このページではEOS 6D Mark IIを発売日から使用し、他社のフルサイズ一眼カメラと使い比べて良いところ、悪いところをまとめています。
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更新履歴
- 2018-07-14:一部修正加筆しました。
EOS 6D Mark IIとはどんなカメラ?
EOS 6D Mark IIの特徴
- 2017年夏発売
- デュアルピクセル CMOSセンサーによる像面位相差AF対応モデル
- ライブビューAFに最適なSTM・ナノUSM駆動のレンズが多いEFマウント
- フルサイズ一眼レフカメラ初となるバリアングル液晶モニタを搭載
- 可動式液晶モニタを搭載する一眼レフカメラとしては最軽量
- 新しいわりに比較的安価なフルサイズ一眼レフカメラ
- 充実した通信機能
EOS 6D Mark IIは2012年に発売された「EOS 6D」の後継モデルとして、2017年8月に発売されたフルサイズ一眼レフカメラ。
従来の「コントラストAF」から高速フォーカスの「像面位相差AF」を搭載した3台目のキヤノンフルサイズ一眼レフカメラ。他2台は40万円以上のEOS-1D X Mark IIと20万円台のEOS 5DMark IVなので、該当機種の中で最も手ごろな価格設定。
他社を見渡してもフルサイズ一眼レフカメラに「バリアングル液晶モニタ」を導入しているカメラは珍しく、前述した像面位相差AFと相性が抜群のライブビューを楽しむことが可能。頑なに像面位相差AFを載せないニコンと比べて快適さは月とスッポン。
さらに、ニコンやペンタックスと比べてライブビューに最適なステッピングモーター(STM)やナノUSM駆動のレンズが多いポイントも強みと言えるでしょう。ついでに言うと比較的安価。
フォーカス動作が滑らかで静音なため動画撮影にも有利。4K動画こそ実装していないものの、FHD画質で撮影するのであれば快適な動画撮影を楽しめるはず。
極め付けは充実した通信機能。GPS/WiFi/NFC/Bluetoothとカメラに搭載されるであろう全ての通信機能を備えています。この機能がセットとなっているカメラは非常に少なく、NFCまで搭載しているのは6D Mark IIくらいじゃないでしょうか?
悪いと感じるところ・悪いと言われているところ
ファインダー時のフォーカスエリアが狭い
EOS 6D Mark IIのオートフォーカスシステムはAPS-CのEOS 80Dと同等。
このため、フルサイズの6D Mark IIからするとフォーカスエリアが狭く感じてしまう。上の画像を見ても分かるように、周辺部や四隅へピントを合わせようとすると、ライブビューやカメラを左右に振る必要がある。
と言っても、フルサイズ一眼レフカメラは大なり小なりフォーカスエリアが中央に集中している。EOS 6D Mark IIよりも高価なEOS 5D Mark IVでさえ、20万円で購入できるα7 IIIにフォーカスカバーエリアは及ばない。
これを劇的に改善するためにはミラーレス一眼(α7R IIやα9)を使う。もしくはライブビューAFを使うしかないでしょう。幸いにもEOS 6D Mark IIのライブビューAFはかなり実用的。
と言う訳で「フォーカスエリアが狭いのは事実だが、一眼レフだししょーがない。」と言う程度。
マルチセレクターがボタン式
6D Mark IIには上位機種に採用されているスティック型のマルチセレクターが非搭載。
これに慣れていると、スティックが無いカメラには抵抗感を覚える人もいることでしょう。
個人的にはそこまで気にならない。「ボタン式がやや面倒かな」と感じるのはスポットAFや1点AFを使う場合のみ。ラージAFやゾーンAFでは移動量が少ないので気になりません。
そもそも論としてフォーカスエリアがそこまで広くないのであまり困らない。
マルチセレクターがロックされる
私は「ボタン式である」と言う点よりも「勝手にマルチセレクターがロックされる」方が厄介と感じています。
これは撮影待機状態(ファインダーに電子水準器など情報がフルに表示されている状態)から待機状態(ファインダーから動的な情報が消灯する)する時にロックされる。この状態への推移時間はカメラ側で設定変更することが出来ないし、オフにすることも出来ない。
ロックを解除するためにはシャッターボタンやAF-onボタンを押して撮影待機状態に戻してやる必要がある。
これがちょっと面倒くさい。
もしもマルチセレクター中央の「SET」ボタンを活用していないのであれば、そこに「絞りプレビュー」を設定。マルチセレクターを使う前に軽くSETボタンを押すことでロックを解除できる。
プラスチックボディ
個人的には700g台の軽量ボディを実現しているのでプラスチック製でも特に不満は無し。
私が今度買おうとしているマグネシウム合金を採用するNikon D850なんて1?超えているのですよ。(追記:Nikon D850購入したました。やっぱり比較してかなり重くてごついです)
さらにキヤノンは安価で軽量なEFレンズが充実している。フルサイズ一眼レフながら片手で扱う事もやぶさかではない。
特にローアングルやハイアングル撮影をする場合に片手持ちが増えるバリアングル液晶との相性がいい。また、グリップが改良されているので片手でしっかりとホールド可能。しっかりとした剛性があり、質感は決してチープではない。
プラスチックボディが割れるような勢いで地面に落下させた場合は別。
打撃痕や傷で済むマグネシウムボディと違い、最悪の場合には割れる可能性がある。落とさないようにストラップで携帯しておけば危惧するような脆さでは無いですが…。
ダイナミックレンジが狭い
オンチップADCでは無い?
機材ネタに精通している人ならば、EOS 80Dあたりから導入され始めた「オンチップADCによる画質の改善」を期待していたことでしょう。
ところが蓋を開けてみればセンサー性能(特にダイナミックレンジ)はEOS 5D Mark III世代と同程度。
私もKiss X9(APS-C最新モデル)との比較で確認しています。
「安くてEOS 5D Mark IVと同程度の画質」を期待していた人にとっては非常にショッキングな内容ですね。
ダイナミックレンジは必要十分?
個人的にダイナミックレンジの広さはそこまで気にならない。
確かにシャドーを”大幅に”持ち上げた際の自由度は物足りない。しかし、そこまでシャドーを持ち上げるような撮り方をするのか?と言うと私は否。
ダイナミックレンジの狭さが目に付くのは、「飛行機(背景が快晴であり、影になる機影を持ち上げる場合)」や「ポートレート(逆光・フラッシュなし)」の場合などシーンはかなり限定されるはず。
さらに言えばダイナミックレンジが広いからと言って暗部持ち上げ時がノイズフリーと言う訳では無い。
「シャドーを-4EV?-5EV程度持ち上げる時に差が出てくる」と言う程度。手持ちのRAWデータで実際に4EVも持ち上げる必要があるのか?その頻度が多いのか?をしっかりと考えておきたいところ。
私個人の好みから言えば、4段?5段も暗部を持ち上げたら不自然極まりない写真が量産される。必要な場合はAEブラケットで撮影し、事後にHDR合成する方法が可能なシーンも多いでしょう。
それでもダイナミックレンジが広いカメラが必要だと言うのならばEOS 5D Mark IVやより安価で優れているNikon D750などの選択肢を考慮するべき。
試しにNikon D850を手に入れて試す予定。その辺は改めて記事を公開します。
視野率が100%では無い
巷では批判を浴びているらしいですが、個人的にはあまり気にならないポイント。
「ファインダーで見えている部分が写らなくなる」のであれば問題ですが、「ファインダーで見えない部分が写っている」程度ならば後処理でトリミングが可能。
実用性の云々と言うよりも「他社はみんな視野率100%ですよ?」と言う人が多いかもしれませんね。
それでも視野率100%にこだわるのであれば、EOS 5D Mark IVに突撃するか、ライブビューで撮影するか…。
ピーキング・スモールAFポイントが無い
「ダイナミックレンジの狭さ」や「視野率の問題」よりも気になったポイント。
バリアングルモニタを搭載し、ライブビューの必要性が重視される機種にも関わらず利便性が改善していない。ついでに言えば従来機種で採用されている機能にも関わらず、6D Mark IIには実装されていない。
例えば…
細かい部分にピントを合わせやすくする「スモール1点」システムは既に登場しているEOS M5には搭載されている。
さらにマニュアルフォーカス操作を向上させる「ピーキング」機能に関してはEOS M3の時代から実装されている。
便利なマルチアングルモニタを搭載しておきながら、ミラーレス一眼と機能性に差をつける必要があるのか?と疑問に感じるのです。
良いところ
バリアングルモニタである
フルサイズ一眼レフとしてはとても貴重な2軸チルト(バリアングル)の可動液晶モニタを搭載。
1軸よりも展開方法が面倒くさいが、アングルの自由度は大きい。これが採用されたから6D Mark IIを購入した人も多いのでは?
かく言う私もその一人。
特に縦構図でのローアングルやハイアングルでの撮影が他の可動液晶モニタと比べて有利。
風景・小動物・ポートレートなどなど…、あらゆる分野においてバリアングルモニタは活用できるはず。
モニタが可動すると言う事は撮影時だけ便利と言う訳でも無い。
例えば机に置いた状態でカメラ内の画像を確認したり、設定を変更したりする場合での視認性に優れている。
タッチパネル
キヤノンのタッチパネルシステムは秀逸。特にタッチパネルを積極的に採用しているミラーレス一眼メーカーよりも使いやすい。
タッチAF・タッチシャッターは元より、メニュー画面、クイック画面などにも対応している。
可動式モニタとの相性が良く、フルサイズ一眼で「バリアングルモニタ+タッチパネル」の組み合わせは非常に貴重。国産メーカーでは6D Mark IIが初めての機種かもしれません。
「ライブビューなんて、タッチパネルなんて」と食わず嫌いをしているそこのアナタ。まずはEOS Kiss X9でも買って体感してみてください。その数か月後にはEOS 6D Mark IIを手にしている事でしょう。
デュアルピクセル CMOS AFと最適なレンズ群
ニコン・ペンタックスは一般的なセンサーを搭載しているので、ライブビューのAFはコントラスト検出のみ。(PENTAX K-70のみ像面位相差AF搭載モデル)
キヤノンはフルサイズ一眼レフカメラで像面位相差センサーを搭載している唯一のメーカー。ライブビューAFの性能で言えば2社との差は圧倒的。
特にEOS 6D Mark IIに搭載されている「デュアルピクセル CMOS AF」はー3EVに対応するので低輝度のシーンでもピントが合いやすい。これはAPS-CのEOS 80Dと比べて明らかに良好な性能(EOS 80DはEV0~18)。
さらにライブビューAFと相性の良いレンズが多いのもキヤノンEFの特徴。コントラストAFの動作に強いステッピングモーター駆動やナノUSM駆動のレンズが徐々に増え始めている。
特に動き回る動物をローアングルで撮る場合に重宝した。被写体のピント距離が小刻みに前後してもしっかりと補足している。
高速で移動する被写体には力不足な部分がありますが、低速移動する被写体にはとても便利。
「充実している」と言うほどのラインナップでは無いが、標準?望遠ズームと標準域の単焦点レンズはカバーされている。
ニコンではやっとFX望遠ズームが、ペンタックスではやっとAPS-C望遠ズームでステッピングモーターが採用されたところ。比較してキヤノンはAPS-Cのステッピングモーター化が完了し、第2世代も登場しつつある。
さらに新世代のナノUSMまで登場。24-105 STMがナノUSMにリニューアルされないかなと密かに期待している。
パンケーキレンズや撒き餌レンズが多い
フルサイズ一眼カメラ用のレンズラインナップとしては”比較的”薄型・小型のレンズが多い。その分レンズの明るさや画質は割り切ったものが多いですが…。
小型・軽量なレンズは「携帯性に優れている」のみならず、小さいからこそ撮影アングルを自由に変えられると言うメリットがある。
このあたりのレンズはニコンやソニーと比べて比較的手ごろな価格でサイズも小さい。写りも価格の割に悪く無い感じ。
現像時にデジタルレンズオプティマイザ使用可能
「6D Mark IIだから」と言うメリットでは無く、「キヤノンだから」と言うメリット。
「レンズ」ー「ローパスフィルタ」ー「イメージセンサー」ー「処理エンジン」ー「現像ソフト」と撮影から現像まで一貫して自社で造っている。そのため、レンズやカメラの特性を現像ソフトに反映して高度なデジタル補正を掛けることが可能となっているようです。
これは他社では考えられないようなメリット。
安価な純正レンズでもデジタルレンズオプティマイザを適用することで画質が大きく向上するのは魅力的。前述した小型・軽量なレンズの魅力をさらに上へシフトさせるツールと言えるでしょう。
ちなみに、他社の純正ソフトよりもDPP4は使いやすいと感じるのです。
フリッカーレス
屋内スポーツなどで人工灯が影響する場合にチラつきを抑えてくれる機能。
しかし、私はあまりこの分野で撮影をすることが無いのでイマイチ実感できず。
追記:娘が生まれて家の中で写真を撮る機会が増えるとフリッカー低減機能が便利。ただし、6D Mark IIの価格帯のカメラであればフリッカー対応モデルが増えてきているので強みとは言えないかもしれません。
通信接続が高速で安定している
NFCを搭載している
NFC搭載のスマホならばボディに近づけるだけでWiFi接続が完了する便利な機能。
キヤノンは一眼レフカメラ勢として唯一NFCを積極的に採用している。なぜ他社はこれを搭載しないのか不思議でならない。(ミラーレス一眼メーカーのソニーは搭載。さすがスマホ造っている系列会社があるメーカー)。
他の一眼レフメーカーではPENTAX K-S2やNikon D7200くらいでしょうか?(PENTAXは何故か後継モデルのK-70にNFCが搭載されていない)
接続アプリが安定した接続で快適に操作可能
キヤノンのスマホ接続アプリ「Camera conect」はカメラとの接続が安定している上、カメラ内の画像読み込みが超速い。
これは私自身、PENTAXの「Image Sync」RICOHの「THETA S」LUMIXの「Image App」Olympusの「Ol.Share」と併用して使っているからこそ実感する性能差。
特にRICOH系のアプリは接続し辛く、画像読み込みには時間がかかる。LUMIXやOlympusは実用レベルに達しているが、キヤノンのCamera conectほどでは無い。
パワーズームアダプターを装着して露光中にも遠隔操作でズーミングが可能だったりする。
動画もスマホでライブビューを確認しながらズーミングが可能。
残念ながらパワーズームの組み合わせが写真の「EF-S 18-135mmF3.5-5.6 IS USM」とアダプターの組み合わせしか出来ない。
まぁ、正直に言うとズーム時のノイズが酷すぎて本格的な撮影にはおススメ出来ませんが…。
まとめ
オススメ | オススメできない |
バリアングル+DPAF+タッチパネル | RAW現像で画質にトコトンこだわる人 |
WiFi接続の安定性はピカイチ | 「安い5D Mark IV」をイメージしている人 |
STM・ナノUSM駆動の多いキヤノンEF | コストパフォーマンス |
かんたんな操作性 |
全体的によくまとまっているカメラ。
特に「家族写真やペットを撮る機会が多く、かんたんに撮影できてボケもしっかり作りたい」と言う人にオススメ。
ファインダーを覗いての飛行機や鉄道、スポーツ撮影にも対応できるがこのカメラの個性を考えると最適な選択肢では無い。
特に他のカメラとスペックを相対的に見てしまうと劣っている部分が多い。「安い5D Mark IV」を期待していた人には裏切られたようなスペックと感じることでしょう。
個人的な好みで言えば、6D Mark IIのデメリットはメリットを考慮すると軽微なもの。
特にフルサイズ初となるバリアングルとタッチパネルの組み合わせで軽快な像面位相差AFを使う事が出来る点が何よりも素晴らしい。カジュアルユースであればとても使いやすい一眼レフカメラ。
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