PetaPixelがキヤノン「EOS R1」のレビューを公開。強化されたAFシステムや動画機能を評価しつつ、低解像センサーを搭載した「報道向けのカメラ」と言及。カメラの性質からEOS R3と顧客層が重複しており、より高画素で特殊性の低いカメラのほうが良かったと言及。
PetaPixel:Canon EOS R1 First Impressions: More an R3 Mark II Than a New Flagship
新しい技術をふんだんに盛り込んだ、お馴染みのボディデザイン
- キヤノンT90以来、すべてのフラッグシップ機で採用されてきた有名なデザイン方式を踏襲。
- 視線入力AFを実装しており、ユーザーの視線を追跡してAFポイントを自動的に移動させる。視線の読み取りと追従を補助するために、かなり大型化された電子ビューファインダーを搭載。
- 視線入力のキャリブレーションを試みる際にいくつかのバグがあったものの、確実に機能することがわかった。
- ボディ内には、非常に効果的な約8段分の手振れ補正ユニットが内蔵されており、暗い場所でもシャープな写真を撮ることができる。
- 0.9倍の優れた倍率と940万ドットの高解像度パネルを組み合わせた真新しいEVFを搭載。EVFのピーク輝度は信じられないほど高く、眩しさを感じるレベル(キヤノンは実測値の提供を拒否した)。
- 個人的には、EVFの鮮明さと電子シャッター使用時のブラックアウトフリーの撮影体験が気に入った。ピント合わせや撮影時に解像度が落ちないのは素晴らしい。しかし、EVFはフルHDRの色空間を表示することはできない。
- 心臓部には、新しい積層型2420万画素の裏面照射型センサーが搭載されており、解像性能は低めだが、ニコンZ 8よりも読み出し速度が速い。
- 最初のテストでは、読み出し速度は1/300秒程度で、グローバルシャッターにしなくても素晴らしい結果だった。ローリングシャッターはごく僅かで、センサーはバンディングの問題にもほぼ耐えられる。
- メカニカルシャッターを必要としないほど高速だが、ローリングシャッターやバンディングの問題を軽減するために絶対的な制御が必要な場合、メカニカルシャッターを利用可能。
スピード
- メカニカルシャッターの場合、最高12コマ秒の撮影が可能だが、電子シャッターモードに切り替えると、必要に応じて最高40コマ秒の撮影が可能になる。
- プリバッファ撮影モードがあり、シャッター全押し前の0.5秒間のデータを保持し、決定的瞬間を確実に捉えることができる。
- CFexpress Type Bのデュアルスロットのおかげで、長時間途切れることなく連続撮影ができ、すぐに次の連続撮影のために素早くバッファクリアすることができる。
- 適切なカードを使用したRAW+JPEGモードでは、低速になる前に1,000フレームを撮影できると述べており、これはほとんどの撮影シナリオで「事実上無制限」に相当する。
オートフォーカス
- オートフォーカスはまだ開発初期段階なので完全には評価できないが、未完成の状態でも非常に効果的だった。命中率は非常に高く、被写体とレンズの間に他の被写体が移動していても、低照度の状況で動く被写体を正確に追尾することがわかった。
- オートフォーカスメニューを大幅に簡素化し、撮影者が直接入力しなくても、よりインテリジェントに自動的に最適なアクションを決定するようになった。
- その代わりに、追尾AFをより反応的に、またはロックオンするように調整するスライダーや、サッカー、バスケットボール、バレーボールを含む3つの新しいスポーツ専用モードが用意されている。
- 多くの人が視線入力AFのキャリブレーションに問題を抱えていたにもかかわらず(相棒はいまだにまったく機能させることができない)、私にとっては非常にうまく機能した。少し練習すれば、これは非常に有効でユニークなピント合わせの方法。個人的には、これを使うのが大好き。
- この機能が使えない場合や自分のスタイルに合わない場合でも、スマートコントローラーやより伝統的なポイント選択ツールで簡単にピントを合わせることができる。
- 他のトップクラスのカメラと同様、フォトグラファーに多くの成功への道を示し、特定のニーズに合わせてカスタマイズして調整できるフォーカスシステムを持っている。
ディープラーニング
- ジャーナリストやスポーツフォトグラファーを支援する2つの新しい機能を搭載。
- 一つ目はJPEGファイルの解像度を4倍にすることができるカメラ内アップスケール。これはピクセルシフト技術ではなく、単純に画素数を増加させるものであることに注意。例えばPhotoshopで画像サイズを変更するのと非常に似ているが、カメラ内でファイルに対して行うことができる。
- 二つ目のより有用な機能は、カメラ内でRAWファイルに適用でき、JPEGを出力するディープラーニングノイズリダクションだ。ノイズを低減すると同時に、明瞭度とディテールを向上させる便利なツールだ。
- ノイズ除去の改善効果は顕著で、低照度での高ISO撮影が必要な状況では重宝するだろう。
動画機能
- 高速読み出しが可能な動画向けの素晴らしいセンサーを搭載しており、本格的な記録モードにも対応。
- オーバーサンプリングされた最大60フレーム/秒の4K動画をサポートしており、スポーツやアクションを行うほとんどの撮影者を満足させるだろう。
- 毎秒120コマの4K撮影が可能だが、動画はサブサンプリングされ、画質は少し落ちる。
- 6Kも撮影できるが、独自のキヤノンRAWフォーマットを使用する場合に限られる。このフォーマットは、優れた柔軟性を備えているので何も問題はないが、編集しやすい圧縮6Kフォーマットを期待している場合は、しばらく様子を見る必要がある。
- キヤノンが圧縮映像にCanon-Log2プロファイルの追加はとても嬉しい。
- タリーランプも搭載されており、我々のような仕事には最適。
- 全体的に、ハイブリッドユーザーが必要とする有能なツールである。ただし、R5 IIに追加された波形モニターが搭載されていない。
キヤノンR1は良いカメラか?判断するには時期尚早
- 我々がテストしたR1はプリプロダクションモデルであったため、このカメラについて確かな評価を下すには時期尚早である。
- しかし、R1が非常にパワフルなジャーナリスティックスタイルのカメラになる可能性はある。高速フォーカス、高速撮影、堅牢性、ジャーナリズムやウェブメディアに理想的な画質であることは否定できない。
- このカメラを説明する際に「ジャーナリスティック」などという言葉を使い続けており、そこがR1がフラッグシップ機として失速している点。
- 先に登場したEOS R3は低画素撮影、つまりジャーナリズムに特化したツールであることは明らかだった。速くて頑丈だが非常に高価で、そのような特殊なツールを必要とするメディアにしか市場を見いだせなかった。
- キヤノンがEOS R1のテスト用に用意してくれたスペックリストと2つの撮影シチュエーションを見たとき、このカメラはR1の名にふさわしい現代のフラッグシップ機というよりは、むしろR3 Mark IIに近いと感じずにはいられなかった。
画質や真のオートフォーカスの可能性など、このカメラには最終的な量産機でなければわからない未解決の疑問がたくさんあるため、最終的な判断は製品版のR1を入手して評価するときまで取っておく必要がある。
現段階で明らかなのは、どれだけ多くの思慮深い改良があろうとも、R3と同じ顧客層をターゲットにしているということだ。R1が強力な技術を搭載していることは否定しないが、キヤノンがすでに歩んできた道を辿っているように見える。率直に言って、その道を選ぶ写真家は比較的少ない。
キヤノンがこのことを認識し、より高画素で特殊性の低いバージョンのカメラを開発し、すぐに発売することを願うばかりだ。
新開発の2400万画素積層型CMOSセンサーとDIGIC X + アクセラレータを搭載したミラーレス初となる「1」シリーズのEOS Rカメラ。解像度は引き続き2400万画素ですが、EOS-1D X Mark IIIに引き続きGDローパスフィルタを採用。また、高速連写や高速ローリングシャッター、高度な動画機能など基本性能が高いことに加え、撮影を補助する様々な機能が追加されています。
PetaPixelのレビューでは、視線入力AFをはじめとして優れた操作性や堅牢なボディについて高く評価。プロプロダクションモデルのためAFの評価は避けつつも、現段階で実用的なパフォーマンスを発揮していると言及しています。視線入力AFが利用できない場合もあるらしく、製品版で問題を解決しているのか気になるところ。
総評では「高性能・高機能なカメラ」としつつも特徴がR3と重複していると指摘。ソニーα1やニコンZ 8・Z 9のような高解像で汎用性の高いカメラを期待していたような印象を受けます。このレビュー執筆時点で同時発表した「EOS R5 Mark II」の存在を把握していたのかどうかは不明。PetaPixelが末尾で言及した「より高画素で特殊性の低いバージョンのカメラ」のラインアップを補完する存在としてEOS R5 Mark IIはより適切なカメラのようです。(実際、EOS R5 Mark IIのレビューで「真の主役」と言及)
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