Digital Camera Worldがソニー「ZV-E10」のレビューにラボテストの結果を追加。やや古めのイメージセンサーを搭載しているのか、読み出し速度やRAWの柔軟性の点でニコンや富士フイルムほどではないとのこと。
Digital Camera World:Hands on: Sony ZV-E10 review(更新部分を太字で表示しています)
技術的に新境地を開拓したわけではなく、スチルフォトグラファーが欲しいと思う機能をいくつか捨ててしまったが、初心者のVloggerにとってはとても良いカメラだと思う。4K動画、ソニーの優れたAFシステム、バリアングルモニタ、風切り音を抑えるウインドスクリーンなどを備えている。そして何より、ミラーレスの価格がどんどん上昇している中で、かなりお買い得なカメラだと思う。ただし、ボディ内手ぶれ補正の欠如と目立つローリングシャッターは欠点だ。
カメラの紹介:
- ソニーはその新しいカメラを「ZV-E10」と呼んでいるが、これはおそらく、長く続いているα6000シリーズのカメラと区別するためだろう。
- ソニーはポケットサイズの「ZV-1」でも同じ手法を採用しており、これは本質的に、RX100シリーズのVlogモデルだ。
- これは賢い選択だ。α6000シリーズは、1,400ドルの「α6600」を筆頭に、これまでに何度も発売されてきたが、そのたびに値段が上がっている。
- この新モデルは、エントリーレベルのα6100よりも低価格でありながら、Vloggerが求めるすべての機能を備えている。これは、ソニーがずっとターゲットにしてきた市場でもある。
仕様の確認
- 2420万画素 CMOSセンサーは、α6xxxシリーズに搭載されているものと同じものだ。
- 従来のモデルよりも横幅が数ミリ小さくなっているが、重量はほぼ同じだ。
- Eマウントカメラとして、APS-C EマウントレンズとフルサイズのFEレンズの両方に対応している。
- このカメラには従来機と大きな違いがある。
ひとつは、ソニーAPS-Cミラーレスでは初めて、バリアングルモニタを搭載している。
もうひとつの違いは、カメラの上部に3カプセルの指向性マイクを搭載していることで、カメラに付属するクリップ式のウインドスクリーンを装着可能だ。- また、通常のマイクソケットも装備しており、アクセサリーシューはデジタルオーディオインターフェースとしても機能する。
- 3つ目の違いは、あまり歓迎されないかもしれないが、ファインダーがない。Vloggerやビデオグラファーはファインダーを使うことはないだろうが、静止画フォトグラファーにとっては気難しいポイントだ。
ビルド・外観:
- 既存のα6xxxはすでにかなり小型化されたシリーズだが、ZV-E10は特にコンパクトに感じる。
- それでも、前面の程よい大きさのグリップのおかげで、手に持ったときの安心感はある。
- このカメラにはモードダイヤルがなく、メニューシステムからモードを変更する必要があり、これも静止画撮影にはマイナスポイントだ。
- 上部のボタンで静止画、動画、S&Qモードを切り替えるのは十分にわかりやすいが、どのモードにいるのかが一目でわかるように、物理的なレバーがあったほうがはるかにいいと思う。
- ソニーの背面モニタはいつも小さく、この機種も同様だ。十分な機能を持っているが、それ以上ではない。このカメラを屋外で使用する場、屋外光ディスプレイモードを有効にして、そのままにしておいた方が良い。
- 広角ズームの「E 10-18mm F4 OSS」は、自撮りVlogにおススメだ。おなじみのソニー16-50mmPZキットレンズは、ZV-E10のズームレバーと連動しているので、特に便利だ。
オートフォーカス:
- ソニーのオートフォーカスシステムは、APS-Cミラーレスカメラの中では最も優れている。
- 静止画撮影では高速で肯定的な性能を発揮し、動画モードでも優れた性能を発揮する。
- 顔/瞳検出AFは非常に高速で、俊敏な動きにも追従する。
- 商品レビュー設定モードも同様に素晴らしく、カメラの前にかざした被写体に素早くピントを合わせてくれる。ただし、顔認識AFと同時に使用することは出来ない。
- トラッキングモードは、画面上の被写体をタップするだけで作動し、被写体が一瞬見えなくなったり、フレームから出たり戻ったりしても、対象を見失うことなく、被写体にしっかりと「張り付く」ことが可能だ。
画質:
- 静止画の画質は、ソニーのAPS-Cミラーレスに期待するものと非常に良く似ている。ラボテストで違いが分かるとは思えない。
- キットレンズのPZ 16-50mmは、あまり期待しないほうが良い。
- 解像度はEOS Kiss M2と同等だ。しかし、高感度時はノイズが増えてZ 50のほうが優れたディテールとなる。
- 低感度時はEOS Kiss M2とほぼ同じで、高感度ISOでは1EV広くなる。ただし、ニコンや富士フイルムと競合することは出来ない。ソニーのセンサーがかなり古く、読み出し速度やノイズ制御が見劣りするものと思われる。
- ISO感度ノイズは特に高感度ISOで主要ライバルよりも少し多い
動画:
- 動画の品質は、一見したところ、ソニーAPS-Cミラーレスに期待していた通りのものだ。しかし、ボディ内に手ぶれ補正がないのでレンズ補正か電子手ぶれ補正が必要だ。どちらも「ランアンドガン」には適していない。
- 他のソニーAPS-Cカメラと同じくローリングシャッターの影響が目立つ。これにより手持ち撮影がさらにぎこちない映像となってしまう。
- サンプルカメラにはウインドスクリーンが付属していなかったので、ウインドスクリーン込みのマイクテストすることはできなかった。しかし、ソニーのZV-1ではこのウインドマフラがとても効果的であることが判明している。
総評
ZV-E10は、多くの点で冒険的ではなく、少し制限が多いと感じさえする。この2、3年でAPS-Cの4K動画技術を全くと言っていいほど強化しておらず、4K 30pでの撮影が当たり前になっている。ファインダーはなく、操作性も他のソニーのAPS-Cミラーレスカメラに比べて静止画撮影には適していない。
しかし、バリアングルモニタ、内蔵マイクとウインドスクリーン、そしてソニーのクラス最高レベルの動画AFにより、エントリーVloggerや、品質を向上させたいスマートフォン撮影者に最適だ。そして何より、カメラを初心者Vloggerが手に入れやすく、かつ必要なものをすべて備えて現実的な価格設定に仕上げている。
ZV-E10は、新境地を開拓するカメラではないが、特定のユーザーに向けた製品としては、まさに正鵠を射たものと言える。
- 長所:
・AFの機能と性能
・バリアングルモニタ
・クリップオンのウインドスクリーン- 短所:
・ファインダーが無い
・ボディ内手ぶれ補正が無い
・ローリングシャッター
とのこと。
コンパクトカメラ「ZV-1」と同程度の価格設定で入手可能なAPS-Cミラーレスカメラですね。バリアングルモニタや指向性カプセルマイクを搭載し、動画撮影向けのカメラに仕上がっています。ファインダーやモードダイヤルを搭載していないので静止画撮影には不便ですが、それでも従来のα6xxxシリーズと同様のAF性能や画質を得ることが可能。これで低価格を実現しているのは凄いですね。
DPReviewではローリングシャッターを指摘しており、Digital Camera Worldも追加レビューで同じ指摘をしています。さらに比較的古めのイメージセンサーを使うことでダイナミックレンジや高感度ISOが競合カメラと比べて不利になっている模様。とは言え、この辺りのデメリットはエントリーVloggerが気にする問題ではないかもしれません。それよりもカメラを低価格に抑えつつ、機能性を重視した仕上がりを評価すべきかなと思います。
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