「VILTROX AF 135mm F1.8 LAB」のレビューVol.1 外観・操作・AF編を公開。コントロールリングの操作性にやや癖があるものの、機能的でBluetooth接続によるカスタマイズに対応した珍しいレンズでした。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
ミラーレス時代の「135mm F1.8」としてはやや重いのが欠点。ただし、防塵防滴で耐候性があり、コントロールリングや複数のFnボタン、情報パネル、Bluetooth接続対応など、遥かに機能的なレンズ。サムヤンの価格差・重量差を許容できるのか個人差があるものの、VILTROXを選択する動機は複数あるように見えます。
The only drawback is that it is a little heavy for a “135mm F1.8” in the mirrorless era. However, it is a far more functional lens, with dust and splash resistance, control rings, multiple Fn buttons, an information panel, Bluetooth connectivity, etc. There are individual differences in whether you can tolerate the price and weight differences of Samyang, but there seem to be multiple reasons to choose VILTROX.
VILTROX AF 135mm F1.8 LABのレビュー一覧
Index
まえがき
- 発売日:
・E-mount:2024年11月8日
・Z-mount:2025年3月20日 - 商品ページ(映像嵐)
- データベース
- 管理人のFlickr
VILTROXの新シリーズ「LAB」ラインのレンズとして最初に登場した製品。VILTROXブランドの最高級ラインとして、高画質・高規格が特徴。
同時に、VILTROXレンズの単焦点レンズとしては最も長い焦点距離をF1.8の大口径でカバー。「135mm F1.8」はカメラメーカー各社が純正品としてレンズを販売していますが、比較してVILTROXは非常に低価格で導入しやすい。
価格面で主なライバルはサムヤン「AF 135mm F1.8 FE」ですが、小型軽量・低価格に舵を切っている製品。大きく重く、やや高価なVILTROXが光学性能などでどのようなアドバンテージを備えているのか、今後のレビューで見ていきたいと思います。
主な仕様
ミラーレス用の135mm F1.8としては重量級の1.235g。競合他社は軒並み1kg以下に抑えられ、特にサムヤンの772gと比べると無視できない重量差があります。
AFの駆動方式はVILTROX独自のHyperVCMを採用。ボイスコイル駆動のリニアモーターで、滑らかな動作を実現しています。
発売日 | 2024.11.7 |
レンズマウント | E/Z |
対応センサー | フルサイズ |
焦点距離 | 135mm |
レンズ構成 | 9群14枚 EDレンズ 4枚 高屈折率レンズ 2枚 |
開放絞り | F1.8 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 11枚 |
最短撮影距離 | 72cm |
最大撮影倍率 | 0.25倍 |
フィルター径 | 82mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | HDナノマルチコート |
サイズ | 93.0×145.7mm E-mount |
重量 | 1235g E-mount 1265g Z-mount |
防塵防滴 | 対応 |
AF | VCM |
絞りリング | クリック解除対応 |
その他のコントロール | Fnボタン×2 OLEDパネル AF/MF フォーカスリミッター USB-Cポート |
価格のチェック
通常価格は約15万円。季節セールなどではもう少し安くなります。
サムヤンの競合製品が(安い時に)10万円前後で入手できることを考えるとやや高め。そのぶん画質や操作性、機能性の高さを期待したいところ。
また、サムヤンはソニーEマウント用のみであり、ニコンZマウント用はありません。「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」が35万円以上であることを考えると、VILTROXは半値以下。ニコンZマウントでは最も導入しやすい135mm F1.8となっています。
外観・操作性
箱・付属品
これまでのVILTROX製品は白を基調としたデザインの箱でしたが、LABシリーズは重厚感のある黒を基調としたデザイン。外箱に余分な装飾は無く、高級感のある見栄え。
レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属します。
外観
外装の大部分はプラスチック製ながら頑丈な作り。金属外装のVILTROXレンズと比べると質感は劣るものの、レンズ軽量化のためと考えると許容範囲内。フォーカスリングは表面にゴムカバーを備え、絞りリングはプラスチック製に滑り止めの切込み。
(追記:マウント周辺は金属外装のようです。また、シャーシはマグネシウム合金製である模様)
レンズを前後に倒すと「カタカタ」と音がしますが、これは通電していない時にボイスコイルモータ駆動のフォーカスレンズが固定されていないため。他社でよく見る仕様であり、特に不思議なことではありません。
コントロール以外の意匠は最小限。側面に「LAB」のバッヂを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。
ハンズオン
前述したように、重量は1.2Kg超と非常に重い。さらにミラーレスカメラの中では重めのZカメラ(Z8など)と組み合わせると、かなり重たく感じます。質感は良好ですが、それよりも重量感に強い印象を受ける。長時間の手持ち撮影は不可能でないものの、出来れば避けたい重さです。
前玉・後玉
135mm F1.8としては一般的な82mm円形フィルターに対応。特に記載はありませんが、他のVILTROXレンズと同じであれば、撥水・撥油性のあるコーティングが施されているはず。とはいえ、ダメージが予想されるシーンは保護フィルターを装着しておいたほうが良いでしょう。
金属製のレンズマウントはレンズ本体に5本のビスで固定されています。マウント周辺には防塵防滴用のシーリングが施され、さらにファームウェアアップデート用のUSB-Cポートあり。
フォーカスリング
適度な幅のゴム製フォーカスリングを搭載。
回転の抵抗感はソニーと同程度で、やや緩め。バイワイヤですが応答性は良好で遅延は目立ちません。
ピント位置の移動速度はリングの回転速度に依存。素早く回転する場合、ピント全域を約100度のストロークで操作できます。逆にゆっくり回転させると、(ピントの全域の移動に)何回転も必要なほど微調整が可能。
コントロールリング
ソニーEマウント用としては珍しい無印の絞りリング。ニコン用ではNIKKOR Zになるコントロールリングとして割り当てられています。ボディ側のカスタマイズに対応しており、絞りリングとして利用したり、露出補正、ISO感度の設定変更にも利用可能。
問題なければ絞りリングとして利用したいところですが…。一般的な絞りリングは「1クリック=1/3step」の目盛り付きで動作しますが、このレンズは何も記載されていません。操作性に癖があります。
リング操作時のレスポンスは「ノンリニア」となっており、回転速度によって動作が異なります。ゆっくり回転すると絞りが1/3段変化するために何回もクリックが必要、逆に素早く操作すると1クリックで1/3段変化します。これが非常に分かりづらい。
側面のスイッチで「クリック/デクリック」を切り替えることができます。基本は動画撮影時に滑らかな絞り操作で使うことになると思います。静止画の場合はオフ推奨と感じる人が多いかもしれません。
スイッチ類
側面と上面に配置されたFnボタン、AF/MFスイッチ、フォーカスリミッター、クリック切替スイッチを搭載。ニコン用では必要ありませんが、ソニー用は絞りリングのAポジション固定スイッチが欲しかったところ。
Fnボタンは後述する専用アプリでのカスタマイズでVILTROX独自の機能として利用可能。ニコンのL-Fn1・L-Fn2として利用することもできます。
情報パネル
AF 16mm F1.8 FE あたりから導入が始まった情報パネルを搭載。絞り値・ピント位置を同時に表示できるほか、Fnボタンの動作状況も確認可能。NIKKOR Zのパネルよりも機能的。
面白い機能として、起動時のロゴを任意の画像に差し替えることができます。(スマートフォンアプリ経由)
レンズフード
円筒形のしっかりとしたプラスチック製レンズフード。先端には衝撃保護用のゴムカバーを備え、内側には反射を抑えるフェルト生地が張り付けられています。VILTROX製のフードとしては最も気合いの入った造り。NIKKOR Zや日本メーカーのフードよりも取り付けがスムーズではないものの許容範囲内。
フードを装着すると、レンズの全長が1.5倍くらいになります。フィルター操作窓がないので、C-PLや可変NDの操作は難しい。
逆さ付けに対応していますが、フード内径がレンズ本体のフォーカスリング外形とほぼ同じ。干渉しやすく、取り外すときに少し苦労します。
VILTROX Lens App
AndroidとiOSに対応。レンズがBluetooth接続に対応しており、スマートフォンと連携することでアプリによるカスタマイズが可能となります。画期的ですが、レンズが通電状態でないと接続できない点に注意。
135mm F1.8 Zでは、フォーカスリングの校正やFnボタンのカスタマイズ、情報パネルのカスタマイズに対応。また、最新ファームウェアにアップデートすることも可能となっています。
装着例
Z8に装着。レンズは重いし、ボディも重い。一眼レフカメラで135mm F1.8を扱っている感覚。過去に「α7R IV + Samyang AF 135mm F1.8 FE」をレビューしましたが、今回の組み合わせよりも遥かに軽量。1.2kgのレンズを常用できるかどうかはよく考えたほうが良いでしょう。
ただし、Z8のしっかりとしたグリップと良好な重心で、撮影時にバランスが悪いと感じることはありませんでした。
AF・MF
フォーカススピード
VILTROX独自のHyperVCM駆動で動作。必要十分のAF速度で動作しますが、電光石火でも爆速でもありません。状況によってはフォーカスリミッターが役に立つと思います。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
135mm F1.8としては一般的な撮影距離ですが、フォーカスブリージングは強め。ピント位置によって画角の変化が大きいため、特にフレーム隅にピントを合わせる時に苦労する可能性あり。ただ、F1.8からシャープなレンズなので、低照度・低コントラスト以外で問題に遭遇する機会は少ない。
精度
Z8との組み合わせで大きな問題はありません。
もともと被写界深度の浅いレンズなので、カメラ側の軽微な問題(被写体検出が外れたり、応答が遅れたり)に敏感です。さらに、AFが電光石火とは言えないので、近距離で不規則に動く被写体は適していません。
MF
前述したようにノンリニアレスポンスのフォーカスリングは微調整が簡単。素早く操作するとストロークがかなり短くなるので、ざっくりとしたピント合わせも可能。
まとめ
ミラーレス時代の「135mm F1.8」としてはやや重いのが欠点。ただし、防塵防滴で耐候性があり、コントロールリングや複数のFnボタン、情報パネル、Bluetooth接続対応など、遥かに機能的なレンズ。サムヤンの価格差・重量差を許容できるのか個人差があるものの、VILTROXを選択する動機は複数あるように見えます。(個人的には携帯性の良いサムヤンが好みですが)
肝心の光学性能は現在チェック中。ざっとテストして見た限りではサムヤンよりもF1.8の絞り開放がシャープでコントラスト高め。AFは爆速と言えないものの、Z8との組み合わせで十分な結果が得られると感じています。ただし、連写と組み合わせた近距離では信頼性が低下する印象あり。
ボケは滑らかで綺麗。色収差や口径食は良く抑えられ、後ボケにこれと言った欠点は無し。球面収差を活かした柔らかい描写とは言えないものの、悪目立ちする要素は良く抑えられています。
購入早見表
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作例
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