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VILTROX AF 25mm F1.7 レンズレビュー 完全版

このページではの交換レンズ「VILTROX AF 25mm F1.7」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 25mm F1.7のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 手ごろな価格
サイズ 大きくはない
重量 重くはない
操作性 最小限だが使いやすい
AF性能 良好な性能
解像性能 一貫性が高い
ボケ 遠距離以外で滑らかな後ボケ
色収差 コスパの良い補正状態
歪曲収差 穏やか
コマ収差・非点収差 穏やか
周辺減光 開放でやや目立つ程度
逆光耐性 平均的-良好
満足度 そつなくこなすコスパの良さ

評価:

ポイント

そつなくこなすコスパの良さ

これと言った欠点もなく、優れた性能と手ごろな価格でおススメしやすい準広角レンズ。ソニー・ニコン・富士フイルムにそれぞれ純正品が存在するうえ、競合他社(TTArtisan)などの選択肢があるものの、それらを差し置いて検討する価値のある製品。

安くて高性能というだけでなく、絞り開放の適度に柔らかいボケ味は官能的ですらある。F1.7から切れ味のある高い解像性能を求める場合は他のレンズも検討したほうが良いですが、特にこだわりが無いのであればコレ一本。

This lens has no notable drawbacks and offers excellent performance and an affordable price, making it highly recommended as a wide-angle lens. While there are genuine products available from Sony, Nikon, and Fujifilm, as well as alternatives from competitors such as TTArtisan, this lens is worth considering even when compared to those options.

It's not just about being affordable and high-performance; the moderately soft bokeh at wide-open aperture is almost sensual. If you're looking for sharp resolution performance from F1.7, you might want to consider other lenses, but if you don't have any specific preferences, this one is the way to go.

まえがき

2025年に登場したVILTROXのミラーレス用交換レンズ。56mm F1.7・35mm F1.7に続く、3本目のAPS-C Airシリーズ。開放F値「F1.7」の大口径を実現しつつ、小型軽量かつ低価格を両立しています。光学性能に妥協しているかと言うと、そうでもなく、少なくとも同シリーズの「56mm F1.7」は非常に優れた性能を発揮しています。

競合製品の多いソニーEマウントや富士フイルムXマウントでも有力な選択肢になると思われ、そもそもライバルが存在しないニコンZマウントでは興味深い製品となることでしょう。

主な仕様

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」ほど小型軽量ではないものの、より複雑な光学設計のレンズとなっています。光学性能にどのような差が出るのか注目ですねえ。

レンズマウント E / X / Z
対応センサー APS-C
焦点距離 25mm
レンズ構成 10群12枚
開放絞り F1.7
最小絞り F16
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 不明
フィルター径 52mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 不明
サイズ φ64×54.4mm(E mount)
重量 170g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール -

価格のチェック

現在は3万円近いものの、セール時は2.4万円程度で購入可能でした。

VILTROX AF 25mm F1.7(ワード検索)
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属

ここ最近のVILTROXらしく、白を基調としたデザイン。外箱と内箱に分かれています。内箱にVILTROX印の封印テープが張ってあり、剥がすと粘着性のある跡が残ります。封印が破られているとすぐわかる便利なテープですが、この状態で外側のカバーを内箱に戻すとテープが張り付くので注意。

箱の中には本体のほかにポーチやフード、キャップが付属します。

外観

レンズの外装は全体的にプラスチックを使用。ただし、サムヤンTinyシリーズやYONGNUOの古い製品のような安っぽさはなく、日本メーカーのしっかりとしたプラスチック外装に似ています。価格を考慮すると悪い印象はありません。マットブラックの塗装で光沢が少なく、安っぽいプラスチッキーな質感が抑えられています。

外装のデザインは非常にシンプル。唯一の装飾はレンズのロゴですが、プリントされたもので加工はありません。シリアルなどはシールで張り付けたもの。

ハンズオン

APS-Cセンサー用の準広角レンズとしては鏡筒が少し太め。競合製品と比べて小さくも軽くもないですが、顕著に大きくも重くもありません。許容範囲内。

前玉・後玉

防塵防滴には非対応で、前玉のフッ素コーティング処理は不明。ダメージが予想されるシーンでは保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。前面にはレンズのロゴやフィルター径などが白字でプリント。白字は光を反射しやすく、フィルター面へ写りこむ可能性があるので個人的に好みではありません。(もう少しグレーが良かった)

フィルター径は52mm。Airシリーズは52mm径が多いのでフィルターを揃えやすい。

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アルミニウム製のレンズマウントは4本のネジで固定されています。防塵防滴非対応のためシーリングはありません。マウント面にはファームウェアアップデート用のUSB-Cポートあり。レンズ後玉周辺は不要な光の反射を抑えるため、きちんと黒塗り処理が施されています。

フォーカスリング

切込みが入ったプラスチック製の幅広いフォーカスリングは適度な抵抗感で滑らかに回転。

リングの応答性はノンリニア(最新モデルはリニアに設定変更可能)。フォーカスリングの回転速度に応じて移動量が変化します。素早く回転した際のピント全域におけるストロークは約180度。短すぎず長すぎず、快適な操作が可能。ゆっくり回転した際は2回転近く、丁度よい移動量となっています。近距離でも滑らかに移動し、ピント位置がジャンプするようなギクシャクした動作ではありません。

絞りリング

残念ながら絞りリングは非搭載。価格を考慮すると妥協すべきポイントであり、競合する同価格の製品にも絞りリングはありません。

Zマウントであればカメラ側のカスタマイズでフォーカスリングを無段階絞りリングとして利用可能。ただし、リングの操作に対して絞りの変化が速すぎる感あり。実用的とは言えません。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属します。必要最低限ですが、肉厚なプラスチックで安っぽさは無し。初期のAirシリーズに付属していたフードと比べると、しっかりと固定することができます。

装着例

Z50IIに装着。適度なサイズで携帯性は良好。グリップから少し突き出すくらいなので、カメラバッグへの収納性は悪くありません。鏡筒の最大径はカメラのマウントより小さく、グリップとの空間に余裕があります。

AF・MF

フォーカススピード

レンズのオートフォーカスはステッピングモーターで動作します。フォーカス速度は電光石火と言えないものの高速と評価できるくらいに速い。Z50IIとの相性も良く、簡単な動体撮影であれば問題なく撮影できました。

注意点を挙げると、移動量が多い際に駆動音がやや大きめに発生します。動画撮影では駆動音を抑えて動作するため問題はありません。(耳を澄ませると、ごく僅かに音が聞こえる程度)

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

ピント位置の変化による画角変動は良く抑えられています。ほとんど目立たず、ピント位置の急激な変化でも気になりません。上部のAFテストが参考になると思います。

精度

Z50IIとの組み合わせで大きな問題はありません。

MF

前述した通り、滑らかなフォーカスリングと適度なストロークで正確な操作が可能。素早いピント合わせにも丁度よく、使い勝手が良い。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Nikon Z50II
  • 交換レンズ:VILTROX AF 25mm F1.7
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

絞り開放は全体的に数値が低下するものの、周辺から隅まで顕著な落ち込みはありません。少し絞ると中央から周辺まで広い範囲で改善が見られます。フレーム隅もF2.8-4で大幅に改善し、周辺と同等の結果が得られています。

(定型の解像チャートに接写する必要がある)広角レンズには不利なテスト環境ですが、それでもこのような結果が得られたのは嬉しい驚き。

中央

絞り開放のF1.7でコントラストの低下が見られるものの、F2なで絞ると改善します。F2.8でピークに達し、以降は性能を維持したままF5.6まで利用可能。F8で回折の影響が発生し、いくらかソフトな結果。

周辺

中央と比べると細部の解像性能が見劣りしますが、全体として顕著な画質低下はありません。F2まで絞っても改善が見られないものの、F2.8-4でよりシャープな結果となる。以降はF8くらいまで同程度の結果を維持しています。

四隅

中央や隅と比べるとソフトですが、顕著な画質低下ではありません。絞ると徐々に改善し、F4付近でピークの性能に到達。回折の影響を受けるまで、F4-8で良好な結果を期待できます。

数値確認

Center Mid Corner
F1.7 2774 2414 2165
F2.0 3193 2926 1910
F2.8 3584 3076 2472
F4.0 3638 3066 3234
F5.6 3946 3058 3282
F8.0 3218 3114 3239
F11 2852 2670 2559
F16 2535 2137 2190

競合製品比較

ニコン純正品である「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」は、絞り開放からシャープな中央解像性能を発揮。ただし、周辺や隅はVILTROXよりも若干ソフト。F2.8-4まで絞るとほぼ同じ結果となります。絞り開放における均質性でVILTROX、中央解像の良さでNIKKORと言ったところ。

とは言え、絞った時の性能はNIKKOR Z DX ズームレンズと大きな違いがありません。風景撮影で絞るようなシーンであれば利便性のあるズームレンズを選択したほうが良いでしょう。

単焦点レンズが輝くシーンはF1.7の大口径でシャッタースピードを稼ぐことができる場合。例えば夜景や天体など。この際、ニコンよりも高い均質性で有利となる可能性あり。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.06.12 晴れ 無風
  • カメラ:Z50II
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:BA BAFANG BFA-01
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Lightroom Classic 現像
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・レンズ補正オフ

中央

近距離解像チャートとよく似た結果。絞り開放はコントラストが低下しているものの、F2まで絞ると大幅に改善します。大口径であることが必要なシーンでもF2まで絞っておくと良いかもしれません。逆にハロ(ハイライトの滲み)が欲しい場合はF1.7という選択肢もあります。

F2.8まで絞るとピークに達し、細部までシャープな結果が得られています。少なくとも2000万画素のZ50IIでは、これ以上絞っても恩恵はありません。被写界深度の都合で絞りを調整することになります。

周辺

中央とほとんど変わらない結果が得られています。像面湾曲の影響が少なく、解像性能も良好であることが分かります。やはりF1.7の絞り開放で少し低コントラストですが、F2まで絞ると改善します。絞った際のピーク性能は中央と比べて若干見劣りするものの、大きく拡大しないと分からない程度。

四隅

フレームの極端な隅でも結果に破綻はありません。コマ収差・非点収差・色収差・像面湾曲が良く抑えられているように見えます。F2.8までは細部が若干ソフトですが、F4-5.6で改善。NIKKOR Z DX 24mm F1.7 よりも良好。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

フォーカスした場所によるピントのずれは目立ちません。絞り開放から許容範囲内に収まっているように見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値全域で良好に補正されています。追加の補正はほとんど必要ありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

AF 25mm F1.7は高輝度のシーンにおいても色収差を良好に補正しています。絞り開放から色収差の影響は軽微で、F4までに解消します。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

良好な補正状態ですが、ごく僅かな樽型歪曲。フレーム周辺に直線的な被写体を配置すると歪曲が少し目に付きます。無視できる程度で、一般的な撮影で追加の補正は必要ないように見えます。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

完璧な補正状態ではないものの、F1.7から無視できる程度に良く抑えられています。F2.8-4でほぼ解消。

球面収差

前後のボケに大きな変化が無く、球面収差を良好に補正しているように見えます。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

後ボケの輪郭が溶けるように滑らかで、滲むように柔らかい描写。準広角レンズとは思えない、見栄えの良い描写です。軸上色収差の影響も軽微で悪目立ちする様子はありません。

前ボケ

後ボケとは反対に、輪郭が強調され二線ボケの兆候があります。準広角レンズで前ボケが重要シーンは少ないと思うので、特に心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

四隅に向かって口径食の影響があるものの、滑らかで綺麗な描写の玉ボケです。非球面レンズの研磨ムラはゼロと言えないものの、2万円台の安価なレンズとしては驚く程に良好。口径食はF2.8まで絞るとほぼ解消します。

ボケ実写

至近距離

至近距離では球面収差がほど良い味付けとなっている滑らかな後ボケが得られます。これと言って欠点は無く、隅に向かって口径食があるくらい。それも悪目立ちするような粗い描写ではなく、滑らかで綺麗。賞賛すべきパフォーマンス。

近距離

撮影距離が少し長くなっても同様のパフォーマンスを維持。換算35mm相当のレンズとしてはかなり見栄えの良い描写を維持しています。

中距離

さらに撮影距離が長くなると、ボケの縁取りが少し硬くなります。特にフレーム隅に向かって硬調なボケが目立つようになり、玉ボケで影響を受ける可能性が高い。とは言ったものの、準広角レンズのボケとしては非常に良好で、フレームの広い範囲で心地よい描写を維持しています。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れるような撮影距離ではボケが非常に騒がしい。おそらく、近距離で柔らかいボケを演出している球面収差が反転しているのだと思われます。ボケそのものが小さいので悪目立ちしませんが、気になる場合は少し絞ったほうが良いでしょう。

膝上くらいまで撮影距離を短くすると悪目立ちする描写が穏やかとなり、上半身からバストアップの撮影距離でニュートラル。それ以上に近寄ると、滑らかで柔らかい後ボケへと変化します。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放付近で周辺減光が目立ちますが、F2.8まで絞るとほぼ解消します。

無限遠

最短撮影距離と比べると周辺減光の影響が強い。しかし、F2.8まで絞るとほぼ解消します。

逆光耐性・光条

中央

逆光耐性は中国レンズメーカーの泣き所ですが、VILTROXは比較的フレア・ゴーストを良く抑えています。ただし、絞ると間面反射によるゴーストが増加。強い光源を正面から受けると、多数のゴーストが発生します。

光源を隅に移動した場合、フレア・ゴーストは良く抑えられています。絞りを開けても閉じても大きな問題はありません。

光条

F8付近でシャープな光条が発生し始めます。悪くない見た目ですが、明瞭な光条が得られるころには回折の影響が強くなります。解像性能とバランスを取りづらいのが悩ましいところ。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 手ごろな価格
  • 適切なビルドクオリティ
  • 良好な速度・精度のAF
  • 隅まで一貫性のある解像性能
  • 像面湾曲の問題がない
  • 色収差の補正状態が良好
  • 歪曲収差が穏やか
  • コマ収差が穏やか
  • 後ボケが広い範囲で滑らか

2万円台の準広角レンズとしては一貫性の高い解像性能と滑らかなボケの組み合わせ。色収差の補正状態も良好で、F1.7の絞り開放で、シーンを選ばず快適に利用てきることが強み。ニコン純正のZ DX 24mm F1.7よりも使いやすく、信頼できる光学性能。

悪かったところ

ココに注意

  • カメラ経由でのFW更新に非対応
  • 絞り開放でコントラストが少し低下(球面収差)
  • 撮影距離が長い場合に後ボケが硬調
  • ニコンZ DXカメラの最速シャッタースピードが1/4000秒
    (2025.7 時点)

光学性能にこれと言った欠点はほとんどなく、敢えて指摘するならば球面収差が味付け程度に残存しているくらい。これもボケ質に上手く作用しているので、長所とも言えます。

逆光耐性や周辺減光は強みと言えないものの、弱みと言う程でもなく、許容範囲内に収まっている印象。リバースエンジニアリングと思われる社外製レンズのため、ニコンZカメラとの互換性が完璧でない点は理解して購入する必要があります。

あとはZ DXカメラの最速シャッタースピードが1/4000秒までである点に注意。明るい日中にF1.7を利用すると、適正露出を維持できない可能性が高い。(ISO 100 + 1/4000秒でも露出オーバーになる)

結論

これと言った欠点もなく、優れた性能と手ごろな価格でおススメしやすい準広角レンズ。ソニー・ニコン・富士フイルムにそれぞれ純正品が存在するうえ、競合他社(TTArtisan)などの選択肢があるものの、それらを差し置いて検討する価値のある製品。

安くて高性能というだけでなく、絞り開放の適度に柔らかいボケ味は官能的ですらある。F1.7から切れ味のある高い解像性能を求める場合は他のレンズも検討したほうが良いですが、特にこだわりが無いのであればコレ一本。

VILTROX AF 25mm F1.7(ワード検索)
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競合製品について

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7

ニコン純正品、防塵防滴仕様という点が強みとなるものの、光学性能は全体的にVILTROXのほうが良好。解像性能の一貫性、ボケの滑らかさ、色収差やコマ収差の補正状態などを考慮するとやや見劣りします。フォーカスブリージングもかなり目立ちます。販売価格も若干高いのが悩ましいところ。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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