FUJIFILM X100VI搭載レンズ「フジノン 23mm F2.0 II」レビュー第四弾を公開。完璧とは言えないものの、欠点が目立たず、使い辛さを感じないボケ質となっています。
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X100VI 23mm F2のレビュー一覧
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビュー 完全版
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビューVol.5 逆光・周辺減光編
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビューVol.4 ボケ編
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビューVol.3 諸収差編
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビューVol.2 遠景解像編
- FUJIFILM X100VI 23mm F2.0 II レンズレビューVol.1 解像チャート編
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
ニュートラル寄りですが、わずかに後ボケが滲みやすい傾向。ボケの縁取りが弱く、比較的滑らかな描写を実現しているように見えます。軸上色収差によるわずかな色づきがあるものの、無視できる範囲内。
前ボケ
後ボケと比べるとボケの縁取りが硬く2線ボケの兆候が僅かにあります。とはいえ基本はニュートラルで綺麗な描写。色収差の影響が少ないので、悪目立ちする可能性は低い。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
コンパクトな23mm F2レンズですが、口径食の影響は少なめ。非球面レンズの研磨ムラも良く抑えられています。絞りを閉じても円形を維持しています。
ボケ実写
至近距離
全体的に滑らか。口径食の影響は目立たず、ピント面はコントラストが高い。球面収差の残存する柔らかいボケではありませんが、使い勝手の良い綺麗なボケと言えるでしょう。色収差の影響は目立ちません。
近距離
撮影距離が長くなると、ボケの縁取りが目立ち始めます。また、フレーム周辺は軸外収差の影響で流れるような描写。悪くはありませんが、特別良いとも言えません。周辺が気になる場合はF4まで絞ると落ち着きます。
中距離
近距離と同じ傾向。必要に応じてF2.8-4まで絞ると描写が落ち着く可能性あり。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。バストアップくらいまではまずまず良好ですが、上半身よりも離れて撮影する場合は周辺部のボケから騒がしくなります。撮影距離が長くなるとボケが小さくなるため目立たない可能性あり。ボケの大きさと撮影距離のバランスを見ながら絞りで調整することになると思います。いずれにせよ、色収差が良く抑えられているので、過度に悪目立ちする印象はありません。
まとめ
粗さがしをすると指摘するポイントはいくつもありますが、コンパクトな23mm F2レンズとしては健闘していると思います。ボケの色づきがなく、口径食が少なく、非球面レンズの研磨ムラは目立たない。少なくとも騒がしく使い辛いボケ質ではありません。実際、X100VIを入手してから1か月ほど経過しますが、ボケが見苦しいと感じたシーンに遭遇したことはありません。完璧ではないものの、そつなくこなせる23mm F2レンズだと思います。もちろん「23mm F2」として被写界深度の浅さには限界があり、より大きなボケが欲しいのであればレンズ交換式のXシリーズで、より大口径・長焦点のレンズを装着するしかありません。
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