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キヤノンのクアッドピクセル・デュアルクロスAFに関連する特許出願

2022年1月6日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。クアッドピクセル構造でクロスAFを実現するのみならず、対角クロスAFまで利用できる「デュアルクロス」に関する特許のようです。

概要

  • 【公開番号】特開2022-2383(P2022-2383A)
  • 【公開日】2022年1月6日
  • 【発明の名称】撮像素子、撮像装置、及び焦点検出方法
  • 【出願日】2020年6月22日
  • 【出願人】
    【識別番号】000001007
    【氏名又は名称】キヤノン株式会社
  • 【課題】 画像信号の感度のばらつきを抑えつつ、瞳領域の分割方向を増やすことを可能とすること。
  • 【0002】
    撮像装置の焦点検出方法の1つとして、撮像素子に形成された焦点検出用画素を用いて瞳分割信号を取得し、位相差方式の焦点検出を行う、いわゆる撮像面位相差方式が知られている。焦点検出用画素としては、各画素に、1つのマイクロレンズと、複数の感度領域とを形成した構成が知られており、複数の感度領域それぞれが、撮影光学系の異なる瞳領域を通過した光を受光することで、瞳分割信号を取得することができる。
  • 【発明が解決しようとする課題】
    【0005】
    一般的に、位相差方式の焦点検出において、被写体の明暗パターン、すなわち、輝度が変化する方向が瞳分割信号の分割方向に近い場合に、焦点検出の精度が低下するという課題がある。
  • 【0006】
    瞳分割信号の分割方向を増やすために、特許文献1に記載の画素を組み合わせて縦横斜め合計4方向に分割する撮像素子を構成したとしても、分割方向の異なる画素間で特性が揃わず、瞳分割信号を画素ごとに加算して得られる画像信号にばらつきが生じてしまう。
  • 【0007】
    本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、画像信号の感度のばらつきを抑えつつ、瞳領域の分割方向を増やすことを可能とすることを目的とする。

ミラーレスカメラの「像面位相差検出AF(イメージセンサーの一部に測距用の画素を配置)」は主に一方向の線に対して反応するため、反応する線に対して垂直な線にピントが合いにくい特性を持っています。最近のミラーレスはそれでも十分良好なパフォーマンスを備えていますが、それでもシビアな撮影環境ではピントが合いにくい場合もあるでしょう。例えば最近登場したニコンのフラッグシップモデル「Z 9」にも以下のような注意書きがあります。

Nikon Z 9:日本語説明書 PDF 112ページ

次の被写体はオートフォーカスでピントが合わない場合がありますので、ご注意ください

ー画面の長辺側と並行線の被写体

このように、2021年の最新モデルでもラインセンサー方式による弱点が存在します。コントラスト検出方式を合わせて使用する「ハイブリッドAF」でもこの問題からは逃れられない模様。

これに対して横線にも反応するクロスセンサー方式の像面位相差検出を採用しているミラーレスはごく少数。知り得る限りオリンパスの「OM-D E-M1 Mark II」そして同じセンサーを搭載しているE-M5 Mark IIIやE-M1 Mark III、E-M1Xのみ。

キヤノンは画素を分割した独自の「デュアルピクセルCMOS AF」を採用。他のミラーレスと同じくラインセンサー方式に違いありませんが、全ての画素がAFセンサーの役割を果たす点で違いがあります。最新のハイエンドモデル「EOS R3」もこの方式です。

キヤノンは画素を四分割して縦線と横線にそれぞれ対応する像面位相差AFを特許としていくつか出願しています。将来的にオールクロスAFの「クアッドピクセルCMOS AF」となるかもしれませんね。当然ながら画素を四分割する必要があり、その他の技術的な課題もあるのかと思います。いつごろ実現するのかは不明。

EOS 5D Mark IVのAFセンサー

クロスセンサーを搭載したとしても検出感度が低下するのが「斜めの線」です。この問題に対応しているミラーレスは今のところ皆無のはず。一眼レフカメラは縦・横に加えて斜めにも対応する「デュアルクロス測距」に対応している機種があるものの、大部分のカメラは「中央一点」のみの対応に留まっています。

今回出願された特許出願を見ると、クアッドピクセル構造でオールデュアルクロスAFを実現するための技術の一部であるように見えます。もしもこれが実現したならば、他社とは一線を画すAF性能・精度となるかもしれませんね。このような技術がいつ実用化されるのか不明ですが、今後のさらなる飛躍に期待したいところ。

珍しいことに、キヤノンはRGBべイヤー配列に加えて、RGBWカラー配列の実施例も提示しています。特許出願の文献内では以下のように言及しています。

【0077】
このように、第2の実施形態においては、各色成分の瞳分割信号を用いて得られたデフォーカス量に加えて、白色光に基づく瞳分割信号を用いて、デフォーカス量を取得することができる。このように白色光に基づく瞳分割信号を用いることで、被写体の輝度が低い場合に、より精度の高い焦点検出を行うことが可能になる。

つまるところ低照度時に従来よりも良好なAF性能を期待できるかもしれませんね。

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