このページではシグマ「135mm F1.8 DG HSM」のレビューを掲載しています。
135mm F1.8 DG HSMのレビュー一覧
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビュー完全版
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.6 減光・逆光編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.5 ボケ編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.4 諸収差編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.3 遠景解像編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.2 解像チャート編
- シグマ 135mm F1.8 DG HSM | Art レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | 手頃だがディスコン済 | |
サイズ | やや大きい | |
重量 | かなり重たい | |
操作性 | 適度な操作性 | |
AF性能 | 状況によって平凡 | |
解像性能 | ピント全域で非常に良好 | |
ボケ | 前後滑らかで綺麗なボケ質 | |
色収差 | ほぼ皆無 | |
歪曲収差 | ほぼ皆無 | |
コマ収差・非点収差 | とても良好 | |
周辺減光 | 穏やか | |
逆光耐性 | 良く抑えられている | |
満足度 | コストパフォーマンスの高い135mm |
評価:
コストパフォーマンスの高い135mm
ミラーレス用レンズより重いものの、互換性の高い電子アダプター経由であれば、ミラーレスに装着しても満足度の高い一眼レフ用レンズ。主にキヤノンRFやニコンZ、富士フイルムXで運用するぶんには不満ありません。サイズが大きく重いものの、ドロップインフィルター対応のアダプターを使用することでフィルターワークの柔軟性を高めることが可能。
肝心の光学性能は非常に良好で、絞り開放から快適に利用することが出来ます。これと言って目立つ欠点はなく、おススメしやすい性能。ミラーレス用レンズはさらに優れているかもしれませんが、コストパフォーマンスで言えば、このレンズもまだまだ魅力的と言えるでしょう。
主な欠点はAF駆動。十分に高速ではあるものの、ミラーレス用レンズのステッピングモーターやリニアモーターと比べるといまいちと感じる場合があります。(特にピント位置を前後に小刻みに移動させるような場合)
Although heavier than mirrorless lenses, these SLR lenses can be attached to mirrorless cameras via electronic adapters with high compatibility, and provide a high level of satisfaction. There are no complaints about using them mainly with Canon RF, Nikon Z, and Fujifilm X. Although they are large and heavy, it is possible to increase the flexibility of filter work by using an adapter that supports drop-in filters.
The optical performance is excellent, and you can use it comfortably from wide open aperture. There are no particularly noticeable drawbacks, and it is easy to recommend. The performance of mirrorless lenses may be even better, but in terms of cost performance, this lens is still very attractive.
The main drawback is the AF drive. Although it is fast enough, it sometimes feels a little lacking when compared to the stepping motors and linear motors used in mirrorless lenses (especially when moving the focus position back and forth in small increments).
Index
まえがき
2017年に登場した一眼レフ用の望遠単焦点レンズ。販売価格は純正品の(古い)135mmと比べて安価とは言えないものの、他のSGVシリーズと同様に最新の光学設計を導入したレンズとなっています。レビューサイトにおける評価は上々で、非常に優れたレンズと結論付けられることの多い製品です。
キヤノンEF・ニコンF・シグマSA用としてリリースされた後、ミラーレス用にフランジっバックを調整したソニーE・ライカLマウント用が登場しています。2025年現在、残念ながら全てのマウント用が生産完了品となっています。今のところミラーレス用の135mm F1.8は登場していません。
- 公式ウェブサイト
- 最新情報まとめ
- 管理人のFlickr
- フォーマット:フルサイズ
- マウント:EF / F / E / L / SA
- 焦点距離:135mm
- 絞り値:F1.8-F16
- 絞り羽根:9枚 (円形絞り)
- レンズ構成:10群13枚
- 最短撮影距離:87.5cm
- 最大撮影倍率:1:5
- フィルター径:φ82
- サイズ:Φ91.4mm × 114.9mm
- 重量:1,130g
- 防塵防滴:簡易防塵・防滴
- AF:HSM
- 手ぶれ補正:-
- その他機能:
・AF/MFスイッチ
価格のチェック
売り出し価格は13万円台。決して安いとは言えないものの、カメラメーカーが純正品として投入する水準を考慮すると健闘しています。中古価格は10万円以上が相場。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
SGVシリーズ(Sigma Global Vision)らしい白を基調としたシンプルなデザイン。右上に表示している3桁の数字はエディションナンバーで、発売した西暦の下3桁を表しています。このレンズは2017年に登場しているため、「017」と記載。
レンズ本体の他に、レンズフード、レンズケース+ストラップ、説明書、保証書が付属。
外観
一眼レフのArtシリーズらしく、外装の広い範囲に金属パーツを使用。しっかりとした作り。表面は光沢を残した塗装となっており、指紋や傷が目立ちやすいのが難点。フォーカスリングはゴム製。
フォーカスリングの他、側面にAF/MFスイッチやフォーカスリミッターを搭載。ミラーレス用レンズのような絞りリングはありません。
マウント部にゴム製シーリングを備えた簡易的な防塵防滴構造。鏡筒の可動部におけるシーリングは言及しておらず、耐候性の過度な期待は禁物。
ハンズオン
全長は長くないものの、太い鏡筒で1.1Kgと重めの単焦点レンズ。「135mm F1.8」であることを考慮すると妥当かもしれませんが、少なくとも日常的に使いたいと思うサイズ・重量ではありません。質感は良く、Artシリーズらしい高級感のある作り。
前玉・後玉
大口径レンズらしく、対応するフィルター径は82mmと大きめ。高価な大口径フィルターを購入する必要があります(特にNDやC-PL)。フッ素コーティング処理の記述はないため、前面へのダメージが想定される場合は保護フィルター推奨。
真鍮製レンズマウントは4本のビスで本体に固定。前述したように簡易防塵防滴用のシーリングあり。
フォーカスリング
50mm幅のゴム製フォーカスリングを搭載。滑らかに回転し、抵抗感は適度。ピント距離全域を移動するには約150度くらいのストロークがあります。
スイッチ
側面にはAF/MF切り替えスイッチとフォーカスリミッターを搭載。リミッターが常時必要とは感じませんが、カメラによって前景・後景に引っ張られやすい時は便利。
装着例
アダプター経由でレンズサイズと重量は許容範囲内。ただし、「AF 135mm F1.8 FE」「FE 135mm F1.8 GM」と比べるとやや重たい。三脚搭載時はフロントヘビー気味。
レンズアダプター経由で各種ミラーレスに装着。EFマウントであれば、RF・E・Z・Lそれぞれのカメラに適合可能な電子アダプターが存在します。(完璧な動作を保証するものではありませんが)
AF・MF
フォーカススピード
α7R V+MC-11に装着してテスト。ミラーレス用レンズと比べると平凡なAF速度と感じるかもしれません。とはいえ、近距離の動体撮影に使わなければ十分なAF速度に見えます。少なくともMC-11経由ではAF-Cで追従しきれない場合あり。Z f とFringerの組み合わせでは問題ありませんでした。S5IIとMC-21はかなり厳しい。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
ご覧のように、ピント位置によって画角の変化がやや目立ちます。
精度
一眼レフで使用するよりも精度が良好。特にAF-Sで苦労することはないと思いますが、ミラーレス用レンズと比べるとミスが混じりやすい印象。
MF
約150度のストロークを持つMFリングですが、135mm F1.8の極薄ピントでは調整がシビアとなる場合があります。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:α7R V
- 交換レンズ:135mm F1.8 DG HSM
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
一眼レフ時代の終盤に登場した大口径レンズらしく、絞り開放から非常に高性能。絞ると全体的に少し向上しますが、F1.8から十分に実用性の高い性能。
中央
絞り開放から非常に優れた性能を発揮ます。6100万画素で細部を確認すると、わずかに軸上色収差の影響が残っていることが分かります。絞ると細部のコントラストが改善し、F2.8-F4.0でピークとなる。
周辺
傾向は中央と同じ。F1.8から非常に優れた性能を発揮します。細部のコントラストはF2.8-4で改善。なぜか中央よりもセンサー由来と思われる偽色が多く、測定数値が低くなっています。実写を確認してみると、結果はほぼ同じ。
四隅
実写を見てみると中央や周辺とほぼ同じ。F2.8でも僅かにソフトさが残るため、ベストを尽くすのであればF4以降。とはいえ、細部を気にしなければF1.8から全く問題無く使用可能。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.8 | 4129 | 3820 | 3792 |
F2.0 | 4455 | 3674 | 3712 |
F2.8 | 4739 | 4667 | 3695 |
F4 | 4719 | 4683 | 4146 |
F5.6 | 4719 | 4667 | 4597 |
F8 | 4667 | 4632 | 3869 |
F11 | 4421 | 3980 | 3792 |
F16 | 3816 | 3609 | 3317 |
実写確認
競合製品との比較
近距離の絞り開放で性能が低下傾向の「AF 135mm F1.8 FE」よりも良好な結果。絞るとよく似た結果となるものの、F1.8付近の性能が重要な人にとって、本レンズは十分に価値のあるレンズと言えそうです。
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2023.6.26 晴れ 微風
- カメラ:α7R V
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:ISO? 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・ノイズ補正オフ
・レンズ補正オフ
テスト結果
絞り開放では細部のコントラストがやや低めですが、周辺・隅までシャープな結果が得られています。F2まで絞るとコントラストが改善し、F4-F5.6付近でピークの結果が得られる模様。6100万画素でベストを尽くすのであれば2?3段ほど絞るのがおススメ。2400万画素やカメラ出力のJPEGであれば、F1.8から何の問題もありません。
中央
前述したように、F1.8からシャープな結果ですが、細部を見るとコントラストがやや低め。F2まで絞ると改善し、F2.8-4で徐々に改善しますが大幅な変化はありません。
周辺
中央とほぼ同じですが細部が若干ソフト。F2.8-4まで絞った際に改善します。
四隅
F1.8から十分な性能ですが、F4まで絞ると細部が僅かに改善します。
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
絞り開放からピント面は平坦。フレーム全域で遠景にピントを合わせることが出来ます。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
- F1.8
- F16
レンズ補正をオフにした状態でも色収差はほとんどありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
完璧な補正状態ではなく、絞り開放付近でピント面前後の色づきが発生。影響はごく僅かですが、高輝度のシーンでは若干の影響が目につくかもしれません。F4まで絞るとほぼ解消します。
- F1.8
- F2.0
- F2.8
- F4.0
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
ごく僅かな糸巻き型。補正無しでも影響はほとんどありません。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
フレーム隅でも点光源の変形はほとんどありません。
- F1.8
- F2.0
- F2.8
- F4.0
球面収差
影響は軽微。とても良好な補正状態に見えます。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
ニュートラルな描写で偏りは目立ちません。また、軸上色収差の影響はほとんど無し。前後で見比べると若干硬調。
前ボケ
後ボケよりも僅かに柔らかい描写。軸上色収差の影響はほとんどありません。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
- 影響が強い
- 影響が弱い
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
- 前ボケ
- 後ボケ
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
玉ボケの内側は滑らかで綺麗な描写。色収差の影響はほとんどありません。口径食はフレーム隅で若干の影響が見られるものの、過度ではありません。
F2.8まで絞ると口径食の影響はほぼ解消。玉ボケが若干角ばるものの、許容範囲内。
ボケ実写
至近距離では被写界深度が浅く、非常に大きなボケが得られます。背景は大きくボケているので、質感を過たることは出来ません。少し硬調と感じる程度。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。135mm F1.8らしく、全身ポートレートでも背景を十分にぼかすことが出来ます。柔らかい描写ではありませんが、綺麗なボケ。硬すぎると感じる場合はソフトフィルターやブラックミストなどを使うと改善する可能性あり。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
- F1.8
- F2.8
大口径レンズとしては穏やかで無視できる程度。F2.8まで絞るとほぼ解消します。
無限遠
- F1.8
- F2.8
最短撮影距離と比べると影響が強くなるものの、隅に向かって過度の減光はありません。F2.8まで絞ると大幅に改善します。
逆光耐性・光条
中央
絞るとゴーストがいくつか発生しますがフレアは良く抑えられています。135mm F1.8で光源を直接フレームに入れる機会は少ないと思われ、大きな問題と感じる機会は少ないはず。
隅
光源をフレーム隅に配置するとフレア・ゴーストともに影響は軽微。
光条
- F5.6
- F8.0
- F11
- F16
絞ることでシャープな描写となりますが、偶数絞りのレンズほどパンチのある光条ではありません。回折とのバランスがとりやすいF11ではイマイチ。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 手頃な価格
- 本格的なキャリーケース付属
- 簡易防塵防滴
- 電子アダプターで各種ミラーレスに装着可能
- 解像性能がピント距離に関わらず優れている
- 色収差補正が良好
- 歪曲収差補正が良好
- コマ収差補正が良好
- 逆光耐性が良好
- 周辺減光が穏やか
- ボケが綺麗
全体的に優れた光学性能を発揮する135mm F1.8。ピント距離に関わらず良好な解像性能が得られ、ボケ質は綺麗で滑らか。口径食の影響は少なく、周辺減光や逆光耐性に大きな問題はありません。ビルドクオリティも良好で、適度な操作性のフォーカスリングを備えています。
強みとなるのはEFマウント版を様々なマウントアダプターで様々なメーカーのミラーレスカメラに装着できること。EOS Rでも、Zでも、α7でも、LUMIXでも使うことが出来ます。APS-Cやマイクロフォーサーズシステムでも利用可能。AFが常に完璧とは言えないものの、互換性の高いマウントアダプター経由でAFや絞りを動作させることが出来ます。複数のシステムを所有している場合は面白い選択肢と言えるでしょう。
悪かったところ
ココに注意
- 光沢のある外装が傷つきやすい
- ミラーレス用と比べると重たい
- フォーカスブリージングが目立つ
- 光条が平凡
最も注意したいのはミラーレス用135mm F1.8と比べると重たいこと。一眼レフ用であるため、ミラーレス装着時はアダプターの重量も加味する必要があります。772gのサムヤン製レンズと比べると圧倒的に重い。
超音波モーター式のAFは欠点とまでは言えないものの、ステッピングモーターやリニアモーター駆動の最新レンズと比べると動作が遅め。また、電子アダプターの互換性によってはAFの動作が遅く感じる場合があります。Fringer経由のニコンZや富士フイルムXでは快適で、シグマ純正のMC-11やMC-21では遅めと感じました。
結論
ミラーレス用レンズより重いものの、互換性の高い電子アダプター経由であれば、ミラーレスに装着しても満足度の高い一眼レフ用レンズ。主にキヤノンRFやニコンZ、富士フイルムXで運用するぶんには不満ありません。サイズが大きく重いものの、ドロップインフィルター対応のアダプターを使用することでフィルターワークの柔軟性を高めることが可能。
肝心の光学性能は非常に良好で、絞り開放から快適に利用することが出来ます。これと言って目立つ欠点はなく、おススメしやすい性能。ミラーレス用レンズはさらに優れているかもしれませんが、コストパフォーマンスで言えば、このレンズもまだまだ魅力的と言えるでしょう。
購入するを悩んでいる人
2025年1月現在、市場に流通している135mm AFレンズは以下の通り。
- RF135mm F1.8 L USM
- NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
- FE 135mm F1.8 GM
- AF 135mm F1.8 FE
- VILTROX AF 135mm F1.8 Lab
どれも個性的で高性能な135mm F1.8となっています。アダプター経由の汎用性が必要なければ、ミラーレス用を購入したほうが良いでしょう。とはいえ、カメラメーカー純正の135mm F1.8は非常に高価な製品が多いため、アダプター経由で本製品を選ぶのも一つ手。手頃な価格で135mmを楽しみたいのであれば、サムヤンやVILTROXも要検討。
購入早見表
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作例
関連レンズ
- RF135mm F1.8 L USM
- NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena
- FE 135mm F1.8 GM
- AF 135mm F1.8 FE
- EF135mm F2L USM
- AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED
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