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キヤノン EOS R5 Mark II レビューVol.1 メニュー編

キヤノン「EOS R5 Mark II」のレビュー第一弾 メニュー編を公開。メニューデザインや操作性は古臭さを感じるものの、撮影機能の追加や改善点を数多く搭載しています。

簡単なまとめ

メニューシステムのデザインとしては保守的で頑固な部分があるものの、便利な新機能を数多く搭載しています。R5には無かった機能、従来機には無かった新機能が多く、まずは一通り確認しておくと良いでしょう。操作カスタマイズタブが追加されたことで、従来とは配置が異なる場合もあります。最終的に利用頻度が多い機能はマイメニューに集めてしまうのがおススメ。

不満があるとしたら、やはりメニュー画面の操作性。
高機能で複雑化したメニューは時代遅れと言わざるを得ず、そろそろ抜本的に変えたほうが良いと思うのです。カテゴライズされた第二層がほとんど役に立っておらず、このあたりはソニー新デザインを見習ってほしいところ。マイメニューも融通が利かず、最終的な配置・配列に落とし込むのに時間がかかります。

一眼レフ時代からの圧倒的多数と思われるベテランキヤノンユーザーを考慮すると、メニューレイアウトを維持するのは理にかなっています。ただ、どこかで重い腰を上げる時が来るのかなと感じました。

Although the menu system design is conservative and stubborn in some respects, it also comes with a number of convenient new functions. There are many functions that were not available on the R5, and many new functions that were not available on previous models, so it's a good idea to check them all out first. The addition of the Customize tab means that the layout may differ from previous models. We recommend collecting the functions you use most frequently in My Menu.

If I had to complain about anything, it would be the operability of the menu screen.
I have to say that the highly functional and complex menu is outdated, and I think it's about time for a drastic change. The categorized second layer is almost useless, and I think Sony should take a leaf out of the new design. My Menu is also inflexible, and it takes time to finalize the layout and arrangement.

Considering the overwhelming number of veteran Canon users from the SLR era, it makes sense to maintain the menu layout. However, I felt that the time would come when they would have to get off their backsides and do something.

EOS R5 Mark IIのレビュー一覧

メニュー編

動画で確認

操作性について

基本操作の紹介

メニュー画面で特定の操作が示されていない限り、カメラのダイヤル・ボタンは以下の通り動作します。

  • マルチコントローラー
    ・上下左右の移動
    ・(押し込み時)決定
  • メイン電子ダイヤル(前方ダイヤル):
    ・ページ(第二層)移動
  • サブ電子ダイヤル(後方ダイヤル):
    ・タブ(第一層)移動
    ・詳細設定時 上下の移動
  • サブ電子ダイヤル1(背面ダイヤル):
    ・設定項目(第三層)移動
    ・上下の移動
  • MENUボタン:
    ・戻る
  • SETボタン:
    ・決定
  • INFOボタン:
    ・オプション項目の選択
  • Qボタン:
    ・タブ(第一層)右方向移動

マルチコントローラーか、メイン・サブ電子ダイヤル1(背面)を使った「上下左右の移動」に加え、SETボタンとMENUボタンの「決定・戻る」操作が基本となります。カスタマイズには非対応のため、操作に慣れるしかありません。

ページのカテゴリが分かりづらい

基本的には従来通りのEOSらしいメニュー画面と操作性。メインタブの下にページごとにカテゴリ分けされた機能群が配置されています。一眼レフ時代は機能が限られていたので(設定項目が少なく)問題ありませんでしたが、高機能化されたミラーレスでは設定項目・ページ数が増大。

ページごとのカテゴリは視覚的な表示が無く、初見で全てを把握するのは難しい。時間をかけて覚えていくしかありません。このあたりはソニーの新メニューデザインが秀逸。

キヤノンもメインタブを増設してカスタマイズ専用タブで操作性の改善を図っているように見えますが、撮影機能が著しく増えているミラーレスカメラでは不十分。そろそろ抜本的な改良・変更が必要な時期だと思います。

「戻る」操作が手間

メニュー画面で「一つ前に戻る」機能は「MENUボタン」のみ利用できる仕様も従来通り。MENUボタンはカメラ左上に配置されているため、右手での操作は不可能。必然的に左手も使ったメニュー操作が基本となります。

ボタンカスタマイズで右手側のボタンに「MENU」を配置できますが、あくまでも「MENU画面を呼び出す機能」です。ソニーのように、MENUボタンの機能をそっくりそのまま移行できる(一つ戻る操作も可能)わけではありません。

モニター表示時は画面右下に「MENU」ボタンが表示され、これをタップすることで一つ前に戻ることが出来ます。ただし、バリアングルモニタを展開していている場合は指が届かないし、ファインダーや外部モニタ使用時はタッチ操作が使用不可。

静止画撮影メニュー

9ページ46項目の設定に対応。カテゴライズされたページとなっていますが、前述したように見分ける手段はありません。場所を覚えたとしてもアクセスに手間がかかるため、頻繁に利用する機能はマイメニューに登録するのがおススメ。

JPEG/HEIF画質設定

JPEG画質はサイズ(L/M/S1/S2)ごとに圧縮率を調整することができます。大きな数値ほど高画質(低圧縮)で、小さな数値ほど低画質(高圧縮)となる模様。サイズと圧縮率を調整することで本当に高画質なJPEG/HEIFを生成したり、極限までファイルサイズを抑えた画像データが得られる模様。

高周波フリッカーレス撮影

EOS R5では非対応だった高周波フリッカーに対応。シャッタースピード優先モードやマニュアル露出モード時に限り、手動でシャッタースピードを細かく(小数点以下の数値を)調整することが出来ます。

自分でどのような設定値に調整するのか分からない場合、「推奨TV値設定」を利用することでカメラが推奨値を検出します。

被写体検出時AE

被写体検出時、検出した被写体の露出を優先します。逆光時などでマルチ測光が役に立たない(白飛びを回避するために被写体が暗くなりがち)の場合に役立ちます。測距点連動スポット測光のような機能。

深度合成

EOS R5のフォーカスブラケットに加え、カメラ内の深度合成に対応しました。合成枚数に記載はありませんが、被写界深度(焦点距離・F値)やステップ幅の設定によって変動する模様。

プリ連続撮影

従来のRAWバーストではなく、一般的な連続撮影でプリ連続撮影が可能となりました。ただし、OM SYSTEM OM-1のような最大70枚のプリ連写が可能なわけではなく、上限は15枚まで。

クイック設定カスタマイズ

最新のEOS Rシリーズではお馴染みのクイック設定カスタマイズに対応。
これまでクイックメニューは機能固定でしたが、カスタマイズで好みの設定や配置を実現することが出来るようになりました。設定機能は多くありません(11種)がそれでも自由度が高まったのは嬉しいポイント。

高速表示

メカニカルシャッターの高速連続撮影時に「撮影結果」と「映像」を交互に表示する高速表示モードに対応。基本は電子シャッターを使った「ブラックアウトフリー表示」がメインになると思いますが、どうしても電子シャッターを使えないシーンでは有効な一手となるかもしれません。

ブラックアウトフリー表示

基本的にオフ設定でも連写中のブラックアウトはありません。ただし、オフの場合は初回のレリーズ時にブラックアウトが発生。一瞬のことなので問題ないと思いますが、これを回避したい場合はこの設定をオンにすることでブラックアウトがゼロになります。

OVFビューアシスト

最近のEOS Rシリーズではお馴染みのOVFビューアシストをR5 Mark IIも搭載。ファインダーの輝度が従来の2倍となっているため、よりリアルなファインダー体験が得られるようになっています。

鏡面表示

バリアングルモニタを自撮り方向に反転した際、モニター表示を鏡のように左右反転させるかどうか選ぶことが出来ます。初期設定は「入」ですが、何らかの理由で鏡面表示を適用したくない場合に操作します。

自動電源オフ温度

EOS R5のオーバーヒート問題を受け、EOS R5 Mark IIでは初期状態から自動電源オフ温度設定を利用可能となっています。高温設定時はカメラが熱くなる場合を想定して手持ち撮影を非推奨としています。

AF

7ページ23種類の設定に対応。従来のメニューシステムから変化が大きな部分。
後述しますが、AFタブに「視線入力」はありません。

サーボAF中の全域トラッキング

EOS R5は全域トラッキングが「顔+追尾優先AF」のみでしたが、EOS R5 Mark IIでは任意のフォーカスエリア使用時に全域トラッキングが使用できるようになっています(最近のEOS Rシリーズと同じ)。他社で言うところの3DトラッキングやロックオンAFと似ています。

「全域トラッキングオン」設定時はAFエリアに関わらずトラッキングモードへ移行します。ただし、EOS R5 Mark IIではトラッキング設定に関わらず、トラッキングオフで動作するAFエリアモードを4つ搭載しています(鍵マークのある設定)。トラッキングのオンオフが面倒という人は、強制オフモードを利用すると素早く切り替えることが出来ます。

検出する被写体

EOS R5 と同じく「自動」「人物」「動物」「乗り物」に対応。ただし、EOS R5と比べて動物は「馬」に、乗り物は「航空機」「鉄道」が追加されています。

登録人物優先

複数の人物を検出するシーンにおいて、主要な被写体を予めカメラに登録しておくことで優先的にフォーカスが可能。撮影したカメラ内の画像や、本人・または本人の写った印刷物などを撮影することで登録が可能。完璧ではありませんが、検出可能な状況であれば効果的なシステムとなっています。

アクション優先

激しい動きで撮影が難しい特定の球技スポーツに対応。「サッカー」「バスケットボール」「バレー」
今のところ機能を試す機会に恵まれていませんが、海外の評価では非常に効果的と言われています。

サーボAF特性

従来のプリセットが無くなり、基本はオート特性「粘る-俊敏」の3段階設定のみとなりました。それでも対応できない場合はマニュアルモードで従来の設定値を調整可能となっています。

AF関連設定の登録と呼出

再生

カメラ内アップスケーリング

EOS R5 Mark IIやEOS R1の新機能。画像1枚で画像サイズを大幅に拡張することが可能となっています。ピクセルシフトタイプの撮影ほど高画質ではないものの、動画や動きものにも適用できるのが特徴。そのうち専用のレビュー記事を公開予定。

ニューラルネットワークノイズ低減

EOS R5 Mark IIやEOS R1の新機能。
再生メニュー画面にはありませんが、RAW現像時の「NR」から適用を選ぶことが可能。

ブレ・ボケ画像判定

EOS R5 Mark IIやEOS R1の新機能。この設定を有効にしておくことで、パソコンでの編集時にブレやピンぼけの写真を間引きやすくなっています。

通信

USB接続アプリの選択

EOS R5 Mark IIはスマートフォンとUSB接続するだけで画像の取り込みが可能となっています(Canon製アプリは不要)。

セットアップ

6ページ32項目の機能に対応。内容は従来通りで、特筆すべき内容はありません。

操作カスタマイズ

EOS R1とEOS R5 Mark IIで導入された、カメラのカスタマイズに特化した新しいタブ。従来の「カスタム機能」タブにあったボタンカスタマイズやダイヤルカスタマイズが独立。操作関連の設定項目が集約されています。また、新しい入力インターフェースとなる視線入力もこのタブに存在。

視線入力

新機能である視線入力に関する設定。視線入力に関する設定項目はこれ一つのため、マイメニューに登録しておくとアクセスしやすくなります。視線入力のオンオフに加え、校正プロファイルの呼び出しや校正の実施、ポインターの表示設定に対応。なお、動画撮影時は使用不可。

カスタム機能

4ページ23項目の機能に対応。操作カスタマイズ以外の機能カスタム一覧。ほぼ従来通りですが、連続撮影に関する機能が追加されています。

連続撮影速度

EOS R5 Mark IIは電子シャッター時に撮影速度を細かく調整可能。

  • Hi+:15/20/30 fps
  • Hi:7.5/10/12/15/20
  • Lo:1/2/3/5/7.5/10/12/15

高速連写が注目されがちなEOS R5 Mark IIですが、自由度の高い低速連写も特徴の一つと言えるでしょう。

連続撮影時の枚数制限

連続撮影速度の設定と共に、撮影枚数の制限も可能となりました。20fpsを超える高速連写は無駄に撮影枚数が多くなってしまう場合があるため、事前に撮影する枚数を決め打ちしておくとストレージの節約、選定コストの削減を期待できます。

動画 撮影メニュー

動画撮影は門外漢なので一覧の掲載のみ。XF-AVC Sやフォルスカラー、タリーランプなどを使用可能となっています。波形モニタは「撮影情報表示設定」の中に組み込まれています。

動画 AFメニュー

動画撮影は門外漢なので一覧の掲載のみ。

マイメニュー

従来通りのマイメニューを搭載。1ページにつき6項目の登録が可能。登録時は(カテゴリ分けされていない)全機能から探す必要があるほか、ページ間の移動は不可と若干不便なシステム。この点でもソニーの新メニューシステムは非常に使いやすくなっているので、将来的に見習ってほしいポイント。

その他

ISO

目新しい機能として、ISO選択画面にワンタッチで設定値を呼び出すことができる登録枠が3つ追加されています。ダイヤルでいちいち操作するよりも簡単で便利。この機能はボタンカスタマイズの「ISO」や、タッチパネル上からISO設定値を変更する際に操作可能。
(追記:EOS R6 Mark IIの段階で実装していると情報を頂きました)

まとめ

メニューシステムのデザインとしては保守的で頑固な部分があるものの、便利な新機能を数多く搭載しています。R5には無かった機能、従来機には無かった新機能が多く、まずは一通り確認しておくと良いでしょう。操作カスタマイズタブが追加されたことで、従来とは配置が異なる場合もあります。最終的に利用頻度が多い機能はマイメニューに集めてしまうのがおススメ。

不満があるとしたら、やはりメニュー画面の操作性。
高機能で複雑化したメニューは時代遅れと言わざるを得ず、そろそろ抜本的に変えたほうが良いと思うのです。カテゴライズされた第二層がほとんど役に立っておらず、このあたりはソニー新デザインを見習ってほしいところ。マイメニューも融通が利かず、最終的な配置・配列に落とし込むのに時間がかかります。

一眼レフ時代からの圧倒的多数と思われるベテランキヤノンユーザーを考慮すると、メニューレイアウトを維持するのは理にかなっています。ただ、どこかで重い腰を上げる時が来るのかなと感じました。

不満はあるものの、少なくともEOS R5と比べると良くなった部分、強化された部分が多いカメラです。特に連続撮影速度の調整やUSB接続によるダイレクト画像転送、トラッキング関連など地味ながら便利な機能が追加されています。カメラを使い始める前に、まずは腰を据えてメニューシステムをチェックしてみると新しい発見があるかもしれません。

参考情報

購入早見表

作例

Flickrにてオリジナルデータを公開

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