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Ulanzi TT35 ハイキングスティック三脚キット レビュー

このページでは変化自在のUlanzu製三脚「TT35 ハイキングスティック三脚」をレビューしています。

簡易的なまとめ

製品提供を受けている

このレビューはUlanziより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

レビュー内容の簡易的なまとめ

脚径の細さやねじれ耐性などを考慮すると、価格に見合った三脚とは言えません。単純に三脚を探しているのであれば、これはあなたの為の製品ではありません。同じ価格帯でUlanziは「Ulanzi ZERO Y」のような選択肢を用意しています。

分解・組み立てに工具が必要なく、簡単で素早く使い方を切り替えることができ、1.1㎏ちょっとの非常に軽量な三脚を探しているのであれば、これはあなたの為の製品です。まさに「ハイキングスティック三脚キット」の名前に相応しい機材と言えるでしょう。

Ulanzi TT35 レビュー

概要

  • Ulanzi 商品ページ
  • 発売日:2024年4月23日
  • 販売価格:
    ・三脚キット(ポール×3 + ミニ三脚):34,999円
    ・一脚キット:22,598円
    ・ミニ三脚:12,999円
    ・ハイキングポール:9,599円

三脚キット
重量 1,160g
サイズ 88.6×17×16.5cm
全高 145.5-1460mm
脚径 13/16/19/22mm
ボールヘッド耐荷重 5㎏
推奨荷重 3㎏
一脚
材質 カーボン
重量 273g
全長 490-1300mm
ミニ三脚
重量 362g
全高 145.5/228/280.5mm
付属品
1/4アダプター
ケース
説明書
六角レンチ

箱と同梱品

白を基調とした箱には三脚の写真とロゴのプリント。箱の中には三脚製品としては珍しくパーツがバラバラの状態で緩衝材に梱包されています。ミニ三脚と脚になるポールが3本、そして雲台を交換するための1/4アダプターに加え、六角レンチとキャリケースが付属。

キャリングケース

ナイロン製と思われる柔らかい素材のキャリーケースが付属。保護パッドなどは入っておらず、未使用時は小さく折りたたむことが可能。ポールを最も短くした状態のサイズに合わせて収納可能となっており、三脚(ミニ三脚+ポール)の状態では入りません。分解して収納した際は非常にコンパクトで、肩に担いで移動するのが楽。小さ目のキャリーケースにも収納可能。

三脚全高

脚を展開した状態のミニ三脚として全高14cm。ポールを装着して脚を伸ばした状態の全高146cmに対応。一つの製品でここまで柔軟性の高い三脚はこれが初めて。ここまでの柔軟性が必要となるシーンが思いつきませんが、機材を極力減らした撮影旅行では面白い製品と感じるかもしれません。

後述しますが、脚径が小さいので「全高146cm」の最大まで伸ばして使うのはおススメしません。

各パーツの素材

各パーツごとに様々な素材を使用していますが、ざっくり分けると以下の通り。

  • ポール・ミニ三脚の脚:カーボン
  • ポールのレバーと金具:プラスチック/アルミニウム合金
  • 各接合部:金属(アルミニウム合金)
  • 雲台:全体的に金属(アルミニウム合金)

強度が必要な部分に金属パーツを使用しつつ、適材適所で軽量化を実現しています。全体的に見て、安っぽいと感じる部分はポール伸縮のレバーくらい。カーボン製のポールは軽量ですが強度は確保しているように感じます。

接続部

ミニ三脚と雲台・ポールの接合部はネジ式ではなく、水道ホースのカップリングのような独特な形状です。ワンタッチで着脱が可能ですが、一般的な三脚・雲台とは互換性が全くない点に注意が必要です。雲台の根本とミニ三脚、ポールの先端はカップリングの「オス」形状。ミニ三脚の天板とポールの上部はカップリングの「メス」形状となっており、基本的にどのパーツでも「オス」「メス」の接合が可能。後述しますが、「ミニ三脚 → ポール → ポール → ポール」で全高4mの一脚にすることも可能です。カップリングの構造上、接合部が回転するのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、「メス」カップリング内部はレンチのような構造で、「オス」側が八角ナットのような形状と噛み合って固定可能。よく考えられています。

着脱はメス側のスライドするリングを操作します。しっかりと固定されるので脱落する心配はありません。とはいえ、カップリングの破損で雲台が脱落する可能性を考慮すると、カメラを積載したまま運搬するのはおススメしません。

ミニ三脚

ポールを取り外すことで卓上三脚として利用可能。この際にポールは不要となるので、ハイキングポールとして利用するか、キャリーケースに収納することになります。一般的なミニ三脚よりもサイズが一回り大きく、卓上で使うには大きすぎると感じる可能性あり。また、ミニ三脚単体で脚の伸縮には対応していません、脚の先端はゴム製の石突き。LeofotoのMT-03ミニ三脚の石突きと比べると滑りやすい。必要最低限。ゴム製カバーを外すこともできますが、このままでもポールを装着することが可能。脚の付け根やカップリング周辺は金属製のしっかりとした作り。脚の調整角度は「20 / 50 / 80度」の3通り。ポールを装着した状態の三脚として使用を想定しているためか、一般的なミニ三脚よりも「20度」の角度が小さく使いづらい。

雲台

RRSのBPC-16ライクな雲台。上部にボールとクランプを備えた個性的な形状でコンパクトサイズを実現しています。ロックを解除して側方へ傾けると、90度まで角度調整が可能。この際に上下方向の角度はクランプに内蔵しているパン機能で調整可能。ボール径が小さいので、どれほどの荷重に耐えられるのか不明。公式での推奨荷重は「3kg」なので、フルサイズミラーレスと大口径ズームレンズくらいなら耐えることができそう。ただし、重心を調整しないと推奨荷重以下となる可能性に注意。クランプはアルカスイス互換のプレートに対応。クイックプレートには脱落防止用のネジが取り付けられています。

1/4型アダプター

手持ちの雲台を装着したい場合、付属の1/4型アダプターを雲台の代わりに装着します。付属の雲台と同じように簡単に一脚に付けなおすことも可能。

ポール

三脚時の「脚」としてつかうほか、ハイキングポールや一脚用の「脚」として利用することが可能。素材はカーボンで、軽量ながら頑丈。どのポールもハイキングで使いやすいようにグリップがあります。ハイキングポールとして使う場合、上部に装着するゴム製ヘッドあり。

それぞれのポールに着脱可能なストラップあり。個人的な見解として、三脚・一脚の際にストラップは邪魔になるだけ。ハイキングポールとして使う際のゴム製ヘッドにストラップを装着すべきだと思いました。脚径は細いほうから「13/16/19/22mm」の4段階。軽量化のためか、非常に細い脚となっています。細い脚ながら、しっかりとした作りだとは思いますが、28mmや35mmのような太い脚と比べると信頼性は低め。あくまでも携帯性に特化した製品であると理解したほうが良いでしょう。脚の長さを調整するパーツは強度が必要な部分を除けばプラスチック製。1脚273gを実現するうえで、パーツの素材は徹底的に軽量化の方向へ舵を切っています。壊れやすいとは感じませんが、高級感はありません。山登りのお供と考えると悪くない選択。最も遅い部分の脚には伸ばした際の全長がプリントされています。ハイキングポールとして使う際は、自身の身長に合わせて調整する目安となるはず。

ラバーフィート(石突き?)は前述したカップリングに対応する小さな形状。滑り止めの効果は最小限。交換できる形状とはなっていません。ちなみに、ポールの上部に雲台を装着することで自撮り棒としても利用できます。ハイキングポールとして使いつつ、上部にアクションカムや360度カメラを搭載しておくのも使い方の一つ。

一脚

ポールの先端をミニ三脚と接続することで一脚のように利用可能。ただし、本当の一脚のように根本から角度を調整することはできません。フラットな床環境(屋内など)に適していますが、斜面での使用は難しい。一般的にこのようなシステムは「ポール + ミニ三脚」で構成されます。しかしUlanziが独自のカップリングを採用したことで、面白いことに「ポール + ポール + ポール + ミニ三脚」の組み合わせが可能。何も無駄にすることなく、無駄に長い一脚を利用可能。実用的とは言えませんが、ポール×3の一脚は全高が4m近くに到達。ドローンのような高さでの撮影が可能です。この際はポールが非常に”しなる”ため、高価で重い機材を搭載するのは(事故のリスクが高いため)おススメしません。軽量なアクションカムや360度カメラがおススメ。実際、Insta360 X4を搭載した状態で3mくらいの高さで撮影できました。Ulanziならではの活用方法と言えるかもしれません。

三脚

ミニ三脚とポール3本を組み合わせて、一般的な三脚として使うとどうか?機材を搭載して撮影するだけなら問題ありません。もちろん強風や振動など、環境に合わせてストーンバッグなど対策は必要。マイクロフォーサーズやAPS-Cのミラーレスカメラと組み合わせるには十分ですが、それでも重量級の機材を載せるには雲台が心許ない。搭載機材に合わせて雲台は別で用意するのがおススメ。弱点となるのは構造上避けられない脚の付け根の小ささ・狭さ・ポールの細さ。これらが原因となり「ねじれ(パン方向の力)」に弱い。例えば望遠レンズを搭載した状態で鳥や航空機を追いかけたり、動画撮影でパンニングをするには不向きです。脚を短くした状態でもやや不安定なので、前述した使い方ではおススメしません。あくまでもスローシャッターや構図を固定したい撮影のみ。側面から強風が当たる際も同様。

まとめ

脚径の細さやねじれ耐性などを考慮すると、価格に見合った三脚とは言えません。単純に三脚を探しているのであれば、これはあなたの為の製品ではありません。同じ価格帯でUlanziは「Ulanzi ZERO Y」のような選択肢を用意しています。分解・組み立てに工具が必要なく、簡単で素早く使い方を切り替えることができ、1.1㎏ちょっとの非常に軽量な三脚を探しているのであれば、これはあなたの為の製品です。まさに「ハイキングスティック三脚キット」の名前に相応しい機材と言えるでしょう。

公式サイトと価格情報

  • Ulanzi 商品ページ
  • 発売日:2024年4月23日
  • 販売価格:
    ・三脚キット(ポール×3 + ミニ三脚):34,999円
    ・一脚キット:22,598円
    ・ミニ三脚:12,999円
    ・ハイキングポール:9,599円

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