シグマ「135mm F1.8 DG HSM」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。全体的に良好な補正状態であり、これと言って大きな問題のない135mm F1.8となっています。
簡単なまとめ
全体的に収差は良好な補正状態であり、特に大きな問題点はありません。軸上色収差が超高輝度シーンで若干発生しているものの、その機会はほとんど無いと思われます。
Overall, the aberrations are well corrected, and there are no major problems. Although there is some on-axis chromatic aberration in very bright scenes, there are very few opportunities for this to occur.
135mm F1.8 DG HSMのレビュー一覧
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.4 諸収差編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.3 遠景解像編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.2 解像チャート編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
絞り開放からピント面は平坦。フレーム全域で遠景にピントを合わせることが出来ます。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
実写で確認
レンズ補正をオフにした状態でも色収差はほとんどありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
完璧な補正状態ではなく、絞り開放付近でピント面前後の色づきが発生。影響はごく僅かですが、高輝度のシーンでは若干の影響が目につくかもしれません。F4まで絞るとほぼ解消します。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
ごく僅かな糸巻き型。補正無しでも影響はほとんどありません。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
フレーム隅でも点光源の変形はほとんどありません。
球面収差
影響は軽微。とても良好な補正状態に見えます。
まとめ
軸上色収差がゼロとは言えませんが、実写で目立つシーンはほとんどありません。基本的には無視できる程度。F1.8を快適に利用できる機会が多い、優れた光学性能のレンズです。
色収差以外の収差も大部分が目立たず、ほぼ無視できる範囲内に収まっています。優れた光学性能であるため、(レンズ補正を適用できない)電子アダプター経由でのミラーレス装着時も快適。いざとなったらLightroomのレンズプロファイルを利用できますが、利用する機会はほとんどないと思います。
球面収差も良好に補正しているため、ピント面直前・直後の柔らかい描写は得られません。コントラストが高いシーンでは少し硬いと感じる可能性もありますが、「綺麗な」ボケには違いなし。後処理はしやすいと思います。
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作例
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