma)撮影を可能にするなど進化している。
- また、アクション撮影やスローモーション撮影のための4K 60p撮影も可能となっている。しかし、そのためにはAPS-C/Super35サイズにクロップする必要がある。
- H.265圧縮(XAVC HS)やS-Cinetoneカラープロファイルの適用も可能だ。
- 動画モードで瞳AFが可能になり、被写体へのAF追従性が大幅に向上した。静止画撮影時と同様、人間、動物、鳥を認識する機能が備わっている。
- 動画モードではカラーやホワイトバランスの設定を変えたり、ボタンやFnメニューを静止画用と動画用で分けたりすることができる。ただし、カメラの露出設定は静止画から動画に引き継がれるため、必ずしも理想的では無い。
ライブストリーミング
- α7 IVは、USB規格の一部であるオーディオ・ビデオ規格(UVC/UAC)を使用して、USB接続で動画をライブストリーミングする機能を備えている。
- HDまたはFullHDの解像度を選択でき、FullHDでは最大60fpsでの撮影が可能だ。
- 4Kにも対応しているが、こちらは毎秒15フレームまでしか対応していない。これだと映像が止まっているように見えてしまう。
- 接続には、MacまたはPC用のWebカメラソフトウェア「Imaging Edge」を使用し、できるだけ簡単に接続できるように設計されている。
- また、スマートフォンでの接続も可能だが、HD(720p)以上の解像度では音声が出ない場合がある。
HEIF
- α7 IVでは、従来の8bit JPEGに加え、10bitの圧縮画像を撮影できるようになった。
- HDR画像にのみHEIFを使用するキヤノンとは異なり、ソニーは標準的な画像を10bitで撮影することができ、4:2:2または4:2:0のクロマサブサンプリングを選択することができる。
- この柔軟性の欠点は、HLG(Hybrid Log Gamma)カラー/ガンマモードを有効にする前にHEIFを有効にする必要があり、両方の設定が互いにマッチするように変化するわけではない。
- HLGで撮影した画像は、HDR対応テレビで見ると、カメラのダイナミックレンジがより広く表示され、より生き生きとした画像になる。試してみる価値はある。
ボディ
- α7 IVは、α7S IIIとボディを共有しているように見え、前モデルより一連の改良が施されている。グリップがわずかに深くなり、背面のジョイスティックが改良され、カメラの側面にはフルサイズのHDMIソケットを装備している。
- さらに、α7S IIIよりも改良された点として、右肩に無印のロック可能なダイヤルを採用した。これは露出補正を必要としない撮影であれば、カスタマイズでダイヤルを再利用することが出来るものだ。
- バリアングルモニタを採用している。好みは分かれると思うが、チルトモニタではできない、動画やVlog、自撮りが可能になる。
- 上側のカードスロットには、小型CFexpress Type Aカードを装着することができる。
- α7S IIIに搭載されていたホワイトバランスセンサーがα7 IVにも搭載されており、明るい色の被写体をしっかりと撮影しても、ホワイトバランスが安定している。
インターフェース
- α7S IIIで初めて採用された新メニューシステムとタッチパネルの利用範囲の拡大がα7 IVにも反映されていることが嬉しい。
- メニューは、画面左側にセクションタブがあり、クリックするだけでタブ間を移動することができる。さらにタッチ操作にも対応している。
- このレイアウトにより、メニューの操作性が格段に向上し、各タブ内のサブセクションの見出しも見やすくなっている。
- これまでのソニーのカメラとは配置が異なるものの、設定の基本的な関係は同じなので、ソニーユーザーであれば、新しいシステムに慣れるのにそれほど時間はかからないだろう。
通信機能
- ソニーは長年にわたりカメラにBluetoothを搭載してきたが、これまでスマートフォンからの位置情報の転送にのみ使用していた。
- α7 IVでは、競合他社の多くが採用している常時接続機能を追加した。これにより、カメラとスマートフォンを一度ペアリングするだけで、その後は自動的にBluetooth Low Energy接続が再確立され、画像をスマートフォンに素早く簡単に転送することができるようになっている。
シャッター閉幕
- α7 IVでは、カメラの電源を切ったときにメカニカルシャッターを閉じる機能が追加された。
- これにより、センサーへのホコリの付着を防ぐことができるようになった。シャッター幕は非常に軽量で壊れやすいため、物理的な保護というよりは防塵のための措置と考えたほうが良い。
バッテリー
- α7 IVは、α7 IIIをはじめとする最近のソニーのカメラと同じNP-FZ100バッテリーを採用している。
- このバッテリーは十分な重量があり、ファインダーと組み合わせることで、α7 IVはCIPAバッテリーライフ評価で、背面スクリーンで580枚/充電、EVFで520枚/充電を達成している。
- α7 IVは、USB-Cソケットで充電または給電することができる。
ファーストインプレッション
- 初代α7が発売されてから8年が経ち、最新のフルサイズミラーレスを提供しているのはソニーだけではない。これまで、多くのことが変わった。技術的にも大きな進歩があり、特にオートフォーカスは、スピード、洗練性、簡便性の面で向上し、今では一眼レフカメラが優位に立っているとは誰も思わないほどだ。
- また、バッテリーの大型化はカメラの使い勝手に大きな影響を与え、エルゴノミクスやユーザーインターフェースもモデルチェンジのたびに劇的に改善されている。
- 動画機能も大幅に拡張され、4番目のα7モデルは、シリーズが競合他社と肩を並べるようになっている。
- 一方で、明らかに変わったのは、その位置づけだ。初代α7は、ボディのみで1700ドルで、フルサイズカメラとして当時では史上最安値で発売した。インフレを考慮しても、現在の価格で2000ドル弱だ。α7 IVの価格はこれよりも大幅に上昇している。
- さらに、ソニーが価格やサイズを重視するユーザー向けにα7Cを提供していることも注目に値する。単に古いモデルの価格を下げるのではなく、比較的新しい姉妹モデルを提供することは歓迎すべき変化だ。
- α7Cは、α7 IVのようにメニューが改善されていないかもしれないが、最新カメラと比較しても、α7初代やIIのように洗練されていない不便さは感じない。
- α7シリーズの最初の2機種をお持ちの方はもちろん、α7Rシリーズをお使いの方も、この数年でシリーズがどれだけ進歩したか驚くことだろう。
- α7 IVはよりエンスー向けのニーズに応えることができるようになり、人気の高いキヤノン「EOS R6」と直接競合することになる。
- とはいえ、少なくともスペックシート上で、α7 IVはキヤノンを大きく超えるものでは無い。実際に使ってみて、どのように比較されるかは興味深いところだ。
- α7 IIIのオートフォーカスは、1世代以上遅れていることは明らかだ。しかし、α7 IVができることのほとんどをまだうまくこなしている。
α7 IVには、a1に搭載されていたいくつかの機能があるのは事実だ。しかし、α1の性能を支える、強力なパワーをもたらす積層型CMOSセンサーは搭載していない。多くの場合、α7 IVの機能は、動画中心のα7S IIIと共通していると指摘するのが妥当だ。
全体的に見て、α7 IVは非常に有能なカメラであるように見える。新参者にとって、価格の上昇、信頼できるライバルの存在、そしてα7 IIIとの価格差を考慮すると、際立った存在になるためには努力が必要だと思われる。しかし、第一世代・第二世代のユーザーは、この数年間でα7シリーズがどれほど進歩したかに驚かされることだろう。
とのこと。
スペックシートや特徴を見る限りではDPReviewとほぼ同意見。α7 IIIからフルモデルチェンジしているものの、カメラの性能と価格の上昇(500ドルほど)を考えると、α7 IIIが登場した当時よりは話題性に欠けるように見えます。(他社ユーザーから見て)
電子シャッター時のローリングシャッターの幕速が思いのほか遅いのは残念で、まだまだメカニカルシャッターのお世話になる日が続きそうです。
とは言え、新型3300万画素センサーやBIONZ XRの搭載、露出補正ダイヤルの撤廃、バリアングルモニタ搭載、S-Cinetone実装などなど、既存α7ユーザーにとっては魅力的なポイントが詰まっているように見えます。また、動画機能はかなり強化されているので、ハイブリッドユーザーであればα7 IVのコストパフォーマンスが高いと感じるかもしれません。バランスが良いカメラなのは間違いない。
私は「α7 II」→「α7 III」→「α7C」→「α7R IV」と乗り換えてきたソニーユーザーであり、露出補正ダイヤルの機能変更や、新メニューの実装、マルチタッチ対応、クリエイティブルックなどには期待しています。さらに動画撮影の際は、新機能の「フォーカスマップ」「ブリージング補正」などが面白そうです。今のところα7R IVに追加で購入予定。
逆にセンサークリーニングが依然としてセンサーシフト式だったり、この価格帯のカメラとしては背面モニタの解像度が貧相な点については残念だと思っています。また、10コマ秒の連写速度を利用できるのは圧縮RAWだけで、非圧縮RAWやロスレス圧縮RAW使用時は連写速度が著しく低下するのも注意したいポイント。そして、500ドル値上げするのであれば、ファインダーかモニターがもう少し高解像でも良かった気がします。
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