1型センサーのコンパクトデジタルカメラを世に知らしめたソニーのサイバーショット DSC-RX100から5代目となるRX100M5。
センセーショナルなセンサーサイズで登場し、今ではそのコンパクトなボディの中に電子ビューファインダーを搭載しミラーレス一眼顔負けのオートフォーカスさえも持つようになりました。
前回はこのRX100M5のファーストインプレッションからざっくりとした動体撮影までを取り上げました。そして、今日に至るまでに動体撮影以外で色々と撮りためた写真がありますので、この辺で中間インプレッションとしてまとめます。
このカメラはまだlightroom CCに正式対応してないので(EXIFをM4に書き換えるとOKだけども)基本的にはRAW出力を切ってJPEGでの撮って出し。
一眼カメラではRAWファイルを後から手直しする事が多かったので、JPEGだけだと不安と最初は思いました。しかし、使い始めるとホワイトバランスやクリエイティブスタイルの選択にしくじらなければJPEGで十分OKと感じ、基本的にはJPEG撮って出しで当ブログには掲載しています。
描写性能
望遠側でF4まで絞り込んで撮影。クリエイティブスタイルは「紅葉」のデフォルト設定です。
想像以上にカリッとシャープに撮影できたのでびっくり。さらに驚いたのは周辺部や四隅まで像の流れや色収差を感じさせない性能の高いレンズだったこと。シャープネスも程よい具合で、デジタルくさいエッジの立ち過ぎた描写ではありません。
1型センサーでもこれだけ解像力あればラージフォーマットのカメラ要らないな…と感じてしまうほどですね。ブログやパソコン、L判やA4程度までの印刷ならこれで十分でしょう。
ニコンのNikon 1 J5も使った事がありますが、細部の表現はこちらの方が上手に感じます。
デジタル補正はかかっていると思いますが、歪曲が目立たないので直線的な被写体を入れても違和感がありませんね。
光源を入れた際のフレアがやや気になりますが、逆光耐性については後述します。
ISO 800では細部のディテールが少しつぶれているかな?と感じるもののノイズ感は全くありません。
1型センサーにしてはダイナミックレンジに余裕のある絵作りだと思います。
やはり高輝度な部分におけるフレアが僅かに発生。
望遠側を使えばセンサーサイズを感じさせない大きなボケも演出できます。絞り開放からピント面はヌケの良いクリアな描写ですので、積極的に絞りを開けて撮影する事ができそうです。
ただし、絞り開放だと口径食がとても目立ちますので玉ボケを重視する撮影時には気を付けた方が良さそうですね。
高感度
ISO6400で撮影。ノイズリダクションはAUTOで固定。
ある程度ディテールは損なっていますが、カラーノイズが少ないので十分使えるレベルの画質です。
パソコンの画面いっぱいに引き伸ばすとノイズ感が引き立ってしまいますが、ブログで使うようなレベルの画像サイズではまず目立たないレベルでしょう。ISO 6400でも十分使えると言えます。
ソニーには高感度使用時のノイズを緩和する「マルチショットノイズリダクション」機能が搭載されています。
4枚の高感度で撮影した写真を合成することによりノイズを減らす事が出来る機能です。しかし、RX100M5は高性能のプロセッサによる高度なノイズ処理が可能となっているのでISO6400程度ではマルチショットNRの恩恵をあまり感じる事ができません。
それほどRX100M5のノイズ処理が上手だと感じます。
クリエイティブスタイル「紅葉」
前回も述べましたが、ソニーのカメラには「紅葉」という現像パラメーターのプリセット(クリエイティブスタイル:他社で言うピクチャースタイルやピクチャーコントロール)がある。
このモードは紅葉のシーズンに合わせた独自の設定となっているので、「風景」を微調整しても発色の良い紅葉が出てこない。絶妙な赤色を得意とする項目です。
「風景」から紅葉の赤味や黄味を強くしようとすると、その影響を受けて空の色が影響してしまいます。ところが、「紅葉」では空の色やその他発色を維持したまま赤色や黄味の発色を強調するので非常に使いやすいモード。
今年は紅葉のシーズンを通り越してしまいましたが、落葉を楽しむにはまだまだチャンスがありそうです。
赤色だけでなく黄色でもクリエイティブスタイル「紅葉」は十分に性能を発揮。
ただ、こう言った単色の占める割合が多い時は「スタンダード」や「風景」でも良さそうです。
紅葉だけでなく、銀杏のような鮮やかな黄色を演出する木とも相性が良好。
この距離で圧縮効果を出そうと思うと、RX100M5のズームレンジでは少し力不足感が否めない。こういうシーンにはRX10M3を意識せざるを得ないところでしょう。
この描写瀬能ならば、RX100M5とRX10M3があれば「一眼カメラは必要ない」という考え方もデ出来ちゃいそうな出来栄えです。両方買っても30万円いかないしなぁ…とついつい皮算用。
正直な話、ブログで使う分には1型センサーの画質(解像感とボケ)とサイズ・携帯性はかなり重宝します。ボケも接写や望遠使えばなんとでもなりますし、高感度もノイジーな感じには写らないので積極的に使っていけますし。
今月の月刊カメラマンでは写真家の落合憲弘氏が仕事でRX10M3を使っていると語っていますね。使わないけど見せ一眼としてD750を担いでいるのだとか(性能は良いと語っています>D750)。
逆光性能
絞り開放で紅葉を逆光撮影。このようなシーンで露出をアンダー(少し暗めの写真)に調整しようと思うと、シャタースピードに限界があるコンパクトデジタルカメラにはつらい状況ですね。
しかし、RX100M5には内蔵NDフィルター(減光8段分)と1/32000秒までの電子シャッターが使用可能ですので、明るいシーンでも絞り開放でしっかりつかっていく事ができるようです。
また、高輝度な部分と被写体の境界線で発生しやすいパープルフリンジもレンズとデジタル補正の性能でしっかりと抑えられているようです。
明るい部分と暗い部分の輝度差が大きいシーンでもなんとか耐えているかなという印象。DレンジオプティマイザをAUTOで使っていたので、もう少し暗部を持ち上げることが出来たかもしれません。
この時、広角端で少し絞って撮影したところ絞り開放時よりも周辺部のパープルフリンジが大きく発生しました。特に左上の木枝はディテールを損なうほどの程度で発生しています。
同様の絞り値でアングルを変えてズームで撮影。
こちらも屋根や光が差し込む部分において輝度差が大きいですが問題にはなりませんでした。四隅においては僅かに白飛びしています。
太陽を左上に配置してパチリ。
この手のカメラにはフードが無いので斜めから入る強い光源ではフレアが発生してしまうようです。とは言え全体的に破綻している訳ではないので記録写真としては使える範囲。
色々なカットを見直してみると、やはり斜めから強烈な光が入るとフレアが発生しやすい。特に広角側で顕著な模様。
凄いカメラだが、逆光性能という点のみやや気になるポイントとして残るかもしれない。後付けでも良いのでフードが装着できたらなあ…。
気になる現象を発生したワンカットを発見。
前ボケの大きな紅葉の部分において横方向の縞々が発生。はて、これはなんだろう。直近の横にある紅葉には縞々が無いので、この色に対するデジタル処理的なものだろうか。
接写性能
広角端ではマクロレンズ並みの接写が可能です。ただし、相応に被写界深度(ピントが合う部分)が浅くなるので1型センサーといえども絞って使いたいところ。上の写真では絞り開放でピント面が不足しています。
広角での接写性能を利用すると、小さい被写体をクローズアップしつつ背景に情報を持たせることも可能です。このような使い方の場合には広角側が換算24mm程度というのは不足と感じるかもしれません。もう少し画角が広ければなーと思いました。
大きなセンサーサイズのカメラでここまで近接すると背景がボケ過ぎてしまうのですよね。回折現象(絞り過ぎて解像度が低下する現象)と折り合いを付けるのであれば1型センサーはこの点で有利に働きます。
上の写真ではF8まで絞り込んでしますが、回折による解像感の低下はあまり感じませんでした。
逆に一眼カメラと比べて使い辛いなと感じたのは各種フィルターを装着できない事。例えば上の写真ではあえてシャッタースピードを遅くする事で川の流れを表現しています。もうちょっと長くシャッターを開けて撮りたかったのですが、内蔵NDフィルターはND8までだったり、あまり絞り込み過ぎると回折現象を受けやすいので絞り値を上げる事が出来ません。
両面テープでフィルターアダプターをくっつけるキットがあるそうですが(互換品)同時に携帯性がスポイルされてしまうのが難点ですね。
後日、晴天下で撮影。
球面収差によるものか、逆光のフレアなのか、ハイライトがふわっとしているなと感じたワンカット。1型センサーでこれだけ柔らかい表現が出来るのなら御の字じゃないでしょうか。
動く被写体を咄嗟にフレーミングして撮影する際は被写界深度の深さが有難く感じます。
シャッターチャンス優先で考えると重宝する性能でしょう。
チルト液晶とAFの兼ね合い
望遠側を使った際の前ボケはやや硬いかなと思いますが、ボケ量と解像感を考えると及第点は十分に超えていると思います。
チルト液晶を使ってハイアングルから撮影。RX100シリーズでは初代を除いて全てチルト液晶モニタが採用されています。初代は価格的に手頃ですが、液晶モニタが固定式なので、ハイアングルやローアングルと言った撮影では不便さを感じるかもしれませんね。
可動式の液晶モニタを使い慣れたユーザーの視点からすると「固定式はありえない」と感じるところまで来ていますので、おススメはRX100M2以降です。
ソニーカメラの欠点としてタッチパネルの導入が遅れていること。例えば同じ1型センサーのキヤノンやパナソニックにおける競合モデルは積極的におタッチパネルを採用していますね。
ハイアングルやローアングルでカメラを操作すると、十字キーでAFエリアを移動させるのはとても面倒くさいです。そんな時にタッチパネルでAFエリアをタッチ指定できる事は非常に便利でありマストな機能性。
じゃあタッチパネルの無いRX100シリーズはどうすればいいのか?というと、フォーカスはカメラに頼り切った方が素直にピントを合わせてくれたりします。
ピンポイントなAFをあえて捨てて、フルオートである「ワイド」を指定。
すると「この辺にフォーカスしたいんでしょ?」と言っているような動作でサッとピントを合わせてくれます。ざっくりと。
ガチピンと言うよりは「ざっくりと」という表現が正しく、背景にピントを持っていかれはしないけど「ここにピントを置いてほしかった」という所まではいかないようです。
例えば猫の場合には体の毛並みにピントを奪われてしまう事が多いです。これは動くウサギで撮影した時も同様の傾向でした。顔認識も作動する場合がありますが、顔が整っている猫でないと動作しません。
DSC-RX100M5は旅のお供に最適
ポケットに突っ込んでおける携帯性でこれだけの描写性能を持っているのだからオススメできる1台です。
一眼カメラユーザーでも気軽に撮影できる写真機として満足できる画質を持っているということが出来ると思います。むしろ一眼カメラよりも撮影枚数がメキメキ増えるカメラになってしまうかもしれません。
あえて一眼カメラを家に置いてきてしまい、これだけ手に取って気軽に散歩するのも悪い選択肢ではないでしょう。
総評
ナイスなポイント
- 良好な描写性能
- 良好な携帯性
- 電子シャッター
- 内蔵NDフィルター
- チルト液晶
- 広角マクロ時のボケ味が柔らかい
気を付けたいポイント
- 広角側で周辺部の逆光耐性
- 望遠側の光学倍率(遠くの被写体を撮る場合)
- フィルターやフードがそのままでは装着できない
- 値段
どれを買えばいいのか?
じゃあRX100シリーズはどれを買えばいいのか?と言うと…
- RX100M5ーこれ一つで色々撮影するならオススメ、サブカメラとしてもベストな選択肢
- RX100M4ーRX10IVを見据えて購入するならコチラ
- RX100M3ー一眼カメラユーザーのサブカメラとしておススメ
- RX100M2ー同上、ただしファインダーが非搭載でレンズ性能が劣る
- RX100 ?最も安価だが、M5を使った今となってはあまり考えられない
金額に糸目を付けれなければRX100M5がもちろんベスト。像面位相差AF半端ない。
あまり動体を撮らないのであればM3やM4が選択肢となってきますが、動画が必要なければM3を、動画をそこそこ必要とするならM4をチョイス。
初代は1型センサーカメラの中ではとても安価でお手頃なものの、動作がモッサリしていたり液晶固定だったりと制約が多い。それならばM2の方が使い勝手が高いので多少高くてもM2。
総じておススメはM5かM3かなと、個人的には。
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