IMAGING RESOURCEが富士フイルムへのインタビュー内容を記事として発信しています。GFXシステムにBtoBの需要があるのは面白い動きですね(図書館や美術館など)。新型XHは検討中だが、何かしらのブレイクスルーを必要としている模様。
GFX100の売れ行き好調
- これは今年の3月上旬に日本へ行った時のインタビューだ。新型コロナウイルスによる制限の前に忍び込んできた。
この記事を投稿する時点で世界情勢に変化が見られているため、事前に連絡し、いくつかの質問と回答を更新している。- インタビューから5か月後における新型コロナウイルスの影響について(3月から更新された回答)
ー工場とサプライチェーンは正常に戻っている。中国工場は2月に2週間工場を停止。フィリピン工場は政府からの指示で4月に工場を閉鎖した。どちらも通常に戻っている。
ーサプライチェーンの確保にも力を入れている。ちょっとしたトラブルもあったが、現在は心配ない。- グローバルな視点で売上が戻ってきているか?2020年の見通し(3月から更新された回答)
ー4月は多くの小売店が閉鎖し、撮影する機会も少なかったため売上は最悪だった。CIPAによると、前年比-68%だ。
ー現在は徐々に回復し、5月は-58%、6月は-37%だった。7月の数字はまだ無いが、6月より良くなっていると思う。
ー富士フイルムは市場の動向よりは好調だったと思う。4月下旬に発売されたX-T4が市場で広く受け入れられたようだ。X100Vも予想より優れたパフォーマンスを発揮した。
ー2020年のカメラ需要を予測するのは非常に難しい。昨年と同水準には戻らないだろう。- 財務報告書の電子映像事業は基本的にデジタルカメラを指しているのか?
?映像事業には大きな3つのカテゴリがある。「instaxを含むフォトイメージング」「電子映像(主にデジタルカメラと交換レンズ)」「その他光学デバイス」
ー電子映像事業はほぼ100%デジタルカメラと交換レンズだ。
ー個々の事業の収益を開示していないと思うが、映像セグメントとしては比較的良好な状況だ。- パンデミックの影響を除外して、本年度はどのような予測だったか?
ーCIPAが収集した予測によると、昨年比20%の下落と述べていた。少し悲観的過ぎるかもしれないが、カテゴリによって異なると思う。
ー市場全体を見るとさらに下落する可能性がある。しかし、ミラーレスセグメントだけに、そしてハイエンドセグメントに注目した場合、CIPAほど悲観的では無いはずだ。
ー我々はよりハイエンドに焦点を合わせている。- X-T3とGFX100の販売実績と位置づけについて
ーGFX100の結果を見て嬉しく思う。昨年6月に発売されて以来、予想を大幅に上回る売上だ。
ーX-T3の需要は一貫して強力なものとなっている。
ー過熱するフルサイズ競争を無視することで、リソースをAPS-CとGFXに集中した。
ー低価格のGFXはハイエンドのフルサイズカメラ並みである。そこから新規顧客を獲得したい。- GFXでXレンズを使えるようになるか?
ーサードパーティ製は分かりかねるが、フランジバックが異なるのでXFレンズは対応できないと思う。
ーEFレンズとGFXマウントのアダプターは多い。オートフォーカスが動作するものもある。
ーEFレンズ資産を持つユーザーは多いので、フルサイズミラーレスを検討している人でGFXに来ていただけるかもしれない。- GFX 50Rを3500ドルに設定したメリットは?
ー顧客データベースをチェックしたところ、70?80%は富士フイルム以外のユーザーだった。
ーおそらくフルサイズ一眼レフユーザーだったと思われる。これがGFX50Rの価格を変更した理由の一つだ。
ーフルサイズ一眼レフのユーザーはどのミラーレスにアップグレードするか検討中だ。GXFはその選択肢の一つとなるだろう。
ー2月に価格変更したところ、在庫がなくなるほど売れた。全体像はまだ把握できていない。
ー主にストリートフォトグラファーに需要がある。
ーGFX100はファッションや広告、ポートレートなどだ。
ー面白いことにB to Bの話が増えた。例えば美術館や図書館などの需要だ。- GFXシリーズはどの機種が売れているのか?
ー月間売上高はGFX100がトップだ。
ーGFX 50Rは同じくらいのボリュームで、50Sは半分だ。
ーGFX100は当初の予想より50%増である。
ーGFレンズはカメラ本体あたり3本以上が売れていると思う。- GFXをフルサイズユーザーにどのような手法でアピールするのか?
ー差別化の鍵は画質だと思う。これは単なる画素数の話では無い。
ー高解像からの立体感が差別化のポイントだと思っている。ダイナミックレンジは別の話だ。
ーGFレンズは1億画素のセンサーに対応するパフォーマンスを持っている。
ー価格・コスト・サイズ・重量・操作性は現実的なものを意識した。- GFXシステムの小型化は?
ー50Rのコンセプトがそれだ。
ーGFX100は品質や使いやすさを損なうことが無いようにボディ内手ぶれ補正を搭載した。1億画素で手ぶれ補正を利用できると言うのが重要だった。
ー手ぶれ補正を搭載しつつ、50Rよりも小さなカメラも数年で達成できると思う。X-H1からX-T4のように。- AI・5Gテクノロジーはどのように活用するか?
ー将来的に写真撮影に役立つAI機能について調査中だ。おそらく将来的にカメラの重要な役割を担うことになるだろう。
ーAFだけでなく、いくつか主要な機能でも活用する可能性がある。
ー現在のプロセッサはAIを活用するほど強力なものでは無い。しかいし、将来的には搭載されるだろう。
ー5Gはエキサイティングに聞こえるが、まだ多くの制限がある。- ボディ内手ぶれ補正とレンズの協調補正について
ーX-T4とX-H1はレンズと協調して手ぶれ補正のパフォーマンスを向上させることが出来る。
ーGFX100の場合、OISのパフォーマンスで十分なため協調補正には対応していない。
ーX-T4の場合、ボディ内手ぶれ補正の性能がOISを上回ることがある。これはレンズのイメージサークルの大きさにも依存している。- ボディ内手ぶれ補正の小型化について
ーX-T4で導入した新ユニットは従来と比べて30%小さく、20%軽量だ。これはコイルスプリングでは無く、電磁コイルに切り替えたためである。
ー内部構造も変化している。X-H1は6つの磁石を使用していたが、X-T4は3つしかない。
ー新型ジャイロセンサーにより精度は8倍増しだ。(ただしパフォーマンスはレンズのイメージサークルに依存する)
ー(磁石の影響は無いのか?という質問に対して)電磁コイルの磁場の影響は把握・コントロールして修正が可能だ。- X-T4の15コマ秒メカニカルシャッターについて
ーより強いトルクを実現した新開発のコアレスDCモーターを搭載している。
ーX-T3のシャッターユニットを分析し、どの部分が弱いのか調査し、改善した。
ー金型から改善し、より剛性のあるシャッターユニットを目指した。さらに素材を繊維強化プラスチックに変更した。
ー衝撃や駆動音を吸収するため異なる種類(素材と張り具合)のスプリングを使用した。シャッター音はX-T3の1/3だ。- X-Hラインについて
ーX-Hカメラは引き続き調査中だ。
ーX-T4はX-H1の後継モデルでは無いので、X-Hの検討を続けている。
ーX-Tと区別する必要があり、これには何らかのブレークスルーが必要だ。
ーX-T4発表後、X-H1スタイルのカメラに関する要望を頂いている。(グリップが大きく、コマンドダイヤル式の操作)
ーX-T4のグリップを大きくするだけではX-H2に不十分だ。より革新的なものが必要となる。- 一部カメラに方向ボタンが無くなった理由
ーカメラの保持とコントロール数のバランスを取るためだ。
ーX100Vのようなカメラの場合、誤ってボタンを押してしまう可能性がある。このため削除した。
ーX-T4は誤操作の可能性が少ないので方向ボタンを導入した。
ーGFX100は親指を配置する場所を考え、方向ボタンを削除した。- 交換レンズのラインアップについて
ーGFレンズはXシリーズと比べて少なくて済むと考えている。
ーXシリーズの場合、例えばスポーツカメラマン用に望遠ズームが必要となってくる。
ーGFレンズの拡充も検討しており、常にお客様の声に耳を傾けている。
ーロードマップには2つのレンズしか掲載していないが、他のレンズが登場する可能性はある。
ーXF33mm F1.0は開発途中でサイズと重量が大きくなり過ぎた。そして、ボケは50mmのほうが遥かに美しい。焦点距離の変更は申し訳ないが、正しい決定だったと考えている。- X-Pro3のHiddenモニタについて
ー当初、ストリートフォトグラファーや従来モデルのユーザーの意見を何度も伺った。
ーすでにX-T4のプロジェクトも始動しており、似たようなカメラを作っても意味が無いと考えた。
ー好みはハッキリと分かれ、半々、もしくは不評が多いかもしれない。このデザインを肯定的に受け止めた少数の顧客が良いシグナルだと思った。X-Pro3はそのようなタイプの顧客向け製品だ。- X-T3の製造・供給について
ー需要がある限り継続する。価格は下がる可能性がある。
ーX-T4の強力な電子手ぶれ補正には新型ジャイロセンサーが必要であり、古い機種に導入することは出来ない。
とのこと。
2018年から過熱するフルサイズミラーレス競争を横目に、APS-C・GFXシステムを粛々と構築しているメーカーですね。特に昨年発売したGFX100は非常に好調な売れ行きの模様。確かにSNSなどでもGFX100ユーザーをちらほら見る気がします。そして、GFX 50Rが安くなった裏側にはこういう意図があったのかと納得。そういえば今年に入ってから、やたら強気のキャッシュバックキャンペーンを展開していましたね。
X-Hラインは廃止となっていないものの、近日登場という雰囲気では無さそうですね。何らかのブレークスルーが必要と述べており、これが何なのかは今のところ不明。X-H1がボディ内手ぶれ補正を初めて導入したカメラだったので、X-H2はAIテクノロジーやグローバルシャッターと言ったところでしょうか?
噂では「X-H2が内部ロードマップ上に再浮上した」と言う話もありますが、どれほど現実味を帯びているのかは不明。
X-T3は引き続き販売を継続するみたいですね。X-T4がやや高価な機種となってしまったので、ボディ内手ぶれ補正が必要無く、チルトモニタに拘りがある人はX-T3も一つの選択肢となりそうです。ファームウェアアップデートでX-T4に近づくと良いですねえ。
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