【評価・作例】600mmをカバーする3万円ズームレンズ『ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4.0-5.6』

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リーズナブルな超望遠ズームレンズ

2016年現在、マイクロフォーサーズが主流となっている中、未だ現行レンズとして存在するフォーサーズ規格の望遠ズームレンズ。

35mm判換算で140-600mmをカバーするレンズとしてはコンパクトでリーズナブル（現在3万円ちょっと）な存在なので、マイクロフォーサーズユーザーの中にはアダプタを介して使おうと考えている方も多いのではないだろうか。

描写性能は癖が大きく、絞り開放では解像力を大きく落としてしまう。ピント面は滲みが目立ち、よく言えば柔らかい印象、悪く言えばかなり甘い。特に望遠端の描写が甘く、四隅の色収差が非常に目立つ点は大きくマイナス。

回折現象を恐れずに絞り込めばグッと解像力は高まるので、シャッタースピードとの両立が難しので、その辺はトレードオフする必要がある。

超望遠ズームレンズながら最大撮影倍率が35mm判換算で1.0倍という驚異の接写能力を持つ。ピント面が非常に浅くなるので使い勝手は良いものでは無が、非常用や簡易マクロとしては十分な接写性能と言えるだろう。

フォーサーズ時代のZUIKOレンズはハイスピードイメージャAF（マイクロフォーサーズで使われているコントラストAF）に対応していないレンズが多い。そのため、像面位相差AFを搭載しているE-M1以外で使うと著しくAF速度が低下してしまうデメリットが発生する。

しかし、本レンズはそれに対応しているのでE-M1以外のモデルでもアダプタを介してマイクロフォーサーズで使いやすいレンズとなっている。

ただし元がそこまで早いAFでもないので、期待値が高すぎると不満が残るかもしれない。

実はこのレンズ、以前から「シグマのAPO70-300mmじゃないか」という話がある。一眼レフ用のサードパーティ製レンズで、安価ながらAPO仕様の望遠ズームレンズとして2005年から売れ続けているものだ。

ZUIKO 70-300 レンズ構成

APO70-300 レンズ構成

レンズ構成がびっくりするほど似ている上に特殊レンズの配置も一緒。と素人目から見てもかなり似ている。レンズスペック（構成枚数や最短撮影距離・倍率など）も同様なので、おそらくそういう事なのだろう。

ハンディな換算600mmとしてはかなりお手頃なプライスだが、もともとセンサーサイズの大きい一眼レフ用レンズ。フォーサーズ規格のセンサーには開放の解像力がかなり不足するのは否めない。

純正の高価なレンズと比べると色収差の補正が良好ではないものの、絞る事でグッと近づける事は出来る。その辺はうまく付き合っていけば、案外便利なレンズかもしれない。

PHOTOHITOなどの作例では使いこなしているユーザーの方々による素晴らしい作例も多いので是非チェックしてほしい。

安価なレンズなのでアダプターを介してマイクロフォーサーズとして使う良い選択肢に見える。ただし、前述したとおり開放付近での解像力が不足するのであまりおススメはできない。特に有効画素数が増えてきている現行のマイクロフォーサーズでは粗が目立ちやすく、「安物買い」となってしまう可能性がある。

『M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II』や『LUMIX G VARIO 100-300mm / F4.0-5.6 / MEGA O.I.S.』が本レンズと比べてやや高価だが、描写性能は上手と言った印象。

テレコンも使えるようだが…画質的にはあまりおススメできないかもしれない。