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M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 レンズレビューVol.5 ボケ編

「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。小型軽量な12mm F2レンズとしては悪くない結果で、近づいて撮影した場合は滑らかで綺麗なボケが得られました。

簡易的なまとめ

小型軽量な12mm F2レンズとしてはきちんとしたボケが得られます。フレーム周辺や隅で騒がしい描写となる場合があるものの、ボケが必要なシーンでは滑らかで綺麗な描写。大きな被写体の背景をぼかすことはできませんが、積極的に近寄って撮影したくなるレンズ。相性の良い小型ボディと組み合わせることで、様々なアングルで被写体に近づくことが出来るでしょう。

For a compact, lightweight 12mm F2 lens, it produces a decent bokeh effect. Although there are cases where the image may be noisy around the edges or corners of the frame, it produces a smooth, beautiful image in scenes where bokeh is required. Although it cannot blur the background of large subjects, it is a lens that makes you want to get up close and take pictures. By combining it with a small body that is a good match, you will be able to get close to your subject from various angles.

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ニュートラル寄りの滑らかで綺麗な描写。ただし軸上色収差の補正が完璧ではなく、ボケに色付きが発生しています。状況によっては、これが騒がしい描写の原因となる可能性あり。

前ボケ

後ボケと見比べて大きな変化はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

同心円状のムラは目立ちませんが、残存する色収差や口径食、ボケの縁取りなどがあります。極上の描写からは程遠いものの、小型軽量な広角レンズと考えると許容範囲内。騒がしいと感じる場合はF2.8まで絞ると、色づきやボケの縁取りが改善します。

ボケ実写

至近距離

撮影距離が近い場合は全体的に滑らかなボケ。広角レンズで見栄えが悪くなりがちなフレーム隅でも良好な結果が得られています。

近距離

撮影距離が長くなると、フレーム端のボケが騒がしい見た目に変化。広角レンズとしては悪くない見栄えですが、気になる場合は少し絞ると改善します。

中距離

撮影距離がさらに伸びると、騒がしい描写の範囲が広がります。ただし、F2の絞り開放でもボケが小さいため、結果的に悪目立ちしない可能性あり。

絞り

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。F2の絞り開放でフレームに全身を入れると後ボケはほとんど得られません。出来れば上半身・バストアップ・顔のクローズアップまで撮影距離を短くしたいところ。

まとめ

小型軽量な12mm F2レンズとしてはきちんとしたボケが得られます。フレーム周辺や隅で騒がしい描写となる場合があるものの、ボケが必要なシーンでは滑らかで綺麗な描写。大きな被写体の背景をぼかすことはできませんが、積極的に近寄って撮影したくなるレンズ。相性の良い小型ボディと組み合わせることで、様々なアングルで被写体に近づくことが出来るでしょう。

高輝度シーンでは色収差が目立つ場合もありますが、大部分の撮影で問題と感じない程度。過度に心配する必要はありません。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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