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VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビュー完全版

このページでは「VILTROX AF 35mm F1.7」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 35mm F1.7のレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 2万円台
サイズ 許容範囲内
重量 許容範囲内
操作性 シンプルながら良好
AF性能 過不足ない
解像性能 広い範囲でF1.7から良好
ボケ 欠点が目立たない滑らかな描写
色収差 この価格帯では良好
歪曲収差 穏やかな糸巻き型
コマ収差・非点収差 良好な補正状態
周辺減光 大口径レンズらしく目立つ
逆光耐性 問題無し
満足度 低価格ながら驚くほど優れた性能

評価:

ポイント

低価格ながら驚くほど優れた性能

APS-C用の単焦点レンズとしておススメしやすい一本。手ごろな価格で軽量ながら、優れた光学性能を実現しています。光学性能についてこれと言った弱点はなく、ボケは綺麗で逆光耐性も良好。値札を考えると驚異的なコストパフォーマンス。

注意すべき点があるとすれば、サードパーティ製のリーバスエンジニアリングで互換性が保証されていないことくらい。幸いにも、USB-Cポートでファームウェアを更新できるため、互換性で悩むことは少ないはず。

This is a highly recommended prime lens for APS-C cameras. It is affordable and lightweight, yet delivers excellent optical performance. There are no notable weaknesses in terms of optical performance, with beautiful bokeh and good backlight resistance. Considering the price tag, it offers astonishing value for money.

The only potential drawback is that compatibility with third-party lens adapters is not guaranteed. Fortunately, the lens can be updated via USB-C, so compatibility issues should be minimal.

VILTROX AF 35mm F1.7とは

VILTROXが「56mm F1.7」に次いで発表したAPS-C用Airシリーズレンズ。開放F値「F1.7」の大口径を実現しつつ、小型軽量かつ低価格を両立しています。光学性能に妥協しているかと言うと、そうでもなく、少なくとも同シリーズの「56mm F1.7」は非常に優れた性能を発揮しています。

競合製品の多いソニーEマウントや富士フイルムXマウントでも有力な選択肢になると思われ、そもそもライバルが存在しないニコンZマウントでは興味深い製品となることでしょう。

主な仕様

重量170g、全長55mmと小型軽量。一眼レフ時代の「AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G」より軽く、アダプター不要のため全長は短い。絞り羽根は9枚と適度に多く、AFはステッピングモーターでミラーレスに最適化されています。最短撮影距離は短いと言えないものの、長すぎるとも言えません。

発売日 2024.12.19
初値 22,999円
レンズマウント E / X / Z
対応センサー APS-C
焦点距離 35mm
レンズ構成 9群11枚
開放絞り F1.7
最小絞り F16
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 0.33m
最大撮影倍率 0.13倍
フィルター径 52mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 不明
サイズ φ64×55mm
重量 170g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール -

価格のチェック

初動の販売価格は2.2万円。現在は3万円近くまで値上がりしていますが、それでも手ごろな価格と言える範囲内。

VILTROX AF 35mm F1.7
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

ここ最近のVILTROXらしく、白を基調としたデザイン。箱はVILTROX印の封印テープが張ってあり、剥がすと粘着性のある跡が残ります。この状態でカバーを戻すと張り付くので注意。

箱の中には本体のほかにポーチやフード、キャップが付属します。

外観

レンズの外装は全体的にプラスチックを使用。ただし、サムヤンTinyシリーズやYONGNUOの古い製品のような安っぽさはなく、日本メーカーのしっかりとしたプラスチック外装に似ています。価格を考慮すると悪い印象はありません。マットブラックの塗装で光沢が少なく、安っぽいプラスチッキーな質感が抑えられています。

外装のデザインは非常にシンプル。唯一の装飾はレンズのロゴですが、プリントされたもので加工はありません。シリアルなどはシールで張り付けたもの。

競合するTTArtisanと比べると、TTArtisanの外装は金属製のしっかりとした作りですが、プラスチック製のVILTROXが極端に見劣るというわけでもありません。

ハンズオン

APS-Cセンサー用の中望遠レンズとしては適度なサイズと重量。競合製品と比べて小さくも軽くもないですが、大きくも重くもありません。

前玉・後玉

防塵防滴には非対応で、前玉のフッ素コーティング処理は不明。ダメージが予想されるシーンでは保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。前面にはレンズのロゴやフィルター径などが白字でプリント。白字は光を反射しやすく、フィルター面へ写りこむ可能性があるので個人的に好みではありません。(もう少しグレーが良かった)

フィルター径は52mm。Airシリーズは52mm径が多いのでフィルターを揃えやすい。

Amazonで52mmフィルターを探す

アルミニウム製のレンズマウントは4本のビスで固定されています。防塵防滴非対応のためシーリングはありません。マウント面にはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートがあります。レンズ後玉周辺は不要な光の反射を抑えるため、きちんと黒塗り処理が施されています。

フォーカスリング

切込みが入ったプラスチック製の幅広いフォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転します。

ノンリニアレスポンスで、フォーカスリングの回転速度に応じて移動量が変化します。素早く回転した際のピント全域におけるストロークは約180度。短すぎず長すぎず、快適な操作が可能。ゆっくり回転した際は約360度となり、丁度よい移動量となっています。

近距離でも滑らかに移動し、ピント位置がジャンプするようなギクシャクした動作ではありません。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属します。必要最低限ですが、肉厚なプラスチックで安っぽさは無し。初期のAirシリーズに付属していたフードと比べると、しっかりと固定することができます。

絞りリング

残念ながら絞りリングは非搭載。価格を考慮すると妥協すべきポイントであり、競合する同価格の製品にも絞りリングはありません。

装着例

Z50IIに装着。適度なサイズで携帯性は良好。グリップから少し突き出すくらいなので、カメラバッグへの収納性は悪くありません。鏡筒の最大径はカメラのマウントより小さく、グリップとの空間に余裕があります。

 

AF・MF

フォーカススピード

レンズのオートフォーカスはステッピングモーターで動作します。フォーカス速度は電光石火と言えないものの高速と評価できるくらいに速い。Z50IIとの相性も良く、簡単な動体撮影であれば問題なく撮影できました。

注意点を挙げると、移動量が多い際に駆動音がやや大きめに発生します。動画撮影では駆動音を抑えて動作するため問題はありません。(耳を澄ませると、ごく僅かに音が聞こえる程度)

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

無限遠から最短撮影距離に移動させると画角の変化がやや目立ちます。しかし、大口径の単焦点レンズとしては目立たない程度に抑えられています。ゆっくりとフォーカス操作をすることで気にならない程度。

精度

Z50IIとの組み合わせで大きな問題はありません。

MF

前述した通り、滑らかなフォーカスリングと適度なストロークで正確な操作が可能。素早いピント合わせにも丁度よく、使い勝手が良い。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z50II
  • 交換レンズ:VILTROX AF 35mm F1.7
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

フレーム角に少しの低下が見られるものの広い範囲は絞り開放から概ね良好な結果。絞ることにより細部のコントラストが改善。 2000万画素のテスト機では絞った際のテスト結果が上限値に阻まれていますが、高解像センサー搭載モデルではより良好な結果を期待することができるはず(後述)。

絞り開放で少しソフトなフレーム角の画質も2~3段絞ることで改善します。F4以降はフレーム全体でとても良好な結果を得ることができました。価格を考えると優れたパフォーマンスと言えるでしょう。

中央

絞り開放からシャープな結果ですが細部のコントラストは少しソフト。 F2まで絞ると少し改善しF2.8で良好なコントラストを得ることができます。 F2.8でピークを迎え、それ以降の絞り値で大幅な画質の変化はありません。

周辺

中央と比べると僅かにソフトな画質ですが、F2.8やF4点ゼロまで絞るとほぼ同じ結果を得ることができます。倍率色収差の影響はほとんど見当たらず絞ることでコントラストの高い結果が得られます。絞った際の結果は中央とほぼ同じで、見分けるのが難しい。

四隅

中央部や周辺部と比べるとややソフトな結果。ただし、倍率色収差の影響は少なく、 F4点ゼロまで絞るとシャープでコントラストの高い結果が得られます。

数値確認

Center Mid Corner
F1.7 3352 3058 2630
F2.0 3210 3665 2304
F2.8 3692 3573 2966
F4.0 3478 3601 3646
F5.6 3297 3628 3601
F8.0 3297 3628 3338
F11 2821 3282 3120
F16 2276 2582 2331

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.4.2 晴 微風
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:BA BAFANG BCA-01
  • 露出:絞り優先AE ISO 100
  • RAW:Adobe Camera RAW
    ・シャープネスオフ
    ・レンズ補正オフ
    ・ノイズ補正オフ

中央

テスト結果は近距離解像チャートとほぼ同じ。絞り開放からシャープですが細部のコントラストはF2.0またはF2.8まで絞ると少し改善。以降はピークのパフォーマンスは続きF8.0以降で回折の影響が発生。

周辺

結果は中央とほとんど変わりません見分けるのが難しいくらい。絞りによる傾向は中央と同じでF2.0~ F2.8まで絞るとコントラストが改善。ピークの結果はF4.0で得られますが、F2やF2.8でも充分に良好な画質と言えるでしょう。

四隅

絞り開放では周辺減光や軸外収差の影響がわずかに見られます。しかし低価格の大口径レンズとしては安定した画質で、絞り開放から実用的な画質。また、絞ることで若干の改善が見られ、 F2.8からF4.0まで絞るとシャープでコントラストの良好な結果を得ることができます。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

像面湾曲がある場合、中央から四隅かけてピントが合う撮影距離が異なります。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしても、フレームの端でピントが合わない場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

中央から隅まで目立つ像面湾曲はありません。近距離でも良好な結果が得られています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値に関わらず、フレーム隅まで色収差が良好に補正されています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

色収差がゼロとは言えないものの、絞り開放から目立たない程度に良く抑えられています。2万円台の低価格であることを考えるとコストパフォーマンスは高い。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

レンズ補正がオフの場合、僅かな糸巻き型の歪曲収差が発生します。これは自然風景などで目立たないものの、直線的な人工物を撮影する場合に少し気になる可能性あり。ただし、画質に大きな影響を与えることなく、手動での修正が可能な程度。特に心配する必要はありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

F1.7の絞り開放からほぼ問題ない程度に抑えられています。2万円台のF1.7 AFレンズとしては非常に良好。

球面収差

F1.7

前後のボケ質に大きな変化は見られず、球面収差を良好に補正していることが分かります。

F2.8

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ボケの縁取りが弱く、柔らかい印象を受ける描写。ニュートラル寄りですが、後ボケの質感が少し良好と言えるでしょう。35mm F1.7で前ボケを入れる機会が少ないと思われるので、良いバランスだと思います。軸上色収差の影響も少なく、とても良好。

前ボケ

後ボケと比べると、やや硬めのボケ描写。極端ではなく、複雑な前景を入れる機会が無ければ無視できる程度。色収差の影響も目立ちません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

中央は良好ですが、フレーム隅に向かって口径食とボケの縁取りが目立ちます。ただし、色収差の影響は良く抑えられています。非球面レンズによる玉ねぎボケはほとんど無く、価格帯を考慮すると優れた結果。

F2.8まで絞ると、口径食や縁取りを大幅に低減することが出来ます。この際も玉ボケは円形を維持しており、心地よい描写。

ボケ実写

至近距離

微ボケの質感を議論するほど細部の描写は目立ちません。大きなボケは全体的に滑らかで文句なし。絞っても滑らかな描写を維持しています。

近距離

撮影距離が少し長くなっても、全体的に滑らかで綺麗。フレーム隅で口径食や縁取りの影響が僅かに見られるものの、「非常に良好」という評価は覆りません。

中距離

さらに撮影距離が長くなると、フレームの端や隅で口径食と縁取りが目立つようになります。ただし、「悪目立ち」と表現するほどでもなく、快適に利用できる描写。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れるほどの撮影距離ではボケが小さく、被写体を背景から分離しにくい。ただし、ボケ質は良好で、フレーム中央から端まで違和感はありません。この価格帯のレンズとしては予想外に良好。撮影距離を短くすると、文句なし。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

大口径レンズらしく、F1.7の絞り開放付近で目立つ周辺減光が発生します。ソフト補正で簡単に修正可能ですが、修正時に若干のノイズ増となる可能性あり(特に高ISO使用時)。F2.8まで絞ると、光学的にほぼ解消します。

無限遠

近距離と比べるとF1.7-2.0における周辺減光が強め。状況によってはかなり目立つため、ソフト補正は適用しておくのがおススメ。F2.8まで絞っても少し残存しているものの、F4まで絞るとほぼ解消。

逆光耐性・光条

中央

強い光源を正面から受けても、フレアやゴーストはほとんど発生しません。絞るとゴーストが増えるものの、許容範囲内。

光源をフレーム隅に移動した場合も問題はほとんどありません。

光条

F8付近から光条が発生し始めます。ただし、シャープな結果が得られるのは最小絞りのF16のみ。回折の影響とバランスを取るのは難しい。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 手ごろな価格
  • 使いやすいフォーカスリング
  • 全体的に良好な解像性能
  • 色収差補正
  • 像面湾曲の補正
  • コマ収差補正
  • 球面収差補正
  • 滑らかな後ボケ
  • 逆光耐性

手頃な価格の35mm F1.7としては光学性能が非常に良好。撮影距離による収差の変動も少なく、F1.7の絞り開放を様々なシーンで使いやすい。さらに後ボケは滑らかで綺麗で、大口径レンズらしいボケを得ることができます。

悪かったところ

ココに注意

  • 手振れ補正・防塵防滴 非対応
  • シンプルなコントロール
  • 軽微な糸巻き型歪曲
  • 玉ボケの口径食がやや目立つ
  • 周辺減光が目立つ

これと言って大きな欠点はありません。敢えて言えば、歪曲収差や口径食がやや強いくらい。とはいえ、これは競合製品にも言える部分が多く、本レンズ固有の弱点ではありません。絞りリングやAF/MFスイッチがあると良かったですが、それも価格を考慮すると許容範囲内。

結論

APS-C用の単焦点レンズとしておススメしやすい一本。手ごろな価格ながら、優れた光学性能を実現しています。光学性能についてこれと言った弱点はなく、ボケは綺麗で逆光耐性も良好。値札を考えると驚異的なコストパフォーマンス。

注意すべき点があるとすれば、サードパーティ製のリーバスエンジニアリングで互換性が保証されていないことくらい。幸いにも、USB-Cポートでファームウェアを更新できるため、互換性で悩むことは少ないはず。

VILTROX AF 35mm F1.7
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競合製品について

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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