現在、PENTAX K-1用として使える現行の純正望遠レンズは
- HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8 ED DC AW
- HD PENTAX-D FA 150-450mmF4.5-5.6ED DC AW
- smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF]SDM
- smc PENTAX-DA*200mm F2.8 ED [IF] SDM
- HD PENTAX-DA 560mmF5.6 ED AW
と言う感じでデカいレンズか単焦点レンズしかない。小ぶりでズームな望遠レンズが無かったりする。
今回はそんな状況において、痺れを切らしてフィルム時代の純正レンズに手を出した話。
smc PENTAX-FA 80-320mm F4.5-5.6
ヤフオクやキタムラでよく見かける80-320mmをゲットした。
フィルター代程度で中古が買えてしまうくらいの価格なので、現行のDAレンズやD FAレンズと比べたら取っつきやすいのは確か。
外観
外観がボディとマッチしているか、していないかと問われれば間違いなく後者。野暮ったいFAらしいデザイン。色がシルバーと言うこともあって、ペンタ恒例のシルバーエディションにはしっくりくるかもしれない。
鏡筒はプラスチック製なものの、マウント部は金属製。ズームリングの回転角はおよそ45°なので、広角端から望遠端までのクイックな操作は比較的簡単にできる。反面、ピントリングの回転角は180°と大きくマニュアル操作では近接から∞まで一度に操作するのは難しい。AFはその回転角の大きさから、迷うと遅い印象。迷わなければK-1のボディモーターで結構素早いAFが可能だった。
ライブビューのコントラストAFも使用可能で、思いのほか正確に素早く合掌する。
フードを取り付ける機構が備わっていないので、前玉の保護の為にプロテクトフィルターはした方がよさげ。フィルター径は58mmと言うことでDA★55mmやFA31mmなどと一緒。フィルターはフォーカシングで回転するためC-PLは使いづらい。
望遠端まで伸ばすと、レンズの全長が倍程度まで伸びる。フォーカシングでさらに全長が変化し、320mmの近接撮影(1.5m)でこのレンズが最大の長さとなる。
私の手に入れた個体がそうなのかは定かではないが、ここまで伸ばすと伸びた分の鏡筒がかなりガタつく。
レンズが軽いため、ハンドリングは良好。
実写
基本的に近接撮影なら十分使えそうな印象。絞り開放でもそこまで色収差が目立つ感じでもない。等倍で見ると結構にじみが発生している。
色ノリはsmcの効果もあってかシグマの70-300mmよりもいい感じ。ただし、現行のHD D FAと比べるとサッパリした色合い。
ボケは価格なりといったところ。
とは言っても望遠側を使って近接すれば被写界深度はかなり浅くなる。しっかりボカせばそう汚くも感じない。
ただし、中景や遠景の場合、一つ一つのディテールに対して色収差が目立つ。特に高画素機であるK-1では尚更と言ったところ。
トリミングして使うには耐えられないが、3600万画素でそのまま使うならなんとか…と言った感じ。
これは絞ってもあまり改善せず、頑張って使うならF8やF11、16まで絞った方が良いかもしれない。
という訳で、このレンズを使うシーンはもっぱら近景をクローズアップする場合。
D FAマクロ100mmと比べて画角を調整しやすいので、等倍マクロでなければこちらの方が使いやすい。320mmの圧縮効果も使えるので、画角に変化を持たせることが出来る点は大きいと思う。
絞ると露出が安定しない。ちょっとでも絞るとハイキーになる傾向があった。
望遠端では周辺部の描写は絞ってもあまり改善しない。四隅にはカラーフリンジが大きめに発生している。
絞って撮っている場合が多く、フルサイズである必要性はあるか?と問われると返答に窮するのは確か。
絞り開放で撮影すると中央部でも滲みが凄いので、細部のピントが合っているのかわかりづらい。
「細かい事は気にしない」という判断なら及第点といったところ。特に花を撮るならふわっと写せるので「雅」や「ほのか」と言ったカスタムイメージとは相性が良い。
まとめ:近接撮影・クローズアップなら結構いける
絞り開放でも滲みが目立ち難いので、廉価な望遠ズームながらしっかりとボケを作る事が出来る点はグッド。100マクロでは近寄りにくい睡蓮などを柔らかく撮りたいなら相性が合っている。
現行のD FAやDA★200、300と比べると最大撮影倍率が高い。しっかりと寄って撮影すれば、ボケをより大きく作る事が出来るので現行レンズに無いポイントと言える。
反面、遠景を超高画素機として使うには力不足で、明らかに収差の補正が間に合っていない。無理してFFを使うのであれば、クロップしてAPS-C用のHD 55-300mmを使った方がシャープに写すことが出来る。
D FA70-300mmが欲しくなる
しかし、これを使えば使うほど、やはりレンズの粗を感じずにはいられない。要はK-1に装着してオールマイティに使うには不足感が否めない。
とは言ってもデカい150-450や70-200を運用するのも骨が折れそう。
という訳で、D FA28-105mmのように、前情報も無く突然現れる「D FA 70-300 F4.0-5.6」あたりを来年にでも発表してほしいところ。
結構待ちわびている人も多いと思うのだけどなあ…。
SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACROと比べて
以前購入したシグマのAPO70-300mmの方がデザイン的には幾分かマシな状態。
ズームリングやピントリングの回転角の大きさやフォーカシングで前玉が前後するあたりはFA80-320と共通している。使い勝手はほぼ一緒。
ただし、こちらには専用のマクロモードが搭載されている。ハーフマクロまでクローズアップすることが出来る点は大きなポイントのように思えるが、実際のところ被写界深度が浅すぎたり描写性能が極端に落ちるのであまりおススメできない。
FA80-320と違ってフードを装着する事ができるため、晴天下の使用でも逆光に悩まされるシーンが減る。ただし、コーティングによる違いの為か色ノリがサッパリしている傾向。
ボケはこちらの方がやや汚く感じる。まあ、そこまで変わりません。
EXIF情報が記録されない
大きな違いとして、シグマのレンズをペンタックスに装着してもEXIFにレンズの個体情報が記録されなかったりする。(焦点距離やF値は記録される)
よって、Lightroomのようにレンズ毎に写真を整理するような機能が備わっている時にやや不便さを感じる(すべて「シグマのレンズ」として統一されてしまう)
描写性能や使い勝手に違いが無いので、それならばFA80-320mmの方が後々整理する時に便利。と言う事でFA80-320mmの方が使いやすい。
デジタル補正はどちらも自動で適用されない
EXIF情報が記録されないシグマはもとより、FA80-320はデジタル自動補正のためのデータが存在しない。周辺減光や色収差・歪曲の補正はどちらも適用されない。
これはLightroomに限った話ではなくて、K-1のボディにもその補正データは入っていない。まあ古いレンズだしね!
それならそれでデジタル対応のライトユースな望遠ズームが欲しいよなぁ…と思ったりしちゃったり
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