更新履歴
- 2016.9.1:高感度・解像度の実写比較を追加
- 2016.8.29:ページを作成。やや文章が抜けているところがあるので、ぼちぼち更新していきます。
まえがき
一眼カメラを始めたいけど、あんまり安すぎて不便なカメラもやだ!
という時に選択肢に挙がるのが、入門カメラよりもちょっと高いけど機能性に優れているエントリーモデル。
今回はそんな一眼レフカメラを各社メーカーから1台ずつチョイスして比較してみた。どれも良いところもあれば悪いところもあって、「これが絶対おススメ!」と言いにくい3台だった。
ぶっちゃけ細かい事抜きにすれば「見た目で選んじゃってもいいよ」と言っちゃいそうになるところだけどもやや注意点がある。
ちなみに私自身、8000DとK-70の前モデル「K-S2」は使っているので、それらの感想も踏まえながら以下を書いていきたい。
外観比較
正面
背面
それぞれ配置こそ違えど、利用できる機能性に大きな違いはあまりない。やや8000Dが使いやすいかな?と感じる。
上面
8000Dはサブ液晶搭載
特徴的な機能としてEOS 8000Dのサブ液晶を挙げる事が出来る。背面の液晶モニタをひっくり返してサブ液晶を使って撮影すればバッテリーの損耗を防ぐ事が出来たり、不意のアクシデントで液晶モニタを傷つける機会も少なくなる。
それに背面液晶があると「本格的にみえる」。実際、私はそこがポイントで8000Dを買った。
D5500は電子ダイヤルが一つだけ
D5500はK-70や8000Dの様にシャッターボタンの奥にある「電子ダイヤル」が配置されていない。オートモードを使う場合にはあまり感じないかもしれないが、絞り優先AEやマニュアルモードを使うようになると不満に感じる機会が多くなる。
これを解消するためにはD5500独特の機能である「タッチFn(後述)」を使うしかない。
スペック比較
画像処理
センサー
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
センサー | 23.5mm×15.6mm | 約22.3×14.9mm | 23.5×15.6mm |
有効画素数 | 約2424万画素 | 約2420万画素 | 2416万画素 |
ローパスフィルター | なし (モアレ低減機能あり) |
あり | なし |
センサーシフト式手ぶれ補正 | 搭載 4.5段分 |
処理エンジン・記録形式・方法
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
画像処理エンジン | PRIME M II | DIGIC 6 | EXPPED 4 |
RAW形式 | 14bit | 14bit | 12/14bit |
メディアスロット | SD、SDHC、SDXCメモリーカード UHS-I規格に対応 |
SD、SDHC、SDXCメモリーカード UHS-I規格に対応 |
SD、SDHC、SDXCメモリーカード UHS-I規格に対応 |
備考 | アクセラレータユニット |
露出制御
?PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
測光方式 | TTL開放77分割測光 | 7560画素RGB+IR測光センサー 63分割TTL開放測光 |
2016分割RGBセンサー |
測光範囲 | EV0?22 | EV 1?20 | 2?20EV |
ISO感度 | 100?102400 | 100?12800 | 100?25600 |
拡張ISO感度 | 25600 | ||
露出補正 | +/- 5 | +/- 5 | +/- 5 |
備考 |
連写・AF
オートフォーカス
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
方式 | TTL位相差検出式 | TTL二次結像位相差検出方式 | TTL位相差検出方式 |
測距点 | 11点 | 19点 | 39点 |
クロス測距点 | 9点 | 19点 | 9点 |
F8対応点 | |||
測距輝度範囲 | EV-3?18 | EV?0.5?18 | -1?+19EV |
測距エリア選択モード | 5 | 3 | 4 |
備考 | SAFOX X | AIサーボAF II |
測距点・クロス測距
カバーしているエリアはどれもドッコイだが、より密度が濃いAFが可能なモデルはD5500>8000D>K-70と言った順番となる。
特に動かない被写体であればK-70でも全く問題なと思うが、動く被写体をフレーミングする場合には測距点の隙間は出来るだけ無いほうが望ましい。
8000Dは測距点数こそD5500に及ばないものの、すべての測距点が精度の高いクロスセンサーを配置されている。K-70とD5500は同じクロス測距点数だが、より広い範囲をカバーしているのはK-70の方だ。
規則的に動く被写体であればEOS 8000Dが使いやすく、不規則に動く被写体はD5500が強い。K-70は撮影者の腕次第。どれもレンズに依存するところが大きいので、AFの速いレンズをチョイスしてみよう(ステッピングモーターや超音波モーター搭載モデル)。
暗所AF性能はK-70が抜きんでる
光源が少ない場所でのオートフォーカスはこのクラスのカメラが苦手とするジャンル。しかし、K-70は上位モデルと同様にEV-3対応とあって、暗いシーンでもAFが合う可能性が高い。
反面、EOS 8000Dはかなり不得手でイルミネーションなどの撮影シーンではあきらめてマニュアルフォーカスを使った方が良いかもしれないレベル。
シャッター・ドライブ
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
形式 | 電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター RRS時のみ電子シャッター |
電子制御式、フォーカルプレーンシャッター | 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター |
シャッター速度 | 1/6000秒?30秒 | 1/4000?30秒 | 1/4000?30秒 |
フラッシュ同調速度 | 1/180秒 | 1/200秒 | 1/200秒 |
高速連続撮影 速度 | 最高約6.0コマ/秒 | 最高約5コマ/秒 | 最高約5コマ |
連続撮影可能枚数 | JPEG:40枚 RAW:10枚 RAW+JPEG:8枚 |
UHS-I対応カードの場合 JPEG:940枚 RAW:8枚 RAW+JPEG:6枚 |
?UHS-I対応カードの場合 JPEG:100枚 |
K-70が高バランス
シャッタースピードや連写性能で他機種を上回っている。そこまで大きな差ではないものの、物理的に覆すことが出来ないポイントである事は確か。
操作性
ファインダー
ファインダースペック
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
方式 | ペンタプリズム | ペンタダハミラー | ペンタミラー |
視野率 | 約100% | 約95% | 約95% |
アイポイント | 約22.3mm | 約19mm | 17mm |
倍率 | 約0.95× | 約0.82倍 | 約0.82倍 |
フォーカシングスクリーン | 交換式 | 固定式 | 交換式 |
ファインダーの見えやすさはK-70一押し
そもそもファインダーに使っている素材が大きく異なっている。8000DやD5500がミラーを使ったこのクラスの一般的な方式に対して、K-70は上位モデルと同等のプリズム方式。ファインダー倍率も高いので、ピントの山が見やすくマニュアルフォーカスがし易い。視野率100%なので構図の調整も楽ちんだ。
8000DやD5500は視野率が95%と実際に撮影するフレームのうち、外枠部分のおよそ5%がファインダーで確認出来ない仕様。あとで確認すると写真に思いもしないものが写り込んでいた、なんて事もある。
8000Dはスクリーン固定式
フォーカシングスクリーンとはファインダーを覗いた時に見えるグリッド(構図を調整する時に使う線)やピントの山を見やすくするための加工が施されているもの。
これを複数用意してあり、グリッドを別のラインに変えたりピントの山を見やすくしたりする事が出来るのが「交換式」。ファインダーに写る小さいゴミが気になるような場合にも交換する事で解消する場合がある。
しかし、8000Dではこのスクリーンが交換不可となっている。それはファインダーの間に液晶を挟んでいるので安易にスクリーンを取り外せなくなっているためだ。つまり、このフォーカシングスクリーンが傷ついてしまったり、ゴミが入り込んでしまった場合にはサービスセンターへ持ち込むしかない。
ライブビュー・モニタ
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
オートフォーカス方式 | 像面位相差検出 コントラスト検出 |
ハイブリッド CMOS AF III | コントラストAF方式 |
測距輝度範囲 | EV 0?18 | ||
モニター形式 | TFTカラーLCD 約92.1万ドット |
TFT式カラー液晶モニター 約104万ドット |
TFT液晶モニター 約104万ドット |
モニターサイズ | 3.0型 | ワイド3.0型 | 3.2型 |
タッチパネル | 非対応 | 対応 | 対応 |
モニター可動ギミック | バリアングル | バリアングル | バリアングル |
備考 | アウトドアモニター 赤色画面表示 |
タッチFn |
最もタッチパネルに最適化されているのはEOS 8000D
キヤノンは1世代・2世代前からタッチパネルの導入が進んでおり、タッチ操作を使った利便性に磨きがかかっている。ライブビューを使わなくてもクイックメニューやピクチャースタイルの操作時での使用感は良好で、タッチパネル無しには戻れなくなる。
一方でD5500はニコン一眼レフとしては初となるタッチパネル搭載モデルとあって、やや洗練さに欠ける部分がある(メニュー操作時)。
K-70はそもそもタッチパネルに対応していないのはとても残念。
D5500のタッチFn
やや洗練さに欠けるD5500のタッチ操作だが、8000Dよりも優れている機能性を発揮するのが「タッチFn」機能。これはファインダーを覗きながらもタッチパネルを操作する事でカメラの設定や機能を活用する事ができるもの。
特におススメの機能はオートフォーカスを「スポット」にしている場合に、ファインダーを覗きながらタッチ操作をする事で「スポット1点」のポイントを滑らかに移動させる事が出来る機能。
また、前述した「電子ダイヤル」の代わりとする事も可能なので設定次第で自分にあったスタイルにカスタマイズ可能な点はグッド。
アウトドアモニタが地味に便利なK-70
タッチパネルこそ対応していないが、「アウトドアモニタ」機能が意外と便利なK-70。これは液晶モニタの輝度を上げたり下げたりして明るいシーンで液晶モニタを見やすくしたり、暗いシーンで明るすぎるモニタを調整する事ができる機能。
8000DやD5500でもこの機能は存在するが、いちいちメニューを呼び出して操作しなければいけない。K-70では「アウトドアモニタ」機能をFnボタンに割り当てておく事で、ボタン一押しでその機能を呼び出すことができる。
あまり魅力的に感じないかもしれないが、超おススメ。特に屋外での撮影が多い場合にはその便利さを感じるはず。
動画
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
映像記録方式 | MPEG-4 AVC/H.264 | MPEG-4 AVC/H.264 | H.264/MPEG-4 AVC |
音声記録方式 | AAC | リニアPCM | |
記録形式 | MOV | MP4 | MOV |
記録サイズ・フレームレート | FHD 60i HD 60p |
FHD 30p HD 60p |
FHD 60p HD 60p |
フォーカスモード | 像面位相差検出およびコントラスト検出によるハイブリッド方式 | ハイブリッド CMOS AF III | コントラストAF方式 |
動画中のサーボ | 対応 | 対応 |
その他機能
作画機能
?PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
超解像撮影 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
HDR撮影 | 対応 | 対応 | 対応 |
多重露光 | 対応 | 非対応 | 非対応 (画像編集にて対応) |
ボディ内RAW現像 | 対応 | 非対応 | 対応 |
明瞭度調整 | 明瞭コントロール | 非対応 | ピクチャーコントロール |
内蔵フラッシュ | あり | あり | あり |
フリッカーレス撮影 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
肌色補正 自動水平補正 構図微調整 アストロトレーサー |
エフェクトショット 表現セレクト Aライティングオプティマイザ |
アクティブD-ライティング |
作画機能はK-70がぶっちぎりの性能
基本的なHDR・多重露光が出来る上に、ボディ内現像の自由度は他社と比べ物にならないほどの項目を選ぶことが出来る。
さらにセンサーシフトを活用した超解像撮影(リアルレゾリューションシステム)、自動で水平を補正してくれる機能、三脚に据え付けたときに僅かな傾きや構図をシフト出来る機能、GPSを装着して天体を追尾出来る機能、などなど他のカメラでは全く出来ない機能がてんこ盛り。
さらにフルサイズ一眼レフ「K-1」に搭載された新機能を惜しげもなく導入している。
ホタルの撮影などで重宝する多重露光(撮影して合成処理までをボディ内で完結できる機能も可能。
機能制限は多いが、フリッカーレス撮影が光るEOS 8000D
屋内での撮影が多いのであれば魅力的な機能が「フリッカー低減機能」。これは人工光源のチラつきを抑えてくれる便利な機能だ。
特に撮り直しが利かないスポーツ撮影などでは有りがたみを実感する。「奇跡の一枚」を撮ったつもりがチラつきが発生してしまい残念な結果に、とならなくて済む。
インターフェース・搭載機能
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
映像/音声出力・デジタル端子 | USB2.0 | USB2.0 | USB2.0 |
特殊端子 | アクセサリーターミナル | ||
シンクロ端子 | なし | なし | ホットシューアダプター AS-15対応 |
HDMI | タイプD | タイプC | タイプC |
外部マイク入力端子 | Φ3.5mmステレオミニジャック | Φ3.5mmステレオミニジャック | Φ3.5mmステレオミニジャック |
ヘッドフォン端子 | |||
リモコン端子 | CS-310(マイク端子) | RS-60E3 | MC-DC2 |
ワイヤレスリモコン | O-RC1対応 | RC-6対応 | WR-1、WR-R10対応 |
WiFi | あり | あり | あり |
NFC | 非対応 | あり | なし |
GPS | なし (O-GPS1対応) |
なし (GP-E2対応) |
なし (GP-1、GP-1A対応) |
電子水準器 | 2軸 | 1軸 | なし |
防塵防滴 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
備考 |
ボディ・電源
PENTAX K-70 | EOS 8000D | D5500 | |
バッテリー | D-LI109 | LP-E17 | EN-EL14a |
撮影可能枚数の目安 ファインダー | 約480枚 | 約400枚 | 約820コマ |
撮影可能枚数の目安 ライブビュー | 約150枚 | ||
大きさ | 125.5*93.0*74.0 | 131.9*100.9*77.8 | 124*97*70 |
質量 (CIPAガイドライン) | 約688g | 約565g | 約470g |
質量 ボディのみ | 約628 | 約520g | 約420g |
解像度・高感度の実写比較(K-70はRRS時の解像度を追加)
各モデルともにJPEGファイルで保存する限りでは大きな違いは感じられない。
リアルレゾリューションシステムを使ったK-70については高感度時の解像力がずば抜けている。
選ぶポイント
PENTAX K-70:なんでも出来る万能モデル
エントリークラスの一眼カメラにしてはとても贅沢な機能性が盛り込まれている。逆に言えば、「そこまで使うのか?」と言った一面も存在するのでじっくり自分のスタイルと照らし合わせてみたいところ。
と言ったものの、価格は8000DやD5500と同価格帯に存在するので、コストパフォーマンスは明らかに高い。
防塵防滴の専用レンズも多いので、旅行やアウトドアなどで天候が変化しやすいロケーションにも気兼ねなく持ち歩ける点はグッド。全体的に小ぶりでお手頃なレンズが多く、レンズ遊びにも適している。
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K-70 ボディ | 新品・中古情報 |
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EOS 8000D:一眼にのめり込むための1台目
レンズのラインアップは多いが、この手のカメラに最適化されたレンズは「小型化」を優先している傾向があり、あまり大きくボケを作ることが出来ない。
ボケを大きくするためにはフルサイズ一眼レフ用の大きなレンズを使うしか、非純正レンズに頼るしかない。
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高倍率ズームレンズキット ・EF-S 18-135mm IS STM |
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ハイスピードレンズキット ・EF-S 18-135mm IS USM |
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D5500:カジュアルに使うならこれOK
「綺麗に撮れればOK!」というならこのモデルがおススメ。より価格の安いD5300やD3300・3400という選択肢もあるが、タッチパネルの操作性を考えるとこちらが良いだろう。
エントリークラスの一眼カメラだが、描写性能は上位クラスとならぶ性能を持っているので使い方次第では綺麗な写真を撮ることが出来る。
軽くてバッテリーの持ちも良いので、そこまで一眼カメラに興味が無くても扱いやすいモデルと言える。
キヤノンと比べて単焦点のラインナップが揃っているので、レンズ遊びは面白い。
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ミドルクラスという選択肢
この手のモデルはミドルクラスの一眼レフとの価格差が少ないので「それならいっそ、ミドルクラスを」という考え方も出来る。
ペンタックスならK-3IIが、キヤノンならEOS 80D・70D、ニコンならD7200・7100という具合だ。
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