シグマ「20-200mm F3.5-6.3 DG|Contemporary」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。
簡易的なまとめ
世界初となる20mmスタートの高倍率ズームレンズ。
さぞ大きく重いレンズかと思いきや、競合製品と比べても小型軽量で扱いやすい。HLA駆動で電光石火のAFを利用でき、標準ズーム域では小さな被写体をクローズアップ可能。
携帯性の代償として開放F値が大きく、ズームの広い範囲で「F6.3」となる。また、光学手振れ補正を搭載しておらず、ボディ側に手振れ補正機能を持たないカメラとの組み合わせでは注意が必要。
注意点を考慮しても、便利で汎用性の高いズームレンズに仕上がっています。販売価格はカメラメーカーの純正品並みですが、それだけの価値がある一本。
The world's first high-power zoom lens starting at 20mm.
You might expect it to be large and heavy, but it's compact and lightweight compared to competitors, making it easy to handle. It features HLA-driven lightning-fast AF and can capture close-ups of small subjects within the standard zoom range.
The trade-off for portability is a relatively large maximum aperture, which is F6.3 across a wide range of the zoom. It also lacks optical image stabilization, so caution is needed when pairing it with cameras that lack in-body stabilization.
Even considering these points, it's a convenient and versatile zoom lens. While the retail price is comparable to a camera manufacturer's genuine product, it's a lens worth every penny.
20-200mm F3.5-6.3 DG|Contemporary Leica L | |||
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20-200mm F3.5-6.3 DGのレビュー一覧
Index
まえがき
- 発売日:2025年9月25日
- 商品ページ
- 最新情報まとめ
- 管理人のFlickr
2025年9月に登場したフルサイズミラーレス対応の高倍率ズームレンズ。
このクラスとしては初となる「20mm」始まりを実現しつつ、標準ズームのレンジで1:2のハーフマクロに対応。光学手振れ補正が非搭載であるものの、それを補って余りある利便性を実現しています。
対応マウントはソニーEとライカLの2種類。ニコンZやキヤノンRF版はありません。
主な仕様
レンズマウント | E / L |
対応センサー | フルサイズ |
焦点距離 | 20-200mm |
レンズ構成 | 14群18枚 |
開放絞り | F3.5-6.3 |
最小絞り | F22-40 |
絞り羽根 | 9枚(円形絞り) |
最短撮影距離 | 16.5cm (焦点距離28mm時) 25cm(W) - 65cm(T) |
最大撮影倍率 | 1:2 (焦点距離28-85mm時) |
フィルター径 | φ72mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | 撥水防汚コート |
サイズ | φ77.2mm x 115.5mm |
重量 | 550g |
防塵防滴 | 防塵防滴構造 |
AF | HLA |
絞りリング | - |
その他のコントロール | ズームロックスイッチ |
付属品 | ・ポーチ ・レンズフード(LH756-02) ・フロントキャップ(LCF-72 IV) ・リアキャップ(LCR III) |
広角20mm始まりの高倍率ズームレンズですが、他社の競合製品と比べて大きくも重くもありません。光学手振れ補正を搭載していない点が有利に働いていることは間違いないですが、ボディ側で補正しやすい焦点距離であることを考慮すると欠点とは言えません。
フォーカス駆動には最近のシグマ製品と同じくHLAを使用。静粛で高速なフォーカスを期待できそうです。
価格のチェック
- 予約開始日:9月11日(木)10時
- 希望小売価格:オープンプライス
- シグマオンラインショップ:143,000円
- カメラのキタムラ:128,700円
200mm高倍率ズームとしてはやや高めですが、キヤノンやニコン、ソニーの純正レンズの価格を考慮すると同程度。適正価格で、さらに20mmを利用できるのは魅力的。
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外観・操作性
箱・付属品
2025年2月、シグマは10年以上続いていたSGVシリーズ(Sigma Global Vision)のVI(ビジュアルアイデンティティ)を刷新しました。
これに伴い、箱も従来の白を基調としたデザインから一新。環境に配慮して簡素化した箱ですが、緑を少し加えたカラーリング。フォントも新しいものに置き換わっています。
箱の中の仕切りや梱包は紙素材が中心。紙素材ながら、購入体験を演出する凝った梱包となっています。
レンズ本体の他に、レンズフード、説明書、保証書が付属。ポーチが付属。
外観
箱のデザインは大幅に変わりましたが、レンズ筐体は従来通り。Contemporaryラインらしく、頑丈なプラスチック製の外装を採用。幅広いズームリングはゴム、先端のフォーカスリングはプラスチックで触感を区別している模様。
デザインは従来通りですが、スイッチをやや前方に配置している点で特殊なコントロールレイアウトのレンズ。
箱と同じく、レンズ名などロゴのフォントが切り替わっています。
I Seriesと異なり、意匠は必要最低限。ロゴの他には「Contemporary」を示すシルバーのバッジを備えているのみ。マウント付近には「2025」を示すエディションナンバーがプリントされています。
ズーム時に伸びる内筒は多段式ではなく、1段階で大きく伸びるタイプ。防塵防滴の観点から、(ゴミの侵入経路が増えてしまう)多段式より好み。
ハンズオン
サイズ | 重量 | |
SIGMA | φ77.2×115.5mm | 550g |
LUMIX | φ77.3×93.4mm | 413g |
SONY | φ80.5×118.5mm | 780g |
Canon | φ80.4×122.5mm | 750g |
Nikon | φ76.5×114.0mm | 570g |
TAMRON | φ74.0×117.0mm | 575g |
パナソニックほど小型軽量ではないものの、20mmをカバーしつつも(比較的)小さく軽いレンズのようです。光学手振れ補正を搭載していない点を理解しておく必要があるものの、超広角をカバーする携帯性が強みの高倍率ズームと言えるでしょう。
*手振れ補正非搭載はシグマとタムロン(F2.8-5.6)のみ。
ズーム時の変化
20mmから200mmにかけて、内筒が徐々に伸びます。大きく伸びるのは35mm以降で、広角側は控え目。最大(200mm時)で約7.5cm伸びます。
F値の変動は以下の通り。20mmからズームインすることで開放F値が急速に上昇、83mmまでにF6.3となります。
タムロンの28-200mm F2.8-5.6 が79mmまで「F4.0」の開放F値を維持していたことを考慮すると1段ほど差があります。低照度での画質差(ISO感度の上がりやすさ)に直結するので気を付けたいところ。
焦点距離 | 開放F値 |
20-21mm | F3.5 |
22-28mm | F4 |
29-37mm | F4.5 |
38-49mm | F5.0 |
50-82mm | F5.6 |
83-200mm | F6.3 |
前玉・後玉
広角20mmをF3.5でカバーしつつも、フィルター径は72mmとコンパクト。ソニーやキヤノンと同じサイズです。ニコンやタムロン、パナソニックと比べると少し大きい(67mm径)。
前玉には撥水防汚コートを採用しているので、水滴や軽い汚れであればメンテナンスしやすい。とは言え、傷や重めの汚れが想定される場合はプロテクトフィルターを装着しておくのがおススメ。
金属製マウント部は4本のネジで本体に固定。マウント部の周囲は防塵防滴用のシーリングが施されています。従来のContemporaryラインは「簡易防塵防滴構造」でしたが、本レンズは「防塵防滴構造」と記載。
最後尾のレンズはマウント付近にありますが、ズーム時は前方へ移動します。
フォーカスリング
レンズ先端には1.7cm幅のフォーカスリングを搭載。やや軽めの抵抗感で滑らかに回転します。レンズフードを逆さ付けすると部分的に隠れてしまいますが、そのまま操作可能。
フォーカスリングのレスポンスは回転速度に依存します。素早く回転した場合、ピント全域のストロークは約180度。ゆっくり回転した場合は約360度。広角端でも望遠端でもストロークはほぼ同じ。
ズームリング
約5cm幅の幅広いゴム製ズームリングを搭載。20mmの広角端から200mmの望遠端まで約90度の角度で操作可能。手首をひねることで一度にズーム全域を操作することができます。
フォーカスリングと比べるとリングの操作が硬め。特に20mm付近の操作には少し力が必要です。動画撮影で滑らかなズーム操作は難しい。
スイッチ
シグマのレンズでは一般的なデザインのAF/MFスイッチですが、珍しく前方に配置されています。レンズを左手で添える時、自然と親指で操作できる場所にあるので使いやすい。
AF/MFスイッチの下部に、ズームリングを固定するためのスイッチを搭載。従来通り、ロックしたままでもズームリングを(少し力を入れて)操作することでロック解除が可能。よくできています。
レンズフード
広角域をカバーするレンズらしく、浅めの花形フードに対応。遮光性は最低限。
装着例
α7R Vに装着。
この種の高倍率ズームレンズとしては一般的か、少し小さいくらいのサイズ感。特に筐体が細く、グリップのレンズの間の空間に余裕があります。
決して軽いと感じる組み合わせではありませんが、長時間の手持ち撮影で苦にならない程度。バランスは良好で、フロントヘビーとは感じません。
AF・MF
フォーカススピード
HLA駆動で高速かつ静粛な動作。ステッピングモーターのレンズと比べると初速が速く、特にAF-Cモード時に電光石火の合焦速度。広い範囲で開放F値が「F6.3」の暗いレンズですが、低照度でもストレスを感じない速度で動作します。
ブリージング
(作例は近いうちに公開予定)
全体的にピント位置による画角の変化は良く抑えられています。
精度
α7R Vとの組み合わせで問題はありませんでした。
MF
前述したように、180-360度のストロークで操作可能。素早く、細かく調整できるストローク。
マクロ
以下は各焦点距離でAF-Cが動作する最短距離で撮影したもの。仕様通り、28mmから85mmの間で非常に高い撮影倍率を備えていることが分かります。像面湾曲の影響が少なく、全体的に実用的な画質を維持。
望遠域で撮影倍率が低下するものの、それでも適度な倍率での撮影が可能。気を付けるとしたら、20mmで被写体に近寄りにくいくらい。
まとめ
世界初となる20mmスタートの高倍率ズームレンズ。
さぞ大きく重いレンズかと思いきや、競合製品と比べても小型軽量で扱いやすい。HLA駆動で電光石火のAFを利用でき、標準ズーム域では小さな被写体をクローズアップ可能。
携帯性の代償として開放F値が大きく、ズームの広い範囲で「F6.3」となる。また、光学手振れ補正を搭載しておらず、ボディ側に手振れ補正機能を持たないカメラとの組み合わせでは注意が必要。
注意点を考慮しても、便利で汎用性の高いズームレンズに仕上がっています。販売価格はカメラメーカーの純正品並みですが、それだけの価値がある一本。
光学性能は現在テスト中。ざっと使ってみた限りではズーム全域で健闘しているように見えます。もちろん、単焦点レンズやショートズームのレンズほどではありません。
特に広角側では倍率色収差の影響でフレーム周辺部の画質が低下しています。歪曲収差や周辺減光の影響も目立つため、レンズプロファイルによる修正は必須。
作例
関連レンズ
- LUMIX S 28-200mm F4-7.1 Macro O.I.S.
- FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS
- 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD
- 28-300mm F/4-7.1 Di III VC VXD