EOS Kiss X9 実写レビュー
大本山永平寺:画質・屋内の高感度撮影
画質はEOS APS-C(Kissや80D・9000Dシリーズ)に期待するレベルをクリアしている。
1世代前の2400万画素センサー(EOS M3や8000D)よりも明らかに暗い部分の階調が豊富。さらに古いセンサーを搭載するEOS Kiss X7の1600万画素センサーよりも良好であるのは明らか。
より高価な上位機種で、同世代の2400万画素センサーを搭載するEOS 80Dと比べて違いはほぼ無い。Kiss X9は画像処理エンジンが最新モデルに変更されており、JPEG出力のノイズリダクションにやや改善が見られる。ピクチャースタイルごとの発色に違いは感じられない。
80Dと比べて撮影時に回折補正を適用できるため、絞り込んで撮影する場合にやや有利。場合によってF16まで絞り込むのもやぶさかではない。
本来ならば東尋坊など屋外の観光地を巡るつもりでしたが、天候に恵まれなかったため屋内施設に変更。
曇り+屋内施設と言う事もあってシャッタースピードを稼ぎ辛いシチュエーション。特に手ぶれ補正を搭載していないタイプのレンズを多く持ってきていたので苦労しました。
建築物の撮影では絞りをF8程度まで絞って撮影することが多く、シャッタースピードを維持するためにISO3200?6400というカットもかなり多い。
暗い屋内でもオートフォーカスは素早く合焦する。
とっさのシャッターチャンスに「ワンショットAF」と「サーボAF」の切り替えがやや面倒。上位機種のように呼び出しボタンがあったり、ボタンのカスタムで機能を割り当てる事が出来ない。シャッターチャンスを予測し、事前にQメニューから変更しておく必要がある。
Kiss X9を初期設定のまま使用すると、無操作状態からパワーオフ(待機状態)となるまでの間隔が非常に短い。一度待機状態となると、シャッターボタンなどを押して復帰するまでにラグが発生する。
必要であれば、設定項目からオートパワーオフの時間を再設定するべき。特にシャッターチャンスをファインダー覗きながら待つような場合、パワーオフの設定を切っておくと良いでしょう。
互換性が心配だったサードパーティ製のIrix 15mm F2.4 Blackstoneは問題なく動作した。ボディ内レンズ補正の誤作動も無くJPEG画質は良好だ。
しかし手ぶれ補正が入っていないため、屋内での撮影は手ぶれとの闘いに。
さらに、EOS Mシリーズのようにマニュアルフォーカスレンズの使い勝手を向上させる「フォーカスピーキング」機能が搭載されていない。特に被写界深度の深い広角レンズでピントの山を掴むのは非常に難しい。
ライブビューに拡大機能が備わっているものの、タッチ操作(ピンチインやピンチアウト)での拡大倍率変更や、そして拡大フレームの移動はドラッグ操作には対応していない。秀逸なキヤノンのタッチUIにおける数少ない不満ポイント。
幸いにも、中景・遠景における超広角はピント距離表示と過焦点距離表示でなんとかなってしまう事が多い。
特に近接する物体がなければピント距離と絞り値を固定してスナップカメラとして使う事が可能。
猫寺 御誕生寺:ローアングル撮影
いつもの猫寺。久しぶりに訪れてみると古株に交じって新顔が多かった。
EOS Kiss X7と違って液晶モニタを傾けることが可能。このように猫の目線に合わせた低姿勢での撮影がとても楽になる。
可動液晶の醍醐味と言えば地面スレスレからの仰角撮影。
液晶画面が固定されているカメラではモニターもファインダーも見ることが出来なくなるシーン。(ただし、使いづらいがアングルファインダーを購入すると言う手もある)
装着しているのはマニュアルフォーカスレンズのIrix 15mm。動く被写体相手にピーキングの無いライブビュー撮影は難易度がやや上がる。
可動液晶でもチルト式では難しいのが縦構図でのローアングルやハイアングル撮影。これもバリアングル液晶モニタなら楽に撮影可能。
動いている猫でKiss X9の動体撮影性能を試してみたかったものの、暑すぎてぐったりする猫が続出。これは次の機会に試してみましょう。
小さくて軽くて、ライブビューAFは高速。
まったり猫撮りには良いカメラかもしれませんね。
家族・顔検出AF
基本的に顔検出が作動するライブビュー+サーボAFにて撮影。
顔の検出能力は”思っていたよりも”高かった。他社のように「瞳検出」こそないものの、一度顔を検出すると掴んで離さない印象。特に赤ん坊が泣いて表情が崩れたとしても顔として認識し続ける。手持ちのパナソニック機では一時的に顔検出が外れることも多かった。
家族・旅行の写真は私だけでなく、嫁さんがカメラを手に取ることが多い。このような場合には画質が良いだけでは嫁さんは納得しない。Kiss X9はカメラとレンズの両方が軽く女性でも持ちやすい。さらに、かんたん表示機能やシンプルなボタン配置で操作が分かりやすいと嫁さんが喜んでいた。
長時間露光
名もない川のほとりでスローシャッターのテスト。10?30秒程度の低感度ならば長秒ノイズはまず気にならない。
試しに長秒ノイズ低減をオフにして、ISO3200と6400とでダークフレームを30秒露光で確認。ISO3200ではホットピクセルは目立たないが、ISO6400ではそこそこ発生している。
下の写真はRAW現像でシャープ・高感度と長秒ノイズ低減の補正を掛けずにフレーム全体から左上を1/6程度クロップしたもの。
初期設定は「長時間露光ノイズ低減」がオフとなっているので注意。
それ以外には特にこれと言った問題点は見つからず。80Dや9000Dで使う事ができる「バルブタイマー」機能が無い事くらい。
EOS Kiss X9は”イチガン画質”でシンプル・簡単な操作性のカメラ
画質 | |
操作性 | |
機能性 | |
携帯性 | |
バッテリー | |
価格 |
- 2400万画素の解像力と全体的な画質
- バリアングルモニタ・タッチ操作対応
- 小型・軽量でレンズラインナップが安価で揃っている
- バッテリーライフがとても良好
- ビギナーフレンドリーな「やさしい」撮影表示設定
- 初期設定で「パワーオフが早すぎる」「色々と機能がオフになっている」
上位機種並みの画質と非常に軽いボディがとても素晴らしい。
「イマドキ、コンパクトで軽い一眼カメラならミラーレスだよね」と言う流れに「待った」をかける1台。ビギナーにとって分かりやすい表示設定は玄人でもそのまま使って戸惑わない仕様。
バルブタイマーやフォーカスピーキングなど「痒いところに手が届く」と言った機能はことごとく省略されている。凝った設定を楽しみたいのであれば上位機種をお買い求めた方が良いでしょう。
購入早見表
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