DPReviewがシグマ「20mm F1.4 DG DN」「24mm F1.4 DG DN」のハンズオンを公開。20mm F1.4は機能や光学性能を考えると明らかに天体写真家向けとなっている模様。コマ収差の補正状態も24mmより良好なのだとか。
DPReview:Hands-on: A closer look at Sigma's new 20mm F1.4 and 24mm F1.4 DG DN lenses
ユーザーと使用例
- この2本のレンズは、シグマの「Art」DNシリーズに属し、35mm F1.2 DG DN、35mm F1.4 DG DN、85mm F1.4 DG DN、105mm F2.8 DG DN Macroが含まれる。
- これらはシグマの最高品質のレンズであり、最新の2本は中でも最も広角のレンズだ。
- シグマがArtラインナップのサブシリーズとして考えているF1.4レンズの総仕上げとなる。
- 20mm F1.4は、シグマがこのレンズを天体写真家のために作ったことは明らかだ。他のジャンルの写真にも使えると思うが、レンズの特徴は天体写真家をターゲットにしており、マーケティング資料でも、このレンズのユースケースはほとんど天体写真しか書かれていない。
- それに比べて24mm F1.4は、スチルカメラマンやシネマカメラマンが追加しても違和感のない、汎用性の高いレンズだ。Vlog、風景、建築、天体写真に最適な広い画角を提供し、APS-Cセンサーでは、ほぼ35mm相当の画角を提供し、ポートレートからストリート写真に至るまで、あらゆるものに最適だ。
ボタン・スイッチ類
- 2つのレンズは、インターフェイスの点で非常によく似ている。
- 両レンズとも、AF/MFスイッチ、マニュアルフォーカスロック(MFL)スイッチ、クリックスイッチ、絞りロックスイッチを備えている。
- AF/MFスイッチはオートフォーカス。マニュアルフォーカスを切り替える。
- クリックスイッチは絞りを1/3EV動かすごとにカチッと音がするかどうかを切り替える。
- 絞りロックスイッチは調整時に誤って絞りリングを「オート」に回してしまわないように制御するものだ。
- オートフォーカスロック(AFL)ボタンもあり、オートフォーカスを固定できるほか、ワークフローに応じて他の機能を制御するようにカスタマイズすることも可能だ。
マニュアルフォーカスロック
- フォーカスバイワイヤー方式は、ダイレクトドライブ方式に比べ、ピント合わせが容易な反面、いくつか欠点がある。
- 最も顕著な欠点は電源オフ時にフォーカス位置がリセットされることだ。
- この問題に対処するため、シグマは新たにマニュアルフォーカスロック(MFL)スイッチを搭載した。
- このスイッチを入れると、フォーカスリングが完全に停止し、スイッチを入れた時の位置にピントが固定される。
- 天体撮影の場合、星にピントを合わせてMFLスイッチを入れておけば、万一カメラがスリープした時や、バッテリー交換時も安心だ。
- 電源を入れ直せば、フォーカスリングを回転させたかどうかにかかわらず、レンズは元の位置にピントを合わせたままである。
レンズヒーターリテーナー
- レンズヒーターは天体写真の世界以外ではほとんど使われないが、必要な人にとっては画期的だ。
- レンズヒーターとは、レンズ鏡胴に装着することでレンズの温度が周囲の空気より低くなるのを防ぎ、レンズの曇りや写りこみを防止する装置だ。
- 天体写真家のニーズに応え、レンズ鏡筒の最前部に小さな突起を設け、レンズからヒーターが滑り落ちないよう固定し、美しい夜空のタイムラプスを撮影できるようにするものだ。
- 小さなことだが、シグマが20mm F1.4をいかに天体写真用レンズとして捉えているかを示している。
リアフィルターホルダー
- どちらもリアフィルターホルダーが用意されている。
- どちらのレンズも、フロントフィルターに加えて、リアフィルターも使えることが面白い。
- この2つのレンズは、フロントとリアの両方にフィルターホルダーを搭載する最初のレンズのようだ。
- 付属のテンプレートを使ってゲルフィルターを切り抜き、小さなくぼみにはめ込む。
- このくぼみは、多少のテンションで効果的にフィルターを固定することができる。
光学設計(20mm F1.4 DG DN)
- 超低分散(SLD)レンズ2枚と非球面レンズ3枚を含む15群17枚のレンズで構成されている。
- この3枚の非球面レンズのうち1枚は両面非球面レンズで、シグマによるとフレーム全体でコマ収差を抑制し、周辺部までシャープな描写を実現しているとのことだ。
- 実際に使ってみたところ、絞り開放でもコマ収差を抑え、画面中心から周辺部までシャープな描写を実現している。
光学設計(24mm F1.4 DG DN)
- FLD(低分散)レンズ2枚、SLD(超低分散)レンズ1枚、非球面レンズ4枚を含む14群17枚で構成されている。
- この特殊なレンズ構成によって光学収差を抑えているとのことだが、実際に使ってみると、20mmF1.4ほどコマ収差が抑えられていないように見える。
- しかし、F2.8以上に絞ると画面全体が非常にシャープになり、周辺光量も落ちない。
コンペティション
- シグマには一眼レフ用のレンズがあるものの、どちらも非常に大きい。
- ソニーは20mm F1.8 Gと24mm F1.4 GMという素晴らしいレンズがラインアップされている。
- しかし、20mm F1.8は同じ価格で2/3段 F値が大きく、24mm F1.4はシグマより500ドル高い。
- さらにマニュアルフォーカスロックや絞りロックスイッチなど、シグマには付加価値がある。
- Lマウントの競合としては(前述のDG HSMレンズは別として)、特に競合はない。
まとめ
シグマの2本の広角レンズは、LマウントとソニーEマウントのユーザーに向けた、魅力的な提案だ。20mm F1.4は天体写真家という特殊なマーケットを意識して作られたレンズであるのは明らかだ。焦点距離も似ている。一方で24mm F1.4はよりバランスの取れた選択肢であり、定番の焦点距離である。
24mm F1.4は、Eマウント市場で厳しい競争を強いられているが、その価格設定は、ソニーの24mm F1.4 GMより500ドル近く安い価格で、立派な性能を発揮してくれるだろう。
とのこと。
シグマ DG DN Artシリーズの単焦点レンズとしては最広角をカバーするレンズ2本が登場しましたね。20mm F1.4はソニーEマウントかずあれど、貴重な20mm大口径レンズに仕上がっています。コマ収差は24mmよりも良好に補正され、各種機能から天体写真に最適となっている模様。MTFを見ても、確かに周辺部の非点収差は20mm F1.4のほうが良好に補正していますね。また、24mm F1.4にはレンズリテーナーがありません。性能・機能的には20mm F1.4のほうが魅力的と感じるかもしれませんが、24mm F1.4は小型軽量で比較的低価格な単焦点レンズとなっています。汎用性を考えると24mmも十分ありな選択肢なのかなと。
ちなみに、DPReviewは「F1.4レンズの総仕上げ」と表現していますが、個人的には「50mm F1.4」が不在となっているのが気になるところ。一眼レフ用のような40mm F1.4や50mm F1.2などでも良いのでDG DN Artの標準レンズを使ってみたいですねえ。
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正式発表時の情報
20mm F1.4 DG DN
最高の光学性能と豊かな表現力を追求するSIGMA Artラインの代名詞ともいえるF1.4シリーズ。なかでも開放F値1.4・超広角20mmというSIGMAだけに存在する※レンズをミラーレスに最適化したSIGMA 20mm F1.4 DG DN | Artは、クリアでシャープな画づくりを第一に掲げ、抜群の光学性能とコンパクト化を実現しました。開放から画面の隅々まで「点が点に写る」高い描写力は、光量の少ない環境下で無限遠にある小さな光源を捉える星景撮影において威力を発揮します。さらに、最新の光学設計と高精度で加工された大型の両面非球面レンズの採用により、高い光学性能と同時に20mm F1.4でありながらフロントフィルターの取り付けも可能に。リアフィルターホルダーとの併用もでき、大口径超広角レンズの表現の幅を大きく広げます。コンパクトなレンズボディには本格的な星景撮影はもちろん、様々な撮影シーンを想定した新機能を十分に備え、理想の20mm F1.4をかたちにしました。
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- 希望小売価格:税込152,900円
- 予約販売:8月9日10時~
- 発売日:8月26日
主な仕様
- 焦点距離:20mm
- 絞り値:F1.4-F16
- 絞り羽根:11枚(円形絞り)
- レンズ構成:15群17枚(SLDガラス2枚、非球面レンズ3枚)
- 最短撮影距離:0.23m
- 最大撮影倍率:1:6.1
- フィルター径:82mm
- サイズ:φ87.8 x 111.2mm(Eマウント版は113.2mm)
- 重量:635g(Eマウント版は630g)
- 防塵防滴:対応
- AF:STM
- 手ぶれ補正:-
- その他機能:
・絞りリング
・Aポジションロック
・MFLスイッチ
・AFLボタン
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24mm F1.4 DG DN
SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Artは、Art F1.4の圧倒的な光学性能と24mmという汎用性の高い画角を、コンパクトなボディに凝縮した大口径広角レンズです。開放F1.4の明るさながら、ミラーレス専用設計によりレンズ構成や各種パーツ配置を最適化、Art F1.4を冠するに相応しい高性能と小型・軽量ボディを両立しました。あらゆる撮影シーンを想定し、サジタルコマフレアをはじめとする諸収差を徹底的に抑制、周辺部までクリアな描写を可能にしています。要求の厳しい星景撮影にも存分に活用できるだけの光学性能と、Artライン共通の豊富なスイッチ類に加え、リアフィルターホルダーや新搭載のMFLスイッチを含む必要十分な機能、幅広い用途に対応できる汎用性を兼ね備えました。SIGMAの24mm F1.4が「日常使いできる星景レンズ」という新しい楽しみ方を可能にします。
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- 希望小売価格:税込132,000円
- 予約販売:8月9日10時~
- 発売日:8月26日
主な仕様
- 焦点距離:
- 絞り値:
- 絞り羽根:11枚(円形絞り)
- レンズ構成:14群17枚(SLDガラス1枚、FLDガラス2枚、非球面レンズ4枚)
- 最短撮影距離:0.25m
- 最大撮影倍率:1:7.1
- フィルター径:72mm
- サイズ:φ75.7 x 95.5mm
- 重量:520g
- 防塵防滴:対応
- AF:STM
- 手ぶれ補正:-
- その他機能:
・絞りリング
・Aポジションロック
・MFLスイッチ
・AFLボタン
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