Lesnumeriquesがソニー「α7R V ILCE-7RM5」のレビューを公開。R IVと同じくローリングシャッターが顕著と指摘しつつ、ノウハウが凝縮された手ごたえのあるカメラと評価しています。
Lesnumeriques:Test Sony Alpha 7R V (A7R V) : l'hybride quasiment parfait
ビルド・外観:
- 前モデルと似ているが、明確に進化している。
- 電源オフ時にシャッター幕を閉じてセンサー保護する機能を搭載している。
- 従来まではディーゼル車のような起動速度(1.5秒を超える)だったが、このカメラは平均で0.58秒と非常に高速だ。これより速い起動速度は一眼レフくらいのものである。
バッテリー:
- 記載なし。
インターフェース:
- CFexpress Tyoe A / SD UHS-IIカードスロットに対応している。
- HDMI A、シンクロ、ヘッドホン、マイク、USB-C 3.2 Gen2、リモコンなどに対応している。
携帯性:
- コンパクトなカメラだが、重量感には驚かされる。
- 重量は737gだ。ニコンZ 9の半分だが、キヤノンEOS R5よりmお少し重い。
- α7R IIやα7R IIIの時代からすると重量差が顕著である。
- LUMIX S1Rほど大きくないが、重量は近づいてきている。
グリップ:
- グリップ表面はきめ細かい質感だ。
操作性:
- モニター部を除くとコントロールレイアウトはα7 IVと同じように見える。
- PASMモードダイヤルから動画モードがなくなり、ダイヤル下部に静止画と動画を切り替えることができるスイッチを搭載している。
- PASMダイヤルとMENUボタンを除くとすべてのコントロールをカスタマイズ可能だ。
- カスタマイズはエキスパート志向で、慣れるまで時間はかかるだろうが、満足のいく結果が期待できる。
手ぶれ補正:
- 最大で8段分の補正効果がある。
- 実写ではα1よりも効果的であるように思われた。
ファインダー:
- α1やα7S IIIと同じく944万ドット、0.9倍の大型ファインダーを搭載している。
- 解像度を犠牲にすると120fpsのリフレッシュレートにも対応している。
モニター:
- α7 IVやα7S IIIのようにバリアングル構造を採用しているが、さらにチルト方向の可動にも対応している。
- モニタがカメラ背面から離れることで8K時の放熱性も高まるとソニーは説明している。
メニューシステム:
- 記載なし。
フォーカスシステム:
- FE 24-70mm F2.8 GM IIでテストした。
- 日中ではα7R IVとの差が僅かだが、低照度ではα7R Vのほうがはるかに良好だ。
- 乗り物の被写体認識に対応している。
- 昆虫を検出するには十分に近寄る必要がある。
ドライブ性能:
- CFexpress Type Aに対応しており、連続撮影時のバッファは大幅に改善している。
- 連続撮影速度は最大で10fpsだ。
- 電子シャッター時は7.5fpsとなる。電子シャッター時の強いローリングシャッター現象を見れば驚くことではない。
- 10fps時にSDカードを使用すると非圧縮RAWで80枚、圧縮RAWで120枚の撮影が可能だ。
- CFexpress Type Aを使用すると、バッファクリアが高速化され、圧縮RAW・ロスレス圧縮RAWで1000枚以上の撮影が可能となる。非圧縮RAWでは215枚の撮影が可能だった。
解像性能:
- 4枚または16枚のセンサーシフト画像を結合して高解像の画像データとすることができる。
- ピクセルシフトマルチショットはパソコンのソフトウェアでマージする必要がある。また、一部のメーカーのように手持ちでの撮影には対応していない。
高感度ISOノイズ:
- JPEGではISO 12800まで良好に見える。
- ディテールはISO 1600まで非常に良好だ。
- ISO 3200からディテールの低下が始まるが、ISO 6400でも実用的だ。
- ディテールの問題を感じるのはISO 12800以降だ。
ダイナミックレンジ:
- 現状でRAWを編集する手段がないので未評価とする。
画質・仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- α1に続いて8K動画に対応したカメラだ。
- α1は8K 30pでの撮影が可能だが、α7R Vは24pまでだ。
- 8K動画時は1.2倍のクロップが発生する。
- 8Kの画質はα1と同等だが、EOS R5やZ 9を下回る。
- 4K 30pでは全幅を使った動画撮影が可能だ。
- ALL-I・LongGOPどちらでも4:2:2 10bitの撮影が可能である。
- HDMI出力でRAW動画にも対応している。
- 120fpsの入フレームレートに対応しているがFullHDのみだ。
- フォーカスマップやS-Cinetoneに対応している。
- ローリングシャッターはかなり目立つ。
総評
α7R IVと同じ非常に優れたセンサーを搭載しつつ、アップグレードが施されている。改良されたボディ、改善されたエルゴノミクス、ますます見事なAFの追従性など、野心的で高性能なカメラだ。最大の欠点は、静止画でも動画でも、電子シャッターではあまりにも顕著なローリングシャッターであることに変わりはない。それでも、カメラづくりのノウハウが凝縮された、手ごたえのあるカメラだと思う。
- 長所:
・とても良好なEVF
・ISO感度性能が良好
・2億4000万画素の高解像撮影
・8K 24p
・4:2:2 10bit
・4K UHD 30pでクロップなし
・被写体検出AF
・8段分の手振れ補正
・高速起動
・4軸フリーアングルモニタ
・豊富なインターフェース
・カスタマイズ性
・防塵防滴- 短所:
・連続撮影速度が最大で10fps
・電子シャッターの最速が1/8000秒
・フォーカスマップアシストの制限
・4K 60pや8Kでのクロップ
・DCIフォーマットに非対応
・顕著なローリングシャッター
・4Kライブストリーミングは15fpsの制限
とのこと。
イメージセンサーは従来通りの6100万画素CMOSセンサーであり、ローリングシャッターに関して大きな改善は見られないようですね。電子シャッターを使用した静止画・動画撮影でセンサー全体を横切るような動態撮影時は注意が必要なようです。
このあたりのパフォーマンスはキヤノンのEOS R5のセンサーが最も良好ですが、α7R Vは6100万画素の超高解像センサーを搭載していることを考えると妥協すべきポイントと言えそうです。それにローリングシャッターが気になる場合は「α1」を選ぶこともできます。
ローリングシャッターの性能を許容できるのであれば、新型プロセッサやAIプロセッシングユニットを活かした起動速度、高性能AF、精度の高いAWBやAEなどを利用することができそうです。手持ちのα7R IVで不満だったのが起動速度やコントロールの応答性、AWBだったので、多少高くてもアップグレードを検討中。AIプロセッシングユニットや可視光+IRセンサーでAWB・AEがどれほど改善しているのか気になるところですね。
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