DPReviewがパナソニック「LUMIX GH6」のレビューを公開。フレームレート・解像度・コーディックの制限がほとんど無い柔軟性の高いカメラと評価しつつ、依然としてAFに課題があり、DRブースト未使用時の画質が劣ると指摘しています。
DPReview:Panasonic Lumix DC-GH6 review
好きなところ
- 優れた動画品質
- 幅広い動画の選択肢
- 豊富な動画サポート機能
- 優れた手ぶれ補正
- 冷却ファンによる信頼性
- DRブーストとV-Logによる厳しい状況での信頼性
- 手持ちハイレゾモード
- オーディオ設定へのアクセス性
- 4チャンネルオーディオ収録
- フレームレート・解像度・コーディックの制限がほとんど無い
好きでは無いところ
- ISO 800以下の静止画ダイナミックレンジが残念
- 前モデルよりも遥かに短いバッテリーライフ
- ハイスピードモードはDRブーストの解除が必要
- 拡大時のディテールが良くない
- DRブーストを使用しない低ISOの映像はGH5に劣る
結論
- 多くの点で、GHシリーズらしい印象的なカメラだ。
- 動画撮影における解像度と品質の選択肢の幅を広げ、4チャンネルオーディオ収録やアクティブ冷却構造などの機能を追加し、これまで以上に信頼性の高い、頼もしい動画撮影を実現。
- ソニーのα7S IIIやキヤノンのEOS R5C(さらには富士フイルムのX-H2Sもある程度)などとの競争がますます激しくなる中で、GH6は幅広い動画撮影機会に適応できる、よく考えられ、安定した撮影プラットフォームを提供している。
- パナソニックは、機能群を構築し、オーディオ設定に素早くアクセスできるなど、ユーザーインターフェイスに磨きをかけている。
- オートフォーカスは、このカメラにとってまだ弱点だ。
- 被写体追尾モードは、意図したターゲットを識別して追従するのに適しており、静止画モードではヒット率が非常に高い(特にDFD完全対応の自社製レンズの場合)。
- しかし動画AFは、特に23.98/24pで撮影した場合にフラッター、ウォブリング、不確実性が映像に現れることがある。
- 最も懸念されるのはセンサーだ。静止画モードではダイナミックレンジの点で、少なくとも1段分遅れをとっている。ただしISO800からDRブーストが効くので補われている。それでも、これまでのGHと比べると制限がある。
- 動画モードではもう少しポジティブな結果が得られる。基本的なISO性能は堅実であり、より厳しい照明の下でも良い結果を出し続けることができる。
- ただし、DRブーストなしの性能は、我々が慣れ親しんだレベルには達していないようで、この広い動作範囲とのトレードオフがあるようだ。
- ProRes、4K/120、ファン冷却の信頼性など、GH6の機能のいくつかに匹敵する競合機は存在するが、これらをすべて一緒に提供し、さらに驚異的なクロスモードの一貫性(自分のニーズに合ったコーデック、ビット深度とビットレートでほぼすべての解像度やフレームレートを撮影できる)を持つカメラは存在しない。
- GH6は、このシリーズに期待するプロダクションスタンダードの強豪機種だが、センサー設計に対するパナソニックの大きな賭けが、期待していたような見返りをもたらすかどうか確信が持てない。優れた動画カメラであり、エキサイティングな静止画機能を備えているが、全体的に見ると以前のカメラよりもパフォーマンスは低下している。
幅広いコーデックとビットレートですべてのモードを提供する、柔軟で信頼性の高いビデオカメラだ。優れた動画を実現するセンサーは、最高のスチルカメラのライバルに後れを取っており、前モデルよりも成功したハイブリッドカメラとは言えない。さらに動画ではAFが依然として課題となっている。動画ではAFに課題が残るものの、全体的には信頼できる動画制作ツールで、仕事が楽しくなる相棒だ。
競合機種との比較
- ソニーα7S III
フルサイズセンサーで価格は6割ほど高いが、動画フォーカスや全画角に近い4K/120p対応で、GH6の当然のライバルと言える。GH6と同様に高性能な動画ツールだが、主に解像度の面で静止画撮影能力をいくらか犠牲にしている。より信頼性の高い位相差検出と被写体追尾システムを備え、常に感銘を受け続けてきた。より高解像度の944万ドット(2048 X 1536px)のEVFを持ち、小型軽量で、デュアルCFexpress A/SDカードスロットに対応しており、任意の解像度、フレームレート、コーデックで収録が可能だ。
対してGH6は、よりディテールのある4K動画、高解像度センサーによる高解像度5.7/5.8K収録オプション、およびアナモフィックに対応している。ProResの内部記録オプションは、プロフェッショナルな記録形式を必要とするプロにアピールできるだろう。また、手ぶれ補正とエルゴノミクスはGH6の方が優れており、ファン冷却はより高い信頼性を与えてくれる。- ソニーFX3
α7S IIIの優れたEVFを犠牲にして、内蔵ファン、タリーランプ、複数の1/4インチマウントポイント、さらにいくつかのログプロファイルを搭載している。- キヤノン EOS R5 C
EOS R5のセンサーとコアデザインを採用し、話題のオーバーヒート問題を軽減するためにファンを追加している。GH6の最大5.8K 4:3モードよりもはるかに高い8Kを収録することができるが、価格は約2倍だ。R5Cは、波形モニタのようなプロフェッショナルな支援ツールの多くを備え、内部RAW記録と評価の高いDPAFシステムを備えている。また、シネマEOSのインターフェースを採用し、静止画撮影時には写真に特化したEOSディスプレイを採用するなど、巧みな工夫が施されている。しかし、これらの動画機能の追加と引き換えに、ボディ内手ぶれ補正を犠牲にしている。
GH6は、オーバーサンプリングされた4Kモードでのローリングシャッターの減少、よりディテールのある4K/120p、全幅のアナモフィックが強みとなる。また、R5Cにはないボディ内手ぶれ補正も搭載している。- 富士フイルムX-H2S
興味深い競合機種となるが、我々はこのカメラのテストが終了していない。
とのこと。
柔軟性の高い動画モードや幅広い動画撮影機能に対応し、内蔵ファンやチルト・バリアングルのハイブリッド構造など動画撮影に特化したデザインのカメラですね。一方で、依然としてコントラスト検出がベースのAFは低フレームレートの動画撮影で欠点となりやすく、DRブースト未使用時のダイナミックレンジが低いと指摘されています。Photons to Photosで同様のテスト結果が公開されており、最初は何かの間違いかと思ったのですが、どうやらDPReviewでも同様のテスト結果となったようです。魅力的なスペックではあるものの、場合によっては従来機のほうが適している場合もあるみたいですね。静止画では手持ちハイレゾモードに対応した1億画素出力に対応しているだけに、ベースISOのダイナミックレンジが低めとなっているのは残念です。今後、パナソニックがこのセンサーを他のカメラにも搭載するのか、それともGH6以外は従来通り2000万画素センサーを採用するのか気になるところ。
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