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性能と使い勝手の面で隔世の感|X2D II 100C

DPReviewがハッセルブラッド「X2D II 100C」のファーストインプレッションを公開。LiDAR内蔵AFをはじめ、ハイダイナミックレンジを活かす様々な機能やハード、効果的な手振れ補正や内蔵ストレージなどを評価。初代X1Dからすると、使用実態はこれ以上ないほど異なっているとのこと。

DPReview:Hasselblad X2D II 100C initial review: All-in on HDR

「エンド・ツー・エンド 」HDR

  • ハッセルブラッドは「end-to-end 」HDRを搭載した最初の中判カメラであると述べている。
  • 高輝度ビューファインダーとリアスクリーンを搭載、撮影時により広い輝度範囲の一部を確認できるようにした。
  • 初期設定出力はHEIF形式だが、下位互換性を維持しながら、互換性のあるデバイスでより広い階調範囲を伝えるための輝度マップを埋め込んだ「Ultra HDR JPEG」を作成することもできる。
    (グーグルがPixel携帯で採用し、シグマがBFで採用した技術。標準のsRGB JPEGと比較して最大3ストップのダイナミックレンジを追加)
  • 撮影と編集の全エクスペリエンスを通じてP3色域をサポート。他社が採用しているHLGやPQのレスポンスカーブは使用せず、リニアなレスポンスとハイライト部のロールオフを持つゲインマップを使用することで、自然なルックを実現。
  • HDR画像は、露出をある程度コントロールできるP、S、Aモードでのみ撮影される。
  • 露出を手動で設定する人は、HDRには適さないような非常に特殊なルックを撮影しようとしている可能性がある。このため、撮影者が望まない不自然なルックの画像を生成する可能性があるので、機能を無効にするのだという。
  • 背面ディスプレイは、HDRをサポートするために大幅にアップグレードされた。液晶パネルから、ピーク輝度1400nitまで表示可能なOLEDパネルに変更。これにより、画像を確認する際にHDRを体験することができ、撮影した画像をよりよく確認することができる。
  • Phocus Mobile 2アプリをアップデートし、X2D IIのHDRファイルを編集できるようにし、さらにオリジナルのX2DやCFV 100Cなど他のカメラのRAWをHDR出力ファイルに再処理できるようにした。

連続オートフォーカス

  • 前モデル X2D はS-AFとMFに限られていた。
  • 最新モデルではC-AFが搭載され、動く被写体の撮影が容易になった。
  • AIによる人間、動物、乗り物の被写体認識機能を搭載。
  • C-AFに対応するレンズは7種類で、ファームウェアのアップデートが必要。
  • 対応レンズ
    ・XCD 35-100mm F2.8-4.0E
    ・25mm、38mm、55mm、90mmのVシリーズレンズ
    ・28mmと75mmのPレンズ。

さらに進化したAF

  • 被写体との距離を判断するためにLiDARを使用。
  • この技術は、ハッセルブラッド株式の過半数を所有するDJIから提供されたと考えるのが妥当。
  • DJIはすでにいくつかのシネマツールでこの技術を使用している。
  • カメラ前面にはAFイルミネーターランプが搭載され、セルフタイマーのカウントダウンインジケーターとしても機能。

改良されたボディ内手振れ補正

  • 前モデル X2Dは最大7ストップのボディ内手振れ補正を搭載。
  • X2D IIはさらに進化し、最大10ストップの手ぶれ補正を実現。

アップデートされたコントロール

  • 操作系をアップデートし、AF選択ポイントの操作やメニューのスクロールに使えるジョイスティックと、背面プレートにカスタマイズ可能なボタンを追加。
  • 前面のコントロールダイヤルを押し込むことで、別のカスタム機能にアクセスできる。
  • バイブレーションモーターを搭載し、フォーカスが合っているか、水準器の位置が合っているかなど、特定の操作に対して触覚的なフィードバック。

X2Dとの比較

  • GFX 100S IIは非常によく似たセンサーを採用し、手振れ補正とC-AFも搭載。
  • 富士フイルムやソニーは、ハッセルブラッドほどHDRに注力していない。α7RVはHDR HEIFを撮影できるが、その代償としてRAWを保存できない。富士フイルムはHEIF画像とHLG動画を撮影できるが、この2つを組み合わせてHDR静止画を提供することはできない。
  • GFX 100S IIとα7R Vはどちらもフォーカルプレーンシャッターを搭載しているが、X2D IIは各レンズにリーフシャッターを内蔵。フラッシュを任意の速度でシンクロさせることができる。ただしレンズが高価になる。
  • X2D IIで他社製レンズを使いたい場合、非常に遅い電子シャッターの使用が必須となる。
  • X2D IIは動画撮影が一切できない。仕事で動画が必要になった場合は、別の機材を検討する必要がある。

ボディとハンドリング

  • 非常に頑丈でよく作られている。
  • 比較的大きなズームレンズを使用しているときでも、グリップは信頼感を与えてくれる。
  • 操作系はよくレイアウトされており、必要なボタンやダイヤルにはすぐに手が届く。
  • ジョイスティックは4方向に操作可能で、オートフォーカスポイントの移動やメニューのナビゲートに使用できる。(タッチ操作も可能)

ビューファインダーとスクリーン

  • ファインダーは大きく、明るく、反応が良い。
  • 薄型のゴム製アイカップは光を遮断するのに適していないが、たいていの場合は十分で、バッグから出し入れする際に引っかかる心配も少ない。
  • スクリーンのピーク輝度は1400ニットで、HDR画像を適切に表示できる。
  • ただし、写真を撮ってカメラがHDR出力ファイルを生成するまで、その効果を完全に得ることはできない。
    訳注:つまりライブビュー中に反映することはできない?)
  • それでも非常に効果的で、直射日光の下でも見やすい。
  • ヒンジで引き出して90°の角度にすれば、ファインダーに邪魔されることなく腰の高さで撮影できる。
  • 撮影中、スクリーンは十分な解像度。
  • トッププレートに1インチのカラーディスプレイを搭載、カメラの電源が入っているときは、バッテリー残量、露出設定、ライトメーターが表示される。

ポート

  • 最小限のポート類は、マグネットでラッチされるドアの後ろに隠されており、開け閉めも気持ちいい。
  • 充電とデータ用の10Gbps USB-Cポート、ハッセルブラッドのやや風変わりなケーブルシャッターレリーズ用の3.5mmがある。
  • CFexpress Type Bスロットも搭載しており、バックアップや内蔵ストレージがいっぱいになった場合のオーバーフローとして使用できる。
  • 内部ストレージは4000枚以上の16ビットRawとJPEG/HEIFペアの容量があることは注目に値する。

バッテリー

  • CIPAの基準でテストした場合、1回の充電で327枚の撮影が可能。
  • 実際には、1回の充電で300枚以上の撮影が可能で、特に、一度に何百枚ものスナップを撮りまくるのではなく、時々じっくりと撮影するのであれば、十分な期間撮影できるだろう。
  • プロのウエディング・カメラマンにとっては、1回の充電で撮影できる枚数が少ないので、予備のバッテリーを用意しておく必要がある。

実際に使ってみると

  • 画面右側には、プレイステーションのような見慣れない文字で4つのボタンが表示されている。
  • ほとんどの機能は、カスタマイズ可能な4つのボタンに割り当てられる。
  • マニュアル露出モードでオートISOに対応。
  • メニューボタンをもう1度押すか、画面を指で左にスワイプすると、メインメニューが表示される。シンプルでよく整理されたシステムで、11個のアイコンが画面上に並んでいる。
  • 素早く簡単に習得できるシステムなので、すぐに撮影に取り掛かることができる。
  • オートフォーカスの使用感には感心させられた。誤ってピントが合ってしまうこともあるが、ほとんどの場合、素早く正確にピントが合い、特に瞳検出は、より優れた大衆向けカメラに匹敵するレベルの性能を発揮してくれた。
  • アップグレードされた手ぶれ補正と相まって、X2D IIは我々が出会った中判カメラの中で最も撮影しやすいカメラの1つ。

ファーストインプレッション

  • 多くの点で2016年に発売されたオリジナルのX1Dとよく似ているが、2つのカメラの使用実態はこれ以上ないほど異なっている。
  • 性能と使い勝手の面では隔世の感。
  • HDR撮影は、その影響を十分にプレビューしたり、その使用を奨励する努力をするカメラはほとんどない。
  • X2D IIは、設定を変えない限り、HDRを撮影する。
  • 撮影しながらHDRのメリットを実感できる。この機能を活用し、顧客や視聴者にその効果をどう届けるかを考えるきっかけを与えてくれる。
  • このカメラが捉えたディテールの圧倒的な量と同様に、その優れたDR出力の活用方法にも、何度も感銘を受けた。
  • さらに印象的なのは、ハッセルブラッドがX2D II 100Cを前モデルよりも低価格で発売していることだ。9年の間に大幅な改良が施されたにもかかわらず、金額ベースではオリジナルのX1D 50cよりも低価格だ。

2025年8月に登場したハッセルブラッドのミラーレスカメラ。前モデルX2Dとよく似ていますが、LiDAR AFやC-AFに対応、中判センサーのダイナミックレンジを活かせるフォーマットや背面モニタ、強化された手振れ補正などが特徴。ジョイスティックやカスタマイズボタンなどコントロールにも手が加えられています。

他社では物価上昇や世界情勢の影響が強くでるなか、販売価格は前モデルから据え置きか少し安いくらい。アップグレードされていることを考慮すると、今から購入を検討するなら新モデル一択と言えるでしょう。

DPReviewのファーストインプレッションによると、画質・操作・機能面で改善が見られるようです。DJIのテクノロジーと思われるLiDAR AFが実際にどの程度有用なのか気になるところ。コントラストAFや像面位相差AFだけでは難しい低照度での撮影に活かせるのか注目ですねえ。

引き続き動画撮影には非対応であるため、中判センサーでの動画撮影を検討する場合は富士フイルムGFXシステムととなる模様。

Hasselblad X2D II 100C 最新情報まとめ

  • 発売日:2025年8月26日
  • 希望小売価格:1,155,000円
  • 販売価格:1,039,500円
X2D II 100C
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主な仕様

イメージセンサー サイズ:43.8 × 32.9 mm
タイプ:裏面照射型
有効画素:1億画素
手振れ補正 5軸10段本体内手ブレ補正
ISO 50-25600
出力 3FR R6W 14 / 16 bit
JPG / HEIF
ストレージ 内蔵SSD 1TB
CFexpress Type B -512GB
AF 検出方式:
コントラスト
像面位相差
LiDAR
測距点:425点
測距輝度範囲:不明
シャッター 電子制御式リーフシャッター
68-1/4000秒 XCD
1/800-1/2000秒 HC/HCD
電子シャッター
68-1/6000秒
フラッシュ同調速度 レンズシャッター時 全速同調
連続撮影速度 最大3fps
ファインダー 方式:Micro OLED
解像度:576万ドット
倍率:不明
モニター サイズ:3.6型
解像度:236万ドット
可動方式:チルト
情報パネル 1.08型
15.8万ドット
フルカラー液晶
USB USB 3.1 Gen 1 Type-C
マイク/ヘッドホン マイク:
ヘッドホン:
その他ポート類 シャッターコントロールポート
ホットシュー接点
バッテリー タイプ:7.27V DC/3400mAh
撮影可能枚数:327 / 466 枚
サイズ 148.5 × 106 × 75mm
重量 本体のみ:730g
バッテリー含:840g
動作温度 -10° to 45°

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