Lesnumeriquesがソニー「α1」のレビューを公開しています。起動時間や低照度AF、部分的な操作性などに改善点を残しているものの、非常に完成度の高い超高性能カメラと評価しています。
超高性能カメラ
Lesnumeriques:Test Sony Alpha 1 (A1) : l'empereur hybride des appareils photo
カメラの紹介:
- ソニーαシリーズのトップエンドに位置するモデルだ。競合他社が付け入る隙のない、24時間365日最上級のミラーレスである。
- 5010万画素の積層型CMOSセンサーを搭載し、デュアルBIONZ XRプロセッサーとペアになっている。30コマ秒のAE/AF対応高速連写に加え、EOS R5に続く8K動画にも対応している。
- 競合モデルは一眼レフのキヤノン「EOS-1D X Mark III」やニコン「D6」だが、フルサイズミラーレスに参入したばかりの2社はフラッグシップと呼べるモデルが存在していない。「EOS R1・Z 9(仮)」などが登場する可能性はある。
ビルド・外観:
- EOS-1D X Mark IIIやD6のような縦位置グリップ一体型ボディとは程遠く、他のα7・α9シリーズと似たようなデザインのカメラだ。エルゴノミクスにほとんど変化が無いので、慣れ親しんだ操作性を体感できるはずだ。
- α9 IIから継承したものもあれば、α7R IVやα7S IIIのように改善されたポイントも存在する。
- コンパクト過ぎること以外にエルゴノミクスの欠点はほとんど見られない。
- α7S IIIと同じくCFexpress AカードとSDXC UHS-IIカードに対応したデュアルスロットを搭載している。最新CFexpress Aカードは非常に高速で、理論上のスループットは700MB/sに達する。
- 今のところ対応するメモリーカードは少なく、高価である。
携帯性:
- 常にコンパクトさを追求しており、グリップとレンズの間には十分なスペースが無いことは明らかだ。大きな手や手袋装着時の取り扱いは容易ではない。
グリップ:
- 長年にわたり改良し続けているが、全高は少し低く、必ずしも大きなズームレンズに適したグリップとは言えない。α7R IVやα9 IIと互換性のある縦位置グリップの装着が可能だ。ついでにバッテリー搭載数も増やすことが出来る。
操作性:
- 右肩には撮影モード、露出補正、コマンドダイヤルに加え、2つのFnボタンを搭載している。
- 左肩にはフォーカスモードとドライブダイヤルを同軸で搭載。ロック機能を備えている。
- 背面にはホイールに加え、カスタマイズ可能なボタンがいくつか存在する。
- カスタマイズは大部分の機能を割り当てることが可能だ。
- 未だに起動時間が長い。長すぎる。平均で1秒強、長いときは1.5秒も待たなければならない。EOS R5は0.76秒で起動し、EOS-1D X Mark IIIは0.25秒だ。
- 例えば「LUMIX S1」はシャッターボタンを複数回押すと、一種の連写モードが自然とアクティブになる。しかし、ソニーで同様の動作は利用できず、連写モードへ切り替える必要がある。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- α7S IIIと同じ944万ドット、0.9倍のOLEDファインダーを搭載している。これを他社が打ち負かすのは難しい。
- ファインダーが大きすぎてフレーム隅の情報を確認するのが難しい場合がある。
- 高解像モードは初期設定でオフとなっている。このモードは最も遅いリフレッシュレート(60fps)でのみ利用可能だ。
- 120fps利用時は解像度を下げ、画質が少し低下するが、十分な画質を維持している。
- 240fpsも利用可能だが、ファインダー倍率が低下し、576万ドットとなる。
モニター:
- モニタースペックは一般的だが、メニューのタッチ操作に対応している。
- 残念ながらバリアングルモニタではない。
メニューシステム:
- α7S IIIで改善した新しいメニューシステムを継承している。
- 完璧でなくとも、より明瞭で読みやすいメニューだ。
- 機能の名称と選択肢が明瞭ではない場合もあるが、大部分のメニューにヘルプ機能がついている。
オートフォーカス:
- 引き続き優れたパフォーマンスだ。α1はさらに改善しており、今のところ小さな欠点もない。
- 低照度でのAFは少し低下するので、この点ではEOS R5が少し良好だ。
- EOS R5のオートフォーカス性能にも感動したが、首位はα1だ。瞳検出に加え、専用のトラッキングモードも非常に効果的である。ただし設定が多いので時間をかけて慣れていく必要がある。
- 鳥の瞳検出に対応しているが、目が見えなくなった時に検出が外れる可能性がある。人の瞳AFほどではないが、非常に実用的だ。
連写性能・ドライブ・フォーマット:
- 電子シャッターを使用した連写速度は業界トップクラスだ。公称値通りの30コマ秒を維持している。ただし、出力は圧縮RAW限定だ。非圧縮RAWの場合は20コマ秒までとなる。
- ロスレスRAW時は20?50%のファイルサイズ圧縮が可能だ。
- さらに電子シャッター時のローリングシャッター歪みが低減しているのでアクション撮影で使いやすくなっている。
- 回転する自転車のホイールを電子シャッターで撮影しても歪みは発生しない。同じ状況でα7R IVやZ 7IIは使いもにならず、EOS R5のみ健闘している。
- ただしメカニカルシャッターは連写速度が競合カメラよりも遅い。
- 5000万画素の連写ではあっという間にストレージの空き容量が無くなる。(毎秒2.5GB)
- EOS-1D X Mark IIIはバッファの制限なく連写可能だが、α1ほど高解像ではない。
- 初期設定で連写の設定は「バランス」となっている。連写やフォーカスを重視する場合は設定を変更しなければならない。
- バネを使ったメカニカルシャッターでキヤノンやニコンを驚かすのは間違いない。
高感度ISOノイズ:
- ISO 800までは完璧だ。
- ISO 800を超えるとISO 6400までそれほど問題とならないノイズに抑えられている。
- ISO 12800はまだ実用的な画質で、ISO 25600まで増感もできる。
- ISO 25600以降は顕著な画質劣化が見られるが、解像度の恩恵はまだある。
- 4500万画素のEOS R5と同程度の画質だ。ソニーは解像度の点で僅かに良好だ。
ダイナミックレンジ:
- 記載なし。
仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- いつも通り、DCIアスペクト比は利用できない。
- 4:2:2 10BitやALL-Iを利用する場合は4Kを使用する必要がある。
- 4K 120fps利用時はわずかなクロップが発生する。
- EOS R5に続き8K動画に対応している。キヤノンと比べて発熱を抑えるフォーマットだ。画質はEOS R5のほうが優れている。
- 8K 30p 4:2:0 10Bit LGOPで発熱をテストしたところ、温度設定が「標準」の場合は18分継続した。これを「高」に設定すると33分の録画が可能となった。
- モニターが少し熱くなるのでチルトモニタを展開しておくと良いだろう。この場合、カード容量一杯まで撮影可能だった。さらに録画を継続すると、1時間半以上の撮影が可能だ。
- 45度の環境では記録時間が大幅に短縮する(22分)。
- EOS R5は8K 4:2:2 10Bit ALL-Iに対応し、ビットレートは1300Mbpsに達する。さらに12Bit RAWの内部記録が可能だ。このような仕様の8Kと直接比較することは出来ない。
- 動画撮影におけるローリングシャッター歪み耐性は完璧とは言えないが、8Kでも許容範囲内であり、4Kではさらに問題が軽減する。実際の使用で問題となることは無いだろう。
通信接続:
- ヘッドホン、マイク、HDMI A、RJ45、マイクロUSB、シンクロ、USB-C USB 3.2に対応している。
- 802.11ac 2X2 MIMOのWi-FiやBluetooth、NFCなどの無線通信に対応している。
- 欠けているのはGPSくらいだ。
総評
ソニーが最上位ミラーレスをついに投入した。非常に完成度の高い超高性能カメラだ。すべてのカテゴリを支配的にカバーするミラーレスである。信じられないほどの連写性能、完璧なオートフォーカスが組み合わさり、どんな状況に直面しても頼もしい相棒となるだろう。さらに動画機能もおまけとなっていない。それどころか、 8K動画モードが加わり、従来通りの動画モードは大部分の人に訴求力があると思う。
ただし、ライバルであるニコンとキヤノンの2社は、このセグメントのミラーレスを投入していない。ソニーがずっとトップの座を維持するかどうかはまだハッキリとしていない。
- 長所:
・優れたエルゴノミクスとカスタマイズ
・優れた応答性
・優れた高感度ISO性能
・ボディ内手ぶれ補正
・防塵防滴
・30コマ秒の連写速度
・ローリングシャッター歪の耐性
・8K 30p
・4K 120p以外はフル画角
・ハイクオリティな240fps電子ファインダー
・完璧な通信接続性
・デュアルCFexpress A・SDXCスロット
・給電対応- 短所:
・起動時間
・メカシャッター時は10コマ秒の連写速度
・8K動画は他社ほどではない
・バリアングルモニタではない
・DCIアスペクト比なし
・RAW動画は4Kのみ
・外部ストレージ使用不可
・普及していないCFexpress A
とのこと。
高解像・高速連写に加え、高い動画機能を備えたカメラですね。非常に高価ですが、それだけ幅広く使えるモデルとなっている模様。多くの人はオーバースペックな上に高価と感じるかもしれませんが、その場合はRシリーズやSシリーズなどの選択肢が揃っています。積層型2400万画素の「α9」シリーズをこのまま継続するのか気になるところですね。
「全てのおいて完璧」と言うわけでは無く、起動速度がまだまだ遅かったり、低照度AFがキヤノンと比べて少し遅く、8K動画の画質も及ばない、など部分的に改善点があるようです。8K動画はともかく、起動速度は少し気になる部分かもしれません。この辺りは実機で確認してみるのが良いでしょう。
- 3月19日発売予定
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